Trademark Appeal Case
称呼の類否「ネ」と「ノ」
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2015−900215(T2015−900215/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5753351号商標(以下「本件商標」という。)は、「ネムリエ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成26年7月15日に登録出願、「眠りに関するセミナーの企画・運営又は開催,献体に関する情報の提供,献体の手配」を含む第41類ないし第44類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同27年3月27日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録第5697783号商標(以下「引用商標」という。)は、「飲ムリエ」の文字を標準文字で表してなり、平成26年2月18日に登録出願され、第41類「セミナーの企画・運営又は開催」を含む第41類、第35類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同26年8月29日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定役務中、第41類の「眠りに関するセミナーの企画・運営又は開催,献体に関する情報の提供,献体の手配」(以下「申立に係る役務」という。)については、商標法第4条第1項第11号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、標準文字で「ネムリエ」と横書きし、「ネムリエ」の称呼を有するものであり、引用商標も標準文字で「飲ムリエ」と横書きしてなり、「ノムリエ」の称呼を有するもので、両者は、称呼として「ネムリエ」と「ノムリエ」の差、即ち「ネ」と「ノ」の差を有することになる。
そこで、称呼上「ノ」と「ネ」の相違点を有する2つの文言が類似か否かの前例をサーチしてみる。
昭和63年審判4059号審決公報(甲3)には、「クロネス」と「クロノス」の2つの文言にあっては、相違する個所の「ネ」と「ノ」について「『ネ』『ノ』は舌尖を前硬口蓋に接触して発する有声通鼻音『n』を共通にし、母音『e』と『o』もいずれも舌面位置を中心とする半開き母音で比較的近似した音である」と記載され、「クロネス」と「クロノス」とを類似とする、結果として「ネ」と「ノ」は称呼類似であるとする結論がされている。
他の例として、平成5年審判14859号審決公報(甲4)には、「コノリー」と「コネリー」の類否について「『ノ』と『ネ』の音の差を有するものであるが、この差異とても同行音に位置して調音方法『歯茎音(鼻音)』を同じくするものであり、僅か母音において『o』と『e』の差を有するのみである。そして、両者は語頭に『コ』の音を有するが、この音は破裂音であることから、強く聴取され、両称呼をそれぞれ一連に『コノリー』『コネリー』と称呼するときは語感語調相近似し、被比聴き誤る恐れの有る称呼上類似の商標といわざるを得ない」としている。
以上の審決例を見ると差異音「ノ」と「ネ」の2文言は、称呼類似とされるのが通例であると見ざるを得ないので、本件商標の「ネムリエ」と引用商標の「飲ムリエ」(ノムリエ)とは称呼類似と見ざるを得ないことになる。
上記の他に「ノ」と「ネ」に差異音を有する2文言が類似であるとされた3件の審決(甲5ないし甲7)がある。
(2)むすび
前記したとおり、本件商標は、引用商標と類似するものであり、また、その指定役務も類似するものである。
4 当審の判断
(1)本件商標について
本件商標は、前記1のとおり、「ネムリエ」の片仮名を標準文字で表してなり、これからは、「ネムリエ」の称呼が生じること明らかであり、該文字は、辞書類に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いで親しまれた語ともいえないから、特定の観念を生じさせることのない一種の造語とみるのが相当である。
(2)引用商標について
引用商標は、前記2のとおり、「飲ムリエ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「ノムリエ」称呼を生じ、辞書類に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いで親しまれた語ともいえないから、特定の観念を生じさせることのない一種の造語とみるのが相当である。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 外観について
本件商標は、「ネムリエ」と片仮名で表してなるのに対し、引用商標は、「飲ムリエ」と表してなるものであり、両者は、もっとも看者に強い印象を与える語頭部分において、片仮名の「ネ」と、漢字の「飲」の差異を有するものであるから、外観において、相紛れるおそれのないものである。
イ 称呼について
本件商標から生ずる「ネムリエ」の称呼と、引用商標から生ずる「ノムリエ」の称呼とを比較するに、両称呼は、語頭における「ネ」と「ノ」の音の差異を有するところ、該差異音は、同行の音であって、母音の「e」と「o」の差を有するにすぎないとしても、両称呼はともに4音節の短い音数であって、該差異音が、明瞭に発音され、かつ、称呼の識別上、重要な語頭部分に位置することからすれば、これらの音の差異が称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、互いに聞き誤られるおそれはないものである。
ウ 観念について
本件商標及び引用商標は、ともに特定の観念が生じるものではないから、観念においては、比較することができない。
エ 小活
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、観念においては比較することができないとしても、称呼及び外観において、明確な差異を有することから、互いに相紛れるおそれはない非類似の商標というべきであって、たとえ、本件の指定役務中、申立に係る役務が、引用商標の指定役務と同一又は類似の役務であったとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
(4)まとめ
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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