Trademark Appeal Case
著名商標と称呼・外観の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2015−900155(T2015−900155/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5740868号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「ニコー」の片仮名と「NIKO」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成26年10月4日に登録出願され、第41類「写真の撮影,カメラの貸与,映画機械器具の貸与,セミナーの企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授」及び第45類「婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の紹介・取次ぎ,衣服の貸与,装身具の貸与,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,ファッション情報の提供」を指定役務として平成27年2月13日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4879785号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおり、「Nikon」の欧文字を横書きしてなり、平成15年10月27日に登録出願され、別掲3のとおり、第14類、第16類、第18類、第24類、第25類、第30類、第33類及び第35類ないし第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成17年7月15日に設定登録され、その後、平成27年6月9日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
第3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標は、その指定役務中、第41類「写真の撮影,カメラの貸与,映画機械器具の貸与」について、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第51号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号に基づく取消理由
本件商標と引用商標とは、外観において極めて酷似した印象を需要者に与え、称呼において語尾の長音と発音の差異のみしか有しないものであるから、両者は、外観及び称呼において相紛らわしい類似の商標であり、その指定役務を共通にするものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第15号に基づく取消理由
引用商標は、申立人のハウスマークとして広く一般に知られており、我が国において著名な商標であるから、かかる商標に類似・近似する本件商標を、申立人の事業に係るカメラ製品に関連する指定役務中、第41類「写真の撮影,カメラの貸与,映画機械器具の貸与」について使用した場合には、申立人又は申立人企業グループの業務に係る役務との誤認混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第19号に基づく取消理由
本件商標は、全国的に知られている著名な引用商標と類似するものであり、申立人が提供している役務及び申立人が業務上の信用を最も獲得している写真機械器具を用いる役務を指定している。また、商標権者の商号に含まれる「二幸」について、「NIKOU」と記載すべきところ、あえて「Nikon」に類似する「NIKO」の記載を採用している。このように、申立人が長年にわたる努力によって引用商標について獲得した業務上の信用及び顧客吸引力にただ乗りすることを企図し、さらには引用商標の出所表示機能を希釈化し、その名声を毀損させるものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、「ニコー」と「NIKO」の文字を二段に書してなるところ、その構成中上段の片仮名部分は下段の欧文字部分の読みを表すものであり、両文字部分は、ただちに特定の意味合いを理解させるものではなく、いずれも造語と認められるものであるから、構成全体として、その構成文字に相応して「ニコー」の称呼を生じ、観念は生じないものである。
他方、引用商標は、「Nikon」の文字からなるところ、これは、申立人の提出に係る証拠によっても、同人(株式会社ニコン)のブランドとして有名な著名商標と認められるものである。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して「ニコン」の称呼を生じ、「(ブランドとしての)ニコン」の観念を生じるものである。
そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、外観においては、本件商標は、片仮名の「ニコー」と欧文字の「NIKO」の二段併記からなるのに対し、引用商標は、欧文字の「Nikon」のみからなるものであるから、両者は、全体の外観において明らかな差異があり、判然と区別することができるものである。そして、たとえ、本件商標の欧文字部分のみを分離抽出して引用商標と対比したとしても、本件商標中の「NIKO」の文字は、セリフ(文字のストロークの端につく飾りのこと)の付いた細字であって、全て大文字であるのに対し、引用商標の文字は、セリフのない極太字であって、語頭の「N」以外は小文字であり、しかも、両者は綴りを異にすることから、看者に別異の印象を与えるものであり、両者を時と処を別にして離隔的に観察しても、外観上、彼此相紛れるおそれはないものというべきである。
次に、称呼においては、本件商標からは、「ニコー」の称呼を生じ、引用商標からは、「ニコン」の称呼を生じるものである。
しかして、「ニコー」と「ニコン」の称呼は、同音数からなるものの、末尾において、「コ」の音を長く引き延ばして発する長音(ー)と、1音節をなす鼻音である撥音「ン」との差異を有しており、この差異が短い音構成の全体に及ぼす影響が少なくないから、それぞれを一連に称呼するときは全体の音調、音感が異なり相紛れることなく聴別できるものである。
さらに、観念においては、本件商標は、一種の造語として理解され、観念は生じないものであるのに対し、引用商標は、「(ブランドとしての)ニコン」の観念を生じるものであるから、この点において、両商標は、観念上、相紛れるおそれがないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件申立に係る指定役務の第41類「写真の撮影,カメラの貸与,映画機械器具の貸与」が引用商標の指定役務に包含されるものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の提出に係る証拠によれば、申立人はカメラ・精密機械メーカーとして広く一般に知られており、引用商標は申立人のハウスマークとして、また、申立人の業務に係る商品「写真機械器具等」について使用する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されているものと認められる。
しかしながら、本件商標と引用商標とは、前示のとおり相紛れるおそれのない非類似の商標であり、看者に全く別異の印象を与えるものであるから、引用商標の著名性を考慮したとしても、また、本件申立に係る指定役務と引用商標の使用に係る商品及び役務との関連性を考慮したとしても、本件商標を本件申立に係る指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該役務が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記2のとおり、引用商標が申立人の業務に係る商品について使用する商標として取引者、需要者の間に広く認識されているものであるとしても、前記1のとおり、本件商標と引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、また、申立人の提出に係る証拠をみても、本件商標が不正の利益を得る目的、他人たる申立人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものであることを認めるに足る具体的な証拠はないものであるから、本件商標は、申立人が引用商標について獲得した業務上の信用及び顧客吸引力にただ乗りするものとはいえないし、また、引用商標の出所表示機能を希釈化したり、その名声を毀損するものでもない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定役務中、本件申立てに係る指定役務について、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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