Trademark Appeal Case
著名政党名と類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−17760(T2014−17760/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,別掲のとおり,「新」及び「民主党」の各文字を「・」(中黒)を用いて結合した「新・民主党」の文字を縦書きしてなり,第40類「印刷物その他本類に属する商品」を指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分として平成24年11月6日に登録出願され,その後,指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分については,原審における同25年6月4日受付の手続補正書により,第16類「印刷物,絵はがき,楽譜,歌集,カタログ,カレンダー,雑誌,時刻表,書籍,新聞,地図,日記帳,ニューズレター,パンフレット」と補正された。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,以下の(1)ないし(3)のとおり認定,判断し,本願を拒絶した。
(1)本願商標構成中「民主党」は,我が国の政党の名称を表示するものであり,その活動に当たっては,政治資金規正法に基づく資金の収入支出の制限など様々な公的規制が課せられるものであるから,政党は公益に関する非営利目的の団体であるといえる。また,「民主党」は,平成21年9月から同24年1月まで政権を担い,我が国の中心的な政党として各種メディアを通じて連日報道され,政党の名称として広く一般に知られている。そうすると,「民主党」の文字は,公益に関する非営利目的の団体である政党を表示する標章(名称)であって著名なものであり,本願商標は,「民主党」の文字を含み,上記政党名を表示する標章と類似の商標と判断するのが相当である。したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第6号に該当する。
(2)本願商標は「新・民主党」の文字を縦書きしてなるものであり,その構成中「民主党」の文字は,我が国の政党の名称として著名なものと認められ,また,商標登録を受けることに関して,同政党の承諾を得ているものとは認められないから,商標法第4条第1項第8号に該当する。
(3)原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして,拒絶の理由に引用した登録第5170029号商標(以下「引用商標」という。)は,「民主党」の文字を標準文字で表してなり,平成20年2月18日に登録出願,第16類「印刷物,紙製のぼり,紙製旗」及び第41類「セミナー・研究会・研修会・講演会・シンポジウムの企画・運営又は開催,電子出版物の提供」を指定商品及び指定役務として,同年10月3日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第6号該当性について
ア 「民主党」の文字について
本願商標は,上記1のとおり,「新」及び「民主党」の各文字を「・」(中黒)を用いて結合した「新・民主党」の文字を縦書きしてなるものである。
そして,本願商標の構成中に含まれる「民主党」の文字については,総務省報道資料「政党助成法に基づく政党の届出(平成27年1月1日現在)の概要」における別紙1及び別紙2の記載によれば,民主党は,東京都千代田区永田町1−11−1に主たる事務所を置き,国会議員132人(衆議院73人,参議院59人)が所属する我が国の政党であることが認められ(http://www.soumu.go.jp/main_content/000334567.pdf),本件審決時においても,同政党は存在する。
そして,政党の活動に当たっては,政治資金規正法に基づく資金の収入支出の制限など様々な公的規制が課せられる。
そうとすれば,民主党は,公益に関する団体であって,かつ,営利を目的としないものといえる。
また,民主党は,平成21年9月から約3年間に亘り我が国の政権を担い,我が国の中心的な政党として各種メディアを通じて連日報道され,政党の名称として広く一般に知られており,さらに,平成26年12月に行われた衆議院総選挙における比例代表選挙で,自由民主党の約1766万票に次ぐ約978万票を獲得したこと(上記総務省報道資料別紙2)からすれば,民主党は,我が国の政党として一般に広く知られているものと認められ,同政党を表示する標章である「民主党」の文字についても,一般に広く知られているものと認められる。
してみると,「民主党」は,公益に関する団体であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものといえる。
イ 本願商標と標章「民主党」の類否判断について
本願商標は,上記1のとおり,「新」及び「民主党」の各文字を「・」(中黒)を用いて結合した「新・民主党」の文字を縦書きしてなり,その構成上,中黒を介することにより,「新」及び「民主党」の文字部分が,外観上,明確に分離して看取され得るものである。
そして,その構成中の「新」の文字は「新しいさま」を意味する語として我が国で普通に使用されるごく一般的な語であることに加え,上記のとおり,「民主党」の文字が著名な政党の名称を表すことに照らせば,本願商標については,それを構成する「民主党」の文字部分から,「ミンシュトウ」の称呼及び「(著名な政党である)民主党」の観念をも生じるものとみるのが相当である。
したがって,本願商標は,公益に関する団体であって営利を目的としないものを表示する著名な標章「民主党」と,全体の外観において相違するものの,「民主党」の文字部分において外観が近似し,称呼及び観念を同一にする,類似の商標である。
ウ 小活
以上から,本願商標は,公益に関する団体であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと類似の商標といわなければならず,商標法第4条第1項第6号に該当する。
エ 請求人の主張について
請求人は,「民主党」は公益に関する非営利目的の団体である政党を表示するものであって著名なものであるという事実を認めつつ,民主党が「民主党」の文字を商標登録出願した平成20年2月18日には,自身の登録商標「新・民主党」(登録第2459663号。平成24年9月30日存続期間満了)が存在したので,特許庁は当該民主党による出願を商標法第4条第1項第11号の規定により拒絶すべきだった旨主張する。
しかしながら,商標法第4条第1項第6号によれば,「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関,公益に関する団体であつて営利を目的としないもの・・・を表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標」は,商標登録を受けることはできないとされており,同号の判断に当たり,他人の登録商標の存在の有無は要件とされていないから,民主党の登録商標「民主党」の存在の有無を考慮する必要はない。したがって,請求人の主張は失当である。
(2)商標法第4条第1項第8号該当性について
ア 本願商標は,上記1のとおり,「新・民主党」の文字を縦書きしてなるところ,その構成中の「民主党」の文字部分は,上記(1)で認定したとおり,政党である民主党(他人)の名称である「民主党」と同一であるから,他人の名称に該当するというべきである。そして,総務省ウェブサイト掲載資料「政党一覧(10団体)」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000068052.pdf)によれば,民主党の設立届の届出日は平成8年9月20日であり,本願商標の出願日及び審決時においても民主党は存続していることが認められる。
そして,本願商標「新・民主党」が「民主党」の文字を含んでなることは,その構成上明らかであるから,本願商標は他人の名称を含むものであるといわざるを得ない。
また,請求人が本願商標を商標登録することについて,当該他人である政党「民主党」の承諾を得ているといえる事実は認められない。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第8号に該当する。
イ 請求人の主張について
請求人は,本願商標は,かつて自身が所有した商標の出し直しであって,他人にお伺いを立てる必要はなく,また,商標法第4条第1項第8号により本願商標が登録を受けられないとすることは出願人の商標の保護という観点からは外れたものである旨主張する。
しかしながら,商標法第4条第1項第8号は,他人の氏名を含む商標については,その他人の承諾を得ているものを除き,商標登録を受けることができない旨を定めており,その趣旨は,人(法人等の団体を含む。)の肖像,氏名,名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される(最高裁平成16年(行ヒ)第343号 平成17年7月22日第2小法廷判決・集民第217号595頁)。したがって,請求人の主張は本規定の解釈を誤ったものであるから失当である。
(3)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は,上記1のとおり,「新」及び「民主党」の各文字を「・」(中黒)を用いて結合した「新・民主党」の文字を縦書きしてなり,その構成上,中黒を介することにより,「新」及び「民主党」の文字部分が,外観上,明確に分離して看取され得るものである。
そして,その構成中の「新」の文字は「新しいさま」を意味する語として我が国で普通に使用されるごく一般的な語であることに加え,上記(1)のとおり,「民主党」の文字が著名な政党の名称を表すことに照らせば,本願商標については,全体として「シンミンシュトウ」の称呼及び「新しい(著名な政党である)民主党」の観念が生じるほか,本願商標の要部と認められる「民主党」の文字部分から,「ミンシュトウ」の称呼及び「(著名な政党である)民主党」の観念をも生じるものとみるのが相当である。
イ 引用商標について
引用商標は,「民主党」の文字を標準文字で表してなり,平成20年2月18日に登録出願,第16類「印刷物,紙製のぼり,紙製旗」及び第41類「セミナー・研究会・研修会・後援会・シンポジウムの企画・運営又は開催,電子出版物の提供」を指定商品及び指定役務として,同年10月3日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
そして,引用商標の構成文字に相応して「ミンシュトウ」の称呼及び「(著名な政党である)民主党」の観念をも生ずるものである。
ウ 本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標とを比較するに,まず,外観においては,本願商標と引用商標とは,その全体の構成において相違するものの,看者の注意を惹く「民主党」の文字部分において綴りを同じくするものであるから,本願商標の要部と引用商標とは,外観上近似するものである。
次に,称呼においては,本願商標と引用商標とは,共に「ミンシュトウ」の称呼を生ずるものであるから,両者は「ミンシュトウ」の称呼を共通にする。
さらに,観念においては,本願商標と引用商標とは,共に「(著名な政党である)民主党」との観念を生ずるものであるから,両者は「(著名な政党である)民主党」との観念を共通にする。
そうすると,本願商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点を考慮しても,互いに相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。
そして,本願商標の指定商品と引用商標の指定商品中「印刷物」とは,同一又は類似の商品である。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
エ 請求人の主張について
請求人は,「民主党」は公益に関する非営利目的の団体である政党を表示するものであって著名なものであるという事実を認めつつ,民主党が「民主党」の文字を商標登録出願した平成20年2月18日には,自身の登録商標「新・民主党」(登録第2459663号。平成24年9月30日存続期間満了)が存在したので,特許庁は当該民主党による出願を商標法第4条第1項第11号の規定により拒絶すべきだった旨主張する。
しかしながら,商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号 昭和43年2月27日第3小法廷判決・民集第22巻2号399頁)。そして,本件審決時において,本件商標と引用商標の類否について検討すると,本願商標について,上記ウのとおり,判断されるものである。したがって,請求人の主張は採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり,本願商標が商標法第4条第1項第6号,同第8号及び同第11号に該当するとした原査定は,妥当であって,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
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