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Trademark Appeal Case

悪意の商標出願

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900313(T2013−900313/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5597400号商標の指定商品中、第18類「かばん類,袋物」についての商標登録を取り消す。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5597400号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなるものであり、平成24年8月22日に登録出願、同25年6月4日に登録査定され、第18類「かばん類,袋物,かばん金具,がま口口金,皮革製包装容器,愛玩動物用被服類,携帯用化粧道具入れ」を指定商品として、同年7月12日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由

本件登録異議の申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録はその指定商品中の「かばん類,袋物」について、商標法第43条の2の規定により取り消されるべきものであると申し立て、その理由を要旨次のように主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。

1 引用商標

申立人が引用する使用商標(以下「引用商標」という。)は、本件商標の出願日以前から現在に至るまで製造、販売しているとする商品「かばん」に使用されているものであり、本件商標と同一の構成からなるものである(甲2,甲3)。

2 商標法第4条第1項第7号(悪意の商標出願)について

(1)申立人は、商品「かばん」の正面上部とタグに引用商標を付しており、本件商標と引用商標とは、文字の態様、図形、全体の配列に至るまで寸分違わない完全に同一の商標である(甲2〜甲4)。

(2)引用商標は、申立人が商品「かばん」について平成20年から使用している商標である(甲5〜甲10)。

(3)一方、本件商標権者は、申立人の取締役である(甲11)。

(4)申立人は、その取締役である本件商標権者が同氏名義で本件商標を商標登録出願することを許可していない。

(5)本件商標権者は、申立人の許可を得ないで本件商標を付したかばんを製造、販売しており、この限りにおいて申立人と競業関係にある。

(6)商標登録の対象となる商標は創作物ではなく、あくまでも採択されるものであり、また、我が国の商標法は先願主義を採用していることは申立人も重々承知している。

しかしながら、申立人が使用している引用商標と本件商標とは、単に「GLUX」の綴りを共通するだけではなく、付記的部分も共通し、さらに文字の態様、図形、全体の配列に至るまで寸分違わない完全に同一の商標である。

本件商標が引用商標を剽窃したことはその外形に照らせば客観的に明らかであり、これを偶然の一致と解すべき余地は存しない。

(7)以上のとおり、本件商標の剽窃性及び本件商標権者の地位に照らして、本件商標の登録出願は、引用商標に化体した申立人の信用に便乗するとともに、不当に独占することにより、申立人に損害を与えようという意思が客観的に明白であり、本件商標が、商標法第4条第1項第7号に該当することは明らかである。

3 商標法第3条第1項柱書(使用の意思)について

(1)申立人は、申立人の許可を得ないで本件商標を付したかばんを本件商標権者が製造、販売することを不正競争防止法により差し止めるために、平成25年3月18日に東京地方裁判所民事第29部に仮処分申立(平成25年(モ)第40013号)を行った(甲12,甲13)。

(2)上記の仮処分申立に関し、平成25年5月10日に、本件商標権者が本件商標を使用しない旨を和解条項の内容とする和解が成立した(甲14)。

(3)一方、本件商標の登録査定日は上記和解成立後の平成25年6月4日である。

(4)よって、本件商標は、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」ではないのだから、商標法第3条第1項柱書きに違反することは明らかである。

第3 取消理由通知

当審において、平成27年3月20日付けで、商標権者に対し通知した取消理由は、次のとおりである。

1 商標権者及び申立人並びに引用商標の使用について

申立人が提出した証拠方法によれば、以下の事実を認めることができる。

(1)申立人は、「株式会社トレビ」として昭和 61年7月7日に設立され、平成11年8月5日に現商号に名称変更された「皮革袋物等の卸販売」等を目的とする法人であり、登記簿上、同社の取締役の一人として本件商標の商標権者と同一の氏名が記載されていることが認められる(甲2,甲11)。

(2)引用商標は、商品「かばん」について、申立人によって遅くとも平成20年6月6日から使用されていたことが推認される(甲2〜甲10)。

(3)債権者を申立人、債務者を「フェティア株式会社」(代表取締役は本件商標権者である。)とする不正競争防止法による差止請求権等に基づく仮処分命令申立てに係る東京地方裁判所民事第29部の平成25年5月10日の審尋により和解が成立したことが認められ、「審尋調書(和解)」には、和解条項として「1 債務者は,販売している商品に別紙商標目録記載の商標を付し,当該商標を商品に付し,これを付した商品を譲渡,引渡し,輸入,譲渡若しくは引渡しのための展示又は電気通信回路を通じて提供しない。 2 債務者は,別紙商品目録記載の商品の譲渡,譲渡のための展示又は輸入をしない。 3 債務者は,別紙商標目録記載の商標を付した商品又は別紙商品目録記載の商品を別紙顧客目録記載の顧客に販売しない。」等の記載がある(甲12〜甲14)。

2 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について

商標法第4条第1項第7号は、公の秩序または善良の風俗を害するおそれのある商標は、商標登録を受けることができない旨規定しているところ、同規定の趣旨からすれば、(a)当該商標の構成自体が矯激、卑猥、差別的な文字、図形である場合など、その商標を使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反する場合、(b)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(c)当該商標ないしその使用が特定の国若しくはその国民を侮辱し又は一般に国際信義に反するものである場合がこの規定に該当することは明らかであるが、それ以外にも、(d)特定の商標の使用者と一定の取引関係その他特別の関係にある者が、その関係を通じて知り得た相手方使用の当該商標を剽窃したと認めるべき事情があるなど、当該商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合も、この規定に該当すると解するのが相当である(東京高裁平成16年(行ケ)第7号同年12月21日判決参照)。

そこで、本件についてみるに、本件商標は、別掲のとおりの構成からなるものであり、また、引用商標は、前記2(1)に記載のとおり、本件商標と同一の構成からなるものであるところ、本件商標と引用商標とは、単に「GLUX」の綴りを共通するだけではなく、付記的部分も共通し、さらに文字の態様、図形、全体の配列に至るまで寸分違わない完全に同一といえる商標である。

そして、上記1によれば、引用商標は、商品「かばん」について、申立人によって遅くとも平成20年6月6日から使用されていたことが推認されるものである。他方、本件商標に係る商標権者は、「フェティア株式会社」の代表取締役であると認められるほか、申立人の取締役にも就任しているものであって、申立人及び同社が使用していた引用商標の存在を熟知していたといえるものである。さらに、商標権者は、かばんを販売していたことが認められ、申立人と競業関係にあることは明らかである。

してみると、商標権者は、本件商標の登録出願前から、引用商標が申立人によって「かばん」に使用されていたことを十分知っていながら、引用商標が商標登録されていないことを奇貨として、これと同一といえる本件商標を申立人に承諾を得ずに登録出願をし、登録を得たものであって、剽窃したものといわざるを得ない。

したがって、本件商標の登録出願の経緯には、著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることは、公正な競業秩序を害するものであって、本件商標は、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標というべきであるから、その登録は、指定商品中の「かばん類,袋物」について、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものである。

第4 商標権者の意見

前記第3の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。

第5 当審の判断

本件商標についてした前記第3の取消理由は、妥当なものと認められる。

したがって、本件商標は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるといわざるを得ないから、その他の登録異議の申立ての理由について判断するまでもなく、本件商標の登録は、その指定商品中「結論掲記の指定商品」について同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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