Trademark Appeal Case
品質表示と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−21679(T2014−21679/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「パリッとサクッと春巻」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成25年12月27日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同26年6月27日付け及び当審における同年10月27日付け手続補正書により、最終的に、第30類「冷凍春巻,その他の春巻」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『パリッとサクッと春巻』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中『パリッとサクッと』の文字は、焼き菓子や穀物の加工品等の食感を表現するために用いられている実情が伺える。そうすると、本願商標をその指定商品中『春巻風の焼き菓子,春巻風の揚げ菓子,冷凍春巻,その他の春巻』に使用しても、パリッとサクッとした食感の春巻(春巻き風の菓子)であること、すなわち、商品の品質を普通に用いられる方法で表示してなるものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知(要旨)
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、拒絶理由通知書及び拒絶査定において示した事実のほかに、別掲3に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成27年2月4日付けをもって証拠調べ通知書を送付し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。
4 当審においてした証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)
(1)証拠調べ通知書にあげた新聞記事及びウェブサイトにおける使用例(別掲3)は、「パリッと」及び「サクッと」の文字が、それぞれ食感を表示するものとして用いられているものではなく、また、「春巻」以外の食品の使用例も含まれるものであって、「パリッとサクッと」及び「パリッとサクッと春巻」の文字が春巻の食感を表す例として一般に使用されていることを示すものではない。
(2)証拠調べ通知書にあげた「パリッと○○」「サクッと○○」(「○○」は商品名)の使用に係る新聞記事及びウェブサイトの記載は、当該食品の食感を表しているというよりは、むしろ商品を区別するための目印として用いられているとみるべきものである。
(3)請求人は、本願商標を2012年3月から現在も使用しており、賞を受賞するなど請求人の出所識別標識として指定商品に係る需要者の間で広く認識されているものである。
(4)「パリッとチョコ&とろ〜りチョコ」の商標のように、本願商標と同一の構成態様からなる商標が商標登録され、異議申立てにおいても、商標法第3条第1項第3号に該当しないと判断されている例がある(甲第35号証)。
(5)以上のことから、本願商標は、その指定商品との関係において、その食感を表すものではなく、十分に自他商品の識別力を具備するものである。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、上記1のとおり、「パリッとサクッと春巻」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「パリッと」の文字は、「薄く固い物が割れたりはがれたりする音の形容。」の意味を、「サクッと」の文字は、「食物の歯ごたえや切れ方が、軽く小気味よいさま。」の意味を、また、「春巻」の文字は、「小麦粉で作った薄い皮で具を包み、揚げた中国料理の点心。」(いずれも広辞苑第六版)の意味を有する語として、いずれも親しまれているものである。
ところで、商品「春巻」は、当該商品を油で揚げることで、小麦粉で作った薄い皮が「ぱりっと」あるいは「さくっと」した食感であることが一般的にその特徴とされていることは、別掲3(1)に示す、ウェブサイトにおける商品の説明、宣伝などの記載からいえる。
また、食品を取り扱う分野において、「パリッと」及び「サクッと」の文字は、原審における平成26年5月13日付け拒絶理由通知書(別掲1)及び同年7月24日付け拒絶査定(別掲2)に示した新聞記事及びウェブサイトの記載とおり、食品の食感を表すものとして普通に使用されている実情が認められる。
さらに、「パリッと○○」及び「サクッと○○」(「○○」は商品名)の文字が、別掲3(2)に示すとおり、例えば「パリッとした皮と具材の食感」(別掲3(2)ア(ア))、「パリッとした食感」(別掲3(2)ア(オ)及び(カ))、「クラフトの食感を改良し、外側のサクッと感・・・を強化」(別掲3(2)イ(ア))又は「サクッとした食感」(別掲3(2)イ(ウ)及び(エ))など商品の食感(内容)を説明する文言とともに使用されていることから、「パリッと」及び「サクッと」の語が商品名と一連に表して、該商品の食感を表すものとして、一般的に使用されている実情が認められる。
以上のことからすると、「パリッと○○」及び「サクッと○○」の文字も、全体として「パリッとした食感の○○(商品)」及び「サクッとした食感の○○(商品)」であるという、商品の品質を表したにすぎないものといえる。
そうとすると、「パリッとサクッと春巻」の文字からなる本願商標は、商品名である「春巻」の文字に、食感を表す文字として普通に使用されている「パリッと」及び「サクッと」の文字を重ねて一連に表したものと容易に認識させるものであるというのが相当であるから、本願商標は、全体として、「ぱりっとさくっとした食感の春巻」程の意味合いを理解させるものである。
そして、本願商標は、標準文字で表したものであるから、その書体等に特段の特徴があるということができない。
してみると、「パリッとサクッと春巻」の文字からなる本願商標に接する取引者、需要者は、その指定商品との関係において、「ぱりっとさくっとした食感の春巻」程の意味合いを理解するにとどまるというのが相当であるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、請求人による使用の結果、請求人の出所識別標識として指定商品に係る需要者の間で広く認識されているものである旨主張する。
しかしながら、請求人が提出した証拠によっては、本願商標を付した商品の使用地域、生産及び販売数量並びに広告宣伝の方法及び回数等などは明かでなく、本願商標が、その指定商品に使用された結果、請求人の業務に係るものとして、需要者間に広く認識されるに至っていると認めることができないことから、上記請求人の主張は採用することができない。
イ 請求人は、過去の登録例及び登録異議の申立ての決定例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張している。
しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能し得るか否かは、該登録出願の査定時又は審決時において、該商標の構成態様と指定商品との関係や商品の取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであり、本願商標については、上記(1)のとおり判断すべきであるから、該登録例及び決定例が存することをもって本願商標を登録することはできない。
ウ よって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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