Trademark Appeal Case
容器立体商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−998(T2015−998/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒,泡盛」を指定商品として、平成26年3月25日に立体商標として登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『酒を入れる容器』と認められるので、これをその指定商品に使用しても、取引者・需要者は、『通常採用し得る酒の容器』と認識するに止まり、単に該商品の形状(包装の形状)のみからなる立体商標を表したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における手続の経緯
審判長は、請求人に対し、平成27年7月30日付けで、別掲2のとおりの内容を示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものである旨の見解を示す審尋をし、期間を指定して、これに対する回答を求めた。
4 審尋に対する請求人の回答の要点
請求人は、前記3の審尋に対し、「本願商標は、上端の出し入れ口から、糸巻の有るヘッド状部を含めて全体が容器として機能しており、容量も大きくなる。このように、常識では考えられない形成とすることで、商標として機能すなわち自他商品識別力を顕著にしている。また、別掲2(2)の例を挙げ、弦楽器をモチーフとした容器の形状は一般的だと述べているが、本願の立体商標とは全く異なり、本願の立体商標は自他商品識別力も有している。」旨の意見を述べている。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなるものであり、前記3の審尋のとおり、その立体的形状は、三線又は三味線(以下「三線等」という。)をモチーフとした立体的形状を有してなるものであり、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒,泡盛」を指定商品とするものである。
ところで、商品又は商品の包装(以下「商品等」という。)の形状は、多くの場合、商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品等の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように、商品等の製造者、供給者の観点からすれば、商品等の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品等の形状を見る需要者の観点からしても、商品等の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。そうすると、商品等の形状は、多くの場合に、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、客観的に見て、そのような目的のために採用されると認められる形状は、特段の事情のない限り、商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。また、商品等の具体的形状は、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。しかし、同種の商品等について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状として、同号に該当するものというべきである(知的財産高等裁判所平成19年(行ケ)10215号同20年5月29日判決参照。)。
そこで、本願商標は、上記のとおり、三線等をモチーフとした立体的形状であるところ、該立体的形状は、全体の形状が三線等を正面から平面で捉えたシルエットに厚みをもたせた形状からなるもので、その最上部に注ぎ口にあたる開口部を有しており、最下部に三線等の胴体の下に土台部分を有してなるものである。
そして、三線等全体に厚みをもたせた形状は、容器が多くの容量を入れられるという観点から採択されたものといえ、土台部分については、容器を安定させるという観点から採択されたものといえるものであり、いずれも本願の指定商品の容器という機能をより効果的に発揮させるために採択されたものというのが相当である。
また、三線等をモチーフとした形状は、容器の輪郭の美感をより優れたものにするためであるといえるものであり、さらに、別掲2(2)に示したとおり、酒類の容器の形状に、容器の輪郭に美感を与えるものとして弦楽器をモチーフとした立体的形状が使用されていることから、本願商標の立体的形状についても、酒類の容器において通常採択されている形状の範囲を大きく超えるものとまでは認められない。
そうすると、本願商標の立体的形状は、本願の指定商品との関係において、その容器の機能又は美感に資することを目的として採用されるものと認められ、また、酒類の容器について、需要者において予測可能な範囲内のものというべきである。
したがって、本願商標は、商品の包装の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標であることから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
なお、請求人は、商標法第3条第2項に該当する旨は主張しておらず、また、職権をもって調査するも、本願商標が同項に該当するとすべき事情は見いだすことができなかった。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標は、常識では考えられない立体的形状とすることで、商標としての機能、すなわち自他商品識別力を顕著に発揮しており、また、審尋で挙げられた弦楽器をモチーフとした容器の形状の例と、本願の立体商標とは、全く異なるものであり、本願の立体商標は自他商品識別力を有している旨の意見を述べている。
しかしながら、本願商標は、その立体的形状が指定商品の容器の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであって、その立体的形状の特徴が機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものといえること、上記(1)のとおりである。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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