結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2014−300342(T2014−300342/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4954286号商標(以下「本件商標」という。)は、「ACROSS」の欧文字を標準文字で表してなり、平成17年7月29日登録出願、第11類「煙突用煙道」及び第19類「炭素繊維炭素複合材製耐熱材料,炭素繊維強化プラスチック製屋根材その他のプラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,炭素繊維炭素複合材製の建築用又は構築用の専用材料,炭素繊維炭素複合材製煙突の煙出し・炭素繊維炭素複合材製煙突の通気筒・炭素繊維炭素複合材製煙突筒・炭素繊維炭素複合材製煙突用延長部材を含む炭素繊維炭素複合材製煙突並びにその部品及び付属品その他の煙突並びにその部品及び付属品(金属製のものを除く。)」を含む、第7類、第11類、第12類、第17類及び第19類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成18年5月19日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の予告登録は、平成26年5月28日にされている。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
本件商標は、商標権者によって過去3年以上継続して日本国内において請求に係る指定商品(以下「本件商品」という場合がある。)について使用された事実がなく、さらに商標登録原簿には専用使用権者及び通常使用権者の登録がなされていない(甲1)。
よって、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。
(1)乙各号証について
ア 乙第2号証について
被請求人は、「広告」にはカタログが含まれるとし、自社のカタログにおいて、自社の製品に関して「ACROSS」の標章を付して事業を行っていた、同カタログには代表取締役の橘正晴の名前が記載されていることから同カタログは平成24年3月1日から同年6月29日の間に制作されたものである、と主張している。
しかしながら、乙第2号証は、制作主体・時期・部数のいずれも不明であり、代表者が記載されているだけでは制作時期の証明にはならず、配布先、配布時期も展示に関する事実も示されていない。
したがって、乙第2号証は、「広告」の頒布又は展示の事実を証明するものではない。
イ 乙第3号証及び乙第4号証について
被請求人は、「取引書類」には請求書、納品書等が含まれるとし、添付の請求書、納品書の封筒にも、販売した自社の製品に関して「ACROSS」の標章を付し、とある。
しかしながら、商品との関係が不明なそれらの封筒は、本件商品に関する取引書類に該当せず、また、その封筒とそれぞれの請求書及び納品書との関係も不明である。さらに、それら請求書及び納品書は、請求先又は納品先の記載、発行日、品名、数量、単価、金額のいずれの記載もない。
したがって、乙第3号証及び乙第4号証は、本件商品に関する「取引書類」ではない。
ウ 乙第5号証について
被請求人の答弁によれば、取引先に交付する製品安全データシートにも販売した自社の製品に関して「ACROSS」の標章を付していた、とある。
しかしながら、この書面は、制作主体・時期・部数のいずれも不明であり、販売先である取引先及び配布時期又は展示に関する事実も示されていない。
また、乙第5号証によれば、その製品は、炭素の含有量が99%以上であり、「取り扱いは換気の良い場所で行う。取り扱い中は、保護手袋、保護めがね、防塵マスク、前掛け等の保護具を着用する。」ものであり、特定の用途に限定されていないものであるから、この製品は、本件商品ではなく、第1類の商品であると考えられる。
したがって、乙第5号証は、本件商品に関する「取引書類」又は「広告」ではない。
(2)本件商標の使用について
被請求人は、乙第2号証ないし乙第5号証において、「ACROSS」の標章を付していた、と主張している。
しかしながら、乙第2号証において、「ACROSS」の文字は「ACROSS CORPORATION」の一部として表れているのみで、この「ACROSS CORPORATION」は、乙第2号証の最終頁にあるとおり、株式会社アクロスの英名である。
会社の英名である「ACROSS CORPORATION」の文字は、乙第2号証の表紙において社標と思われる三角形の図形の下にその図形とまとまりよく一体的に表され、その右横には、「株式会社アクロス」の文字と同幅に併記されている。これらの使用態様から、「ACROSS CORPORATION」は会社名としてのみ認識されるもので、自他商品の識別標識としての機能はない。
仮に、「ACROSS CORPORATION」が自他商品の識別標識としての機能を果たすということができたとしても、「ACROSS」の部分のみが分離抽出されて自他商品識別機能を発揮することはない。「ACROSS」の部分は「CORPORATION」の部分と同じ書体、同じ大きさで外観上まとまりよく一体的に看取しうるものであって、全体として「CORPORATION」の部分と一体不可分のものと認識される。したがって、「ACROSS」の部分が商標として独立して機能することはない。
なお、乙第2号証には、表紙における「株式会社アクロス」の他、同表紙において「アクロスは先進のニューカーボンで21世紀の素材革命を起こします」などのように、片仮名の「アクロス」が使用されている箇所があるが、これらは全て会社名の一部又はその略称としてのみ機能し、自他商品の識別標識としての機能はない。さらに付言すれば、片仮名文字の「アクロス」からは「ACROSS」のほか、「ACROS」、「AKROS」、「ACUROS」、「ACROSU」などのように綴り字を異にする複数の欧文字が想起されるものであり、本件商標「ACROSS」との同一性は無く、社会通念上の同一性もない。
また、乙第3号証ないし乙第5号証についても、上記会社名としての「ACROSS CORPORATION」の記載が存在するのみであり、「ACROSS」が商標として機能している箇所はない。
したがって、被請求人が提出した書類において、本件商標「ACROSS」が使用された事実はない。
(3)まとめ
以上、被請求人が提出した乙第2号証ないし乙第5号証の書面には本件商標が本件商品について本件審判請求登録前3年以内に使用された事実はなく、本件商標の使用は証明されていない。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
被請求人は、C/Cコンポジット(炭素繊維強化炭素複合材料)と称される炭素系の先端素材の研究開発及び製造販売を業とする株式会社である(乙1)。
商標法第2条第3項第8号は、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」を「使用」に該当する行為として規定している。
同号の「広告」にはパンフレットやカタログが含まれるところ、被請求人は、自社のカタログにおいて、自社の製品に関して「ACROSS」の標章を付して事業を行っていた(乙2)。同カタログの最終頁には代表取締役として橘正晴の名前が記載されていることから、同カタログは同人の代表取締役在任期間である平成24年3月1日から同年6月29日の間に制作されたものであることが分かる(乙1)。
また、同号の「取引書類」には、請求書、納品書等が含まれるところ、被請求人は、請求書、納品書の封筒にも、販売した自社の製品に関して「ACROSS」の標章を付し(乙3及び乙4)、さらに、取引先に交付する製品安全データシートにも販売した自社の製品に関して「ACROSS」の標章を付していた(乙5)。
「ACROSS」の標章は、被請求人の商号をローマ字表記したものであり、上記のとおり、被請求人が事業の遂行に伴い、必然的に使用を継続していた。
したがって、被請求人は、審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、請求に係る指定商品のうち「炭素繊維炭素複合材耐熱材料」等について、本件商標を使用している。
なお、被請求人は、平成26年12月1日付け上申書において、「口頭審理を含め、本件審判手続にこれ以上対応しない。」旨の上申をしている。
(1)乙第1号証は、平成26年5月19日発行の本件商標権者の履歴事項全部証明書であるところ、1ページ目の目的の項目には、「繊維強化炭素材料の生産・加工・販売」、「繊維強化プラスチックの生産・加工・販売」等が記載されている。また、役員に関する事項中の4ページ目の代表取締役の欄には、「代表取締役 橘正晴」の記載があり、「平成24年3月1日就任」及び「平成24年6月29日退任」の記載がある。
(2)乙第2号証は、本件商標権者のカタログとされるものである。
ア 表紙の上段には図形とその下に「ACROSS CORPORATION」の文字、その右横に「株式会社アクロス」及び「ACROSS CORPORATION」の文字が2段に表されている。
また、中段の図形内に「アクロスは」、「先進のニューカーボン技術で」及び「21世紀の素材革命を起こします」の文字を3段に表している。
イ カタログの3ページ目には、「C/Cコンポジットとは」の記載のもと、「C/Cコンポジットは、黒鉛を炭素繊維で補強した材料であり、軽量、高強度、高弾性で2000°C以上の高温に耐えるなど、優れた性能を有し、従来の代表的な素材と比較して次のような利点があります。」として、金属等の素材との比較が紹介されている。
ウ カタログの10ページ目には「アクロスの商品紹介」の項目の下、「C/Cコンポジット」、「耐熱分野」として「優れた耐熱性と軽量性を活かし、・・・高温炉の炉材など・・・製品をご提供しています。」との記載がある。
エ 12ページ目には、「耐熱性を活かした商品 応用商品紹介」として「断熱材内張り」が紹介されている。
オ 25ページ目には、「会社概要」として、商標権者の名称のほか、「事業内容」として「無機質繊維強化炭素複合材の生産、加工、販売」の記載、「役員」として「代表取締役 副社長 橘正晴」の記載がある。
(3)乙第3号証及び乙第4号証は、商標権者の名称が印刷された請求書及び納品書の様式、並びに図形とその下に「ACROSS CORPORATION」の文字が印刷された封筒の写しと認められる。なお、これらは様式書面であり、使用されたものではない。
(4)乙第5号証は、取引先に交付する「製品安全データシート」とされるものであり、作成年月日として「2012年4月11日」との記載、製品名として「C/Cコンポジット材 AC100 AC200 FC500」の記載がある。なお、交付した取引先等については何ら記載がない。
商標権者は、「繊維強化炭素材料の生産・加工・販売」、「繊維強化プラスチックの生産・加工・販売」等を業とする会社であり、「橘正晴」氏を平成24年3月1日ないし同年6月29日までの間において代表取締役としていた(乙1)。
そして、商標権者は、「株式会社アクロス」及び「ACROSS CORPORATION」等の文字を表示し、「橘正晴」氏を「代表取締役 副社長」として自社の商品等を紹介したカタログ(乙2)を作成した。
このカタログに作成年月日の記載はないものの、「橘正晴」氏の「代表取締役」としての在任期間からすれば、少なくとも、本件審判の要証期間(平成23年(2011年)5月25日ないし平成26年(2014年)5月27日)内に作成されたものと推認することができる。
しかし、被請求人からは、乙第2号証のカタログの作成部数、展示状況、頒布状況等に関する証拠の提出もなく、これについて述べるところもない。
また、乙第3号証及び乙第4号証として提出された請求書及び納品書の様式と封筒の写しについては、その様式を示すのみで、本件商標を表示して要証期間にこれが使用された事実については、何ら示されていない。
さらに、乙第5号証の「製品安全データシート」については、作成日はあるものの、それが交付される際に実際に取引されるべき商品に関する取引書類等が示されておらず、これをもって、該「製品安全データシート」が本件審判の請求に係る指定商品の取引に使用されたものと認めることができない。
以上のとおり、被請求人が提出した証拠からは、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていることを証明したものと認めることができない。
また、被請求人は、取消請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしたものと認めることもできない。
したがって、本件商標は、その指定商品中、「結論掲記の商品」について、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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