Trademark Appeal Case
ローマ字と漢字の称呼・観念類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−26795(T2014−26795/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,別掲のとおりの構成からなり,第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「飲食物の提供」を指定役務として,平成25年9月10日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第3028302号商標(以下「引用商標1」という。)は,「吉照庵」の文字を縦書きに書してなるものであり,平成4年9月11日に登録出願され,第42類「日本料理を主とする飲食物の提供」を指定役務として,同7年2月28日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録(2回目の更新登録は,同27年3月10日である。)がされ,現に有効に存続しているものである。
また,登録第4714591号商標(以下「引用商標2」という。)は,「吉祥庵」の文字を標準文字で表してなり,平成15年1月22日に登録出願され,第30類「穀物の加工品,いかの姿焼き,おにぎり,米飯,お好み焼き,焼きそば,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,おはぎ,その他の菓子及びパン」を指定商品として,同年10月3日に設定登録され,同25年9月10日に商標権の存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。
なお,引用商標1と引用商標2をあわせて,以下「引用商標」という場合がある。
3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は,別掲のとおり,黒色の横長の長方形の中に,上部に白抜きの線で描かれた4つの半円と4つの丸みを帯びた四角形などの線を花の様な形に組み合わせた図形とその下部に白抜きの「THE KISSHOAN KYOTO」の欧文字を横書きしてなるところ,図形部分と文字部分とは,上段と下段に分けて表してなるものであるから,視覚上容易に分離して看取されるものであり,また,これらを常に一体不可分のものとしてのみ看取されなければならない特段の事情は認められない。
そして,該文字部分についてみると,その構成中の「THE」の欧文字は,一般的に広く親しまれている英語の定冠詞であり,また,「KYOTO」の欧文字は,地名である「京都」の文字を欧文字で表したものであって,本願商標の指定役務との関係においては,役務の提供場所を表したものと容易に理解されるものであるから,両欧文字は,自他役務の識別力がないか極めて弱い部分というのが相当である。
そうすると,本願商標の文字部分にあっては,「KISSHOAN」の文字部分が自他役務の識別力を強く発揮する部分と認められ,これより,該文字部分が独立して取引に資される場合も決して少なくないものというのが相当である。
してみれば,本願商標は,文字部分の全体から「ザキッショーアンキョート」の称呼を生じるほか,該「KISSHOAN」の文字部分に相応して,「キッショーアン」の称呼をも生じるものである。
また,その構成中の「KISSHOAN」の欧文字は,辞書等に掲載された成語としての意味合いを有しないものであって,特定の観念を生じないものであるが,例えば,飲食店等の店舗の名称である「吉照庵,吉祥庵」等をローマ字表記したものとして看取,理解される場合も決して少なくないとみるのが相当であり,本願商標は,飲食店等の店舗の名称として想起する場合があるといえるものである。
(2)引用商標
引用商標1は,前記2のとおり,「吉照庵」の文字を縦書きしてなるところ,その構成文字に相応して「キッショーアン」の称呼を生じるものである。
また,これは,特定の意味合いを有しない一種の造語と認められるものであるが,その構成中の「吉照」の文字に続く「庵」の文字は,「料亭などの名に添えて,雅号・屋号として用いる」等の意味を有する語(デジタル大辞泉の解説[出典:コトバンク])であることから,その指定役務である「日本料理を主とする飲食物の提供」との関係において,引用商標1は,「吉照庵」という飲食店の店舗の名称として理解される場合があるものというのが相当である。
引用商標2は,前記2のとおり,「吉祥庵」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字に相応して「キッショーアン」の称呼を生じるものである。
また,これは,特定の意味合いを有しない一種の造語と認められるものであるが,その構成中の「吉祥」の文字に続く「庵」の文字は上記のとおり料亭などの名に添えて,雅号・屋号として用いられる語であることから,その指定商品である,例えば「おにぎり,米飯,菓子及びパン」との関係において,引用商標2は,「吉祥庵」という菓子等を製造及び販売する店舗の名称として理解される場合があるものというのが相当である。
(3)本願商標と引用商標の類否
ア 商標の類否について
商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品に使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかも,その商品の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断しなければならない(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において,その構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,原則として許されない。他方,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などには,商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも,許されるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁参照,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
以上を踏まえて,本願商標と引用商標の類否について判断する。
イ 本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標とを比較するに,外観においては,両商標は,図形の有無の差異を有し,また,文字部分においても,その構成文字が相違するものである。
そして,称呼においては,本願商標は,前記(1)のとおり,「ザキッショーアンキョート」の称呼を生じるほか,該「KISSHOAN」の文字部分に相応して,「キッショーアン」の称呼をも生じるものであり,引用商標は,前記(2)のとおり,「キッショーアン」の称呼を生じるものであるから、本願商標の「キッショーアン」の称呼と引用商標の称呼は同一の称呼である。
また,観念においては,本願商標と引用商標とは,共に特定の観念が生じないものの,本願商標は,該「KISSHOAN」の文字より,「吉照庵,吉祥庵」等の飲食店等の店舗の名称が想起される場合があるものである。
一方,引用商標1は,「吉照庵」という飲食店の店舗の名称が想起される場合があるものであり,引用商標2は,「吉祥庵」という菓子等を製造及び販売する店舗の名称が想起される場合があるものであるから,両商標は,いずれも同様の店舗の名称を想起させるものであり,近似した印象を与えるものである。
そうすると,本願商標と引用商標は,外観上において相違しているとしても,観念においては,同様の店舗の名称を想起する場合があるものであるから近似した印象を与えるものであって,さらに,称呼においては,同一の称呼が生じるものであるから,取引者,需要者に与える印象,記憶及び連想等を総合して考察すると,両者は,称呼において同一,観念において近似した印象を与える相紛らわしい類似の商標と判断せざるを得ない。
ウ 指定商品及び指定役務の類否について
(ア)本願商標の指定役務である「飲食物の提供」と引用商標1の指定役務である「日本料理を主とする飲食物の提供」は,共に「飲食物の提供」を含むものであるから,類似するものである。
(イ)本願商標の指定役務は,前記1のとおり,第35類に属するいわゆる特定の商品についての小売等役務であるところ,該役務の提供と該役務の提供に係る商品の製造及び販売とが同一の者によって行われることは,商取引上,しばしば見受けられるものであり,そのような場合,該役務の提供場所や需要者の範囲と該役務の提供に係る商品の販売場所や需要者の範囲とが一致することも,少なからずあるとみるのが相当である。
そうすると,本願商標の指定役務には,例えば,「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」といった役務が含まれている一方,引用商標2の指定商品には,それらの役務の提供に係る,例えば「おにぎり,米飯,菓子およびパン」といった商品と同一又は類似の商品が含まれていることから,これらの役務及び商品について同一又は類似の商標が使用された場合,これに接する取引者,需要者は,その役務の提供と商品の製造及び販売とが同一の者によるものと誤認し,その出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
してみれば,本願商標の指定役務と引用商標2の指定商品とは,互いに類似するものである。
エ 小括
以上からすれば,本願商標は,引用商標に類似する商標であり,かつ,引用商標の指定役務又は指定商品と同一又は類似の役務について使用するものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)請求人の主張
請求人は,「KYOTO」の文字について,「地名=識別力なし」のように判断するのではなく,役務商標は,その役務の提供場所との関係で,一般に役務の質を表示するような語と異なり,地名は役務商標の場合には重要な要素であり,該「KYOTO」の文字は,「京料理」「京菓子」「京漬物」「京野菜」等の語にもみられるように「京都」(またはその欧文字表記である「KYOTO」)という語が飲食料品及び飲食の業界において,その文化や気候などを背景とした独自性を有するブランドを確立していることは広く知られるところである。したがって,「KYOTO」という語が含まれていることにも注目して取引にあたることも考えられるから,「KISSHOAN」と「KYOTO」の語に軽重の差はなく,一体不可分の商標であるとみるのが相当である旨主張する。
しかしながら,本願商標中の「KYOTO」の文字は,「京都」を示す地名を欧文字で表したものであって,本願商標の指定役務との関係においては,役務の提供場所を表したものと普通に理解,認識されるものであり,また,「KISSHOAN」の文字部分が自他役務識別の際の要部となり,取引者,需要者に対し,強く支配的な印象を与えるものであって,該文字部分に相応して「キッショーアン」の称呼を生じ,本願商標の指定役務との関係において,上述したように,店舗の名称の意味合いを想起させるものであることは,前記(3)イのとおりである。
よって,この点についての請求人の主張は,採用することができない。
(5)まとめ
以上によれば,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,妥当であって,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
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