Trademark Appeal Case
付加語の識別力と称呼類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2014−900343(T2014−900343/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5707211号商標(以下「本件商標」という。)は、「タフMAX」の文字を標準文字で表してなり、平成25年9月3日に登録出願、第5類「サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」を指定商品として、同26年8月27日登録査定、同26年10月3日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において引用する登録第5372702号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲に示すとおり「タフ」の片仮名と「TOUGH」の欧文字を上下二段に書してなり、平成22年4月13日に登録出願、第29類「肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,ビタミン類を主材料とする粒状・粉状・顆粒状・カプセル状・スティック状・液状・クリーム状・ペースト状・錠剤とした加工食品,コンドロイチン硫酸を主材料とする粒状・粉状・顆粒状・カプセル状・スティック状・液状・クリーム状・ペースト状・錠剤とした加工食品,コラーゲンを主材料とする粒状・粉状・顆粒状・カプセル状・スティック状・液状・クリーム状・ペースト状・錠剤とした加工食品,ヒアルロン酸を主材料とする粒状・粉状・顆粒状・カプセル状・スティック状・液状・クリーム状・ペースト状・錠剤とした加工食品,ドロマイトを主材料とする粒状・粉状・顆粒状・カプセル状・スティック状・液状・クリーム状・ペースト状・錠剤とした加工食品,キランソウエキスを主材料とする粒状・粉状・顆粒状・カプセル状・スティック状・液状・クリーム状・ペースト状・錠剤とした加工食品,グルコサミンを主材料とする粒状・粉状・顆粒状・カプセル状・スティック状・液状・クリーム状・ペースト状・錠剤とした加工食品」を指定商品として、同年12月3日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標の比較
本件商標は片仮名と欧文字からなるため、視覚的に、「タフ」と「MAX」の2語を結合してなる商標と理解される。このうち「タフ」の部分は、英語の「tough」の表音と認められ(甲3)、「頑強なこと。粘り強く手強いこと。」の観念を生じ、指定商品との関係では品質等を意味する言葉ではないため、単独でも自他商品識別力を有する。
「MAX」については、英語の「maximum」の略と認められ(甲4)、「最大。最大限。」の観念を生じる。サプリメントではその配合成分の多寡が需要者の関心の対象であるところ、「最大。最大限。」を意味する「MAX」は、成分の配合量又はその種類が多いことを誇称する品質表示に相当するため、単独では自他商品識別力を有しない。
本件商標の構成中「MAX」は、特許庁の商標審査基準でいう、形容詞的文字に相当するので、本件商標はこれが付加されていない商標と類似する。
一方、引用商標の上段「タフ」は下段「TOUGH」の表音と理解されることから、引用商標から「タフ」の称呼を生じ「頑強なこと。粘り強く手強いこと。」の観念を生じる。
そうすると、本件商標は称呼と観念において引用商標と同一である。
また、本件商標の指定商品中「サプリメント」は引用商標の指定商品中「コンドロイチン硫酸を主材料とする粒状・粉状・穎粒状・カプセル状・スティック状・液状・クリーム状・ペースト状・錠剤とした加工食品」等と類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
引用商標を使用した商品「タフ」は、コンドロイチン硫酸を主材料とする錠剤のサプリメントの名称に使用されている(甲6)。この製品は通信販売のほか、接骨院で購入することができる(甲7〜甲10)。
商品「タフ」は一般社団法人日本健康食品・サプリメント情報センター(Jahfic)のハイクオリティー認証を2012年に取得した。
ハイクオリティー認証とは、各国が公式に採用している健康食品データベースである「ナチュラルメディシン・データベース(NMDB)」の内容や、日本で報告されている健康被害症例などに基づき、健康食品・サプリメント製品やその製品を構成する素材(原材料)の品質と安全性を、当法人が第三者認証し、登録する制度である(甲11)。
高品質であり、接骨院において使用を推奨されている商品「タフ」は本商品の需要者において高い顧客吸引力を有し、よく知られるに至った商品といえる。
ところで、本号にいう「混同のおそれ」には、商品そのものが紛らわしいことの他に、出所の主体が同一であるかのような誤認を生じさせる場合が含まれる。サプリメントにおいては、誇称としての「マックス」、「MAX」が多用されているため(甲12)、平均的な需要者がこの部分に特に注意を払うことはない。
そうすると、「タフMAX」の商標を付した商品に接した需要者は、これを引用商標を付したよく知られた商品「タフ」の関連商品であるか、出所を同じくする商品であるかのような誤認を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 当審の判断
1 引用商標の著名性について
(1)申立人は、引用商標が申立人の業務に係る商品「サプリメント」を表示するものとして、本件商標の登録出願前より需要者の間に広く認識され、著名である旨主張し、甲第6号証ないし甲第11号証を提出しているところ、それらの証拠及び職権調査によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人のウェブサイトにおいて、「タフ」の商標が表示された申立人の栄養補助食品「コンドロイチン硫酸800mg」(以下「使用商品」という場合がある。)が販売されている(甲6)。
イ 接骨院のウェブサイトにおいて、使用商品が販売されている(甲7〜甲10)。
ウ 一般社団法人日本健康食品・サプリメント情報センターのウェブサイトにおいて、ハイクォリティ認証製品の見出しで、申立人の子会社と認められる(職権調査)「ゼリアヘルスウエイ株式会社」の製品として使用商品が紹介されている(甲11)。
(2)以上によれば、申立人の製造・販売する栄養補助食品に「タフ」の商標が使用されていること(甲6)、使用商品が接骨院を通して販売されていること(甲7〜甲10)、使用商品が日本健康食品・サプリメント情報センターから「ハイクオリティー認証」を受けていること(甲11)を認めることができる。
しかしながら、使用商品の我が国における具体的な販売時期、販売数量、売上高等を裏付ける証拠の提出はない。
さらに、申立人が提出した証拠から「TOUGH」の欧文字からなる商標の使用は、一切見いだせない。
そうすると、申立人が提出した証拠のみをもってしては、引用商標が、申立人の業務に係る栄養補助食品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、「タフMAX」の文字を横書きしてなるところ、その構成各文字は、同書、同大、等間隔で外観上まとまりよく一連に表されているものである。
そして、本件商標の構成中、「タフ」の文字は、「頑強なこと。粘り強く手強いこと」の意味を有する「Tough」の表音であり、また、「MAX」の文字は、「マックス」の読みを生じ、「最大。最大限」の意味を有する英語「maximum」の略であって(以上「広辞苑第6版」)、我が国において、いずれも親しまれた外来語又は英語ではあるものの、本件商標全体からは特定の観念が生じるものではない。
また、本件商標全体から生じる「タフマックス」の称呼も無理なく一連に称呼できるものであるから、上記本件商標の構成及び称呼においては、殊更「タフ」の文字部分のみを分離抽出して認識されることはないというべきである。
なお、申立人は、本件商標の構成中の「MAX」の文字部分は、サプリメントの成分の配合量又はその種類が多いことを誇称する品質表示であるから、単独では自他商品識別力を有しないため、本件商標は単に「タフ」の称呼をも生じる旨主張し、誇称する品質表示として「マックス」、「MAX」の文字が多用されている例として甲第12号証を提出している。
しかしながら、甲第12号証において、サプリメントの商標中に「MAX」の文字を含むものがあることが認められるものの、該文字がサプリメントの品質表示として使用されていると認め得るものではないから、この点についての申立人の主張も採用できない。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲に示すとおり、「タフ」と「TOUGH」の文字からなり、その構成文字に相応して「タフ」の称呼を生じ、「頑強なこと。粘り強く手強いこと」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標から生じる「タフマックス」の称呼と引用商標から生じる「タフ」の称呼とを比較すると、両者は、その構成音及び音数において明らかな差異を有するから、両者をそれぞれ一連に称呼しても相紛れるおそれのないものである。
また、本件商標と引用商標とは、外観においては、それぞれの文字構成に明らかな差異を有するから相紛れるおそれのないものであり、さらに観念においては、本件商標からは「頑強なこと。粘り強く手強いこと」の観念を生じるのに対し、引用商標からは特定の観念を生じないものであるから、相紛れるおそれのないものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号について
上記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されている商標と認めることができない。
また、上記2のとおり、本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用しても、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標を想起又は連想することはなく、その商品が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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