Trademark Appeal Case
品質表示と略語の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−25293(T2014−25293/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ノンアル除菌」の文字を標準文字で表してなり、第16類に属する願書に記載の商品を指定商品として、平成25年10月4日に商標登録出願されたものである。
そして、その指定商品については、原審における平成26年5月28日付け手続補正書により、第16類「紙製包装用容器,プラスチック製包装用袋,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,紙製又は不織布製ふきん(紙製品に属するものに限る。),衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙製ウエットティッシュ,不織布製ウェットティッシュ(紙製品に属するものに限る。),使い捨て不織布製ティッシュ(紙製品に属するものに限る。),紙類,印刷物」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『ノンアル除菌』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『ノンアル』の文字は、『ノンアルコール』の略称として広く認識されており、また、『除菌』の文字は『細菌を取り除くこと。』の意味合いを有する語と認める。そして、近年、『ウェットティッシュ』等を扱う分野において、『ノンアルコールタイプの除菌できる商品』が一般に取引されている実情がある。そうすると、『ノンアルコール』の略称である『ノンアル』の文字と『除菌』の文字を結合した「ノンアル除菌」の文字からなる本願商標を、その指定商品中『ウェットティッシュ』等に使用しても、これに接する取引者・需要者に、『ノンアルコールタイプの除菌できる商品』であることを理解させるにとどまり、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が「紙製又は不織布製ふきん(紙製品に属するものに限る。),衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙製ウエットティッシュ,不織布製ウェットティッシュ(紙製品に属するものに限る。),使い捨て不織布製ティッシュ(紙製品に属するものに限る。)」(以下、これらをまとめて「ウェットティッシュ等」という場合がある。)との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、別掲2のとおりの事実を内容とする証拠調べの結果を通知した。
4 証拠調べに対する意見の要旨
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、以下のように述べている。
(1)「ノンアルコール除菌」の語が、ウェットティッシュ等に使用されているインターネット情報をもって、本願商標も単なる品質表示等と認識される、とするのは、あまりに飛躍した解釈であり、大雑把な認定である。
(2)仮に、ウエットティッシュ等の商品について、「ノンアルコール除菌」の語が品質表示等として一般的に使用されているとしても、「ノンアルコール」をあえて「ノンアル」と略し、「ノンアル除菌」という造語とした場合にまで、品質表示等と認識され得る根拠となる客観的証拠は示されていない。
(3)証拠調べ通知で示された証拠のうち、ウエットティッシュ等の商品分野で「ノンアルコール」が「ノンアル」と略されている例は1件のみである。また、レビュー・口コミや個人のブログにおいて同様に略されている例は3件のみであり、かつ、これらは、基本的には自由に記載でき、恣意的に記載内容をコントロールすることも可能なものである。
(4)酒等の「飲料」については、商品の名称を省略する傾向が数多く見受けられることから、「ノンアルコール」の語が「ノンアル」と略されることが多いものと推測されるのに対し、ウエットティッシュ等の商品分野において「ノンアルコール」の語が使用される場合には、取引の迅速性や効率面よりも、その成分等をより正確に伝達することが重要であるから、わざわざ省略して正確性を欠いてしまうような表記を行うことは少ないのが実情である。よって、「飲料」の商品分野において、「ノンアルコール」の語が「ノンアル」と略されることが一般的である事実があるとしても、これがウエットティッシュ等の商品分野においても同様に一般的であるという裏付けにはならない。
(5)以上のとおり、証拠調べ通知で示された事実が存在したとしても、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「ノンアル除菌」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、前半部の片仮名と後半部の漢字とにおいて文字の種類が相違することに加え、後半部の「除菌」の漢字が「細菌を取り除くこと」の意味を有する既成の語として、広く使用されているものであるから、「ノンアル」の片仮名と「除菌」の漢字とを結合してなるものと容易に理解されるものである。
ところで、原審で示した事実(別掲1)及び前記3の証拠調べ通知で示した事実(別掲2)によれば、「ノンアル」の語は、「アルコール成分を含まない」の意味を有する「ノンアルコール」の語の略称として一般的に使用されており、特に、近年、アルコール成分を含まないビール風味の飲料が流行し、新しい商品カテゴリーとして確立されてきており、これらの特徴を有する商品を表すに当たって該略称が多用され、メディア等において取り上げられている実情をも踏まえれば(別掲2(2)ア及びイ)、「ノンアル」の語は、「ノンアルコール」の語の略称として我が国における一般需要者に広く認識されているといえるものであって、このように認識されることにおいて、ウェットティッシュ等の商品分野の需要者となり得る一般需要者においても同様といえるものである(別掲1(2)ア及びイ並びに同2(2)ウ及びエ)。
また、上記商品分野において、その商品の除菌効果の有無及び除菌のためのアルコール成分を含むか否かは、商品の品質そのものであって、需要者が商品を品質で選択する際の重要な判断要素であり、かつ、アルコール成分を含まないで除菌効果を有する商品であることを表す語として、「ノンアルコール」の片仮名と「除菌」の漢字とを一連に表した「ノンアルコール除菌」の語が使用されている例も多数見受けれる(別掲1及び別掲2(1))。
してみれば、本願商標は、その構成中の「ノンアル」の片仮名が「アルコール成分を含まない」の意味を有する「ノンアルコール」の語の略称と理解されるものであって、該片仮名と「除菌」の漢字とを一連に表した本願商標「ノンアル除菌」を、その指定商品中の「紙製又は不織布製ふきん(紙製品に属するものに限る。),衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙製ウエットティッシュ,不織布製ウェットティッシュ(紙製品に属するものに限る。),使い捨て不織布製ティッシュ(紙製品に属するものに限る。)」に使用した場合、これに接する取引者・需要者に、その商品が「アルコール成分を含まないで除菌ができる商品」であると理解させるにとどまるものというべきであるから、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎない商標である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、要するに、仮に、「ノンアルコール除菌」の語が、ウエットティッシュ等について、品質表示等として一般的に使用されているとしても、該商品の分野においては、「ノンアルコール」を「ノンアル」と略している例は多くはなく、かつ、商品の名称を省略する傾向が数多く見受けられる酒等の飲料の商品分野とは異なり、取引の迅速性や効率面よりも、その成分等をより正確に伝達することが重要な商品分野であるから、わざわざ省略して正確性を欠いてしまうような表記を行うことは少ないのが実情であると主張する。
しかしながら、上記(1)で述べたとおり、「ノンアル」の語は「ノンアルコール」の語の略称として、我が国における一般需要者に広く認識されている語であって、酒類等の飲料もウェットティッシュも日常生活に密接に関係する商品であることを考慮すれば、ウエットティッシュ等に係る需要者がこれと異なる意味合いを認識するという特段の事情はないというべきであり、また、ウエットティッシュ等の品質を表す語の略称からは、需要者がその品質を認識することはないという実情も見いだせないのみならず、現に、ウエットティッシュ等においても、「ノンアル」の語が「ノンアルコール」の語の略称として使用されている実情も少なからずあるのであるから、請求人の主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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