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Trademark Appeal Case

タータンの産地誤認性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900309(T2014−900309/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5691349号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5691349号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、ピンク地に青色、黄色、赤色などの線を配した格子柄の図形の下に「HELLO KITTY TARTAN」の欧文字を横書きしてなり、平成26年3月24日に登録出願、第33類「洋酒」をはじめとする第14類、第18類、第22類ないし第26類、第29類、第30類、第32類及び第33類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年7月15日に登録査定され、同年8月1日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の指定商品中、第33類「洋酒(英国スコットランド産のウイスキーを除く)」については商標法第4条第1項第16号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第29号証を提出した。

(1)TARTAN(タータン)について

「TARTAN(タータン)」とは、英国スコットランドのハイランド地方で発達した特徴のある格子柄のことであり、我が国では「タータン・チェック」とも呼ばれているところ(甲5)、このタータンは、スコットランドにおいては家紋のような役割を果たしており、古くから一族には決まった柄のタータンが存在してきたものである。その結果、タータンは長きに渡ってスコットランド人であることの象徴とされ、現在まで続く伝統文化の一つとされてきた。そして、タータンは、時代とともにハイランド、ひいてはスコットランドと強く結び付けられ、特有なものと見なされてきたものである(甲8)。

また、「TARTAN(タータン)」が他のチェック柄と異なる点としては、スコットランド政府の登記局によって、法律にのっとった保存・保護・登録管理がされていることが挙げられる(甲9)。すなわち、あるチェック柄について「TARTAN(タータン)」といえるためには、スコットランド政府による審査をクリアし認証されることが条件となる。

なお、「スコットランド・タータン登記所(The Scottish Register of Tartans)」の専用サイトで検索した結果、商標権者によって、「Hello Kitty」という名称にて本件商標中のチェック柄が登録されていることが発見できた(甲11)。

したがって、本件商標中のチェック柄の図形は、紛れもなくスコットランド政府に認められた「TARTAN(タータン)」であって、「HELLO KITTY TARTAN」の文字は、これが「HELLO KITTY」という名称の「TARTAN」であることを示しているといえる。そして、商標権者自身も、自らの意思でこのような登録を行なっているのであるから、本件商標とスコットランドの関連性については、十分に自認しているものといえる。

以上によれば、「TARTAN(タータン)」の文字や登記局によってタータンと認められた格子柄は、これを見る者に「スコットランド」や「スコットランドに関連するもの」を直ちに想起させるものといえる。

(2)スコッチ・ウイスキーとその取引の実情

一方、スコットランドの他の伝統文化の一つとして、スコットランド産のウイスキー(いわゆる「スコッチ・ウイスキー」)が挙げられる。このスコッチ・ウイスキーには非常に多くの商品が存在しているが、「スコッチ・ウイスキー」といえるためには、「スコットランドにおいて製造されたウイスキー」であることがイギリスのスコッチ・ウイスキー規則で定められている(甲12)ことから、これらは必ずスコットランドを産地とするものである。

そのような理由もあってか、これらの商品が間違いなくスコットランド産であることや、スコットランド産であることをよりアピールする目的で、当該商品のラベルにはスコットランドに所縁のある文字や図形が表される慣行がある。そしてその慣行の一つとして、商品のラベルに上記「TARTAN(タータン)」のチェック柄が表されているという事実がある(甲15〜甲29)。

(3)商標法第4条第1項第16号の該当性について

以上のように、a)「TARTAN(タータン)」は、スコットランドの伝統文化の一つであって、スコットランド政府が登記することにより正式に認められるものであるから、現在においてはスコットランドと強い結び付きのある、いわば一種の象徴となっていると考えられること、b)「スコッチ・ウイスキー」も同様にスコットランドの伝統文化の一つであるところ、スコットランド産以外のスコッチ・ウイスキーは存在しないことから、これらの商品ラベルにはスコットランドに所縁のあるものや、スコットランドの象徴となるものが表されるといった慣行があること、そして、c)このような慣行の下で、「TARTAN(タータン)」がスコットランドの象徴の一つとして、きわめて多数のスコッチ・ウイスキーの商品ラベルに表わされているといった事実があることを考慮すれば、「TARTAN(タータン)」が表示された商品(例えば、ウイスキー)を目にした需要者や取引者は、当該商品がスコットランドを産地とするスコッチ・ウイスキーであると認識するといわざるを得ないものである。

これは、例えば我が国において、「焼酎」の瓶のラベルに富士山や歌舞伎の絵が表されていれば、誰もがこれの産地を日本であると認識するであろうことと同じである。

そうであれば、本件商標は第33類「洋酒」を指定商品の一つとしているところ、これについて「TARTAN」の文字やタータンと思われるチェック柄の図形を含む本件商標を使用した場合には、これに接する者は、当該商品が「スコットランドを産地とするもの」と認識するといわざるを得ない。特に、上述の事情によりスコッチ・ウイスキーについてはこれが顕著であるといえる。

したがって、本件商標は、これをその指定商品中「英国スコットランド産のウイスキー」以外の「洋酒」に使用するときは、当該商品の需要者・取引者に「スコットランドを産地とする洋酒」又は「スコッチ・ウイスキー」であるとの商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものである。

3 当審の判断

(1)申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査によれば次の事実を認めることができる。

ア 「TARTAN(タータン)」は、英国スコットランドのハイランド地方で発達した特徴のある格子柄のことであり、我が国では「タータンチェック」とも呼ばれ、スコットランドにおいては家紋のような役割を果たしており、スコットランド人であることの象徴とされ、現在まで続く伝統文化の一つとされてきた。(甲5〜甲8)。

イ 「TARTAN(タータン)」は、スコットランド政府の登記局によって、法律にのっとった保存・保護・登録管理がされている(甲9)。

ウ 「スコッチ・ウイスキー」とは、英国スコットランドで製造されるウイスキーをいい、そのラベルに、タータンチェック柄を描いたものが多数ある(甲12、甲15〜甲29、職権調査)

エ しかしながら、「TARTAN」の文字及び格子柄(タータンチェック)の図形が、我が国において、特にウイスキーをはじめとする洋酒について、本件商標の登録査定日前はもとより現在においても、(英国スコットランド産であるとの)産地表示として使用されていることの証左は見いだせず、また、産地表示として認識されるというべき事情も見いだせない。

(2)商標法第4条第1項第16号について

ア 本件商標は、上記1のとおり、格子柄の図形と「HELLO KITTY TARTAN」の文字からなるものである。

イ そして、上記(1)の事実からすれば、「TARTAN」の文字及び格子柄(タータンチェック)の図形は、両者がスコットランドの伝統文化の一つであり、また、該図形がスコッチ・ウイスキーのラベルに使用される場合があるとしても、いずれも洋酒の産地表示(英国スコットランド産)として認識されることのないものであって、単に、前者は「格子柄(タータンチェック)」を意味する語(文字)、後者は「格子柄(タータンチェック)の図形の一種」と認識されるにすぎないものと判断するのが相当である。

そうとすれば、本件商標の構成中「TARTAN」の文字及び「格子柄(タータンチェック)の図形」のいずれも、商品の産地を表示するものとはいえない。

また、他に本件商標が、その指定商品中、第33類「洋酒」について、商品の品質を表示するものというべき事情も見いだせない。

ウ してみれば、本件商標は、これをその指定商品中、第33類「洋酒」について使用しても、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものとはいえない。

(3)まとめ

以上のとおりであるから、本件商標の指定商品中、登録異議の申立てに係る第33類「洋酒」についての登録は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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