Trademark Appeal Case
「ノンマルチビタミン」品質表示
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−15917(T2014−15917/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ノンマルチビタミン」の文字を標準文字で表してなり、第5類「サプリメント」を指定商品として、平成26年1月16日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、「本願商標は、『ノンマルチビタミン』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『ノン』及び『マルチビタミン』の各語が、『〜を含まないこと』及び『多種ビタミン入りであること』をそれぞれ表示するものとして普通に使用されているものであるから、これら各語を組み合わせてなる本願商標は、『多種類のビタミンを含まない商品』であることを容易に認識させるにすぎず、これを『多種類のビタミンを含まないサプリメント』に使用しても、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権による証拠調べをした結果、本願の指定商品について、「ノン」、「マルチ」、「ノンマルチ」、「ビタミン」及び「マルチビタミン」の文字が使用されている別掲のとおりの事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成26年12月25日付けで証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。
4 請求人の意見
前記3の証拠調べ通知に対し、請求人は、平成27年1月16日付けで意見書を提出し、要旨以下のように主張した。
(1)本願商標は同書同大等間隔で外観上まとまりよく一体的に表してなり、その構成中の「マルチビタミン」の語は、「デジタル大辞泉」にも、「ウィキペディアフリー百科事典」にも、何ら記載がなく、特定の意味合いが生じると認識させるほどには至っておらず、本願商標が「ノン」と「マルチビタミン」の語に分離観察されなければならない特段の事情もなく、また、本願指定商品「サプリメント」との関係において、「ビタミン」の文字は品質等を表す識別力のない語であることから、「ノンマルチ」と「ビタミン」の語に分離観察されるとみるのが自然である。
(2)出願人側において調査するも、本願商標が、その指定商品を取り扱う業界において、商品の品質等を表示するものとして、取引上、普通に採択、使用されている事実を発見できなかった。
(3)原審は、東京高裁平成12年(行ケ)第76号判決を引用し拒絶査定したが、上記判決が適用されるのは、商標が、それを構成する個々の語の意味合いが明白であって、それらの結合語からなり、結合語の意味合いも明白な場合に限られる。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶するとした判断は、妥当ではなく、取消しを免れない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「ノンマルチビタミン」の片仮名を標準文字で表してなるところ、その構成中、「ノン」の文字は、コンサイスカタカナ語辞典第4版(別掲1(1)ア参照)の「【接頭語】ノン」の項によれば、「非、無、不、などの意味を表す。」ものであり、「ノンアルコール」、「ノン−オイル」等の見出し語もその説明とともに載録されている。また、本願の指定商品を取り扱う分野において、「フレーバーを含まない」ものを「ノンフレーバー」、「砂糖を含まない」ものを「ノンシュガー」、「カフェインを含まない」ものを「ノンカフェイン」のように使用している事実がある(別掲2(1)ないし(7))ことから、「ノン」の文字は、「〜を含まないこと」程の意味合いで親しまれた語であるといい得る。
さらに、該文字中の「マルチビタミン」の文字は、日経ヘルスサプリメント事典2008年版(別掲1(4)ウ参照)の「マルチビタミン」の項によれば、「ビタミンCやビタミンB群など、複数のビタミンを含むサプリメントのこと。総合ビタミン剤ともいう。」の意味を有するものである。そして、複数のビタミンを含むサプリメントが、別掲3のとおり、「マルチビタミン」と指称され、販売されている実情を窺い知ることができる。
加えて、本願の指定商品を取り扱う業界においては、「マルチビタミンからなるサプリメント」及び「マルチビタミン以外の栄養素からなるサプリメント」以外に、例えば、「マルチビタミン&ミネラル」、「鉄×マルチビタミン」、「カルシウム×マグネシウム+マルチビタミン」(別掲6参照)のように、「マルチビタミン」と「マルチビタミン」以外の栄養素とを組み合わせた「マルチビタミン入りのサプリメント」が販売されている実情がある。
そうしてみると、本願商標をその指定商品中、「複数のビタミンを含まないサプリメント」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「複数のビタミンを含まない商品」であること、すなわち、単に商品の品質を表示したものと認識、理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとは認識し得ないものというべきであり、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標が「ノン」と「マルチビタミン」の語に分離観察されなければならない特段の事情もなく、また、本願指定商品「サプリメント」との関係において、「ビタミン」の文字は品質等を表す識別力のない語であることから、「ノンマルチ」と「ビタミン」の語に分離観察されるとみるのが自然である旨主張する。
しかしながら、本願商標の構成中の「マルチビタミン」の文字は、上記(1)のとおり、「複数のビタミンを含むサプリメント」の意味で広く用いられているものである。そして、本願の指定商品を取り扱う業界においては、該構成中の「ノン」の文字が「〜を含まないこと」程の意味合いで親しまれた語であること、さらに、「マルチビタミンからなるサプリメント」、「マルチビタミン以外の栄養素からなるサプリメント」及び「マルチビタミン入りのサプリメント」が取り扱われている取引の実情を総合勘案すれば、本願商標は、これをその指定商品中「複数のビタミンを含まないサプリメント」に使用したときは、商品の品質を表したものと認識されるものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たすものということはできない。
イ 請求人は、本願商標が、その指定商品を取り扱う業界において、商品の品質等を表示するものとして、取引上、普通に採択、使用されている事実を発見できなかった旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号の商品の品質に該当するというには、我が国の取引者、需要者が商品の品質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるものであり、実際に商品の品質を表示するものとして使用されていることまでは必要としないと解されるところ、本願商標は、その構成文字から生ずる意味合いにその指定商品に係る分野における取引の実情を併せみれば、これをその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、商品の品質を表示したものと認識されるというのが相当であることは上記(1)のとおりであって、本願商標が商品の品質等を表示するものとして、取引上、普通に採択、使用されている事実が見当たらないことをもって、上記においてした判断が左右されるものではない。
ウ 請求人は、東京高裁平成12年(行ケ)第76号判決が適用されるのは、商標が、それを構成する個々の語の意味合いが明白であって、それらの結合語からなり、結合語の意味合いも明白な場合に限られる旨主張する。
しかしながら、上記判決は、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識されうる表示態様につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」と、判示するにとどまっており、請求人が主張するような場合に限られると解されるものではない。
また、本願商標は、その構成文字から生ずる意味合いにその指定商品に係る分野における取引の実情を併せみれば、これをその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、商品の品質を表示したものと認識されるというのが相当であることは上記(1)のとおりである。
エ したがって、上記アないしウの請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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