Trademark Appeal Case
訪問歯科ステーションの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−24397(T2014−24397/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「訪問歯科ステーション」の文字を標準文字で表してなり、第44類「医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,介護,歯科医業に関する相談・助言・指導及び情報の提供,医療に関する相談・助言・指導及び情報の提供,調剤に関する相談・助言・指導及び情報の提供,介護に関する相談・助言・指導及び情報の提供」を指定役務として、平成25年10月9日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『訪問歯科ステーション』の文字を標準文字で書してなるところ、その構成中の『訪問歯科』の文字は、新聞記事情報及びインターネット情報によれば、近年、高齢化社会や介護保険法の施行に伴い、在宅診療に注目を浴びているところであり、歯科医業においても、訪問歯科診療に取り組んでいる歯科医が増加している実情が確認されるものである。また、『ステーション』の文字は、『(ある仕事を行う)場所。サービス−ステーションなど』の意味を有する語として一般にも親しまれているものであるところ、インターネット情報によれば、医療を取り扱う業界において、例えば、『訪問看護ステーション』が、『看護師等が生活の場へ訪問し、看護ケアを提供し、自立への援助を促し、療養生活を支援するところ』を表す語として使用されているほか、『○○(役務の内容)ステーション』の語が普通に使用されていることが窺い知ることができる。そうとすれば、本願商標からは、『訪問歯科診療を引き受ける所(拠点)』又は『訪問歯科診療を提供する所』ほどの意味合いを容易に認識させるものである。そうとすると、これを本願の指定役務中、例えば「訪問歯科に関する医療情報の提供,訪問歯科医業,訪問歯科医業に関する相談・助言・指導及び情報の提供,訪問歯科医療に関する相談・助言・指導及び情報の提供」など、訪問歯科に関する役務に使用するときには、単に役務の質(内容)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成27年4月21日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨
(1)本願商標の構成中「訪問歯科」の文字は、辞書、辞典等に記載がなく、辞典、辞書等に記載がある「訪問介護」及び「訪問看護」の語に比較して、親しみの薄い語であるということがいえ、また、「ステーション」の文字が、「業務や作業を受け持つ施設。」を意味する文字として知られているものであるとしても、ステーションの外来語は、曖昧模糊とした意味合いの語でもあり、ウェブサイト名、組織の一部門名、事業所名等に用いられていることにも留意すべきである。
本願商標は、いまだ漠然とした意味合いを想起させるにとどまるものであり、これをもって直ちに商品の品質、用途又は使用の時期を具体的かつ直接的に表したものと理解、認識させるとまではいい難いものである。
(2)別掲の証拠調べの結果として示されたインターネット情報(以下「インターネット情報」という。)は、どれも具体的な意味合いを示す記載も示唆もないことから、原審説示の内容を裏付ける証拠資料足り得ないものである。
(3)出願人側において調査するも、本願商標が、その指定役務を取り扱う業界において、役務の質及び内容等を表示するものとして、取引上、普通に採択、使用されている事実を発見できなかった。
してみれば、本願商標は、これをその指定役務について使用しても、自他役務の識別標識としての機能を十分に果たし得るものであり、かつ、役務の質について誤認を生ずるおそれもないというべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「訪問歯科ステーション」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「訪問」の文字は、「人をたずねること。」の意味を有する語であり、「歯科」の文字は、「医学の一分科。歯およびその支持組織の治療・矯正・加工などを扱う。」の意味を有する語であり、「ステーション」の文字は、「ある仕事を引き受ける拠点。」(いずれも、株式会社岩波書店発行 広辞苑第六版)の意味を有する語であって、3語は、ともに一般に親しまれ、よく知られている語であるから、全体として、「(対象者の居宅に)訪問して行う歯科治療を引き受ける拠点」程の意味合いを容易に看取されるというのが相当である。
そして、「訪問歯科ステーション」の文字が、本願の指定役務の分野において、「患者の自宅等に訪問して、歯科治療を行う」役務について、使用されている事実が、別掲のインターネット情報から窺い知ることができる。
そうとすれば、「訪問歯科ステーション」の文字からなる本願商標を、その指定役務中、「訪問歯科に関する医療情報の提供,訪問歯科医業,訪問歯科医業に関する相談・助言・指導及び情報の提供,訪問歯科医療に関する相談・助言・指導及び情報の提供」に使用しても、その役務の質、提供の方法を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、本願商標をその指定役務中、上記以外の役務に使用するときは、その役務が「歯科医業」等であるかのように、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標の構成中、「訪問歯科」及び「ステーション」の文字は、親しみの薄い語であり、曖昧模糊とした語であるから、本願商標からは、漠然とした意味合いを想起させるに過ぎない旨主張する。
しかしながら、本願商標が、本願の指定役務を取り扱う業界において、使用されている事実は、別掲のインターネット情報から窺えるものであり、さらに、「訪問看護ステーション」の語が、「訪問して看護をおこなう拠点」の意味の語として、一般に使用されていることも併せ考慮すれば、本願商標が、「訪問して歯科治療をおこなう拠点」の意味として容易に認識されるというべきである。
イ 請求人は、別掲のインターネット情報は、どれも具体的な意味合いを示す記載も示唆もないことから、原審説示の内容を裏付ける証拠資料足り得ないものである。また、出願人側において調査するも、本願商標が、その指定役務を取り扱う業界において、役務の質及び内容等を表示するものとして、取引上、普通に採択、使用されている事実を発見できなかった旨、主張する。
商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、平成12年(行ケ)第76号(「負圧燃焼焼却炉」判決)において、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」旨判示されている。
そして、例え、「訪問歯科ステーション」の意味合いを具体的に記載した情報がないとしても、別掲のインターネット情報によれば、実際に「訪問歯科ステーション」の文字が、訪問して歯科診療を行う者によって使用されている実情であり、これを、本願指定役務中「訪問歯科に関する医療情報の提供,訪問歯科医業,訪問歯科医業に関する相談・助言・指導及び情報の提供,訪問歯科医療に関する相談・助言・指導及び情報の提供」について使用する場合、「訪問して歯科治療をおこなう拠点」であることを表すものと理解、認識させること、上記(1)で認定、判断したとおりである。
よって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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