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Trademark Appeal Case

品質表示の識別力判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2014−2226(T2014−2226/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「雪中熟成」の文字を標準文字で表してなり、第29類「加工水産物,食用魚介類(生きているものを除く。)」を指定商品として、平成25年4月23日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『雪中熟成』の文字を標準文字で表してなり、その構成中『雪中』の文字は、『雪の中』の意味合いを想起させ、『熟成』の文字は、『肉・獣肉などが酵素の作用により分解され、特殊な風味・うまみが出ること』を意味し、インターネット情報によれば、『雪の中で熟成させたもの』を『雪中熟成』と称していることから、本願商標は、『雪の中で熟成させたもの』程の意味合いを無理なく看取させるものといえる。したがって、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、『雪の中で熟成させた商品』程の意味合いを認識するにとどまり、本願商標は、単に該商品の品質を表示したものにすぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における手続の経緯

当審において、平成26年9月5日付け証拠調べ通知書により、本願商標が全体として「雪の中で熟成」の意味合いを理解させ、飲食物関連の分野において雪の中で熟成させた商品が製造、販売され、その商品について「雪中熟成」の文字が使用されている実情が見受けられるとして、請求人に対し、別掲1に示す新聞記事及びウェブサイト等を提示し、意見を求めたところ、請求人は、同年10月20日付けで意見書を提出した。

4 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、上記1のとおり、「雪中熟成」の文字を標準文字で表してなるから、普通に用いられる方法で表示してなるものといえる。

そして、本願商標の構成中の「雪中」の文字は、「雪が降る中。雪の積もった中」を、また、「熟成」の文字は、「蛋白質・脂肪・炭水化物などが、酵素や微生物の作用により、腐敗することなく適度に分解され、特殊な香味を発すること。なれ。」等を意味する語(各語の意味は、いずれも「広辞苑 第六版」(岩波書店発行)から引用。)として、いずれも広く知られているものである。

また、本願の指定商品を含む飲食物関連の分野において、別掲2のとおり、「魚肉を熟成すること」が一般に行われており、さらに、その熟成の方法として、別掲2の5ないし10のとおり、低温の下で行われている実情も認められる。

さらに、別掲1のとおり、「雪の中で熟成すること」が、アルコール飲料、果物、野菜、コーヒー等幅広い食品を対象として行われており、その熟成に際し、「雪の中」の意味を表すものとして「雪中」の文字が使用されている事実も認められる。

そうとすると、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、全体として「雪の中で熟成された商品」であることを容易に想起、認識するというのが相当である。

してみれば、本願商標は、本願の指定商品との関係において、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、「雪中熟成」の文字は、辞書等に録取された語ではなく、既存の語を組み合わせて造られた請求人独自の造語であって、また、「雪中」の文字も多様な観念を想起させるものであることから、「雪の中で熟成」といった意味合いを容易に理解されるような語ではない旨主張する。

しかしながら、「雪中熟成」の文字が、辞書等に掲載されておらず、「雪中」の文字の構成から看取される「雪」、「中」及び「雪中」の各文字が、複数の意味を有する語であるとしても、本願商標は、その後に「熟成」の文字が続くのであって、飲食物関連の分野における取引の実情によれば、上記(1)のとおり、本願商標に接する取引者、需要者が、本願商標全体から「雪の中で熟成する」といった意味合いを容易に認識するものというのが相当である。

イ 請求人は、他の登録例を挙げ、これらの商標が登録されている以上、本願商標も登録されるべき旨主張する。

しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、該登録出願の査定時又は審決時において、該商標の構成態様と指定商品との関係や商品の取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであり、本願商標については、上記(1)のとおり判断すべきであるから、該登録例が存することをもって本願商標を登録することはできない。

ウ 請求人は、上記3の職権証拠調べの結果として通知された証拠は、「本願の指定商品『加工水産物,食用魚介類(生きているものを除く。)』以外の商品に関するものであるから、該証拠をもって、本願商標の出所表示機能の有無に関する判断の根拠とすることは、明らかに不適切である」また、「本願指定商品において、『雪中熟成』の語が、取引上使用されておらず、商品の品質を表示するものとして取引者、需要者に認識されている事実もないことから、本願商標は、商品の品質を表すものではなく、十分に自他商品識別機能を有するものである」旨主張する。

しかしながら、職権証拠調べの結果として通知された証拠は、本願の指定商品と取引者、需要者を共通にする場合も少なくない飲食物関連の分野に関するものであることから、取引の実情を認定する根拠となり得るものである。

また、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(東京高裁 平成12年(行ケ)第76号、平成12年9月4日判決参照)とされていることからすると、商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、実際に商品の品質を表示するものとして使用されていることまでは必要としないと解されるのであって、しかも、本願商標を構成する「雪中熟成」の文字については、取引者、需要者をして、商品の品質を表したものとして看取、理解するにとどまるものであることは、上記(1)で述べたとおりである。

エ 請求人は、上記3の職権証拠調べの結果として通知された証拠は、特定の目的のために「雪中熟成」のキーワードを事前に得た上で意識的に検索する必要があると考えられ、近年におけるインターネットの普及を考慮したとしても、そのような検索をして得た結果と本願指定商品に使用される商標に対する取引者、需要者の認識の度合いは必ずしも一致するものではなく、本願商標の出所表示機能を否定する判断の基礎になりえない旨主張する。

しかしながら、職権証拠調べの結果として通知された証拠は、飲食物関連の分野における一般の取引者、需要者が容易に閲覧可能な新聞記事及びインターネットのウェブサイトの記事であって、当該記事に雪の中で熟成させた商品が製造、販売され、その熟成について「雪中熟成」の文字が使用されているのであるから、本願商標に対する取引者、需要者の認識を示す根拠となり得るものである。

オ 請求人の主張は、上記アないしエのとおりであるから、いずれも採用できない。

(3)まとめ

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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