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Trademark Appeal Case

著名商標の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35363号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4119487号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4119487号商標(以下「本件商標」という。)は、「CARTIE」の欧文字を横書きしてなり、平成8年10月18日登録出願、第12類「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び付属品」を指定商品として、同10年2月27日に設定の登録がされたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第30号証を提出している。

(1) 請求人は、世界的に著名な商標「CARTIER」、「カルティエ」を使用した宝石、貴金属製品、装身具、ライター、万年筆、バッグ等の皮革製品、時計、スカーフ等の商品を製造販売しているフランス法人「CARTIER SOCIETE ANONYME」及びその他の関連会社の親会社として、上記の商品の世界的な卸売り業務、並びに、「CARTIER」を自己の名義で登録し、それらの商標の登録及び使用に関する適正な管理維持を主たる業務としているオランダ法人である。

わが国においては、今から約30年程前の1971年(昭和46年)2月に、リーベルマン ウェルシュリーエンド コンパニー エヌ エイ社がカルティエ社との間にライターについてのわが国における独占的販売契約を締結して以来、カルティエ社の商品の販売が本格的に開始され、わが国におけるカルティエ製品の宣伝・広告も各種の一般向け雑誌、新聞等を通じて昭和46年頃より広く行われてきた。

その結果、引用商標及び「カルティエ」は、本件商標の出願された平成8年10月18日より遥か以前に、カルティエ社の製造販売に係る宝飾品、貴金属、ライター、時計、バッグ、万年筆、たばこ、化粧品等についての商標としてわが国の一般需要者の間において広く知られていたことは疑いない。また、今日、わが国においては新聞・雑誌・テレビ等により日常的に「ブランド品」、「ブランド志向」等の語句がしばしば使用されており、その各種ブランド品の中でも「カルティエ」が代表的なものとして取り上げられていることは、顕著な事実である。さらには、かかるブランド志向の加熱化に乗じて、悪質業者によるいわゆる「偽ブランド品」も数多く出現し、カルティエ社の商品もしばしば、これら偽ブランド品製造業者による模倣の対象となっている。

したがって、請求人の「CARTIER」及び「カルティエ」の著名性は我が国において現実に使用されている商品のみならず、その他の様々な商品について及んでいるというべきである。また、今日においては企業の多角経営化が主流になってきており、ある企業が、本来製造・販売していた商品に加え、新たな分野において多種多様な商品の生産を開始するようになっている。したがって、かかる取引の実状の下においては、わが国需要者・取引者等が、ある商標が実際には販売されていない商品について使用された場合にその商品が当該企業あるいはこれと経済的又は組織的に何らかの関係があるものの業務に係る商品と誤認する可能性は大きいというべきである

以上のように、請求人の商標「CARTIER」「カルティエ」のわが国における著名性は疑いないところであり、かかる著名性から、現在では商標「CARTIER」「カルティエ」の有する自他商品識別力及び出所表示力は極めて高いということができる。したがって、請求人と全く関係のない者が商標「CARTIER」「カルティエ」と構成又は称呼が近似する商標を使用した場合には、需要者等はこれを請求人の周知著名な商標「CARTIER」「カルティエ」に関連づけて認識する可能性は極めて高いというべきである。すなわち、商標「CARTIER」「カルティエ」についてわが国需要者が商標法上の出所の混同を生じる範囲、あるいは類似の範囲は、その著名性の故に広いというべきである。事実、最近の世界各国における商標の実務においては、著名商標をより厚く保護すべきとの考え方が趨勢となってきており、商標保護の国際的調和の観点から考えて、わが国において請求人の有する周知著名商標「CARTIER」「カルティエ」についても商標法上、十分な保護がなされるべきである。

(2) 本件商標は、「CARTIE」の英文字を横書きした構成よりなるが、これは、請求人の有する周知著名な商標「CARTIER」と末尾の「R」の文字の有無に差異があるにに過ぎない。すなわち、本件商標は請求人の有する商標「CARTIER」の欧文字7文字から語尾1文字が欠落したものにすぎないから、両者の外観は酷似する。

また、称呼についても、上記両商標の構成上の近似性及びわが国における通常の英語水準に鑑み、本件商標が「カルティエ」と発音される可能性は極めて高いというべきであって、本件商標は請求人の商標「CARTIER」「カルティエ」と同一の称呼を有するから、本件商標は外観及び称呼において請求人の有す商標「CARTIER」「カルティエ」と類似すること明白である。

上記のように、本件商標と請求人の有する商標とは相互に類似であって、また、請求人の商標「CARTIER」「カルティエ」が極めて著名であることに鑑みれば、本件商標がその指定商品について使用された場合に、当該商品があたかも請求人あるいは請求人と経済的・組織的に何らかの関係を有するものの業務に係る商品であるかのように誤認され、その商品の需要者が出所の混同を生ずるおそれが強いことは明らかである。

以上のことから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は同法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求に対し、何ら答弁していない。

4 当審の判断

請求人の主張及び提出に係る証拠を総合勘案すれば、「CARTIER」は、請求人及びその関連会社により宝飾品、腕時計、バッグ、万年筆等に世界的に使用された結果、本件商標の登録出願時前において、すでに、わが国において、取引者、需要者間に広く認識された、いわゆる著名商標と認め得るものである。

しかして、本件商標は、その構成前記したとおり、「CARTIE」の欧文字を書してなるものであり、その構成(綴り)文字において、特定の語義を有する外国語として一般に馴染まれたものといえないものである。

そこで、本件商標「CARTIE」と著名商標「CARTIER」とを比較するに、両者はともに構成文字中の冒頭から「C」「A」「R」「T」「I」「E」までの6文字を共通にし、その差異は、僅かに末尾の「R」の文字の有無にすぎないものである。

してみると、両者は、そのほとんどを占める文字の構成配列を共通にし、かつ、末尾に位置する文字の有無のみの差異のほか、観念及び称呼の点において識別上、著しく異なる事情を見出せないところであるから、簡易迅速を尊ぶ商品取引場裏において、本件商標に接する需要者が、時と所を異にして離隔的観察をする時には、引用商標の著名性からして、これを想起・連想する場合が少なくなく、その外観において極めて近似した印象を与える類似の商標といわなければならない。

そうとすれば、近時の企業における多角経営化傾向にあることをも考慮すれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、該商品が請求人会社又は請求人会社と事業上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれが少なからずあると判断するのが相当である。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであって、これに違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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