sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2015−900024(T2015−900024/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5712706号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5712706号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成26年6月19日に登録出願され、第35類「業務提携・企業買収・企業合併の斡旋・仲介・助言及び指導,企業の業務・組織・合理化・人事・労務管理に関する分析・助言及び指導,経営の診断又は経営に関する分析・助言及び指導」を指定役務として、同年10月6日に登録査定、同年同月24日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する国際登録第831025号商標(以下「引用商標」という。)は、「MAXUS」の欧文字を書してなり、2004年4月5日にUnited Kingdomにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2004年(平成16年)5月18日に国際商標登録出願、第35類「The planning, purchase and procurement of media time for advertising; media research and consultancy; planning, buying and negotiating advertising and media space and time; business and marketing consulting in the field of media buying; research and consultancy in the field of media planning; placing the advertisements of others. 」を指定役務として、平成17年6月24日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

第3 申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。

1 申立人について

申立人は、2008年に設立された英国の法人であり、世界最大の広告代理店グループ「WPP」に属する「GroupM」傘下のメディア・エージェンシーとして、世界55力国に拠点を展開し、2500人のスタッフを有している(甲3及び甲4)。

申立人は、独自のメディアプランニングアプローチにより設立以来急成長を続けていて、メディア業界の独立系調査機関RECMAに2年連続で「世界で最も急成長しているメディア・エージェンシー」に選ばれ(甲3及び甲4)、世界的広告業界紙campaignにおいて「Media Network of the Year 2011」に選ばれた(甲5)。

日本では、2013年1月に「MAXUS Japan」として営業を開始し(甲6)、現在に至るまで、ジョンソン株式会社などの顧客に対して、役務の提供を行っている(甲7)。また、日本進出と同時期に、日本における広告代理店株式会社アサツー ディ・ケイ(ADK)とメディアユニット「ADK+maxus」を設立し、シンガポールをはじめとするアジア各国で、包括的な協業を行うことを発表した(甲8の1〜4)。

申立人の提供する役務は、コミュニケーション戦略の立案、媒体のプランニングや買い付け、マーケティング、データ分析などであり、広告の制作のみならず、メディアやブランドに関する戦略の立案や事業に関するコンサルティング業務も含む(甲3)。日本を代表する広告代理店のほとんどが、広告制作のみならず、ブランド戦略の立案、市場調査、事業に関するコンサルティングも提供していて(甲9の1〜5)、このような取引の実情からすれば、広告業と経営コンサルティング業は、提供者を共通にする非常に密接な関係にある。

以上のような事情から、広告業や経営コンサルティング業の分野において、「MAXUS」は申立人の略称及び申立人の提供する役務の出所を表す商標として、本件商標の出願日及び登録査定日以前から、日本において広く知られていた。

2 商標法第4条第1項第11号の該当性について

(1)本件商標の構成について

本件商標は、左側の図形部分と、その右側に二段に書された「MAXUS」及び「CORPORATE ADVISORY」の文字を結合した構成からなる。「MAXUS」の文字は、図形部分と「CORPORATE ADVISORY」の文字に比べて非常に大きく表されていて、色彩的に目を引きやすい赤色で書されていることも相まって、外観上、分離して観察される。また、「MAXUS」は、既存語ではない上に(甲10)、前述のように、広告業や経営コンサルティング業の分野においては、申立人の略称及び商標として広く知られているため、申立人を想起させる場合もある。一方、本件商標の指定役務との関係において、「CORPORATE ADVISORY」の部分は、役務の内容等を表すものにすぎず、出所識別標識としての機能を発揮しない。また、「コーポレートアドバイザリー」が、他の語に後置して使用されている例が複数あることからすれば(甲11)、本件商標中、「CORPORATE ADVISORY」に前置されている「MAXUS」の部分に、特に注意が払われるとみるのが自然である。さらに、文字部分全体から生じる「マクサス・コーポレートアドバイザリー」の称呼は、17音と冗長であり、簡易迅速を尊ぶ商取引においては、語頭の「マクサス」の称呼のみを以て、取引に資される場合も多いといえる。

以上のことから、本件商標に接する需要者は、本件商標中「MAXUS」の文字部分に着目して、出所を識別するというべきであり、全体から生じる称呼以外に、「マクサス」の称呼を生じる。

(2)引用商標の構成について

引用商標は「MAXUS」の文字をまとまりよく書した構成からなり、その構成文字から、「マクサス」の称呼を生じる。また、前述のとおり、「MAXUS」は既存語ではなく、申立人の略称及び商標を想起させる。

(3)本件商標と引用商標の類否

本件商標から生じる「マクサス」の称呼は、引用商標の称呼と同一である。また、本件商標のうち、外観上着目される「MAXUS」の文字部分は、引用商標の構成文字と同一であり、申立人の略称及び商標を認識させる。

したがって、本件商標と引用商標は、称呼、外観、観念のいずれにおいても相紛れるおそれのある類似の商標である。

(4)本件商標と引用商標の指定役務の類否について

本件商標の指定役務である、第35類「業務提携・企業買収・企業合併の斡旋・仲介・助言及び指導、企業の業務・組織・合理化・人事・労務管理に関する分析・助言及び指導、経営の診断又は経営に関する分析・助言及び指導」は、何れも、他人の依頼に基づいて、経営の診断や経営に関する助言を行う「経営コンサルタント」等が行うサービス(甲12)であり、類似群コード「35B01」が付される役務である。

一方、引用商標のうち、少なくとも第35類「media research and consultancy; business and marketing consulting in the field of media buying; research and consultancy in the field of media planning」は,コンサルティング業務や市場調査・分析を含む役務であり,類似群コード「35B01」が付される役務である(甲13)。

また、本件商標の指定役務と引用商標の指定役務は、どちらも事業や経営に関するコンサルティング業を含むものであって、同一又は類似の商標が用いられた場合、出所の混同を生じるおそれがある。

よって、本件商標と引用商標の指定役務は、互いに類似する役務である。

(5)小括

以上のように、本件商標は、引用商標と類似する商標であって、引用商標の指定役務と類似する役務を指定するものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといえる。

3 商標法第4条第1項第15号の該当性について

前述のとおり、本件商標は、広告業や経営コンサルティング業の分野において、申立人の略称及び商標として広く知られた「MAXUS」と類似する。

また、「MAXUS」は既存語ではなく、独創性の程度は高いといえる。そして、前述のとおり、広告代理店が経営コンサルティング業も行うことが一般的に行われていることからすれば、本件商標がその指定役務に使用された場合、需要者等が、「マクサス」の文字部分に着目して、当該商品が申立人、あるいは、申立人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務にかかる役務であると混同する可能性が極めて高いといえる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといえる。

4 商標法第4条第1項第19号の該当性について

前述のとおり、本件商標は申立人の略称及びハウスマークとして世界的に広く知られた「MAXUS」と類似する。また、本件商標の権利者は、マクサス・コーポレートアドバイザリー株式会社であるところ、敢えて「MAXUS」の文字部分を大きく表示した本件商標を出願していることからも、申立人の商標「MAXUS」の顧客吸引力へのただ乗りや希釈化といった、不正の目的をもって出願したものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものといえる。

第4 当審の判断

1 引用商標の周知性について

(1)甲各号証によれば、申立人に関して、以下の事実が認められる。

ア 甲第4号証は、マクサス−グループエム・ジャパンのウェブサイトのプリントアウトであり、「マクサスは、2008年に設立され、過去2年連続で、世界で最も成長しているメディア・エージェンシー・ネットワークです。(2011年RECMA調べ)」の記載がある。

イ 甲第8号証の1は、株式会社アサツー デイ・ケイ(以下「ADK」という。)が平成25年1月8日付けで公表したニュースリリースであり、「ADKが、日系企業向けに海外広告メディアサービスを強化。世界最大のメディアエージェンシーグループ『GroupM』とメディアユニット“ADK+maxus”を始動。」及び「『ADK+maxusアジア戦略プランニングセンター』をシンガポールに設立し、日本企業に『チャレンジャーブランドの成功メソッド』を提供開始」の見出しの下、以下の記載がある。

(ア)「ADKは、・・・WPP傘下のメディアエージェンシーグループ『GroupM』に属するmaxus社と、包括的な協業(中国を含むアジアにおける広告枠の買付とプランニング)を2013年より開始します。『GroupM』は、世界及びアジアの広告メディア市場において最大のシェアを有するメディアエージェンシーグループです。世界の広告メディア扱いの3割強のシェアを持ち、その広告枠の価格優位性は他の広告会社を圧倒しています。・・・(注)RECMAは世界のメディア業界の状況を定期的にレポートする独立系業界調査機関です。」

(イ)<WPPおよびGroupMの概要>「WPP:英国ロンドンに本拠地を置く世界最大の広告グループ。グループに属する会社は150社以上。世界107か国に2500以上のオフィスを有する。(2011年現在)」「GroupM:WPPグループのメディアエージェンシーグループ。maxus、MEDIACOM、mec、MINDSHAREの4社からなる。世界82か国で業務を行っており、2011年度の売上高は約910億ドル。メディアエージェンシーの扱い高では30%強のシェアを有し、業界1位。」

(ウ)<maxusの概要>「Group−M傘下のメディアエージェンシーで、世界55か国に拠点展開し、1750人のスタッフを有する。世界的広告業界紙Campaignに『Global Media Network of the Year 2011』として選ばれるなど業界内でその成長が注目されている。」

ウ 甲第8号証の2ないし4(2013年1月8日付け日本経済新聞、2013年1月16日及び2013年8月27日付けNNAアジア経済情報)にも甲第8号証の内容と同趣旨の記事が掲載されている。

(2)以上からすれば、申立人は、平成20年(2008年)に設立されたメディアエージェンシー(広告代理店)であり、平成25年(2013年)1月からADKと協業を開始したことに伴い、それに関する新聞報道などにおいて、申立人が、世界最大の広告グループWPP傘下のメディアエージェンシーグループ「GroupM」(2011年度の売上高は約910億ドル、メディアエージェンシーの扱い高では30%強のシェアを有し、業界1位)を構成する4社のうちの1社であり、RECMAの平成23年評価によれば2年連続で最も急成長しているグローバルメディアエージェンシーに選ばれ、また、世界的広告業界紙Campaignに「Global Media Network of the Year 2011」として選ばれるなど業界内でその成長が注目されていることが認められる。

しかしながら、申立人が属するGroupMの2011年度の活動状況は、売上高が約910億ドル、メディアエージェンシーの扱い高では30%強のシェアを有し、業界1位であるとしても、申立人が引用商標を使用した役務の提供の回数や地域、業界におけるシェア、広告宣伝の方法、回数、内容等を示す証拠は提出されていないから、引用商標が申立人の業務に係る役務を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができない。

2 商標法第4条第1項第11号の該当性について

(1)本件商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否について

本件商標の指定役務は、第35類「業務提携・企業買収・企業合併の斡旋・仲介・助言及び指導、企業の業務・組織・合理化・人事・労務管理に関する分析・助言及び指導、経営の診断又は経営に関する分析・助言及び指導」であって、これらの役務は経営コンサルタント等が経営者など他人の依頼に基づいて行う「経営の診断又は経営に関する助言 市場調査又は分析 商品の販売に関する情報の提供 ホテルの事業の管理」の範ちゅうに属する役務である。

一方、引用商標の指定役務は、「The planning, purchase and procurement of media time for advertising; media research and consultancy; planning, buying and negotiating advertising and media space and time; business and marketing consulting in the field of media buying; research and consultancy in the field of media planning; placing the advertisements of others. 」であって、いずれも広告代理店等が広告主の依頼に基づいて行う「広告業」の範ちゅうに属する役務の提供であると解されるものである。

なお、申立人は、引用商標のうち、少なくとも第35類「media research and consultancy; business and marketing consulting in the field of media buying; research and consultancy in the field of media planning」は、コンサルティング業務や市場調査・分析を含む役務であり、類似群コード「35B01」が付される役務である旨主張するが、これらの役務は、いずれも広告の分野において行われるコンサルティング業務、調査などの役務であり、「広告業」の範ちゅうに属すると解されるから、この点に関する申立人の主張は採用することができない。

そうすると、本件商標に係る指定役務と引用商標に係る指定役務とは非類似の役務というべきものである。

(2)上記(1)のとおり、本件商標に係る指定役務と引用商標に係る指定役務とは非類似であるから、本件商標と引用商標が類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第15号及び同項第19号該当性について

引用商標は、上記1のとおり、申立人の業務に係る商品及び役務を表すものとして、本件商標の登録出願時及び査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものであるから、本件商標権者が本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する需要者が申立人又は申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかと誤認し、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものである。

また、申立人の提出に係る全証拠を勘案しても、本件商標権者が引用商標の顧客吸引力を利用する、又は、顧客吸引力を希釈化させる等、不正の目的をもって本件商標を出願し、登録を受けて使用していると認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。

そうとすれば、本件商標は、不正の目的をもって使用するものということもできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当しない。

4 まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。