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Trademark Appeal Case

引用商標との類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2015−900048(T2015−900048/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5717051号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5717051号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成26年7月2日に登録出願,同年10月20日に登録査定,第11類「暖冷房装置,換気装置,空気調和装置」を指定商品として,同年11月7日に設定登録されたものである。

第2 引用商標等

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,引用する登録商標及び使用に係る商標は,以下のとおりである。

1 登録第661944号商標(以下「引用商標1」という。)は,「GEA」の欧文字を書してなり,昭和37年7月9日に登録出願,第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同39年12月18日に設定登録され,その後,4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

そして,平成17年4月27日に,その指定商品中,第9類「耕うん機械器具(手持ち工具に当たるものを除く。),栽培機械器具,収穫機械器具,植物粗製繊維加工機械器具,飼料圧搾機,飼料裁断機,飼料配合機,飼料粉砕機,芝刈機」について,一部放棄による本権の登録の一部抹消の登録がされ,さらに,同18年1月4日に,第7類「化学機械器具,風水力機械器具,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」,第11類「工業用炉,ボイラー,冷凍機械器具,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,暖冷房装置,浄水装置」とする指定商品の書換登録がなされたものである。

その後,同18年5月17日に,商標権の一部取消し審判(登録日は,平成17年2月2日)により,指定商品中「耕うん機械器具(手持ち工具に当たるものを除く。),栽培機械器具,収穫機械器具,植物粗製繊維加工機械器具,飼料圧搾機,飼料裁断機,飼料配合機,飼料粉砕器,芝刈機」について,登録を取り消すべき旨の確定審決の登録がなされ,さらに,同26年8月26日に商標権の存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。

2 登録第4058513号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,1994年4月23日にドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して平成6年10月21日に登録出願,第11類「電球類及び照明用器具,あんどん,ガスランプ,石油ランプ,ちようちん,ほや,工業用炉,原子炉,ボイラー,ガス湯沸かし器,調理台,流し台,加熱器,冷凍機械器具,アイスボツクス,氷冷蔵庫,飼料乾燥装置,牛乳殺菌機,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,暖冷房装置,家庭用電熱用品類,浴槽類,家庭用浄水器,水道蛇口用座金,水道蛇口用ワツシヤー,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓,汚水浄化槽,家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,ごみ焼却炉,し尿処理そう,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤デイスペンサー,便器」を指定商品として,同9年9月19日に設定登録され,その後,同19年7月17日に商標権の存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。

3 登録第4562694号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲3のとおりの構成からなり,平成9年4月1日に登録出願,第11類「工業用炉,原子炉,火鉢類,ボイラー,ガス湯沸かし器,加熱器,調理台,流し台,冷凍機械器具,業務用レンジ,業務用煮炊釜,業務用炊飯器,業務用焼物器,業務用揚物器,業務用食器乾燥機,飼料乾燥装置,牛乳殺菌機,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,暖冷房装置,水質汚濁防止装置,浄水装置」,並びに,第7類,第9類,第35類ないし第37類,第40類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同14年4月19日に設定登録され,その後,同24年4月24日に商標権の存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。

4 甲第5号証に示す使用に係る商標

申立人が「各種のプロセスエンジニアリング並びに熱交換や空気調和システムの専門機器」に使用する甲第5号証に示す商標(以下「引用商標4」という。)は,「GEA」の欧文字を横書きしてなるものである。

5 甲第6号証に示す使用に係る商標

申立人が「各種のプロセスエンジニアリング並びに熱交換や空気調和システムの専門機器」に使用する甲第6号証に示す商標(以下「引用商標5」という。)は,引用商標3と略同一の構成(色彩は付されていない)からなるものである。

以下,引用商標1ないし引用商標3をまとめて「引用商標」といい,引用商標4及び引用商標5を「使用商標」という場合がある。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号,同項第10号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第41号証を提出した。

1 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標

本件商標は,別掲1のとおりからなるところ,その最初の2文字「G」,「E」は大文字であるので,次に続く文字は,通常,大文字であると理解・認識されるとみるのが自然であること,殊に,これらに続く図案化部分(以下「本件図形」という場合がある。)の左下から右上に向かった細い線が配されているが,それは大文字の「A」の真ん中の線を表したものと理解・認識され,大文字の「A」を図案化したものと捉えるのが自然であると思われること,さらに,下記(2)に示すとおり,インターネット上の各種のホームページで,それぞれ異なる第三者によって掲出されている種々の書体又はロゴで「A」が表されている(甲13ないし甲25)ことからすると,本件商標は,「GEA」で構成された商標と捉えるのが自然であり,そのような商標からは,「ジーイーエイ」又は「ゲア」の称呼が生じるものと考えるのが相当である。

なお,これらの文字は,特定の意味を持たない造語であるので,特定の観念は生じない。

(2)「A」を表現する書体及びロゴについて

本件図形部分が「A」を表したものと認識されるといえることは,インターネット上の各種のホームページ及び検索エンジン「Google」で「A」のロゴを検索した画像リストからもわかる(甲13ないし甲25)。

(3)引用商標

引用商標は,欧文字の「GEA」を表したものであると容易に認識されるものである。

そして,引用商標からは,「ジーイーエイ」又は「ゲア」の称呼が生じ,文字としては特定の観念は生じないが,「GEA」は,申立人又はそのグループ会社の業務を表すものとして世界的に著名になっている文字列である。

(4)本件商標と引用商標との商標の対比

本件商標と引用商標とを比較すると,本件商標から生じる「ジーイーエイ」又は「ゲア」と,引用商標から生じる「ジーイーエイ」又は「ゲア」は,称呼が同一である。

したがって,本件商標と引用商標とは,共に造語商標であるので観念上は比較することができない(したがって,観念上明確に区別することはできない)ものであり,外観上も同一とはいえないものの,共に欧文字「G」,「E」,「A」の3文字を基にしたもので似通った印象を与えるものであって,そのような状況においてさらに称呼が同一であるため,類似するものといえる。

(5)本件商標と引用商標の指定商品の対比

本件商標の指定商品は,引用商標1の「暖冷房装置」,引用商標2の「暖冷房装置,家庭用電熱用品類」及び引用商標3の「暖冷房装置」と類似する。

(6)小括

上述のとおり,本件商標は,引用商標と類似し,かつ,その指定商品も引用商標の指定商品と同一又は類似のものを含むので,商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について

(1)前提となる事実

申立人は,ドイツに本拠を置き,本件商標の出願前より,その名称の要部である「GEA」の語を社名に冠する多数の関連会社を世界各地に有し,それらを以って「GEAグループ」という世界的規模の企業グループを形成するとともにそれを統括して,使用商標等の下で,各種のプロセスエンジニアリング並びに熱交換や空気調和システムの専門機器(資料5),ふん尿処理機械等々の提供を行っている(甲31ないし甲40)。

また,申立人は,2012年においては,GEAグループ全体の連結で,計59億ユーロ(1ユーロを100円とした場合,5900億円)を超える額を売り上げた(甲41)。

上記のとおり,申立人及びその関連会社の世界的規模のグループである「GEAグループ」は,その使用商標と共に,本件商標の出願前より現在まで,各種機械器具の需要者・取引者において,広く知られるに至っている。言い換えると,「GEA」の語並びに使用商標は,本件商標の出願前より現在まで,それらの者において,申立人及びその傘下の企業グループの「GEAクループ」を示すものとして広く知られるに至っている。

(2)小括

「GEA」の語並びに使用商標は,本件商標の出願前より現在まで,各種機械器具の需要者・取引者において,申立人及びその傘下の企業グループである「GEAグループ」を示すものとして広く知られるに至っていること,本件商標は,申立人の使用商標に類似すること,本件商標は,その指定商品「暖冷房装置,換気装置,空気調和装置」に使用するものであり,他方,申立人の使用商標は,各種のプロセスエンジニアリング並びに熱交換や空気調和システムの専門機器に使用するものであって,両商品は類似する。

したがって,本件商標は,申立人の使用商標の存在により,商標法第4条第1項第10号に該当する。

3 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について

前記2(1)に述べたとおり,「GEA」の語並びに申立人の使用商標は,本件商標の出願前より現在まで,各種機械器具の需要者・取引者において,申立人及びその傘下の企業グループの「GEAグループ」を示すものとして広く知られている状況において,本件商標がその指定商品に使用された場合,当該商品は,申立人の業務に係るもの,あるいは申立人が統括する「GEAグループ」に属する者の業務に係るものと誤認混同されるおそれがある。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は,別掲1のとおりの構成からなるところ,その構成中,前半の2文字は,「G」と「E」の欧文字を表してなるものであるが,その後に表されている本件図形部分は,いかなるものを表したものであるかを直ちに理解させることができない。

そうとすれば,本件商標は,その構成中の「GE」の文字部分から,「ジーイー」の称呼を生ずるものであり,また,特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標について

引用商標は,「GEA」の欧文字,並びに,別掲2及び3のとおり,「GEA」の欧文字を図案化して表した構成からなるものであるから,これらからは,「ジーイーエイ」又は「ゲア」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

(3)本件商標と引用商標の類否について

本件商標は,別掲1のとおり,「GE」の欧文字と本件図形とを,まとまりよく一体的に表した構成からなるのに対し,引用商標1は,「GEA」の欧文字を書してなるものであり,また,引用商標2及び3は,別掲2及び3のとおり,「GEA」の欧文字を図案化した構成からなるものであるから,本件商標と引用商標は,その構成態様及び図案化の程度において顕著な差異を有し,外観上,明瞭に区別できるものである。

そして,称呼においては,本件商標から生ずる「ジーイー」の称呼と引用商標から生ずる「ジーイーエイ」の称呼とは,語尾における「エイ」の音の有無において明らかな差異を有するものであるから,互いに聞き誤るおそれはないものである。

また,本件商標から生ずる「ジーイー」の称呼と引用商標から生ずる「ゲア」の称呼とは,その構成音及び構成音数が明らかに相違するものであるから,判然と聴別できるものである。

さらに,本件商標と引用商標は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上,相紛れるおそれはない。

してみれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 申立人の使用に係る商標の周知性について

申立人が提出した証拠及びその主張によれば,申立人は,ドイツ連邦共和国に本拠を置く法人であって,世界50カ国以上に営業所を展開する,プロセス機械工学,プラント工学に特化した国際的エンジニアリング複合企業であり,各種のプロセスエンジニアリング(粉体,液体充填機,自動袋詰装置,気流乾燥装置等)を取り扱い(甲32,甲34等),2011年の総売上額は,54億ユーロ(甲34),2012年においては,計57億ユーロを超える収益(甲41)を計上しているものである。

そして,日本における申立人の関連企業は,株式会社ユーロテクノが国内における申立人グループの製品販売代理店として始動した(甲31)ほか,申立人と提携するRT部門(冷凍技術)の日本総代理会社である日本熱源システム株式会社(甲33),「乳製品製造プロセス,VARIVENTバルブ」等を取り扱うGEAプロセスエンジニアリング株式会社(甲34),「遠心分離機」を取り扱うGEAウエストファリアセパレータージャパン株式会社(甲37)等があることが窺える。

また,申立人及びその関連企業のホームページ,カタログ等においては,引用商標1及び4と同一の構成文字「GEA」の欧文字が使用されており(甲34,甲40,甲41),引用商標3及び5のとおりの構成からなる商標(以下「申立人商標」という。)が使用されている(甲34,甲36,甲37,甲39,甲41)。

しかしながら,申立人の提出に係る証拠においては,申立人及びその関連企業が,それらの業務に係る商品について,我が国おいて「GEA」の欧文字及び申立人商標の使用を開始した時期,使用期間,使用地域等,及び,営業の規模,広告宣伝の方法,回数,内容等を具体的に把握することができない。

そうすると,申立人の提出に係る証拠からは,「GEA」の欧文字及び申立人商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。

3 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について

「GEA」の欧文字及び申立人商標は,前記2のとおり,申立人の業務に係る商品を表すものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,需要者の間に広く認識されていたものと認めることができず,また,本件商標と「GEA」の欧文字及び申立人商標とは,前記1(3)に記載した引用商標との類否と同様の理由により,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから,本件商標は,「GEA」の欧文字及び申立人商標とは,別異の商標と認められる。

そうすると,本件商標は,これを本件商標権者がその指定商品について使用しても,これに接する需要者が申立人又は同人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない。

4 申立人の主張について

申立人は,「本件商標の最初の2文字『G』,『E』は大文字であるので,次に続く文字は,通常,大文字であると理解・認識されるとみるのが自然であること,殊に,本件図形の左下から右上に向かった細い線が配されているが,それは大文字の『A』の真ん中の線を表したものと理解・認識され,大文字の『A』を図案化したものと捉えるのが自然である」旨主張する。

しかしながら,本件商標の最初の2文字が大文字であるとしても,それに続く文字も必ずしも大文字であるとは限らないものであり,その「G」と「E」に続く本件図形部分の構成態様からは,これに接する者に,特定の大文字を理解,認識させるものということができない。

また,甲第15号証ないし甲第25号証の「A」を図案化したロゴにおいては,その上部は山形ないし屋根形をもって表されているものがほとんどであって,「A」の横線部分が様々な形状で表現されていることを考慮して本件図形部分をみても,その構成態様から大文字の「A」を図案化して表したものと認識させるということができない。

したがって,申立人の主張は,採用することができない。

5 まとめ

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号,同項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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