Trademark Appeal Case
「ヤーコン」称呼類似性・識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2014−900317(T2014−900317/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5694685号商標(以下「本件商標」という。)は、「ヤーコンパワーEX」の文字を標準文字により表してなり、平成26年1月17日に登録出願、以下のとおりの商品を指定商品として同年7月28日に登録査定、同年8月15日に設定登録されたものである。
〈本件商標の指定商品〉
第5類「ヤーコンを主原料とする薬剤(農薬に当たるものを除く。),ヤーコンを主原料とする医薬用化学剤,ヤーコンを主原料とする医療用食品添加剤,ヤーコンを主原料とする医療用栄養添加剤,ヤーコンを主原料とする栄養補給剤,ヤーコンを主原料とする栄養補給用ドリンク剤,ヤーコンを主原料とする栄養補強剤,ヤーコンを主原料とする化学的製剤,ヤーコンを主原料とする滋養強壮変質剤,ヤーコンを主原料とする食餌療法用の食品調製剤,ヤーコンを主原料とする食品強化剤,ヤーコンを主原料とする動物用薬剤,ヤーコンを主原料とするアミノ酸剤,ヤーコンを主原料とするカルシウム剤,ヤーコンを主原料とするビタミン剤,ヤーコンを主原料とする乳幼児用粉乳,ヤーコンを主原料とするサプリメント,植物・植物エキス又は植物発酵エキスを主原料とし、ヤーコンを含有するするサプリメント,動物エキスを主原料とし、ヤーコンを含有するサプリメント,茶を主原料とし、ヤーコンを含有するサプリメント,青汁を主原料とし、ヤーコンを含有する粉末状・粒状・顆粒状・液状・ペースト状・クリーム状・タブレット状・カプセル状・カプレット状・ソフトカプセル状・錠剤状・棒状・板状・ブロック状・丸薬状・固形状・ゲル状・ゼリー状・グミ状・ウエハース状・ビスケット状・飴状・チュアブル状・シロップ状・スティック状の加工食品,植物・植物エキス又は植物発酵エキスを主原料とし、ヤーコンを含有する粉末状・粒状・顆粒状・液状・ペースト状・クリーム状・タブレット状・カプセル状・カプレット状・ソフトカプセル状・錠剤状・棒状・板状・ブロック状・丸薬状・固形状・ゲル状・ゼリー状・グミ状・ウエハース状・ビスケット状・飴状・チュアブル状・シロップ状・スティック状の加工食品,動物エキスを主原料とし、ヤーコンを含有する粉末状・粒状・顆粒状・液状・ペースト状・クリーム状・タブレット状・カプセル状・カプレット状・ソフトカプセル状・錠剤状・棒状・板状・ブロック状・丸薬状・固形状・ゲル状・ゼリー状・グミ状・ウエハース状・ビスケット状・飴状・チュアブル状・シロップ状・スティック状の加工食品,茶を主原料とし、ヤーコンを含有する粉末状・粒状・顆粒状・液状・ペースト状・クリーム状・タブレット状・カプセル状・カプレット状・ソフトカプセル状・錠剤状・棒状・板状・ブロック状・丸薬状・固形状・ゲル状・ゼリー状・グミ状・ウエハース状・ビスケット状・飴状・チュアブル状・シロップ状・スティック状の加工食品,ヤーコンを主原料とする栄養補助食品,ヤーコンを主原料とする食餌療法用飲料,ヤーコンを主原料とする食餌療法用食品,ヤーコンを主原料とする乳幼児用飲料,ヤーコンを主原料とする乳幼児用食品,ヤーコンを主原料とする栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」
第30類「ヤーコンを主原料とする茶,ヤーコンを含有するウーロン茶,ヤーコンを含有する紅茶,ヤーコンを含有する昆布茶,ヤーコンを含有する麦茶,ヤーコンを含有する緑茶,ヤーコンを含有する果実茶,ヤーコンを含有する穀物茶,ヤーコンを含有する煎茶,ヤーコンを含有するハーブティー,ヤーコンを含有する番茶,ヤーコンを含有するブレンド茶,ヤーコンを含有するほうじ茶,ヤーコンを含有する薬草茶,ヤーコンを含有する茶飲料,ヤーコンを含有する茶エキス,ヤーコンを含有するアイスティー,ヤーコンを含有する即席茶,ヤーコンを含有するティーバッグ入りの茶,ヤーコンを含有する濃縮茶,ヤーコンを含有する粉末茶,ヤーコンを主原料とし、植物・植物エキス又は植物発酵エキスを含有する茶,ヤーコンを含有する茶の浸出液(医療用のものを除く。)」
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下のとおりである。
(1)申立人が商標法第4条第1項第11号の理由において引用する登録第4124658号商標(以下「引用商標」という。)は、「谷阿坤」の文字を書してなり、平成8年1月29日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),食用粉類,穀物の加工品,菓子及びパン」を指定商品として、同10年3月13日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)申立人が商標法第4条第1項第10号及び同項第15号の理由において引用する商標(以下「申立人商標」という。)は、「ヤーコンスーパー」の文字を書してなり、申立人が「ヤーコン茶」に使用している商標である。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標について、商標法第3条第1項第3号又は同項第6号に該当し、仮に、自他商品の識別機能が認められたとしても、同法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するから、その登録は同法43条の2第1号により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のとおり述べ、その証拠方法として甲第1号証ないし甲第130号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号及び同項第6号について
本件商標は、「ヤーコンパワーEX」を標準文字で表してなるところ、一見して、「ヤーコン」、「パワー」及び「EX」の3つの語で構成されてなることを容易に理解、認識できるものである。
このうち、「ヤーコン」の語は、「アンデス地域に特産するキク科の多年草。キクイモに近縁で、ダリアに似た根茎にイヌリンを含み、食用。日本でも栽培」(広辞苑第六版)の意を有する語である。ヤーコンは、その塊根は貯蔵栄養素としてデンプンではなくフラクトオリゴ糖を大量に蓄積しており、収穫後1ないし2か月の保存によって分解してオリゴ糖となり、甘みが生じる。生食もされ、また、炒める、煮る、揚げるなどの加熱調理もされる。食用としての伝統が日本では浅いため、食材そのものとしてよりも、豊富に含まれるフラクトオリゴ糖が乳酸菌の増殖に寄与する、プロバイオティクスの整腸作用により、健康に対する効果が注目され、一種の機能性食品と扱われる傾向が強」く(甲第3号証)、いわゆる健康食品の原料の一つとして用いられることは少なくなく、数多くのヤーコンを原料とする健康食品が製造販売されている。ヤーコンの葉は、「プロトカテク酸、クロロゲン酸、コーヒー酸、フェルリン酸などを含み、プロバイオティクスに役立つと考えられ、煎じて一種のハーブティーとして利用され」(甲第3号証)、数多くのヤーコンを原料とする茶製品が製造販売されている。さらに、ヤーコンの葉の成分であるジカフェオイルキナ酸やトリカフェオイルアルトラル酸などに、α−グルコシダーゼ阻害活性が見出され、糖尿病や痛風の食餌療法にも用いられている(甲第12号証ないし甲第14号証)。このように、「ヤーコン」は、健康食品や、健康茶を始めとする茶の原料として、一般的に用いられている。
次に、「パワー」の語は、「力。勢力。権力」等(広辞苑第六版)の意を有する平易かつ一般的な語であり、健康食品等の人の健康の維持・増進に効果がある飲食料品について、その効用・効能が極めて有効であることを伝える目的で、「・・・パワー」のように接尾辞として用いられた場合、「・・・の力(効能)」程度の意味合いを生じさせ、健康の維持、増進に摂取される飲食料品の分野では、商品の効能を強調するために用いられている。
これらを勘案すれば、本件商標中、「ヤーコンパワー」の部分は、単に本件商標に用いられる原材料「ヤーコン」の「パワー」(効能)を普通に用いられる方法で表示しているにすぎず、当該部分が自他商品識別標識として機能するということはできない。
さらに、本件商標は、「ヤーコンパワー」の語のみからなるものではないが、「EX」の文字についても、自他商品識別機能は認められない。一般に、「EX」等のローマ字の2文字は、それ自体は簡単な構成の標章であり、取引上も商品の記号・符号等として一般に採択、使用されており、指定商品の分野では、その名称に「EX」の文字が加えられることが頻繁に行われている。また、「EX」の語は、様々な商品分野において、「extra」の語の略語として使用されているところ、「extra」の語の意味合いより、需要者等は、通常の製品よりも「容量が多い」、「有効成分が多く含まれている」、「品質が高い」といった商品の特性(内容)に思い至ることは想像に難くない。
以上よりすれば、本件商標は、その構成全体が単に指定商品の内容を記述的に表す語から構成され、又は、記述的表示である「ヤーコンパワー」と、極めて簡単かつありふれた標章である「EX」の文字を組み合わせてなるものであり、いずれにしても、何人かの業務に係る商品であると認識することはできないと考えるのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は第6号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号について
仮に、本件商標に自他商品の識別機能が認められるとするならば、それは、「ヤーコン」の語が、本件商標の指定商品の分野において、一般的かつ記述的な語として通用していないと認識される場合であり、その場合には、本件商標は、引用商標と類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
本件商標の構成中の「パワー」の語は、「力。勢力。権力」等(広辞苑第六版)の意を有し、一般的かつ頻繁に日常生活で使用される語であるから、その自他商品の識別機能は弱いものと考えるのが相当であり、また、「EX」の語は、ローマ字2字からなり、それ自体が簡単な構成の標章であり、取引上も商品の記号、符号等として一般に採択、使用され、その自他商品の識別機能は弱いと考えるのが相当である。仮に、本件商標に自他商品の識別機能が認められるとすれば、それは、一般的に用いられ親しまれている「パワー」の語や、商品の規格等を表す記号・符号等として認識される「EX」ではなく、「ヤーコン」の語が一般的に通用する語ではないと判断され、識別力が認められた場合と考えるのが自然である。そうすると、「ヤーコン」が本件商標の要部となるから、本件商標は、その構成全体から「ヤーコンパワーイーエックス」という称呼が生ずる他に、単独でも自他商品識別機能を発揮し得る「ヤーコン」の称呼が生ずると考えるのが相当である。
他方、引用商標の「谷阿坤」は、自然に「ヤアコン」ないし「ヤーコン」と称呼されると考えるのが相当である。
そして、本件商標と引用商標から生ずる称呼を比較すると、本件商標からは「ヤーコン」との称呼が、引用商標からは「ヤーコン」又は「ヤアコン」との称呼が生ずるから、本件商標と引用商標とは、同一の称呼を生じさせるものである。
よって、本件商標と引用商標とは、称呼が同一であり、互いに類似する商標であると考えるのが相当である。
さらに、本件商標の指定商品中、第30類「ヤーコンを主原料とする茶,ヤーコンを含有するウーロン茶,ヤーコンを含有する紅茶,ヤーコンを含有する昆布茶,ヤーコンを含有する麦茶,ヤーコンを含有する緑茶,ヤーコンを含有する果実茶,ヤーコンを含有する穀物茶,ヤーコンを含有する煎茶,ヤーコンを含有するハーブティー,ヤーコンを含有する番茶,ヤーコンを含有するブレンド茶,ヤーコンを含有するほうじ茶,ヤーコンを含有する薬草茶,ヤーコンを含有する茶飲料,ヤーコンを含有する茶エキス,ヤーコンを含有するアイスティー,ヤーコンを含有する即席茶,ヤーコンを含有するティーバッグ入りの茶,ヤーコンを含有する濃縮茶,ヤーコンを含有する粉末茶,ヤーコンを主原料とし、植物・植物エキス又は植物発酵エキスを含有する茶,ヤーコンを含有する茶の浸出液(医療用のものを除く。)」と、引用商標の指定商品「茶」とは、互いに類似する。
以上より、本件商標について自他商品の識別機能が認められるのであれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について
申立人は、ヤーコンの効能に着目し、ヤーコン茶、ヤーコン桑茶等の研究・開発に注力し、2000年2月から今日に至るまで、「谷阿坤桑」の商標及び申立人商標を冠した茶(以下「申立人製品」という。)を製造、販売し(甲第5号証)、 2000年以降、該商品の純売上は、総額約1,349,440,000円(売上個数601,921個)に上り(甲第98号証)、各年度では、2010年度が7,914万円(甲第99号証)、2011年度が7,272万円(甲第100号証)、2012年度が5,970万円(甲第101号証)、2013年度が5,265万円(甲第102号証)となっている。
当該製品に係る宣伝広告については、発売開始以来、申立人の顧客である湘南薬品の各店舗にて、各店舗の要請に応じて、ダイレクトメール、店頭ポスター、手配り用チラシ、POP等の企画、制作、提供を行っている(甲第103号証ないし甲第106号証)ほか、各店舗において、申立人製品の試飲会、商品引換クーポンの提供等による販売促進施策を行っている。また、申立人は、販促施策として、2000年2月以降「谷阿坤桑(ヤーコンスーパー)ポイントカード」を累計850,000部発行し、該製品の販売店舗において、各種販促品(三角柱POP、ポスター)を提供している。
加えて、申立人は、申立人製品が取り扱われている薬局等の店頭で配布される「月刊みすみ」において、申立人製品の広告を掲載し(甲第107号証ないし甲第110号証)、さらに、2001年以降、申立人が隔月で発行する「全薬ジャーナル」においても該製品の広告を掲載し(甲第111号証ないし甲第130号証)、継続的に宣伝広告活動を行っている。
この結果、申立人製品は高い市場占有率を誇り、該製品は、当該分野における需要者の間で極めて広く知られるに至っている。
そして、本件商標について、仮に、自他商品の識別機能が認められるならば、「ヤーコン」の部分が要部であることは、既に述べたとおりであり、他方、申立人商標は、「ヤーコンスーパー」からなるものであり、「スーパー」の語意を勘案すると、「ヤーコンスーパー」の称呼のほか、「ヤーコン」とも称呼されるから、本件商標と申立人商標とは、類似すると考えるのが相当である。
また、申立人の製造・販売に係る申立人製品は、「ヤーコン茶」であり、本件商標の指定商品中、第30類「ヤーコンを主原料とする茶,ヤーコンを含有するウーロン茶,ヤーコンを含有する紅茶,ヤーコンを含有する昆布茶,ヤーコンを含有する麦茶,ヤーコンを含有する緑茶,ヤーコンを含有する果実茶,ヤーコンを含有する穀物茶,ヤーコンを含有する煎茶,ヤーコンを含有するハーブティー,ヤーコンを含有する番茶,ヤーコンを含有するブレンド茶,ヤーコンを含有するほうじ茶,ヤーコンを含有する薬草茶,ヤーコンを含有する茶飲料,ヤーコンを含有する茶エキス,ヤーコンを含有するアイスティー,ヤーコンを含有する即席茶,ヤーコンを含有するティーバッグ入りの茶,ヤーコンを含有する濃縮茶,ヤーコンを含有する粉末茶,ヤーコンを主原料とし、植物・植物エキス又は植物発酵エキスを含有する茶,ヤーコンを含有する茶の浸出液(医療用のものを除く。)」と類似する。
よって、本件商標について、自他商品の識別機能が認められるならば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
さらに、申立人商標が使用されている「ヤーコン茶」は、健康の維持・増進を目的とする健康補助食品として用いられるものであるから、その用途、効用(効能)は、本件商標の指定商品中、第5類の商品と共通であり、また、その販売場所や、需要者層も共通すると考えられる。このため、「ヤーコンスーパー」と類似する本件商標を、本件指定商品中、第5類の商品について使用した場合、需要者が、申立人の業務に係る商品であると誤認し、その出所について混同するおそれがあるといわざるを得ない。
以上より、本件商標について自他商品の識別機能が認められるならば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同項第6号の該当性について
本件商標は、上記1のとおり、「ヤーコンパワーEX」の文字からなるところ、外観上、「ヤーコンパワー」の片仮名と「EX」の欧文字によって構成されるものであることが容易に把握、認識されるものといえる。
そして、本件商標の構成中の「ヤーコン」の語が「アンデス地域に特産するキク科の多年草」で食用や健康食品等の原料にも使用されている植物の意味合い、「パワー」の語が「力、勢力」の意味合いを、それぞれの語のみでは有しているとしても、本件商標においては、その構成中の「ヤーコンパワー」の片仮名部分は、外観上、同書、同大、同間隔をもってまとまりよく一連に表示されているものであり、その「ヤーコンパワー」の称呼も簡潔であって、一気に称呼し得るものである。
また、申立人は、「パワー」の文字について、「○○パワー」として商品の効用や効能を表示するために使用されているとして甲各号証を提出しているが、それら甲各号証の中に、「ヤーコンパワー」の文字が示されているわけではない。
さらに、職権をもって調査するも、その指定商品の分野において、商品の品質、効能を表すために「ヤーコンパワー」の文字が普通に使用されている事情を見いだすこともできなかった。
そうすると、本件商標は、これらの点を勘案するならば、かかる態様の下では、「ヤーコンパワー」の片仮名は一体不可分の一種の造語として把握、認識されるものであり、この文字に「EX」の欧文字を結合させた全体としても、結局、一種の造語として把握、認識されるといえるから、自他商品の識別標識として機能し得ないとまではいうことができないとみるが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当するということはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について
引用商標は、上記2(1)のとおり、「谷阿坤」の文字を書してなり、その構成文字に相応して「ヤアコン」の称呼が生じ、特定の観念を生じない一種の造語といえるものである。
他方、本件商標は、上記1のとおり、「ヤーコンパワーEX」の文字からなるところ、外観上、「ヤーコンパワー」の片仮名と「EX」の欧文字によって構成されるものと容易に把握、認識されるものである。そして、その片仮名部分については、外観上、同書、同大、同間隔をもってまとまりよく一連に表示されており、該文字部分より生じる「ヤーコンパワー」の称呼も簡潔であって、一気に称呼し得るものである。
しかも、本件商標の指定商品は、上記1のとおり、いずれもヤーコンを主原料とする商品であるところ、本件商標の片仮名部分のうち、「ヤーコン」の文字部分は、その語のみでは商品の主原料の名称であるから、看者が「ヤーコン」の文字部分に注目し、「ヤーコン」の称呼をもって、商品の出所を識別するとは考え難いといわざるを得ないものである。
そうすると、本件商標は、その指定商品の取引者、需要者をして、その構成文字全体をもって取引に資されるか、または、片仮名部分をもって取引に資されるとみるのが相当であり、それぞれの文字に相応して「ヤーコンパワーイーエックス」又は「ヤーコンパワー」の称呼のみが生ずるものであるから、本件商標の要部が「ヤーコン」の文字にあって、該文字部分に相応して「ヤーコン」の称呼を生ずることを前提に、本件商標と引用商標とを類似するとした申立人の主張は、失当といわざるを得ず、採用することができない。
その他、本件商標と引用商標とを類似するとしなければならない理由も見いだすことはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号の該当性について
ア 申立人商標の周知性
申立人は、申立人製品が市場で高い占有率を誇り、需要者の間で広く知られるに至っている旨主張しているので、まず、申立人商標の周知性について検討するに、申立人は、該製品の売上高を示してはいるが、それが市場においていかなるシェアを有しているのかは明らかにしていない。しかも、その宣伝広告は、顧客の店舗の要請に応じての、ダイレクトメール、店頭ポスター、手配り用チラシ、POP等のほか、各店舗における試飲会、商品引換クーポンの提供、ポイントカードの発行、薬局等の店頭で配布される月刊の冊子における広告の配布等であって、新聞、雑誌、テレビ等のマスメディアを利用したものではないことを踏まえると、その効果も、展示や頒布を行った店舗周辺の需要者など、限定的にならざるを得ないものといえる。
そうすると、申立人商標は、甲各号証をもってしても、「ヤーコン茶」等の製品に使用されていることは認められるものの、需要者の間において広く認識されているとまではいうことができない。
イ 本件商標と申立人商標の対比
本件商標は、上記(2)のとおり、その商品の取引者、需要者をして、その構成文字全体をもって取引に資されるか、または、片仮名部分をもって取引に資されるとみるのが相当であり、それぞれの文字に相応して「ヤーコンパワーイーエックス」又は「ヤーコンパワー」の称呼のみが生ずるものである。
他方、申立人商標は、上記2(2)のとおり、「ヤーコンスーパー」の文字からなり、申立人がヤーコンを原料にしている茶である「ヤーコン茶」に使用している商標である。そして、申立人は、申立人商標について、「スーパー」の語意を勘案すると、「ヤーコン」の称呼が生ずると主張している。
しかし、申立人商標は、その構成中の「ヤーコン」の文字部分が、それのみでは商品の主原料の名称であって、看者が注目し、「ヤーコン」の称呼をもって、商品の出所を識別するとは考え難いといわざるを得ないから、商品の出所を識別する観点からは、その構成文字全体をもって、取引に資されるとみるのが相当であり、その構成文字に相応して「ヤーコンスーパー」の称呼のみが生ずるものといえる。
そうすると、本件商標の要部が「ヤーコン」の文字にあり、また、申立人商標の要部も「ヤーコン」の文字にあることを前提に、本件商標と申立人商標とを類似するとし、本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるとした申立人の主張は、たとえ、本件商標の指定商品と申立人商標が使用されている商品が密接な関係を有するものであるとしても、失当といわざるを得ず、採用することができない。
その他、本件商標と申立人商標とを類似するとしなければならない理由や、本件商標が申立人商標との関係で出所の混同を生ずるおそれがあるとしなければならない理由も見いだすことはできない。
ウ 小括
以上のとおり、申立人商標は、需要者の間において広く認識されているとまではいうことができないものであり、かつ、本件商標と申立人商標とは非類似であって、本件商標が申立人商標との関係で出所の混同を生ずるおそれがあるということもできないから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するということはできない。
(4)むすび
本件商標は、以上のとおり、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号並びに同法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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