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Trademark Appeal Case

称呼類似と周知性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2015−900013(T2015−900013/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5717649号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5717649号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成26年3月4日に登録出願、第1類「防水剤,皮革仕上剤,皮革修復用化学品,その他の化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。)」、第3類「しみ抜き剤,皮革用つやだし剤,かばん・皮革コート・ベルト等の皮革製品の補修効果のあるつや出し剤,その他のつや出し剤,皮革用洗浄剤,皮革用せっけん,皮革用クリーナー,布の洗浄剤,カーペット用洗浄剤,航空機・鉄道車両・自動車の室内清掃用洗浄剤,その他のせっけん類,皮革用クリーム,皮革用ワックス,靴クリーム,靴墨」及び第37類「皮革製品の手入れ,皮革製品の修理,皮革製品のクリーニング,被服(布製のものに限る。)の手入れ及び修理,布製又は布を用いた家具の手入れ及び修理,布製のかばん類及び袋物の手入れ及び修理,布製のカーテンの手入れ及び修理,航空機の客室内の清掃,鉄道車両の客室内の清掃,自動車の車内の清掃」を指定商品及び指定役務として同年10月23日に登録査定、同年11月14日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する米国登録第3752682号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおり、「LEATHER SPA」の欧文字を横書きしてなり、2007年5月21日に登録出願され、第35類「Retail store services featuring shoe care products and accessories; On-line retail store services featuring shoe care products and accessories.」を指定役務として、2010年2月23日に登録されたものである(甲2)。

2 申立人の引用する米国登録第4066016号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、2010年12月15日に登録出願され、第3類「Boot wax; Creams for leather; Leather polishes; Shoe polish; Shoe polish and creams.」、第10類「Arch supports for boots or shoes.」、第21類「Shoe trees.」及び第25類「Leather inner soles and insoles.」を指定商品として、2011年12月6日に登録されたものである(甲3)。

なお、引用商標1及び2を併せて指称する場合は、以下「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由

1 商標法第4条第1項第19号の該当性について

(1)商標の類似

本件商標は「leather spa」の文字部分より「レザースパ」の称呼を生じる。

本件商標と引用商標1とを比較すると、引用商標1は「LEATHER SPA」の文字部分より「レザースパ」の称呼を生じるものであるから、両商標は「レザースパ」の称呼を共通にする類似のものである。本件商標には比較的単純かつ小さな幾何学図形が付いており、引用商標1にはこれがないが、この図形は本件商標の権利者が既に有していた図形を申し分程度に付けただけであり(甲5)、本件商標と引用商標1はなお類似する。

一方、本件商標と引用商標2とを比較すると、やはり「LEATHER SPA」文字部分より「レザースパ」の称呼を生じるものであるから、両商標は「レザースパ」の称呼を共通にする類似のものである。両商標において図形部分が異なっているが、本件商標の「leather spa」の文字の上にワンポイントロゴマ−クという構成が引用商標2の「LEATHER SPA」の文字の上にワンポイントロゴマークという構成と非常に似通っており、商標としての類似性を残しつつ引用商標2の図形部分を単に別の図形にすり替えただけであることは明らかである。

(2)引用商標の周知性

引用商標は本件商標の出願時及び査定時において少なくとも米国において周知な商標となっている。

申立人(甲6)は、平成21年頃から引用商標の使用を米国にて開始し、その後20〜30ケ国において指定役務に係る商品を輸出している。米国ではほぼ全ての州に商品を発送している。

申立人が引用商標を付して扱う商品を甲第7号証に示す。

申立人は、米国ニューヨーク州に3店舗を有し、その他、靴、ハンドバッグ等の修理工場を有する(敷地約1480平方メートル)(甲8)。店舗及び修理工場では本件商標が指定役務とするような「皮革製品の手入れ,皮革製品の修理,皮革製品のクリーニング」等のサービスを行っている(甲9)。修理工場では、グッチ(Gucci)、フェンディー(Fendi)、イヴ・サンローラン(YSL)、クリスチャンルブタン(Christian Louboutin)、マノロ・ブラニク(Manolo Blahnik)、シャネル(Chanel)等の販売店からの靴、バッグ及び革製品の修理を取り扱い、その他、一般顧客からも郵送にて修理を取り扱っている。店舗は毎年平均約1万5千人〜2万人の顧客が訪れる。引用商標の商標権者は約85人の従業員を有する。一日に約400個の靴やハンドバッグを修理している。

毎月、ソーシャルメディアやファッション産業誌に広告を掲載し、また、様々な雑誌やインターネット記事において毎月約10〜15回程度掲載されている(甲10〜甲36)。

インターネット動画サイトYouTubeでも紹介されている。

日本にも顧客がおり、日本から郵送にて修理を受け、郵送にて返却している。本件商標を日本において使用されると、需要者にとって混同が生じ、引用商標の商標権者が培ってきたブランドに対する評判を大きく損なうはずである。

(3)不正の目的

引用商標「LEATHER SPA」は、辞書に掲載されておらず既存の言葉ではなく、造語よりなるものである。したがって、本件商標は、(a)一以上の外国において周知な商標と極めて類似するものであること、(b)その周知商標が造語よりなるものであること、という要件を満たし、「不正の目的」が推認される(商標審査便覧42.119.03)。

(4)したがって、本件商標は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするもの」であり、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。

2 商標法第4条第1項第7号の該当性について

本件商標が引用商標と類似することは既に述べたとおりである。引用商標が外国において周知な商標であることも既に述べたとおりである。

よって、本件商標の商標権者は、引用商標が我が国において商標登録されていないことを奇貨として、先取り的に商標登録出願し、商標権を取得したものとみるのが相当である。

してみれば、商標権者が本件商標を商標登録出願し商標権を取得した行為は、公正な商取引の秩序を乱すおそれがあり、ひいては公の秩序を害するおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本件商標は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」であり、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。

3 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

第4 当審の判断

1 本件商標について

本件商標は、別掲1のとおり、図形と「leather spa」の欧文字からなるものである。

2 引用商標について

(1)引用商標の構成

ア 引用商標1は、別掲2のとおり、「LEATHER SPA」の欧文字を横書きしてなるものである。

イ 引用商標2は、別掲3のとおり、図形と「LEATHER SPA」の欧文字からなるものである。

(2)引用商標の周知性

申立人は、甲各号証によれば、靴又はバッグなどの皮製品の手入れ、クリーニング及び修理並びに皮製品の手入れ用品などの販売をしていることが認められ、そして靴修理や靴の手入れ用の商品などの販売については引用商標の使用をしていることが認められる。

しかしながら、甲各号証により、申立人の引用商標の使用は米国において行われていることが認められるが、靴修理や靴の手入れ用商品の販売などについての販売数量、修理件数、販売地域、売上げ高、市場占有率、これらの点に関する競業他社との比較などについては全く明らかにされていないから、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国及び米国以外の外国はもとより、米国においても周知性を獲得していたとは認められない。

3 商標法第4条第1項第19号の該当性について

引用商標は、上記2のとおり、我が国及び外国において周知性を獲得していたとは認められないものである。そうすると、本件商標は、仮に引用商標と類似の商標であるとしても、引用商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されているものとは認められないものであるから、商標法第4条第1項第19号の要件を欠くものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

4 商標法第4条第1項第7号の該当性について

本件商標は、仮に引用商標と類似の商標であるとしても、上記2のとおり、引用商標が我が国及び外国において周知性を獲得しているとは認められないものであるから、本件商標の商標権者が我が国において引用商標の商標登録がされていないことを奇貨として、先取り的に商標登録出願し、商標権を取得したと解することはできないというべきである。

そうすると、商標権者が本件商標を商標登録出願し商標権を取得した行為は、公正な商取引の秩序を乱すおそれがあり、ひいては公の秩序を害するおそれがあるものということができない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

5 結論

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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