sokuhyo

Trademark Appeal Case

SynapplesとAPPLEの類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2015−900104(T2015−900104/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5728604号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5728604号商標(以下「本件商標」という。)は,「Synapples」の欧文字を標準文字で表してなり,平成26年4月2日に登録出願,同年7月24日に登録査定,第9類「インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,通信ネットワークを通じてダウンロード可能な画像ファイル又は動画ファイル,電子出版物,携帯電話機用ストラップ」,第14類「キーホルダー」,第16類「紙類,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て」,第25類「被服」及び第41類「演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,楽器の貸与,録音済み又は録画済みのビデオディスク・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・CD−ROM・DVDの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与」を指定商品及び指定役務として,同年12月26日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において引用する登録商標は,以下の13件であり,いずれも現に有効に存続しているものである。(以下これらをまとめて「引用商標」という。)

(1)登録第2511520号(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:APPLE

登録出願日:昭和63年11月2日

設定登録日:平成5年3月31日

指定商品 :第9類及び第16類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

(2)登録2555518号(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:APPLE

登録出願日:平成元年10月2日

設定登録日:平成5年7月30日

指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

(3)登録第2676724号(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:APPLE

登録出願日:昭和63年11月2日

設定登録日:平成6年6月29日

指定商品 :第9類及び第15類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

(4)登録第2719114号(以下「引用商標4」という。)

商標の構成:APPLE

登録出願日:平成元年1月9日

設定登録日:平成9年1月31日

指定商品 :第2類,第16類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

(5)登録5054550第号(以下「引用商標5」という。)

商標の構成:APPLE (標準文字)

登録出願日:平成18年7月31日

設定登録日:平成19年6月15日

指定商品 :第9類,第16類,第18類,第35類,第37類及び第40類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

(6)登録第5165647号(以下「引用商標6」という。)

商標の構成:APPLE (標準文字)

登録出願日:平成18年7月31日

設定登録日:平成20年9月12日

指定商品 :第41類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務

(7)登録第5167824号(以下「引用商標7」という。)

商標の構成:APPLE (標準文字)

登録出願日:平成19年4月13日

設定登録日:平成20年9月19日

指定商品 :第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務

(8)登録第5218014号(以下「引用商標8」という。)

商標の構成:APPLE (標準文字)

登録出願日:平成19年4月13日

設定登録日:平成21年3月27日

指定商品 :第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務

(9)登録第5256657号(以下「引用商標9」という。)

商標の構成:アップル (標準文字)

登録出願日:平成20年5月15日

設定登録日:平成21年8月14日

指定商品 :第9類,第16類,第18類,第35類,第36類,第37類,第38類,第40類,第41類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

(10)登録第5273195号(以下「引用商標10」という。)

商標の構成:アップル (標準文字)

登録出願日:平成20年5月15日

設定登録日:平成21年10月16日

指定商品 :第9類,第25類,第28類,第35類及び第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

(11)登録第5283893号(以下「引用商標11」という。)

商標の構成:APPLE (標準文字)

登録出願日:平成20年5月15日

設定登録日:平成21年11月27日

指定商品 :第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

(12)登録第5563217号(以下「引用商標12」という。)

商標の構成:アップル (標準文字)

登録出願日:平成24年5月25日

設定登録日:平成25年3月8日

指定商品 :第7類,第10類,第14類,第17類,第20類,第39類及び第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

(13)登録第5631909号(以下「引用商標13」という。)

商標の構成:APPLE (標準文字)

登録出願日:平成24年5月25日

設定登録日:平成25年11月22日

指定商品 :第7類,第10類,第11類,第14類,第16類,第17類,第20類,第35類,第38類ないし第41類及び第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

3 登録異議の申立ての理由(要旨)

申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第8号,同第11号,同第15号及び同第19号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第38号証を提出した。

(1)申立人及び引用商標の周知・著名性

申立人は,パーソナルコンピュータを市販化した最初の会社であり,「マキントッシュ」「iMac」等のコンピュータによって広く知られているのみならず,近年は,デジタルオーディオプレーヤー「iPod」,多機能携帯電話「iPhone」,タブレット型コンピュータ「iPad」の爆発的なヒットによって一躍,消費者用家電製品の分野でも有名となり,加えて「iTunes」における音楽配信サービスにより,音楽産業の業態に変革を与えるほど大きな存在となり,さらに広く知られるに至っている。そして,その基本商標(ハウスマーク)はいうまでもなく「Apple(APPLE)」であり,「Apple(APPLE)」は申立人の著名な略称でもあって,今や,わが国においてこれらの商標・略称を知らない者はいないといって過言ではない。

なお,商標「APPLE」が,申立人の業務に係る商品及び役務に使用され,申立人の商標として世界的に著名であることは,例えば,異議2003−90304,異議2009−900419及び無効2010−890050に係る異議決定ないし無効審決(甲28ないし甲30)においても明確に認定されており,さらに,商標「APPLE」は,日本国周知・著名商標リストに掲載されている(甲31及び甲32)。

これらの点からも,商標「Apple(APPLE)」が,申立人の商標及び略称として周知・著名であることは,既に顕著な事実である。

(2)本件商標の構成

本件商標は,「Synapples」を横書きにして成るところ,「synapple」又は「synapples」の語は一般の英和辞典に掲載されてはいない。

もっとも,「apple」が「りんご」を意味する英単語でありその複数形が「apples」であることはわが国一般国民において常識と言いうるほどよく知られており,また,「syn」は,「共に,同時に,似た」などの意を表し,複合語をつくる(甲33)接頭辞にすぎないから,本件商標「Synapples」が,「apple(s)」に「syn」を付け加えて構成されているにすぎないと容易に理解できる。

とくに,上述のとおり,商標「Apple」は申立人の商標として周知・著名であるから,本件商標に接する取引者・需要者がまず「apple(s)」の文字に注目することは明らかであり,「apple(s)」は,取引者及び需要者に対し,自他商品役務識別標識として強い印象を与えるものである。

本件商標の構成において,語頭の「Syn」は,明確な意味をもつ「apple(s)」の語に付加された接頭辞にすぎず,他の言葉に付加されて初めて意味のわかる語であるから,これが結びついた言葉(本件商標でいえば「apple(s)」)に付随ないし従属するものと理解されるにすぎず,「syn」の文字それ自体は自他商品役務識別標識として需要者に対し格別の印象を与えるものでない。

このような,本件商標「Synapples」における「syn」と「apple(s)」の語の各意味や相互の関係に鑑みれば,本件商標の構成において,「apple」の文字部分が,自他商品役務を識別するための要部であることは明らかである。

特に,本件商標の指定商品及び指定役務には,申立人の業務に係る携帯電話機用ストラップ,電子出版物及び音楽・画像・動画ファイル並びに音楽・映像等配信サービスを含む娯楽サービスと同一又は類似の商品及び役務が含まれており,これらの商品及び役務との関係で,本件商標の構成中の「apple」の文字部分が,出所識別標識として強く支配的な印象を与えることは明白である。

(3)商標法第4条第1項第11号該当性

ア 本件商標及び引用商標の構成

本件商標の構成は前記のとおりである。引用商標は,欧文字「APPLE」又は片仮名「アップル」から成り,「アップル」の称呼及び「りんご」の観念を生じることは明らかであって,さらに,引用商標の周知・著名性に鑑みれば,「Apple Inc.(申立人)」及び「Apple Inc.の商標『Apple(APPLE)』」の観念を生じることも明白である。

また,上述のとおり,本件商標の要部は,「apple」の文字部分にあるから,本件商標からも同様に,「アップル」の称呼及び「りんご」の観念を生じる上,「Apple Inc.」及び「Apple Inc.の商標『Apple(APPLE)』」の観念を生じる。

本件商標「Synapples」においては,上述のとおり「apple」の文字部分が強く支配的な印象を与えることは明らかであるから,本件商標から「apple」の文字部分を抽出し,この部分を引用商標「APPLE」及び「アップル」と比較して商標の類否を判断すべきことは明白である。

以上のとおり,本件商標と引用商標とは,称呼及びの観念において同一の,類似の商標である。

イ 指定商品及び指定役務の類似性並びに出願日及び登録日

本件商標の指定役務は,引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似するものであり,本件商標は,引用商標の出願日及び登録日のいずれにも後れて出願・登録されたものである。

ウ よって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第15号該当性

仮に,本件商標と引用商標とが類似しないとしても,本件商標は,申立人(Apple Inc.)との関連性を想起させるものであるから,商標法第4条第1項第15号に該当する。

ア 本件商標の構成

本件商標の構成中,「apple」の文字は,申立人の著名な商標と同一である。また,「Syn」は,上記のとおり「共に」等を意味し複合語を形成する接頭辞にすぎず,出所識別標識としての機能を果たし得ない。

したがって,本件商標「Synapples」に接する需要者・取引者は,その構成中の「apple」の文字部分に着目し,本件商標から「Apple Inc.に関係する何らかの商品又はサービス」をイメージすると考えられ,その出所を混同するおそれが極めて高い。

イ 商標法第4条第1項第15号には,いわゆる「広義の混同」,すなわち,ある他人の業務に係る商品等であると誤信されるおそれのある商標のみならず,その他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれがある商標を含むものであるから,申立人の著名商標である「apple」に,単独では何ら意味を持たない「syn」を付加したにすぎない本件商標は,少なくとも,申立人と何らかの関係にある営業主の業務に係る商品及び役務と誤認されるおそれがあることは明らかである。

ウ 本件商標は,明らかに,申立人の著名商標「apple」をその構成中に含むため,申立人の表示との類似性が極めて高い。

さらに,上述のとおり,本件指定商品及び役務には,申立人の業務に係る商品及び役務と密接に関連する商品・役務が含まれているのであるから,その取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準とし,総合的に判断すると,取引者・需要者をして,少なくとも「広義の混同を生じるおそれ」のある商標であることは明白というべきである。

エ 本件商標は引用商標と同一の部分をその構成の一部に含む結合商標であって,その外観,称呼及び観念上,この同一の部分がその余の部分から分離して認識され得るものであることに加え,引用商標の周知著名性の程度が高く,しかも,本件商標の指定役務と引用商標の使用されている商品及び役務とが重複し,両者の取引者及び需要者も共通している。

オ 本件商標「Synapples」において,上述のとおり「apple」の文字部分が,申立人の周知著名商標と同一であるが故に強く支配的な印象を与え,その他の部分が付加的・従属的な印象を与えるにすぎず,さらに,本件商標の指定商品及び指定役務は,申立人Apple Inc.と密接な関連性を有するから,本件商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合,申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品及び役務であると誤認し,商品及び役務の出所につきいわゆる広義の混同を生ずるおそれがあること明らかである。

以上のとおり,本件商標が,商標法第4条第1項第15号に該当することは明らかというべきである。

(5)商標法第4条第1項第19号該当性

本件商標が申立人の著名商標「apple」を含むことは明らかである。

しかしながら,一般的に,リンゴという果物を意味する言葉を,本件商標の指定商品及び指定役務,特に申立人の業務と密接に関係する商品・役務の商標として採用しなければならない必然性ないし必要性は全くない。

したがって,商標権者は,申立人の著名商標に依拠する意図をもって本件商標を採択し登録出願したものと推認できる。

つまり,申立人商標が著名であり極めて大きな顧客吸引力を有する事実を考慮すれば,本件商標は,申立人商標のもつ強大な顧客吸引力・名声への只乗りによって不正の利益を得る目的を有するか,申立人の商標の有する強い識別力・表示力・顧客吸引力を希釈化することによって申立人に損害を加える目的を有するかのいずれかの不正の目的をもって使用するものと解さざるを得ないものである。

すなわち,本件商標権者が商標「Synapples」を掲げて本件商標の指定商品及び指定役務に係る事業等を行ったとすれば,顧客が申立人を表示する著名な「apple」の表示に誘引されることは明らかであるから,結局,本件商標権者は「apple」のもつ顧客吸引力にただ乗り等することを意図して本件商標を出願したものと解することには十分な合理性がある。

よって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。

(6)商標法第4条第1項第8号該当性

ア 本件商標の構成

本件商標は,欧文字「Syn」と「apple(s)」とを組み合わせた商標であり,十分にその各単語が認識できる構成である。

ところで,申立人の名称は「Apple Inc.」であるが,一般には「Apple」として広く親しまれ,実際,我が国の報道においても「Apple」の略称が用いられているのであって(甲34ないし甲38),「アップル」が申立人の著名な略称であることは,上述のとおり,顕著な事実である。

イ 判例に従えば,本件商標が同号に該当するか否かは,申立人の著名な略称である「apple」が,本件商標から客観的に把握されるか否かによるということができる。

しかして,本件商標「Synapples」の全体から生じる称呼は明らかに「シンアップルズ」であり,明らかに「アップル」の称呼を含み,また,「apple」の語が容易に別の言葉と理解できる上,観念上も「Syn」と「apple」とは分けて認識され,「apple」の部分が客観的に把握されることは明らかである。そして,上述のとおり,「apple」は申立人の著名な略称であるから,本件商標が,申立人の著名な略称を「含む」ものであることは明白である。

申立人は,本件商標が単に物理的に「apple」の文字列を含むことのみをもって本号に該当すると述べているのではなく,本件商標は,申立人の著名な略称である「apple」が認識される態様で「含んでいる」と主張するものである。

また,同号の趣旨は人格的利益の保護にあるところ,略称「Apple」には,申立人の人格に深く関わる企業イメージ・商品イメージが蓄積されているのであり,申立人の著名な略称「Apple」が明らかに客観的に把握される本件商標が使用されれば,申立人の人格的利益が毀損されることも明らかである。

そして,申立人の略称「Apple」は,本件商標の登録出願時及び査定時を通じて著名であり,かつ,申立人は,本件商標に関し,商標法第4条第1項第8号かっこ書所定の承諾を与えていない。

以上のとおり,本件商標は,請求人の名称の著名な略称をそのまま含む商標であるから,商標法第4条第1項第8号に該当することが明らかである。

(7)むすび

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同第15号,同第19号及び同第8号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断

(1) 商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

申立人は,本件商標は全体から「シンアップルズ」の称呼を生じ,「アップル」の称呼を含み,複合語を作る「Syn」が付け加えて構成されているから,「apple」の部分が容易に把握される旨主張している。

しかし,本件商標は,「Synapples」の欧文字を標準文字で表してなるところ,各文字部分はいずれも同一の書体,同一の大きさ,同一の間隔で配置されており,全体としてもまとまりよく表され,外観上「Syn」の文字部分と「apples」の文字部分が他の部分から独立して強調されていると見られる態様ではない。

また,「Synapples」の文字よりなる本件商標からは,構成文字全体に相応して「サイナップレス」又は「 シナップレス 」の称呼が生ずるところ,該「サイナップレス」及び「 シナップレス 」の称呼も,特に冗長であったり,発音が困難であったりすることはなく,無理なく一連に称呼し得るものと認められる。

そして,本件商標の後半の文字部分が「apples」であるとしても,上記したとおり,全体としてまとまりよく不可分一体的に表されている本件商標からは全体としての構成が強く印象に残るものであって,本件商標に接した一般の需要者及び取引者は,全体としてまとまった1つの商標としてのみ把握,認識するものと認められ,「apples」は,当該文字列の中に埋没して客観的に把握されず,「apple」を想起,連想させるものではないというべきであるから,申立人の主張は採用することができない。

さらに,「Synapples」の語は,辞書類に掲録されている成語又は特定の意味を有する語として一般に親しまれているものではないから,一見して造語として理解されるものである。

そうすると,本件商標は,その構成全体をもって一体不可分の造語として認識し把握されるとみるのが自然であり,その構成文字全体に相応して「サイナップレス」又は「シナップレス」の称呼を生じさせ,特段の観念を生じない。

イ 引用商標

引用商標1ないし8,11及び13は,「APPLE」の欧文字を,引用商標9,10及び12は,「アップル」の文字を書してなるところ,それぞれの構成文字に相応して「アップル」の称呼,「リンゴ(りんご)」の観念を生ずるものである。また,「apple(APPLE)」の文字は,特にパーソナル・コンピュータ関連分野をはじめとする関連商品や携帯型デジタル音楽プレーヤーにおいて周知・著名なものと認められ,申立人の商標「apple(APPLE)」の観念を生ずるものといえる。

ウ 本件商標と引用商標との類否

本件商標より生じる「サイナップレス」及び「シナップレス」の称呼と引用商標より生じる「アップル」の称呼とを比較すると,両者は,音構成、構成音数に顕著な差異を有するものであるから,称呼上明らかに区別し得るものである。

また,本件商標は,特定の観念を生じない造語であり,引用商標は,「リンゴ(りんご)」又は申立人の商標「apple(APPLE)」の観念を生ずるものであるから,両者は観念において相紛れるおそれはない。

さらに,本件商標と引用商標の構成は,上記1及び2のとおり,構成文字が相違するから,外観上明らかに区別し得るものである。

そうすると,本件商標と引用商標とは,その称呼,観念及び外観のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。

してみれば,本件商標と引用商標とは,その比較において非類似の別異の商標といわなければならない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

申立人の使用に係る「apple(APPLE,アップル)」の商標が申立人の業務に係るパーソナル・コンピュータ関連分野をはじめとする関連商品や携帯型デジタル音楽プレーヤーを表示する商標として取引者,需要者の間に広く認識されていたものであるが,本件商標と引用商標とは,上記(1)で述べたところと同様の理由から,十分に区別し得る別異の商標と認識されるものであり,商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者をして,かかる構成中の「a」,「p」,「p」,「l」及び「e」の文字部分から,申立人の使用に係る「apple(APPLE,アップル)」を連想又は想起させるものとは認められず,その商品が申立人若しくは,申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係のある者の業務に係るものであるかの如く,商品の出所の誤認混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

(3)本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について

上記のとおり,引用商標は,パーソナル・コンピュータ関連分野をはじめとする関連商品や携帯型デジタル音楽プレーヤーにおいて周知・著名なものであるが,本件商標は,引用商標とは類似するところのない別異の商標である。

また,商標権者が,不正の利益を得る目的や申立人の登録商標の出所表示機能を希釈化させ,その名声等を毀損させる目的を持って本件商標を出願し,登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすこともできないから,本件商標は,不正の目的をもって使用するものということができない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。

(4)商標法第4条第1項第8号該当性について

本件商標は,前記したとおり,外観上一体として把握されるとみるのが自然である上,「Synapples」が我が国においてなじみのない語であり,一見して,その構成全体として一体の造語と理解されるものであって,特定の観念を生じない。

したがって,本件商標は,その構成中の「apple」の文字が本件商標を構成する文字列の中に埋没して,該文字部分を1つのまとまりとしては把握されず,申立人を連想,想起させるものではないというのが相当である。

そうすると,「apple(APPLE)」の標章が申立人の著名な略称であり,本件商標が物理的には「apple」の文字を包含するものの,本件商標をその指定商品に使用した場合,取引者,需要者が該文字部分から直ちに,申立人の略称としての「apple」を想起させるものとはいえないから,本件商標は,他人の名称の著名な略称を含む商標には当たらないというべきである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。

(5)まとめ

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第8号,同項第11号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。