Trademark Appeal Case
地名と普通名称の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−20784(T2014−20784/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「琉球マッサージ」の文字を標準文字で表してなり、第3類、第16類、第35類、第41類及び第44類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成24年12月5日に登録出願されたものであり、指定商品及び指定役務については、原審における同25年8月18日付け手続補正書により、第3類、第5類、第16類、第20類、第22類、第35類、第41類及び第44類に属する別掲1のとおりの商品及び役務に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『琉球マッサージ』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『琉球』の文字が沖縄(琉球諸島地域)の別称として一般に認識・使用されており、また、『マッサージ』の文字は、本願指定役務との関係では役務の名称の一つと認められる。そうすると、本願商標全体からは、『琉球のマッサージ』程の意味合いを看取させ、本願商標をその指定商品及び指定役務中、「マッサージ」の際に使用する化粧品等の商品及び「マッサージ」に関連する役務に使用したときには、沖縄で提供されるマッサージに使用される商品及び沖縄で提供されるマッサージに関連した役務であることを理解させるにすぎないから、単に商品の用途、品質、役務の提供地、質を普通に用いられる方法で表示するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品及び役務以外の商品又は役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権による証拠調べをした結果、別掲2のとおりの事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成27年2月20日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を求めたところ、請求人は、同年4月1日付けで意見書を提出した。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「琉球マッサージ」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、漢字で表された「琉球」の文字と片仮名で表された「マッサージ」の文字とを一連に表したものと直ちに看取されるものである。そして、本願商標の構成中、「琉球」の文字は「沖縄県の古称」であって「沖縄」を表す語として広く一般に使用されているものであり、また、「マッサージ」の文字は本願の指定役務中の「マッサージ」を表す普通名称である。
そして、別掲2(2)ア(ア)ないし(エ)に示したとおり、「琉球マッサージ」の文字が、沖縄において提供されるマッサージ又は沖縄産の原材料を用いて提供されるマッサージであることを表示するためのものとして、取引上、普通に使用されており、また、別掲2(2)イないしエに示したとおり、「アロマリンパマッサージ」、「ソルトマッサージ」、「リンパマッサージ」等の「マッサージ」の種類を表す語に、「琉球」又は「琉球式」の文字を冠した各語が、沖縄において提供される又は沖縄産の原材料や沖縄独自の伝統要素を取り入れて提供される各種のマッサージであることを表示するためのものとして、普通に使用されている事実が認められる。
加えて、別掲(3)アないしエに示したとおり、「琉球エステ」、「琉球エステティック」、「琉球エステ・スパ」、「琉球アロマエステ」、「琉球ハーブデトックス」のように、商品の用途又は役務の内容を示す語に「琉球」の文字を冠した各語が、沖縄において提供される又は沖縄産の原材料や沖縄独自の伝統要素を取り入れた商品又は役務であることを表示するためのものとして、普通に使用されている事実も認められる。
さらに、別掲(4)アないしエに示したとおり、「タイマッサージ」、「台湾式マッサージ」等のように、各地域を表す名称又は該名称と「式」の語を「マッサージ」の語に冠した語が、当該地域の特色を有する「マッサージ」であることを表示するものとして、普通に使用されている事実が認められる。
そうしてみると、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務中、「沖縄産マッサージ用化粧品」及び「マッサージ,マッサージに関連する役務」に使用したときには、これに接する需要者、取引者は、沖縄産のマッサージ用商品、沖縄で提供される又は沖縄産の原材料や沖縄独自の伝統要素を取り入れて提供されるマッサージ並びにそれらに関連した役務であることを理解、認識するというのが相当であるから、単に商品の原材料、用途及び品質並びに役務の提供地及び質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。また、前記の商品又は役務以外の商品及び役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標である「琉球マッサージ」の文字は、辞書に掲載がなく、出願人の創意による一体不可分な商標であり、証拠調べの結果として示された別掲2(2)アの用例中、(ア)、(ウ)及び(エ)の「琉球マッサージ」に関するインターネット記事及び新聞記事は、二次情報であって、証拠としての信頼性が低く、さらに、「琉球」の文字を含む標章を一律に自他商品及び役務の識別標識としての機能がないと判断することは適切ではない旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、該商標の査定時又は審決時において、該商標の構成態様及び指定商品又は指定役務に基づき、該商標が使用される商品又は役務に係る取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるところ、証拠調べの結果として通知された証拠は、マッサージの分野における一般の取引者、需要者が容易に閲覧可能なインターネットのウェブサイトの記事及び新聞記事であって、当該記事に沖縄における又は沖縄独自の伝統要素を取り入れたマッサージの提供に関する事項が紹介され、その提供について「琉球マッサージ」の文字が使用されているのであるから、本願商標に対する取引者、需要者の認識を示す根拠となり得るものである。そして、本願商標は、その構成文字から生ずる意味合いにその指定商品及び指定役務に係る分野における取引の実情を併せみれば、これをその指定商品及び指定役務中、「沖縄産マッサージ用化粧品」及び「マッサージ,マッサージに関連する役務」に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、商品の品質又は役務の質を表示したものと認識されるというのが相当であることは、上記(1)のとおりである。
イ 請求人は、「本願商標は、平成25年3月以降、請求人の業務に係る商品及び役務に使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品及び役務であることを認識することができるに至っているから、登録されるべきである。」旨主張し、原審における平成25年5月16日付け上申書(参考資料1ないし4)、当審における同年10月16日付け手続補足書(陳述書1及び2)及び同27年4月1日付け意見書(インターネット検索結果)を提出している。上記の主張により、請求人は、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備していることを主張しているものと認められるので、以下、検討する。
商標登録出願された商標が、商標法第3条第2項の要件を具備し、登録が認められるか否かは、使用に係る商標及び商品、使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用された結果、判断時である審決時において、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるか否かによって決すべきものであり、商標法第3条第2項の要件を具備するためには、使用商標は、出願に係る商標と同一であることを要するものというべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10388号平成22年6月29日判決参照)。
そこで、これを本件についてみるに、提出された上記資料によれば、請求人は、「沖縄の伝統要素を取り入れたマッサージ」又は「沖縄において提供するマッサージ」について、「琉球マッサージ」の文字を使用していることが認められる。
しかしながら、本願商標の指定商品及び指定役務には「沖縄の伝統要素を取り入れたマッサージ」及び「沖縄において提供するマッサージ」以外の指定商品及び指定役務が含まれるものであり、その使用地域及び期間も、石垣空港ロビーの店舗一箇所における2年程度であって、利用者数については、主張のみで証拠の提出はなく、その他、売上額、広告宣伝の回数、市場占有率等に関する客観的証拠も提出されていない。
また、上記資料における本願商標の使用態様は、出願人の名称の一部である「パナ・ン」の文字又は顔と花をモチーフとした図形とともに使用されている場合や、使用箇所により数種類の異なる書体を用いている状況が見受けられる。
上記を踏まえると、本願商標が出願人の業務に係る商品及び役務に使用された結果、その指定商品及び指定役務について、需要者が出願人の業務に係る商品及び役務であることを認識するに至っていると認めるに足る事実を見いだすことはできない。
したがって、本願商標は、これが使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができるに至っていたと認めることができない。
なお、請求人は、インターネット上のGoogle検索(完全一致検索)によると、上位10件全てが出願人の提供する一次情報又は紹介記事(二次情報)のみで占められていることから、本願商標は、周知性を十分に満たしている旨主張するが、インターネットによる検索とは、検索する本人が、その必要性、あるいは関心があって行われる行為であり、その文字にそもそも必要性、関心がない人にとっては全く目にすることがない場合が多いことを踏まえるならば、テレビや新聞の宣伝、広告等とは異なり、単に検索結果が上位に表示されることをもって、本願商標の周知性を判断することはできないものであり、また、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができるに至ってはいないことは、上記で述べたとおりである。
ウ したがって、上記ア及びイの請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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