Trademark Appeal Case
周知商標との同一性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−3042(T2014−3042/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「東京トラックショー」の文字を標準文字で表してなり、第35類及び第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成24年7月2日に登録出願されたものである。
そして、指定役務については、原審における平成24年12月20日付け手続補正書により、第35類「広告業,商品の展示会・見本市・商品博覧会の企画・運営及び開催又はこれらに関する情報の提供,商業又は広告のための展示会・見本市・商品博覧会の企画・運営及び開催又はこれらに関する情報の提供,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,消費者のための商品購入に関する助言と情報の提供,広告用具の貸与,新聞・雑誌記事情報の提供,自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,スポーツの興行の企画・運営又は開催,展示会の企画・運営及び開催又はこれらに関する情報の提供(商品の販売促進のためのものを除く。),その他の興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),運動施設の提供,娯楽施設の提供」と補正されたものである。
2 原査定における拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、東京都中央区所在の株式会社日新出版(以下「日新出版」という。)が、役務『商品の展示会・見本市・商品博覧会の企画・運営及び開催,セミナーの企画・運営又は開催,興行の企画・運営及び開催』について使用し、本願商標の登録出願前より取引者、需要者間に広く認識されている商標『東京トラックショー』と類似する商標であり、かつ、前記役務と同一又は類似の役務に使用するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)日新出版の主催する「東京トラックショー」の周知性について
ア 請求人の提出に係る証拠、刊行物等提出書、原審で示した証拠及び当審における職権調査並びに請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)日新出版は、東京ビッグサイトにおいて、2003年ないし2013年の11年間に計6回開催されている貨物自動車の展示会(以下「本件展示会」という。)である「東京トラックショー」(以下「引用商標」という。)の主催者であり、また、本件展示会の前身であり実質的に同一と認められる展示会が、1984年から2001年までの間に「トラックショー」の名称で計10回開催されており、その全ての開催における主催者でもある。
(イ)そして、本願の登録出願の前後にあたる2011年及び2013年に開催された本件展示会の来場者数はそれぞれ約8万人と約4万人、出展社数はいずれも約100社である。
本件展示会の対象が貨物自動車に限定されたものであることをも勘案すれば、これらの来場者数及び出展社数は少なくないものといえ、規模の大きい展示会というべきであり、貨物自動車に係る取引者・需要者から注目を集めていたものと推認できる。
(ウ)また、本件展示会は、引用商標とともに貨物自動車の業界紙や雑誌等に多数掲載され、一般の新聞や雑誌等への掲載も見受けられる。
イ そうとすれば、日新出版が主催する本件展示会及び引用商標は、「貨物自動車に係る展示会・見本市・商品博覧会の企画・運営及び開催、並びに、興行の企画・運営及び開催」の役務との関係では、本願の登録出願時及び審決時において、需要者の間に広く知られているというのが相当である。
ウ なお、本件展示会及び引用商標が周知であること、並びに、本件展示会が日新出版の主催により開催されてきたことについて、請求人は争っていない。
(2)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標とは、共に「東京トラックショー」の文字を表してなるものであるから、互いに同一又は類似する商標であること明らかである。
(3)本願の指定役務と引用商標の使用に係る役務について
引用商標は、上記(1)のとおり、「貨物自動車に係る展示会・見本市・商品博覧会の企画・運営及び開催、並びに、興行の企画・運営及び開催」について使用するものといえる。
本願の指定役務は、引用商標の使用に係る役務に同一又は類似の役務と認め得る「商品の展示会・見本市・商品博覧会の企画・運営及び開催又はこれらに関する情報の提供,商業又は広告のための展示会・見本市・商品博覧会の企画・運営及び開催又はこれらに関する情報の提供」(第35類)及び「展示会の企画・運営及び開催又はこれらに関する情報の提供(商品の販売促進のためのものを除く。),その他の興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」(第41類)を含むものである。
(4)請求人の主張について
ア 請求人(出願人)は、以下の(ア)及び(イ)のとおり主張し、証拠として、第1号証ないし第20号証を提出している。
(ア)出願人は、日新出版とは独立して、本件展示会の企画・運営・開催を専ら行うことを目的として設立され(第1号証及び第2号証)、本件展示会への出展料及び同興行に伴う広告料により、専ら事業を成立させており(第9号証ないし第11号証)、本件展示会の運営及び開催に関する収支決算は、全て出願人の名義の下に行われており、2011年開催の本件展示会まで、実質的に本件展示会を運営し開催していたのは、出願人であったといっても過言ではない。
一方、日新出版は、設立当初から現在に至るまで、一度も「各種イベントの企画、立案、実施」を、その目的としたことはなく(第3号証及び第4号証)、形式的に開催者としての名義が表示されていたにすぎないと評価できる。
本件展示会の事務局は、1994年から2001年にかけて、日新出版、出願人及びパラボックス株式会社により構成されていたが、その後、パラボックス株式会社が撤退し、2005年から2011年の事務局は日新出版と出願人で構成されていたものの、実質的には出願人及び出願人代表者により、企画及び運営が為されていた(第5号証ないし第8号証)。
以上のとおり、本件展示会及び引用商標の周知性を築き上げてきたのは、日新出版ではなく出願人であり、本願商標の出所表示機能を考えると、日新出版あるいは出願人は、少なくとも本件展示会の出展者から見れば、実質的に同一の出所を表示するものとして機能しており、出願人が本願商標の商標権者となっても、本願商標の出所表示機能を害することはない。
(イ)日新出版は、平成26年1月に事業を休業しており(第20号証)、請求人は、同社が決算期である同年9月に、会社清算の手続に移行し、正式に廃業となる見通しであるとの情報を得ているから、本件審判の審理につき猶予を求める。
イ しかしながら、日新出版が、1984年から2013年までの前身の「トラックショー」を含めた全ての本件展示会の主催者であるのに対し、出願人は、本願の登録出願時から審決時の間である2013年(平成25年)10月24日ないし26日に開催され、約4万人の来場者数と約100社の出展社数の実績を有する前回の本件展示会において、その企画・運営等に係わっていない。
また、出願人は日新出版とは独立して設立されたものであり、両者が組織的・経済的に関係があるなどの証左も見受けられないことからすれば、本件展示会に係る取引者・需要者が出願人と日新出版とを実質的に同一の出所であると認識するものであるとはいえない。
さらに、日新出版が現在事業を休業しており、請求人が主張するとおりに廃業に至ったとしても、前回開催にあたる2013年(平成25年)10月まで本件展示会を主催してきた日新出版の実績を勘案すれば、本願の審決時においても、引用商標は、日新出版の主催する本件展示会を表すものとして周知であるというのが相当である。
(5)まとめ
以上のとおり、本願商標は、日新出版の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標と同一又はこれに類似する商標であって、その使用に係る役務と同一又はこれに類似する役務について使用をするものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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