結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2014−300130(T2014−300130/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第5163531号商標(以下「本件商標」という。)は、「moda sara」の欧文字を標準文字で表してなり、平成20年2月13日に登録出願、第25類「履物,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴,靴下,靴下止め」を指定商品として、同年8月29日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
本件商標は、その指定商品中「運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。)並びに靴下」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
(1)平成26年4月30日及び同年5年15日提出の答弁書で、被請求人は、「本件登録商標が被請求人によって、第25類「運動用特殊靴」について、本件審判請求の予告登録の日(平成26年3月12日)より前3年以内に使用している」との事実を主張し、係る事実を立証するために、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
しかしながら、以下に述べるように、被請求人によって提出された上記乙各号証によっては、上記主張事実は立証されていないから、本件商標登録は、審判請求に係る商品について、取り消されるべきである。
(2)乙各号証の検討
ア 乙第1号証及び乙第2号証
標記各証拠は、商品カタログの写しであるが、両証拠とも、2007年発行ものであるから、上記「前3年以内の使用」を証明していないし、また、各証拠に示される商品は、カジュアルの靴類(「履物」)であり、「運動用特殊靴」でないから、上記主張事実を証明していない。
イ 乙第3号証ないし乙第5号証
標記乙第3号証と乙第4号証の証拠は、平成23年12月(17日)付の商品仕様確認書の表面(乙3)と裏面(乙4)の写しであり、また、乙第5号証は、被請求人の商品の写真の写しである。
標記各証拠は、主張事実中、以下のことを証明していない。
(ア)「本件登録商標(本件商標)を、運動用特殊靴に使用している」事実が立証されていない。
すなわち、標記各証拠に示されるシューズは「運動用特殊靴」とはいえない。
まず、被請求人が答弁書でいう「バレエシューズ」は、商品(類似)群としては、22A01の靴類(履物)に分類されるものである(甲2)。
さらに、標記各証拠の示されるシューズが、上記「バレエシューズ」であることさえも認められない。被請求人は、答弁書で、「標記各証拠に示される商品(シューズ)は、その性格から、『バレエシューズ』として製造・販売されたものである。」と述べるが、そのような事実は、以下に述べる理由から、標記各証拠からは認識できない。
A 乙第3号証及び乙第4号証の書類の中では、商品名が「ポケッタブルシューズ」と書かれていて、「バレエシューズ」とは、書かれていない。
B 乙第3号証の「掲載履歴(文字不明瞭)」の項目には、その中の「F小物」の記載から、当該商品、シューズが、「ファッション小物」として商品カタログに掲載されるものであることが容易に推測される(乙2)ので、当該シューズは、ポケッタブルで附属巾着袋にいれて携帯可能なカジュアルの上履き類(「運動用特殊靴」ではなく)として売買されていると考えられる。
したがって、被請求人が、答弁書で述べている「柔らかい素材でできていること」、「小さく畳める」、「巾着袋に入れて持ち運び可能」等の特色は、「バレエシューズ」であることを決定するものではない。また、当該商品のシューズで柔らかいのは、中敷きであって、靴底ではない(甲4)。このように靴底が柔らかくなく、また、踵(1cm)もあるシューズが、バレエ用に適しているのか疑問である。
C インターネットで取得した資料(甲3、甲4)によれば、被請求人の当該シューズは、「バレエシューズ」として売買されていない(いなかった)。このことは、上記資料(甲3)の中に表示された、「幅広いコーデ(ネイト)に取り入れやすい、シンプルデザイン」、「授業参観のときや、非常用にも!」、「折り畳むこともでき、旅行などにも便利です!」等の文言からも明らかである。なお、上記資料掲載のシューズと乙第3号証ないし乙第5号証でのシューズが同じものであることは、それらの掲載内容から、ほぼ間違いないと考えられる。
(イ)さらに言及すれば、乙第3号証及び乙第4号証は、あくまでも、仕様「確認書」であるので、この確認書どおりに、商品が販売されかどうかは、不明である。同様に、乙第5号証の写真の存在が、その商品が実際に販売されたかを証明することにはならない。
(3)以上述べたとおり、被請求人による、本件商標の使用に関する主張事実は証明されていないから、本件審判請求は認容されるべきである。
請求人は、「本件審理を書面審理で進めて欲しい」旨上申した。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を以下のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
なお、答弁書に添付した証拠には、いずれも甲各号証との表示がされているが、これらは、乙各号証と表示があったものとして取り扱うこととする。
被請求人は、婦人靴を中心として、幅広く履物の製造・販売を行う株式会社であるが、遅くとも平成19年(2007年)頃までには本件商標と同一の「moda sara」の文字よりなる商標の使用を開始しており(乙1)、平成20年に本件商標の出願・登録に至っている。
以来、被請求人は、平成25年に至るまで本件商標を付した婦人靴を継続して製造・販売しており(乙2)、本件審判との関係でいえば、本件商標を付したバレエシューズである「トウシューズ」を製造・販売していた事実がある。
この「トウシューズ」は、爪先の先端にプラットフォームと呼ばれる平たく造った部分があり、これによってバレエを行うときに爪先で立つことができるものである。
したがって、「トウシューズ」は、第25類「運動用特殊靴」に相当する商品である。
この「トウシューズ」の企画・製造・販売に関する資料は、現在取引会社より収集中であり、それらが揃い次第、書証として提出する。
(1)答弁の理由の要点
平成26年4月30日付け「答弁書」において被請求人がした答弁に追加して、本件登録商標が被請求人によって第25類「運動用特殊靴」について、本件審判請求の予告登録の日(平成26年3月12日)より前3年以内に使用している事実を改めて主張・立証する。
(2)答弁の理由の詳細
被請求人は、平成23年(2011年)12月に本件商標を使用したバレエシューズ(以下「被請求人商品」という。)の販売を企図し、平成23年12月(おそらく「17日」と思われるが、被請求人会社に保管されている複写資料では、日付部分がやや不鮮明である)に商品仕様確認書を作成している(乙3、乙4)。
当該商品仕様確認書の表面(乙3)の中央上やや左寄りの欄には、「カタログ名」、「年」、「季節」、「掲載頁」などの項目があり、それぞれ、「F小物」、「12」、「春(1)」、「9」のような記載が確認できる。
上記の記載によれば、被請求人商品を2012年(平成24年)の春物のカタログに掲載すべく、平成23年(2011年)12月に商品仕様確認書を作成したことを確認することができる。
そして、実際に被請求人の注文により中国で製造された被請求人商品が写真(乙4)のとおりの物である。
それによれば、被請求人商品の中敷き及び付属の巾着袋に本件商標と社会通念上同一の商標が付されている事実が確認できる。そして、被請求人商品は、靴底が柔らかい素材でできているため、かかと部分を爪先部分に丸めて押し入れることにより小さく畳むことが可能であることがわかる。
被請求人は、被請求人商品を「ポケッタブルシューズ」と呼んでおり、これは、ポケットにすら入れられるくらいに小さく畳めるという意味である。
このように、靴底が極端に柔らかい素材で作られている被請求人商品は、明らかに下足としては不向きであって、バレエシューズとして製造・販売されたものである(本件商標が付された持ち運び用の巾着袋が付属していることからも、被請求人商品が常に使用する通常の靴ではなく、普段は巾着袋に収納して持ち運び、バレエレッスン等の必要に応じて履き替えて用いるものであることが明らかである)。
以上のように、被請求人商品は、普段の歩行に使用する靴(下足履き)ではなく、バレエではこのような全体が柔らかい素材で構成されたフラットシューズ(ヒール高さが無い極端に低いもの)をバレエシューズとして用いるものであるから、被請求人商品は、第25類「運動用特殊靴」に相当する商品である。
したがって、本件商標は、商標権者(被請求人)によって、本件審判請求の予告登録の日より前3年以内に、その指定商品「運動用特殊靴」について使用していることは明らかである。
(3)結び
以上のとおり、少なくとも、本件商標の商標権者が、本件商標を付したバレエシューズを本件要証期間内の平成23年12月から平成24年にかけて企画・製造・販売していた事実がある。
したがって、本件商標はその商標権者によって、本件審判請求の予告登録の日より前3年以内に、指定商品「運動用特殊靴」に使用されていたことが明らかであり、本件商標は商標法第50条第2項の規定に該当するものではない。
被請求人は、「本件審理については、これ以上意見、反論の要を認めないので、書面審理に付して欲しい」旨上申した。
被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に日本国内において、商品「バレエシューズ」について本件商標を使用していると主張している。
しかしながら、乙各号証に示された商品が、本件審判の取消請求に係る商品「運動用特殊靴」であるというためには、その商品の主たる用途が特定の運動用であることを要すると解されるが、提出された全証拠及び主張によれば、乙各号証に示された商品は、特定の運動用ではない「履物」の範ちゅうに属する商品であると認められ、「運動用特殊靴」の範ちゅうに属する商品と認めることはできない。
したがって、被請求人提出に係る証拠によっては、被請求人が本件商標の使用の事実を証明したものとは認められず、商標法第50条第2項本文の要件を充足するとはいえない。
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていたことを証明し得なかったのみならず、使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。)並びに靴下」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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