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Trademark Appeal Case

記述的商標の識別力と類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2015−900123(T2015−900123/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5733664号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5733664号商標(以下「本件商標」という。)は,「aerosoft」の文字を書してなり,平成26年4月21日に登録出願,第25類「靴,運動靴及び運動用特殊靴,ビーチシューズ,スリッパ,エスパルト製の靴,ブーツ,ハーフブーツ,編上靴,運動用特殊ブーツ,フットボール靴,木靴,体操用靴,サンダル靴及びサンダルげた,浴室用スリッパ,ゲートル,かかと,履物用つま先革,帽子」(以下「本件指定商品」という。)を指定商品として,同年12月18日に登録査定され,同27年1月16日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標はその指定商品中,第25類「靴,運動靴及び運動用特殊靴,ビーチシューズ,スリッパ,エスパルト製の靴,ブーツ,ハーフブーツ,編上靴,運動用特殊ブーツ,フットボール靴,木靴,体操用靴,サンダル靴及びサンダルげた,浴室用スリッパ,かかと,履物用つま先革」(以下「本件申立商品」という。)について,商標法第3条第1項第3号,同法第4条第1項第11号及び同項第16号に違反して登録されたものであるから,その登録は同法第43条の2第1号に基づき取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号違反について

ア 本件商標について

本件商標は「aerosoft」の欧文字を普通に用いられる方法で書してなり,本件指定商品を指定商品とするものである(甲1,甲2)。

イ 証拠について

「aero」の文字は,接頭辞として用いられる文字列で,「空気,ガス,飛行機,飛行船などの」の意味を有するものであり(甲5),靴関連の商品の分野では「空気が入ってクッション性がある」といった品質を表す語として広く採択使用されているものである(甲6)。

また,構成中の「soft」の文字は,「やわらかいさま,他の外来語と複合して,やわらかな・おだやかな」等の意味を有するものであり(甲7),靴関連の商品の分野では「やわらかな」といった品質を表す語として普通に使用されるものである(甲8)。

したがって,これらの語を一連に書してなる本件商標「aerosoft」からは,その品質が「空気が入ってクッション性があり,やわらかい」程の意味合いが直感的に容易に認識されるものとみるのが相当である。

ウ 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

本件商標を,その指定商品中,靴関連の商品である本件申立商品に使用しても,取引者,需要者に「空気が入ってクッション性があり,やわらかい」という商品特性を有するであろうことを容易に認識させるにとどまり,自他商品識別標識として機能を果たすものとは認められない。

また,本件商標を上記に照応する「空気が入ってクッション性があり,やわらかい」商品以外の商品に使用するときは,商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。

よって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第11号違反について

ア 本件商標について

本件商標は,上述のとおりである。

イ 引用商標について

申立人が引用する登録第4293259号商標(以下「引用商標」という。)は,「AEROSOLES」の欧文字を横書きした構成よりなるものであり,第25類「履物,運動用特殊靴」を指定商品として平成10年1月20日登録出願,同11年7月9日に設定登録され,その商標権は現に有効に存続しているものである(甲3,甲4)。

ウ 商標法第4条第1項第11号について

(ア)本件商標と引用商標との対比

a 外観の類否について

本件商標は「aerosoft」の欧文字を横書きした構成からなるものであるのに対し,引用商標は「AEROSOLES」の欧文字を横書きした構成よりなるものである。

本件商標と引用商標とを比較した場合,大文字と小文字の差異はあるものの,この種の欧文字からなる商標に接したものは,概して,商標を構成する文字の配列として把握するのが通常であり,この点,両商標は,それぞれ「AEROSOFT」(aerosoft),「AEROSOLES」(aerosoles)の欧文字から構成される商標として認識し,外観を把握するものであるものといえる。

そうすると,前者はアルファベット8文字を,後者はアルファベット9文字を各々左横書きした構成であり,そのうち目に留まりやすい前半部「a」「e」「r」「o」「s」「o」の6文字を共通にするものであり,わずかに,比較的目に留まりにくい後半部における第7文字目及び8文字目の差異及び9文字目の有無の差異を有するにすぎないものである。

靴関連の商品に関する取引の実情を見ると,これらの商品は,日々購入し,使用される性質のもので,価格的にも高価なものではない。この種の商品の需要者は特別な専門的知識経験を有しない一般消費者であり,雑誌や店頭等で一度接しただけで商標・ブランドを一瞬のうちに把握し,その外観・構成から容易に記憶に残る印象でもって手軽に商品を選択し,購入するといえるから,購入するに際して払われる注意力はさほど高いものではないとみなければならない。そうすると,両商標を対比した場合には,個々の構成の差異が認識されるとしても,本件商標に接する需要者が,上記した後半部の外観の差異を明確に認識し,商品を選択,購入するとは言い難く,全体の外観的構成や印象が共通していることから,迅速繁忙な取引の実際の現場において,全体として互いに錯覚しやすい視覚的な紛らわしさがあり,本件商標と引用商標とは時と処を異にして接した場合,明瞭に区別することができず,外観において,相紛れるおそれの高いものである。

よって,両者は,外観上類似する商標ということができる。

b 称呼の類否について

本件商標は「aerosoft」の欧文字を書してなり,これよりは「エアロソフト」の称呼を生ずるものである。

一方,引用商標は「AEROSOLES」の欧文字を書してなり,これよりは「エアロソールズ」の称呼を生ずるものである。

そこで,両称呼を比較すると,両者は称呼を識別するうえで最も重要な要素を占める語頭部において「エ」「ア」「ロ」「ソ」の4音の称呼を共通にするものであり,異なるところは,称呼識別上それほど重要でない語尾部における「フト」と「ールズ」の差異にすぎないものである。

迅速繁忙な取引の実際の現場において,世人通常の印象回想力により離隔的に観察した場合,「エアロソ」から始まる称呼を有する商標としての印象が強く残り,全体として音感,音調が近似し,互いに錯覚しやすい聴覚的な紛らわしさがあることから,本件商標と引用商標とは時と処を異にして称呼した場合,明瞭に区別することができず,称呼において相紛れるおそれの高いものである。

よって,両者は,称呼上,類似する商標ということができる。

(イ)指定商品の類否等ついて

また,本件申立商品と引用商標の指定商品が同一又は類似の関係にあることは明らかである。

そして,引用商標は,本件商標に対して先願,先登録であることも明白である。

以上のことから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)むすび

上記したとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第3号,同法第4条第1項第11号及び同第16号に違反して登録されたものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

ア 申立人提出の甲各号証によれば,「aero」及び「soft」の文字(語)が「空気」及び「やわらかな」などの意味を有すること(甲5,甲7),「エアロ」及び「ソフト」の文字(語)が靴について使用されること(甲6,甲8)が認められる。なお,後者の証拠(甲6,甲8)は本件商標の登録査定の日後のものである。

イ 本件商標は,上記1のとおり「aerosoft」の文字からなり,その構成文字はまとまりよく一体的に表されているといえるものであり,これから生じる「エアロソフト」の称呼も,よどみなく一連に称呼し得るものである。

そして,本件商標は,たとえ「空気」及び「やわらかな」などの意味を有し靴について使用される「aero」及び「soft」の文字を結合してなるものと認識されるとしても,本件商標の上記構成及び称呼においては,その構成文字全体から申立人説示の「空気が入ってクッション性があり,やわらかい」などの意味を認識させるというより,むしろ特定の意味や観念を生じさせない一体不可分の造語を表したものとして認識,把握させるとみるのが自然である。

さらに,職権をもって調査するも,「aerosoft」の文字が,靴をはじめとする本件申立商品の品質等を表示するものとして使用されている実情は発見できないし,商品の品質等を表示するものと認識されるというべき事情も発見できなかった。

そうすると,本件商標は,これを本件申立商品に使用しても,商品の品質を表示するものでなく,自他商品識別標識としての機能を果たし得るものといわなければならない。

ウ また,本件商標が本件申立商品の品質を表示するものといえないものであるから,本件商標は,これを本件申立商品に使用しても商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものともいえない。

したがって,本件商標は,本件申立商品について商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも該当するものといえない。

(2)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標は,上記(1)イのとおり,「aerosoft」の文字からなり,「エアロソフト」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

イ 他方,引用商標は,上記2(2)イのとおり「AEROSOLES」の文字(標準文字)からなり,該文字に相応し「エアロソールズ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

ウ そこで,本件商標と引用商標を比較すると,外観においては,両者の構成文字「aerosoft」と「AEROSOLES」は小文字と大文字の差異に加え,綴り字においても8文字又は9文字の構成中,語尾部に「ft」と「LES」の差異を有するから,これらの差異が両者の構成全体の印象に与える影響は少なくなく,相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。

次に両者の称呼「エアロソフト」と「エアロソールズ」は,6音又は7音の構成中,語尾部に「フト」と「ールズ(「ー」は「ソ」の長音)」の差異を有するから,両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が異なり相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。

さらに,観念において,両商標は,共に特定の観念を生じないものであるから,比較することはできず,類似するとはいえないものである。

そうとすれば,両商標は,外観,称呼及び観念のいずれの点から見ても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

その他,査定時における取引の実情を勘案し,本件申立商品の取引者,需要者の認識を基準として両商標が類似するというべき事情も見いだせない。

したがって,本件商標は,本件申立商品について商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。

(3)むすび

以上のとおりであるから,本件商標は,本件申立商品について商標法第3条第1項第3号,同法第4条第1項第11号及び同第16号に違反して登録されたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

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