Trademark Appeal Case
不正目的と周知商標
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−26122(T2014−26122/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第18類「かばん金具,がま口口金,蹄鉄,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」を指定商品とし,平成26年4月14日に登録出願されたものである。
第2 当審において通知した拒絶理由
当審において,請求人に対し,平成27年4月30日付けで,本願商標が商標法第4条第1項第19号に該当するものであるとして,要旨以下のとおりの拒絶理由を通知し,期間を指定して,これに対する意見を求めた。
1 本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,別掲2に示す当審における職権調査によれば,米国において,「フード バイ エア ライセンシング リミテッド ライアビリティ カンパニー」社(以下「フード・バイ・エア社」という。)が,長袖シャツ等の被服について,フード・バイ・エア社の出所を表示するものとして,取引者,需要者の間に一定程度知られていたものと認められる,黒地の横長の長方形内に白抜きで「HOOD」,「BY」及び「AIR.」の欧文字をやや縦長に,太字のゴシック体で,それぞれの文字の書き出し位置を縦にそろえて三段に横書きした商標(以下,文字を三段に横書きした文字部分のみを「フード・バイ・エア社商標」という。)と特徴の多くを共通とする酷似した商標であるから,請求人が本願商標を採択するに際し,本願商標が,フード・バイ・エア社商標と,偶然の一致したものとは到底認められない。
2 したがって,本願商標は,フード・バイ・エア社商標が商標登録されていないことを奇貨として先取りし,剽窃的に本願商標を登録出願し,その登録を受けようとしたものというのが相当であって,不正の目的をもって使用するものといわざるを得ないから,商標法第4条第1項第19号に該当する。
第3 当審における拒絶理由通知に対する請求人の意見(要旨)
1 引用商標は,本願商標の登録出願時(平成26年(2014)4月14日時点),今回の拒絶理由通知書において提示された証拠資料のみでは,フード・バイ・エア社商標が,「Tャツ,ズボンの商品の商標として米国において本願出願時点で既に周知商標であったこと」を裏付けるに十分な客観的証拠足り得ない。
2 請求人は,自らがデザイナー会社に「HOOD BY AIR.」のロゴを発注し,その中から,本願商標を採択したものであり,米国におけるフード・バイ・エア社商標の存在を知らなかったから,不正の目的には該当しない。
第4 当審の判断
1 本願商標について
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,「HOOD」,「BY」及び「AIR.」の欧文字を,やや縦長に,太字のゴシック体で,それぞれの文字の書き出し位置を縦にそろえて三段に横書きしてなるものである。これより,本願商標からは,その構成文字全体として,「フードバイエア」及び「フッドバイエア」の称呼が生じる。次に,本願商標の構成文字である,「HOOD」,「BY」及び「AIR」の欧文字は,それぞれが英語の単語として「頭巾」,「〜によって」及び「空気」等の意味を有するものとしても,これらが構成全体として特定の熟語的意味合いを形成するものとは認められないことから,本願商標は,特定の観念を生じることのない造語であって,文字の組み合わせに構成上顕著な特徴を有するものと認められる。
2 「Hood By Air(フッドバイエアー)」の商標の周知性について
上記第2のとおり当審における拒絶理由で通知した別掲2の情報よれば,以下の事実が認められる。
(1)「Hood By Air(フッドバイエアー)」の商標は,米国のニューヨークのファッションブランドで,2006年,Shayne Oliver氏とRaul Lopez氏によって創立されたこと(別掲2(1)及び(2))。
(2)その後,当該ブランドは一旦活動を休止するも,2012年より新たに販売を開始し,2014年2月10日には,ニューヨークファッションウィークにおいて,2014年秋冬コレクションを公開し,その結果を伝えるファッション向けのニュースサイトには,黒地の横長の長方形内に白抜きでフード・バイ・エア社商標が表示され,被服等の商品が紹介されていること(別掲2(3)ないし(5))。
(3)2013年12月には,当該ブランドの商品は,我が国にも輸出され,フード・バイ・エア社商標がプリントされた丸首の長袖シャツが販売されていること(別掲2(3))。
(4)米国においては,フード・バイ・エア社が,本願商標の出願前の2013年7月29日に黒地の縦長の長方形内にフード・バイ・エア社商標を配した商標を登録出願していること(別掲2(6))。
(5)以上よりすれば,「Hood By Air.」の商標は,2006年に米国ニューヨーク洲で創立され,少なくとも本願商標出願前の2014年(平成26年)2月には,「フード・バイ・エア社商標」及び「HOOD BY AIR.」一連の商標は,米国において,長袖シャツ等の被服について,フード・バイ・エア社の出所を表示するものとして,取引者,需要者の間に一定程度知られていたものと認められる。
3 本願商標とフード・バイ・エア社商標との類似性について
本願商標は,別掲1のとおり,「HOOD」,「BY」及び「AIR.」の欧文字をやや縦長に,太字のゴシック体で,それぞれの文字の書き出し位置を縦にそろえて三段に横書きした商標であるのに対し,フード・バイ・エア社商標は,別掲2のとおり,白抜き文字等で表されている場合があるとしても,「HOOD」,「BY」及び「AIR.」の欧文字を,やや縦長に,太字のゴシック体でそれぞれの文字の書き出し位置を縦にそろえて三段に横書きしてなるものである。
してみれば,本願商標とフード・バイ・エア社商標とは,同一の文字構成であること,同じく書き出し位置を縦にそろえた三段書きであること及び同じくやや縦長の太字のゴシック体が用いられていることから,その構成における特徴の多くを共通とする酷似した商標といわざるを得ない。
4 商標法第4条第1項第19号に該当性について
本願商標は,上記2(5)及び3のとおり,本願出願前より米国で取引者,需要者の間に広く認識されているフード・バイ・エア社商標と酷似するものである。
しかも,本願商標は,その構成中の「HOOD」,「BY」及び「AIR.」の文字が,上記1のとおり,特定の観念を生じることのない造語であって,しかも,フード・バイ・エア社商標と構成上の顕著な特徴を共通にするものであることからすれば,請求人が本願商標を採択するに際し,フード・バイ・エア社商標と,偶然の一致したものとは到底認められない。
そして,本願の指定商品である「かばん類,袋物,傘,携帯用化粧道具入れ」等と,フード・バイ・エア社商標を付した「フード バイ エア社」の使用商品である被服等とは,いずれもファッション関連商品であって,統一ブランドの下にファッションをまとめようとする昨今にあっては,密接な関係にある商品であり,取引者,需要者が共通しているといえるものであることなどを総合勘案すると,請求人は,本願商標の登録出願時に,フード・バイ・エア社商標の存在を熟知していたものというべきであり,フード・バイ・エア社商標が商標登録されていないことを奇貨として先取りし,剽窃的に本願商標を登録出願し,その登録を受けようとしたものというのが相当であるから,不正の目的をもって使用するものといわざるを得ない。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。
5 請求人の主張について
請求人は,当審における拒絶理由通知に対し,上記第3のとおりの意見を述べている。
しかしながら,商標法第4条第1項第19号で求められている周知性は,その及ぶ範囲が,同号の適用の有無を決めることがあり得るとしても,それは,「不正の目的」の有無を決める一要素となることを通じてであると解するのが,合理的であり(東京高裁平成14年(行ケ)第97号判決参照),フード・バイ・エア社商標が,米国において,長袖シャツ等の被服について,フード・バイ・エア社の出所を表示するものとして,取引者,需要者の間に一定程度知られていたものと認められるのは,上記2(5)のとおりである。
そして,上記1及び3のとおり,本願商標とフード・バイ・エア社商標とは,構成文字を共通とし,共にその構成文字から特定の熟語的意味合いを形成するものとは認められない造語であって,その構成における特徴の多くを共通とする酷似した商標といわざるを得ないものであるから,これを請求人が本願商標を採択するに際し,フード・バイ・エア社商標と,偶然の一致したものとは到底認められないばかりか,請求人は,本願の出願に際して、商標登録されるかどうかの調査依頼を特許事務所 富士山会に依頼し,先行商標調査結果において,インターネット上で「フードバイエアー」等の語を検索すると商標として使用されているものがかなりヒットするので,これが周知商標に該当する場合,本件商標と抵触するとして拒絶査定されるおそれが有る旨の報告を受けていることも述べていることから,請求人が本願商標を採択した経緯は,信用することができない。
したがって,請求人の上記第3の主張は,採用できない。
6 まとめ
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第19号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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