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Trademark Appeal Case

「プレミアム」と機能表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2014−8926(T2014−8926/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「プレミアム制震システム」の文字を標準文字で表してなり、第6類、第19類、第37類及び第42類に属する願書に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成25年6月7日に登録出願されたものである。

そして、その指定商品及び指定役務については、原審における平成25年11月25日付け手続補正書により補正された結果、第6類、第19類、第37類及び第42類に属する別掲1のとおりの商品及び役務となったものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は、「本願商標は『プレミアム制震システム』の文字を標準文字で表してなるところ、構成前半の『プレミアム』は『(形容詞的に用いて)高級な』の意味を有し、最近では商品・役務の品質・質を表示するものとして認識されているものである。また、構成後半の『制震システム』は、『地震の揺れを制御するシステム』程の意味合いを容易に認識させ、その指定商品・役務との関係においても『制震システム』の語が『地震の揺れを制御するシステム』程の意味合いをもって商品の取引・販売、役務の提供等に資されている実情がある。そうすると、本願商標よりは『品質・質の高級な(優れた)地震の揺れを制御するシステム』の意味合いを認識させるものとするのが相当であり、本願商標をその指定商品・役務中、上記意味合いに照応する商品・役務等に使用しても、単に商品の機能・用途・品質及び役務の質を表示するにすぎず、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の商品・役務に使用するときは商品の品質・役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、本願の指定商品及び指定役務に係る建築用材料、建築工事、建築物の設計等の商品・役務分野(以下「建築全般の商品及び役務の分野」ということがある。)において、建築物やその構成物の等級(グレード・ランク)や品質・程度などが高い(高級な)ことについて、「プレミアム」の語が広く一般的に使用されている事実、「制震システム」の語が「建物の揺れを制御する装置や仕組み」を表す語として取引上普通に使用されている事実を発見したため、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、別掲3のとおりの事実を内容とする証拠調べの結果を通知した。

4 証拠調べに対する意見の要旨

請求人は、前記3の証拠調べ通知に対し、平成27年4月23日付け意見書により、以下のように述べている。

(1)本願商標に商標法第3条第1項第3号を適用するのであれば、本願商標を構成する「プレミアム」と「制震システム」の語が、「ダンパー」、「プレース」等の本願の主たる指定商品及び指定役務自体又はこれら商品が設置される対象である「地震対策分野や集合住宅等の業界において主として取り扱われる商品・役務」について、商品の品質、役務の質を表示するものとして広く普通に使用されている事実が必要であるところ、前記3の証拠調べ通知書で示された建築全般の商品及び役務の分野は、地震対策分野や集合住宅等の業界より拡張された商品及び役務、または曖昧な、あるいは二次的、もしくは付随的な商品・役務を含み、指定商品・役務の範囲が拡大しているため、本願商標について、同号を適用する根拠にはなり得ない。

そして、地震対策分野や集合住宅等の業界に絞れば、証拠調べ通知書で示された「プレミアム」又は「制震システム」の語の使用例は8例にすぎない。

(2)本願商標は、本願の指定商品及び指定役務との関係から見る限りにおいて、商標法第3条第1項第3号に該当するとはいえないから、本願商標の登録可否の判断は、同法第4条第1項第15号の観点からなされるべきであり、その判断基準時は同条第3項により出願時であるべきである。

そして、本願商標の使用対象を建築全般の広範な技術分野(建築全般の商品及び役務の分野)にまで拡大したとしても、前記3の証拠調べ通知書で示された証拠のうち、本願商標の出願日前における「プレミアム」又は「制震システム」の語の使用例は2例にすぎない。

(3)上記よりすれば、前記3の証拠調べ通知書は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当すると認めるに足りる事実が存在していたことを裏付ける証拠を示していないから、本願商標には拒絶される理由がない。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、「プレミアム制震システム」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「プレミアム」及び「システム」の片仮名は、それぞれ「(形容詞的に用いて)高級な」及び「(組織的な)機械装置、方式、仕組み」の意味を有し、いずれも我が国において広く親しまれた語である。また、構成中「制震」の文字は、国語辞典には載録が見受けられないものの、その構成文字に相応して「震えを制する」程の意味合いを容易に想起させるものである。

ところで、原審において示した新聞記事情報(別掲2)及び前記3の証拠調べ通知書で示したとおりの証拠(別掲3)によれば、本願の指定商品及び指定役務に係る建築用材料、建築工事、建築物の設計等の商品及び役務分野(建築全般の商品及び役務の分野)において、「制震システム」の語が「建物の揺れを制御する装置や仕組み」を表す語として、取引上普通に使用されていることが認められ、また、建築物やその構成物の等級(グレード・ランク)や品質・程度などが高い(高級な)ことについて、「プレミアム仕様」、「プレミアム商品」、「プレミアム住宅」のように「プレミアム」の語が多数使用されており、さらに、制震装置や制震の仕組み(制震システム)が優れていることについても、該語が使用されている実情がうかがえる。

してみれば、本願商標は、「プレミアム」の文字と「制震システム」の文字からなるものと容易に理解されるものであり、これをその指定商品及び指定役務に使用しても、取引者、需要者が「建物の揺れを制御する装置や仕組みであって、等級(グレード・ランク)や品質・程度などが高いもの」程の意味合いを想起するにとどまるというべきであるから、単に商品の品質、役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎない商標であるというのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において、「制震システム」の語は、本来、「制震装置」あるいは「制震架構(制震構造)」の意味を込めて使用されているのが実態であり、「制震装置」や「制震架構」を扱う業者内で「制震システム」の語が「制震装置」等を代表させる用語として定着されているとは必ずしもいいきれない状況にある旨主張する。

しかしながら、上記のとおり、原審において示した新聞記事情報(別掲2)に加え、前記3の証拠調べ通知書で示したとおりの証拠(別掲3)によれば、本願の指定商品及び指定役務に係る業界において、「制震システム」の語は、「建物の揺れを制御する装置や仕組み(制震装置や制震構造)」を表すものとして理解、認識されているというのが相当であるから、請求人の上記主張は採用できない。

イ 請求人は、「プレミアム制震システム」と同一構成又はこれと対比されるべき単語が使用されている例が見当たらないことから、本願商標は、本願の指定商品及び指定役務に係る業界において、「商品等の品質表示等として一般に認識される商標に過ぎない」とはいえない旨主張する。

しかしながら、たとえ、「プレミアム制震システム」の文字が、本願の指定商品及び指定役務の品質及び質を表すものとして実際に使用されていないとしても、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断にあっては、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(東京高裁平成12年(行ケ)76号 平成12年9月4日判決参照)とされている。そして、本件審判の審決時における上記の取引の実情からすれば、本願商標は、これに接する取引者、需要者に指定商品及び指定役務の品質及び質を表したものと認識されるものというのが相当であるから、請求人の上記主張は採用できない。

ウ 請求人は、前記3の証拠調べ通知書で示した証拠(別掲3)について、前記4のとおり、地震対策分野や集合住宅等の業界に係る商品・役務以外の指定商品・役務についての「プレミアム」と「制震システム」の語についての使用状況や、同各語の本願商標の出願日以降の使用状況は、本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性を判断するための根拠にはなり得ないものであるから、該証拠調べ通知書は、本願商標が同号に該当すると認めるに足りる事実が存在していたことを裏付ける証拠を示していない旨主張する。

しかしながら、請求人も認めるとおり、前記3の証拠調べ通知書で示した証拠(別掲3)は、本願の指定商品及び指定役務に係る建築用材料、建築工事、建築物の設計等の商品及び役務分野(建築全般の商品及び役務の分野)における「プレミアム」と「制震システム」の語の使用状況等であるから、本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性を判断するための根拠とすべきものである。

なお、商標法第3条第1項第3号は、「商標の登録に関する積極的要件ないし一般的登録要件に関する規定であって、その要件がないものについては、商標登録を拒絶すべき旨を定めたものであるから、このような要件の存否の判断は、行政処分一般の本来的性格にかんがみ、一般の行政処分の場合と同じく、特別の規定のない限り、行政処分時、すなわち、拒絶査定不服の審判においては、審決時を基準として判断されるべきである」(東京高裁平成11年(行ケ)第442号 平成12年8月29日判決言渡)と判示されている。

してみれば、請求人の上記主張は採用できない。

エ 請求人は、過去の審判決例、登録例等を挙げ、本願商標も登録されるべき旨主張しているが、商標が識別力を有するか否かの判断は、登録査定時又は審決時において、取引の実情を勘案し、その指定商品及び指定役務の取引者、需要者の認識を基準として、商標ごとに個別具体的に判断すべきであるところ、請求人が挙げた登録例は、いずれも本願商標とは構成等を異にし、かつ、本件の審決時における取引の実情は上記のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。

(3)まとめ

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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