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Trademark Appeal Case

商標の周知性判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2013−900418(T2013−900418/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5615330号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5615330号商標(以下「本件商標」という。)は、「キャストップ」の文字を標準文字で表してなり、平成25年4月9日に登録出願、第20類「キャスター専用の滑り止め具(金属製を除く。)」を指定商品として、平成25年8月12日に登録査定、同年9月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由

本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の業務に係る商品「キャスター付き機器用地震対策製品」(以下「申立人商品」という。)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている「キャストップ」(以下「引用標章1」という。)、「低床キャストップ」(以下「引用標章2」といい、引用標章1と併せて「引用標章」という場合がある。)と同一又は類似する商標であり、本件商標に係る指定商品は、上記標章が使用される商品と同一又は類似する商品であるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)引用標章の周知性について

ア 申立人の提出に係る甲第2号証ないし甲第24号証及び申立ての理由によれば、以下の事実を認めることができる。

(ア)申立人は、1970年(昭和45年)に、ダクトフロアの耐震工法を開発し、東京電力株式会社に納入したことから、地震対策事業を開始し、以来、数多くの耐震・免震工法を用いた地震対策製品の製造、販売の事業展開をしている(甲2、4)。申立人の手掛ける地震対策製品の一つに、コピー機、ファクス、プリンタ又はこれらの複合機、医療用ベッド、サーバー、各種精密機器、キャビネット、机などのキャスター付き機器のキャスターに取り付けて地震発生時における機器の移動、転倒を防止する「キャスター付き機器用地震対策製品」(申立人商品)の製造、販売があり、申立人は、申立人商品に、遅くとも1995年(平成7年)8月より現在に至るまで「キャストップ」の文字よりなる商標(引用標章1)を使用してきた(甲2〜15)。

(イ)申立人は、申立人商品について、引用標章を表示して、平成23年には、6月21日発行の電気新聞、10月19日発行の日刊工業新聞に各1回ずつ、平成24年には、3月9日発行の電気新聞、日刊工業新聞、日経産業新聞に各1回ずつ、また、同年4月25日発行の電気新聞に1回、それぞれ広告をした。また、これらの新聞には、申立人について、「免震装置」等のメーカーとして紹介された記事もあり、その記事の中で引用標章1を使用した申立人商品も掲載された(甲2〜7)。

また、申立人は、1995年(平成7年)ころから自社の製品を掲載したカタログに、申立人商品を引用標章1とともに掲載した(甲8〜11)。

さらに、申立人は、雑誌「リスク対策.com」(2011年(平成23年)10月19日号)、日本金融通信社発行「Suppliers’Guide/金融機関のための製品総覧」の2012年(平成24年)版及び2013年(平成25年)版に、申立人商品を引用標章1とともに掲載し広告をした。上記雑誌「リスク対策.com」においては、申立人の業務に係る地震対策製品に関する記事が特集され、その記事の中で申立人商品が引用標章1とともに掲載された(甲12〜14)。

(ウ)申立人商品は、少なくとも平成22年6月から平成25年3月にかけて、東京都を中心に、茨城県、神奈川県に所在の企業から「キャストップ丸型」、「低床キャストップ」、「キャストップ・CST−R」などのように、引用標章1と商品の品質や品番等を結合した表記をもって注文を受けた(甲16〜23)。

(エ)申立人商品の納品実績は、43期(2007年10月〜2008年9月、以下、当年10月から翌年9月は同じ。)が合計1246個、44期(2008年)が合計659個、45期(2009年)が合計714個、46期(2010年)が合計6981個、47期(2011年)が合計32481個、48期(2012年10月〜2013年3月)が合計34294個である(甲24)。

イ 前記アで認定した事実によれば、申立人は、1970年(昭和45年)に、地震対策事業を開始して以来、数多くの耐震・免震工法を用いた地震対策製品の製造、販売の事業展開をしているところ、申立人商品について、遅くとも1995年(平成7年)8月ころから現在に至るまで、引用標章1を使用していることが認められる。

しかし、申立人商品に関する広告は、平成23年及び平成24年に業界紙に数回行った程度であり、業界誌においてもさほど多いとはいえないから、これらの広告の頻度は、引用標章1の周知性を基礎付けるものとはいい難い。さらに、申立人商品が掲載されたカタログの発行部数、頒布範囲などが明らかではないし、また、申立人商品の納品実績にしても、本件商標の登録出願日(平成25年4月9日)前の2012年(平成24年)10月から2013年(平成25年)3月までの6ヶ月の間に、合計34294個を納品した実績があることが認められるものの、我が国においてキャスター付き機器の使用程度が高い企業や病院等が極めて多数存在することを考慮すると、上記納品実績は決して多い数量であるとも認め難いところであって、申立人商品の納品実績によって引用標章1の周知性を基礎付けるには足りないといわざるを得ない。

してみると、申立人は、地震対策事業を展開する企業として、地震対策製品関連の取引者の間においてはある程度知られていたことは推認し得るとしても、引用標章1が、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日において、キャスター付き機器を多く使用する企業や病院等の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

なお、申立人は、「低床キャストップ」の文字よりなる標章(引用標章2)の周知性も主張するが、「低床キャストップ」は、わずかに2013年(平成25年)1月発行のカタログ(甲11)に広告をしたのみであり、注文書(甲16〜18等)には該標章の記載が認められるものの、そもそも「低床」の文字部分は、「床面から機器下板までの高さが低い設備のキャスターに装着する」ことを意味する品質表示部分であり(甲11)、その要部は、「キャストップ」の文字部分にあるというべきであって、「キャストップ」の文字よりなる引用標章1は、上記認定のとおり、本件商標の登録出願日にその需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができない標章である。したがって、「低床キャストップ」の文字よりなる標章の周知性をいう申立人の主張は採用することができない。

(2)商標法第4条第1項第10号該当性

本件商標は、前記1のとおり、「キャストップ」の文字からなるものであり、引用標章は、上記のとおり、「キャストップ」及び「低床キャストップ」であるところ、「低床キャストップ」の要部は、上記(1)のとおり、「キャストップ」である。

そうすると、本件商標と引用標章とは、「キャストップ」の構成文字又はその要部を同一又は共通にするものであるから、両者は類似する商標(標章)である。

また、本件商標の指定商品は、その出願の経緯を徴するに、OA器機の転倒防止用の商品であり、また、申立人商品は、上記のとおり、各機器の移動、転倒防止用の商品であるから、両商品は、その用途、目的を共通にする類似の商品であるとみることができる。

しかしながら、引用標章は、上記(1)認定のとおり、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日において、その需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。

してみれば、本件商標は、引用標章と同一又は類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品は、引用標章が使用される申立人商品と同一又は類似する商品であるとしても、商標法第4条第1項第10号に該当する商標と認めることができない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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