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Trademark Appeal Case

周知商標の登録取消

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2015−900093(T2015−900093/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5727637号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5727637号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、図形と「JOYGROUP」及び「ジョイグループ」の文字からなり、平成26年8月20日に登録出願、第44類「サウナ及び入浴施設の提供,あん摩・マッサージ・指圧及びこれらに関する情報の提供」を指定役務として、同年11月25日に登録査定され、同年12月19日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当し、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第44号証を提出した。

(1)当事者

申立人は、平成6年頃から、福岡市博多区中洲において店舗型性風俗特殊営業を営むようになり、平成26年6月時点では10店舗を経営する各法人の実質的株主であり、これら10店舗をグループ経営する実質的なオーナーであった者である(甲1、甲2。以下、申立人が実質的株主だった各法人のことを「申立人グループ会社」、それら法人が運営していた10店舗のことを「申立人グループ店」という。)。

Y氏は、商標権者の実質上のオーナーであり、申立人グループ店のうち3店舗が入居しているビルを所有している株式会社福岡ビル、しんとく建設工業株式会社(以下「しんとく建設」という。)、株式会社ロイヤルメンテナンス(以下「ロイヤルメンテナンス」という。)等の実質上のオーナーでもある。

(2)申立人が「JOYGROUP」というグループ名称を使用していたこと

申立人は、平成6年頃に、福岡市博多区中洲において、自らが設立した有限会社杉村商事(甲5〜甲7)で「メンズクラブ・ジョイ」の屋号で店舗型性風俗特殊営業を始めた。

そして、平成10年頃に有限会社坂本物産(甲8、甲9)を設立して「ラターシュ」の屋号で、同11年頃に有限会社西日本商社(甲10〜甲12)を設立して「クラブピア」の屋号で、それぞれ同じ福岡市博多区中洲において店舗型性風俗特殊営業を始め、遅くともこの頃には、申立人が実質上の株主である上記3社が運営する3店舗について「JOYGROUP」(ジョイグループ)と呼称するようになり、風俗情報誌の広告等でも上記3店舗について「JOYGROUP」(ジョイグループ)の店舗であると称して広告するようになった。

また、ジョイグループ広告等を含め、ジョイグループのロゴマークも用いるようになったが、それは本件商標と全く同じマークであった(甲13〜甲15)。

その後、申立人は、順次グループ店舗を増やしていき、いずれの店舗についても「ジョイグループ」に属すると呼称して広告等を行い、平成24年には「メンズクラブ・ジョイ」「アルファロメオ」「ジョイダイヤモンド」「アルバ」「クラブピア」「ブルーシャトー」「アルバトロス」「ラターシュ」「ジョイロイヤルクラシック」「ロイヤルブルーシャトー」の10店舗が連なるグループとなった(甲13〜甲15)。

(3)「JOYGROUP」というグループ名が周知名称であったこと

福岡市内において、10店舗もの店舗型性風俗特殊営業を行っているグループは「JOYGROUP」の他に存在せず、インターネットでの検索においても、「福岡 ソープ グループ」というキーワードで検索すると、Googleにおいてもyahoo!JAPANにおいても「JOYGROUP」のホームページが検索結果1位で出てくる(甲16)。

また、風俗情報誌にも「JOYGROUP」として複数店舗をまとめて広告掲載することも多く、各申立人グループ店の広告を掲載する際にも「JOYGROUP」に属することを明記していた(甲13〜甲15)。

そして、風俗情報誌やインターネットの風俗情報サイト等にも、これまでに多額の広告料を費やしてグループ広告や店舗広告を行ってきており、商標権者が出願する前である平成26年1月から同年6月までの6か月間だけで見ても、その広告費用は2,000万円弱にものぼる(甲17〜20)。

しかも、このような広告掲載は平成9年頃からずっと行ってきているところであり、「JOYGROUP」という名称は、需要者の間で広く認識された店舗型性風俗特殊営業のグループ名称であった。

(4)Y氏による申立人グループの乗っ取り

Y氏は、申立人グループ会社の従業員から実印や通帳等の引き渡しを受け、同氏が実質的オーナーであるロイヤルメンテナンスにおいて、申立人グループ会社の実印や通帳等、売上金の管理を勝手にやり始め、申立人側に実印や通帳等を返却してくれなかった。

その後、Y氏は手元にある実印等を悪用し、申立人グループ会社の株主総会議事録を偽造し、同氏がオーナーであるしんとく建設の従業員が申立人グループ会社の代表取締役や取締役に就任したという形で登記した(甲7、甲9、甲12)。なお、当該従業員は代表取締役及び取締役の職務を執行してはならない旨の福岡地方裁判所の決定がなされている(甲1、甲2)。

申立人側は、その後の交渉で申立人グループ会社3社及び申立人グループ店3店については実印や通帳等の返還や店舗の明渡しを受けることができたが、それ以外の7社及び7店舗については、Y氏らによる実力支配している状態が続いた。

そのような中で、Y氏は自身が実質上のオーナーである商標権者を出願人として、本件商標の出願を行った。商標権者(甲23、甲24)は申立人グループ会社とは何の関係もない会社であり、「JOYGROUP」の店舗の経営にも全く関わっていない会社であった。

そのような商標権者が、申立人グループが使っていたのと全く同じロゴマークまで登録する形で出願したのは、申立人グループ店の乗っ取りのためのカードにするため以外の何者でもなく、不正な目的によるものであったことは明らかである。

さらに、「JOYGROUP」のホームページについては、申立人名義で取得していたドメインをY氏側の者に名義変更するなどし(甲27)、「JOYGROUP」の名称を不正に使用する(甲28)など、申立人グループ店を乗っ取る行動を続けている(甲29〜甲44)。

(5)Y氏らによる「JOYGROUP」の名称使用は無権限のものであること

Y氏らによる一連の行動は、不正の利益を得る目的のために法や裁判所の決定を無視したものと言わざるを得ない。Y氏らが法や仮処分決定を無視した名称の不正使用・事実上の乗っ取りを行っていること自体から、Y氏や同人が実質上のオーナーを務める商標権者に申立人のグループ名を使用したり、商標登録したりする権利がないことは明らかである。

(6)申立人に対する「JOYGROUP」名称の使用妨害

Y氏らは、本件商標が登録されたことを奇貨として、風俗情報誌の発行会社やインターネットの風俗情報サイト等に対して、商標権者が「JOYGROUP」の商標登録をしているとして、申立人側が商標法違反になるかのように述べ、申立人による「JOYGROUP」名称の使用を妨害するような行動に出てきている(甲44)。

(7)結論

以上のとおり、本件商標は、申立人の店舗型性風俗特殊営業の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間にすでに広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、指定役務の内容も重なるものであり、申立人から名称使用や商標登録に関して何らかの権利を取得しているわけでもなく、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第10号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」と規定している。

(2)申立人は、「JOYGROUP」の文字及び「本件商標の図形部分と同一の図形」(以下、両者をあわせて「引用商標」という。)が、同人の業務(店舗型性風俗特殊営業)に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であると主張しているものと解される。

そこで、まず引用商標が申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているか否かについて検討する。

(3)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおり認めることができる。

ア 引用商標の表示された店舗型性風俗特殊営業に係る広告が、2012年(平成24年)9月頃及び同年10月頃に発行された風俗情報誌に掲載されたことが認められる(甲13〜甲15)ものの、同広告を掲載した者が誰であるのか確認できず、申立人による広告と認めることはできない。

イ また、申立人が本件商標の出願前に広告を行ってきたとして提出した証拠(甲17〜甲20)は、その広告の内容が確認できず、引用商標が使用されていたことさえも確認できない。なお、請求書のほとんどは株式会社東京通信に宛てられたものであるが、同社と申立人との関係も明らかでない。

ウ 上記ア及びイからすれば、引用商標は、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において、他人(申立人)の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

(4)そうすると、本件商標は引用商標と同一又は類似の商標であると認められるものの、引用商標は上記(3)のとおり他人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものといえない。

(5)以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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