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Trademark Appeal Case

要部抽出と造語の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900362(T2014−900362/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5705102号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5705102号商標(以下「本件商標」という。)は,「インカムビルダー」の片仮名を標準文字で表してなり,平成25年12月6日に登録出願,第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定着物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,信用購入あっせん,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引,外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券先渡取引・有価証券店頭指数等先渡取引・有価証券店頭オプション取引若しくは有価証券店頭指数等スワップ取引又はこれらの取引の媒介・取次ぎ若しくは代理,有価証券等清算取次ぎ,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,投資信託に関する情報の提供,投資信託に係る信託財産の運用指図,投資信託受益証券の発行又は販売,投資信託受益証券の募集又は売出し」を指定役務として,同26年9月4日に登録査定,同月26日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は,以下の1及び2のとおりであり,現に有効に存続しているものである。

1 登録第5553997号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:「GLOBAL INCOME BUILDER」(標準文字)

登録出願日:平成24年8月27日

設定登録日:平成25年2月1日

指定役務 :別掲のとおり

2 登録第5553998号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:「グローバル インカム ビルダー」(標準文字)

登録出願日:平成24年8月27日

設定登録日:平成25年2月1日

指定役務 :別掲のとおり

以下,これらを併せていうときは,単に「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,その登録は取り消されるべきである旨申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証を提出した。

1 商標の類似性

(1)引用商標の要部

引用商標1及び引用商標2の構成は前記第2の1及び2のとおりである。引用商標の要部がそれぞれ「INCOME BUILDER」「インカムビルダー」の文字部分にあることは明らかである。すなわち,引用商標の構成中,「INCOME BUILDER(インカムビルダー)」は,「所得,収入」等を意味する英単語「income」(小学館ランダムハウス英和大辞典第2版)と,「建築者,工務店」等を意味する英単語「builder」(同辞典)とを組み合わせた言葉であることは一見して明白である。「INCOME BUILDER(インカムビルダー)」の語は,全体として「所得の建築者」などと翻訳することができるが,本件商標の指定役務(以下「本件指定役務」という。)及び引用商標の指定役務の特徴,性質等を表す言葉ではなく,我が国においては,具体的な意味の不明な造語と理解されるのが自然である。

申立人は,我が国において,本件商標の登録出願前,具体的には2012年に大和証券投資信託委託株式会社,2013年半ばに日興アセットマネジメント株式会社及び野村アセットマネジメント株式会社に対し,商標「インカムビルダー(INCOME BUILDER)」及び引用商標「グローバル インカム ビルダー」「GLOBAL INCOME BUILDER」を使用してプレゼンテーションを開始した(甲22ないし甲24)。

申立人の役務は,株式その他の金融商品のポートフォリオに関する投資管理であり,現に,我が国需要者に代わって,120億米ドル(約1兆4420億円)に相当する資産を管理している。この点からも,「INCOME BUILDER」及び「インカム ビルダー」の語が強い出所表示力を有し,また,引用商標「グローバル インカム ビルダー」「GLOBAL INCOME BUILDER」とともに,申立人の商標として広く知られていることは明らかである。

これに対し,引用商標中の「GLOBAL」及び「グローバル」の文字は,「世界的な」等を意味する英単語及びその片仮名表記あり(同辞典及び岩波書店広辞苑第六版),我が国において,その意味を知らない者はいないといっても過言ではないほど広く親しまれ,一般的に定着している極めて平易な言葉である。

さらに,本件指定役務に係る金融分野においては,「金融のグローバル化」などと称されているように,市場,すなわち役務の提供地,提供場所や,役務の対象が全世界へ拡大していることが頻繁に報道され,議論されていることは言を侯たない(甲6及び甲7)。実際,本件指定役務に係る金融商品(役務)について,それが「世界」を対象とすることなどを表示するために,「グローバル(GLOBAL)」の語が,不特定多数の事業者によって,一般的に,かつ頻繁に使用されており,その一例を示すと以下のとおりである(甲8ないし甲19)。

・グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド

・三菱UFJ グローバル・ボンド・オープン

・マニュライフ一新グローバル配当株ファンド

・ピムコ・グローバル・ハイイールド・ファンド

・グローバル・バランス・ファンド

・ノムラ・グローバル・オールスターズ

・ニッセイ/パトナム・グローバルバランスオープン

・モルガン・スタンレー・グローバル・ボンド・オープン

・ラサール・グローバルREITファンド

・日興・AMPグローバルREITファンド

・グローバル・カレンシー・ファンド

・年金積立 グローバル・ラップ・バランス

・グローバルCOCO債ファンド

・グローバル ウォーター ファンド

・グローバル・インフラ公共株・ファンド

・グローバル・コモディティ・オープン

・野村グローバルSR100

・三井住友・グローバル・リート・オープン

・グローバル金融ハイブリッド証券プレミアム

・日興フィッシャー・グローバル金融機関ハイブリッド証券ファンド

・フェデリティ・グローバル・エクイティ

・損保ジャパン・グローバルREITファンド

・iシェアーズ グローバル金融ETF

・グローバル変動金利債券ファンド円ヘッジありコース

・ダイワ・グローバル債券ファンド

・グローバル金融ハイブリッド証券プレミアム

・グローバル高格付優先証券ファンド

なお,例えば,上記「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド」や,「ニッセイ/パトナム・グローバルバランスオープン」が本件商標の登録出願日(平成25年12月6日)以前から販売及び提供されていたことから明らかなように(甲20及び甲21),本件商標の登録時において「グローバル(GLOBAL)」の語が一般的に使用されていたことは明白である。

すなわち,引用商標中の「GLOBAL」及び「グローバル」の語は,本件指定役務の提供地や質等を表示するにすぎないものであって,自他役務識別力を欠くことは明らかである。

これに対し,「INCOME BUILDER」及び「インカムビルダー」の語は,特定の意味を有しない造語と解されるものであって,自他役務識別標識として十分機能することは明白である。

以上のとおり,引用商標の要部がそれぞれ「INCOME BUILDER」及び「インカムビルダー」の文字部分にあることは明らかである。

(2)本件商標と引用各商標との対比

本件商標は,「インカムビルダー」の片仮名からなり,「インカムビルダー」の称呼を生じることが明らかであって,また,前記のとおり,「所得の建築者」などの観念を生じる。

これに対し,引用商標1及び引用商標2の要部は,それぞれ「INCOME BUILDER」及び「インカムビルダー」の文字部分にあるから,引用商標からは,同文字部分に基づき,「インカムビルダー」の称呼が生じ,「所得の建築者」などの観念を生じる。

すなわち,本件商標と引用商標とは,同一の称呼及び観念を生じる類似の商標である。

(3)審査基準

審査基準第3の九(第4条第1項第11号)の6.(1)によれば,「形容詞的文字(・・・又は役務の提供場所,質等を表示する文字)を有する結合商標は,原則として,それが付加結合されていない商標と類似する。」とされている。

本件商標と引用商標とは,まさに上記審査基準の規定に該当するものである。

すなわち,引用商標中の「GLOBAL」及び「グローバル」は,形容詞的文字であり,かつ,役務の提供の場所,質等を表示する文字にほかならない。

したがって,本件商標と引用商標とは,審査基準の規定に照らし,明らかに類似の商標である。

(4)裁判例

商標の類否については,商標の一部分が強く支配的な印象を与える場合,それ以外の部分が出所識別機能を果たし得ない場合は,当該一部分だけを抽出して類否判断を行うべきものとするのが最高裁判例である(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決 いずれも最高裁判所ウェブサイト)。

例えば,知財高裁平成21年(ネ)第10031号平成21年10月13日判決は,商標「AGATHA」と結合商標「Agatha Naomi」とを,類似と認定し,知財高裁平成23年(行ケ)第10081号同23年9月27日判決は,結合商標「モンテローザカフェ」と商標「モンテローザ」とを類似の商標と判断した(いずれも最高裁ウェブサイト)。

本件については,本件商標「インカムビルダー」について識別力が認められることは,この語単独で登録になっていることから,明らかである。「インカムビルダー」の「インカム」と「ビルダー」は,我が国の需要者にも直ちに「INCOME」と「BUILDER」という平易な英語に変換されて理解される。したがって,引用商標において,「INCOME BUILDER」「インカムビルダー」の部分に識別力が認められること,すなわちこの部分が強く支配的な印象を与えることは明らかである。一方,引用商標における「GLOBAL」「グローバル」の部分は,査定不服審判(不服2000−3312「GLOBAL ASSET MANAGEMENT」)において「本願商標は,上記のとおりの構成によるものであるところ,『GLOBAL』は『全世界にわたる』,『ASSET MANAGEMENT』は『資産運用・管理』の意を表す英語として知られている語であるから,本願商標に接する取引者・需要者は,『世界規模の資産の運用・管理』の意を認識するにとまるものと認められる。」と明らかなように,識別力の認められない部分,すなわち出所識別機能を果たし得ない部分である。

上記のとおり,引用商標の構成中,「GLOBAL」及び「グローバル」の文字からは,出所識別標識としての称呼及び観念が生じず,他方,「INCOME BUILDER」及び「インカムビルダー」の文字部分が,本件商標の取引者,需要者に対し,自他役務識別標識として強く支配的な印象を与えることは明らかである。

すなわち,引用商標から「INCOME BUILDER」及び「インカムビルダー」の文字部分を抽出し,この部分を本件商標「インカムビルダー」と比較して商標の類否を判断すべきことは明白である。

以上のとおり,本件商標と引用商標とは,「インカムビルダー」の称呼及び「所得の建築者」の観念において同一の類似の商標である。

2 指定役務の類似性並びに出願日及び登録日

本件商標の指定役務は,引用商標の指定役務と類似するものであり,本件商標は,引用商標の出願日及び登録日のいずれにも後れて出願・登録されたものである。よって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 むすび

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,商標登録を受けることができないものであるから,その登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号の該当性について

(1)本件商標の構成について

本件商標は,前記第1のとおり,「インカムビルダー」の片仮名を標準文字で表してなるところ,その構成中の「インカム」の文字部分は,「所得,収入」等を意味する「income」の欧文字の表音文字であり,「ビルダー」の文字部分は,「建築者,建築業者」等を意味する「builder」(いずれも、「小学館ランダムハウス英和大辞典」第二版 株式会社小学館)の欧文字の表音文字であり,いずれも我が国において親しまれた英語ではあるが,構成全体としては,特定の意味を有する語又は熟語としては知られていないものであり,特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから,その構成文字に相応して,「インカムビルダー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

この点,申立人は,本件商標からは「所得の建築者」の観念を生ずる旨主張するが,これは本件商標を構成する「インカム」と「ビルダー」の各語の意味を結合させたものと推認されるが,「インカムビルダー」の語は,カタカナ語辞典に載録されている既成語でもなく,特定の意味を有していない造語と認められるものであるから,一般の需要者が特定の意味合いを認識することができない文字から特定の観念を生ずることはなく,申立人の主張は採用できない。

(2)引用商標の構成について

引用商標1は,「GLOBAL INCOME BUILDER」の欧文字を標準文字で表してなり,また,引用商標2は,「グローバル インカム ビルダー」の片仮名を標準文字で表してなるところ,その構成中の「GLOBAL」の文字部分は,「世界的な」等を意味する語(小学館ランダムハウス英和大辞典)であり,「INCOME」の文字部分及び「BUILDER」の文字部分は、それぞれ上述したとおりの意味する語であり,いずれも我が国において親しまれた英語であって,「グローバル」,「インカム」,「ビルダー」のそれぞれの文字は英語「GLOBAL」,「INCOME」,「BUILDER」の表音文字であるから,構成全体としては特定の意味合いを有する語又は熟語としては知られていない造語と認められるものであって,引用商標は,それぞれの構成文字に相応して,「グローバルインカムビルダー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

なお,申立人は,引用商標からは「所得の建築者」の観念を生ずる旨主張するが,これは引用商標を「GLOBAL」又は「グローバル」の部分と「INCOME BUILDER」又は「インカム ビルダー」との部分に分離し,「INCOME BUILDER」又は「インカム ビルダー」の文字部分の各語の意味を結合させたものと推認されるものである。

しかしながら,「GLOBAL INCOME BUILDER」又は「グローバル インカム ビルダー」の文字が構成全体としては,特定の意味合いを有するものとして理解されない造語と認められるものであって,かつ,引用商標はいずれも各文字が同じ書体,同じ大きさ,同じ間隔で,全体としてまとまりよく横一連に表され,これより生ずる称呼もやや冗長ではあるものの一気一連に称呼し得るものであり,「INCOME BUILDER」又は「インカム ビルダー」の部分が取引者,需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えると認められる事情はなく,「GLOBAL」又は「グローバル」の部分から出所識別標識としての称呼及び観念が全く生じないものではないこと等からすれば,引用商標は,いずれも不可分一体のものとして把握し,認識され,「INCOME BUILDER」又は「インカム ビルダー」の部分が要部として認識されるものではない。

そうすると,上述したとおり,「INCOME BUILDER」又は「インカム ビルダー」の文字部分は,特定の意味合いを有しない造語であり,特定の観念を生じないことから,この点に関する申立人の主張は採用できない。

(3)本件商標と引用商標との類否について

ア 外観

本件商標の外観と引用商標1の外観とを比較すると,両者は,構成文字において顕著な差異を有するものでから別異の商標であり,外観上,相紛れるおそれのない非類似の商標である。

また,本件商標の外観と引用商標2の外観とを対比すると,両者は,「インカムビルダー」と「インカム ビルダー」の文字を共通しているとしても,語頭において「グローバル」の文字の有無の差異を有するから十分区別することができ,外観上,相紛れるおそれのない非類似の商標である。

イ 称呼

本件商標より生ずる「インカムビルダー」の称呼と引用商標から生ずる「グローバルインカムビルダー」の称呼を比較すると,両者は,本件商標が8音であるのに対して引用商標が13音であり構成音数が異なり,後半部において「インカムビルダー」の音を共通にするが,称呼における識別上重要な位置を占める語頭部において「グローバル」の称呼の有無の差異を有するものであるから十分聴別でき,称呼上,相紛れるおそれのない非類似の商標である。

ウ 観念

本件商標と引用商標とは,いずれも特定の意味合いを有しない造語であるから,特定の観念を生じないものであり,観念上,両者は比較することができない。

エ 小括

本件商標は,引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 結論

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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