Trademark Appeal Case
欧文字の識別力獲得
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−23296(T2014−23296/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「AO」の欧文字を標準文字で表してなり、第41類「外科手術手技の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授,外科手術手技に関するセミナーの企画・運営又は開催,セミナーの企画・運営又は開催」を指定役務として、平成25年7月16日に登録出願されたものである。その後、指定役務については、原審における平成26年2月24日受付の手続補正書により、第41類「外科手術手技の教授,外科手術手技に関するセミナーの企画・運営又は開催」と補正されたものである。
2 原査定における拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『AO』と標準文字で表してなるところ、商品・役務の記号、規格などを表すものとして一般に使用されている欧文字2文字の一類型と認識されるにすぎないものであるから、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と認める。また、出願人は、本願商標が骨折治療に従事する医師や看護師等の医療従事者の間で著名となっている旨主張しているが、出願人が提出した証拠からは、本願商標と同視できる『AO』の文字が、補正後の本願指定役務について使用されている事実をみいだせず、補正後の指定役務についての本願商標の使用期間等を把握することができないから、出願人の主張を認めることができない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号について
本願商標は、前記1のとおり、「AO」の欧文字を標準文字で表してなるところ、本願の指定役務を取り扱う業界において、欧文字の1字又は2字は、役務の提供において記号及び符号などとして用いられており、取引上、一般に使用されているものであって、このことは別掲に示す使用の実例からも明らかである。
そうすると、本願商標は、役務の提供において用いられる記号、符号の一類型を表したものというべきであって、これに接する取引者、需要者は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と認識するとみるのが相当であり、自他役務の出所識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
請求人は、本願商標が、我が国において骨折治療に従事する医師や看護師等の医療従事者の間で、少なくとも「外科手術手技の教授,外科手術手技に関するセミナーの企画・運営又は開催」に関して著名なものとなっており、自他役務識別機能を十分に発揮している旨主張し、証拠として甲第1号証ないし甲第29号証を提出しているので、本願商標が商標法第3条第2項に該当するに至ったものであるかについて、以下判断する。
ア 事実認定
請求人が提出した甲第1号証ないし甲第29号証によると、以下の事実が認められる。
請求人である「アーオー テクノロジー アクチエンゲゼルシャフト」は、AO財団に属するアーオーグループの代表的存在であり、財団に代わって世界中で商標「AO」の登録を得る権限を有している(甲1)。この「AO財団」は、骨折治療の研究・開発や教育活動を行う非営利団体で、1958年(昭和33年)にスイスで設立され、骨プレート固定や骨折外科治療の方法に関するトレーニングコース(研修)を多くの国において開催し、日本においても「AO Course」と称するこの研修を、1987年から約6,000人の外科医と看護師が受講している(甲3〜甲5)。
日本語で記載された日本向けのAO財団のウェブサイトには、「AO Course」について、「AOTrauma」(外傷)、「AOCMF」(顎顔面)及び「AOVET」(獣医科)の分野毎に開催され、それぞれの研修の会期や開催地に関する情報、研修を受講した参加者のレポート等が掲載され、「AOTrauma」については、それを紹介する冊子も作成されている。また、「AO Fellowship」と称する留学研修活動に関する情報も掲載されている(甲5〜甲14、甲20、甲24〜甲28)。
さらに、AO財団の英語版のウェブサイト等には、「About AO」の見出しのもと、AO財団の活動の説明、AO財団が行う研修や留学研修活動について掲載されている(甲15〜甲19)。
また、3つの医院の整形外科分野に関するウェブサイトにおいて、「AO法の紹介」とする骨折の治療の説明や、AOの教育システムの紹介、AOの研修の報告書が、それぞれ掲載されている(甲21〜甲23)
なお、上記の資料中、AO財団の説明の見出しとして「AO」の文字(甲5、甲7、甲22)が使用され、本願指定役務との関係においては、研修や留学研修の説明などの見出しに、「AO Course」(甲5、甲9〜甲11、甲13、甲14)、「AO Fellowship」(甲5)、「AOTRAUMA」又は「AOTrauma」(甲7、甲8、甲20)、「AOCMF」(甲9〜甲11)、「AOVET」(甲13)の文字の使用が認められる。
イ 判断
上記アの事実によれば、請求人が属するAO財団は、骨折治療の研究・開発や教育活動を行う非営利団体で、骨折治療に関する研修や留学研修を実施しており、研修の名称、留学研修の名称として、「AO Course」、「AO Fellowship」の文字を使用している。また、研修の分野を表す語として、AO財団のウェブサイトにおいて、それぞれ「AOTRAUMA」又は「AOTrauma」、「AOCMF」、「AOVET」の文字を使用している。
そして、上記した「AO」と他の語を組み合わせた文字の使用にあっては、取引者、需要者をして、「AO」の文字のみが請求人の取り扱う役務を連想、想起させるほど格別に注意を強く惹くものであるということはできず、他の文字と組み合わさった「AO」の文字は、独立して、役務の出所識別を表示するものとして機能しているとはいえないというのが相当である。
また、指定役務との関係においては、AO財団による研修の実施にあたり、その研修を受ける者の利用に供する物(教材や修了証など)に本願商標を付しているなど、請求人が、本願商標をその指定役務について、商標として使用している事実を確認することができない。
以上によれば、本願商標は、その指定役務について、使用されていることを確認することができず、本願商標の使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該役務の取引数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等も明確に把握できない。
そうすると、これらの提出された資料からは、本願商標が、わが国の骨折治療に従事する医師や看護師等の医療従事者の間で著名なものとなっていると認めることはできず、本願商標が、使用により自他役務の識別力を獲得するに至ったとはいえないものである。
ウ 小活
してみれば、本願商標は、その指定役務に使用された結果、需要者が請求人の業務に係る役務であることを認識することができるに至っていると認めることはできない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものということはできない。
(3)請求人の主張について
請求人は、提出した証拠の中には、本願商標とともに「TRAUMA」、「SPINE」、「CMF」、「VET」の文字が添えられているものがあるが、これらは「外傷」、「脊椎」、「顎顔面」、「獣医科」のことであり、骨折治療の分野では識別力のない語であることから、「AO」のみが商標としての機能を果たしており、また、「AO Course」や「AO Fellowship」についても、「Course」や「Fellowship」の語が、学習課程や研究奨学金を意味することから、本願商標の使用に当たると主張する。
しかしながら、これらは、「AO」と他の語を結合した一体的なものと看取されるのが相当であり、その構成中に含まれる「AO」の文字のみが、役務の出所識別を表示するものとして機能しているとはいえないということは、上記(2)イで述べたとおりである。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものではないから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。