Trademark Appeal Case
リサイクルポートの著名性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−1634(T2015−1634/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおり構成からなり、第4類及び第36類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成26年3月14日に登録出願、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同年9月3日受付けの手続補正書により第4類「環境に配慮した総合静脈物流拠点港で製造又は販売される回収した廃棄物を主たる原材料とする燃料」及び第36類「環境に配慮した総合静脈物流拠点港における温室効果ガス排出削減量の認証に基づく国内クレジットの取引」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『エコ・リサイクルポート』の文字を有してなるところ、その構成中の『エコ』の文字は、『(エコロジーの略)環境に配慮すること。生態、環境、環境保護を意味する接頭語。』を意味する語であり、環境に配慮した商品や役務との関係においては、識別標識としての機能を有しないものである。また、本願商標の構成中の『リサイクルポート』の文字は、国土交通省が『循環型社会形成推進基本計画』において位置付けている『港湾を核とした総合的な静脈物流システムの構築』に向けて、2002年から指定を進めている『総合静脈物流拠点港』を意味する語として一般に知られているものである。そうすると、本願商標は、その構成中の後半の『リサイクルポート』の文字部分が要部と認められ、該文字は、国土交通省が2002年から指定を進めている『総合静脈物流拠点港』と同一のものと認められるから、国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における手続の経緯
当審において、「リサイクルポート」の語が、国土交通省の施策に係る「総合静脈物流拠点港」を表すものとして著名であって、本願商標が商標法第4条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成27年6月12日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。
4 請求人の意見
請求人は、上記証拠調べに対し、所定の期間を経過するも、何らの意見を述べていない。
5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第6号該当性について
ア 「リサイクルポート」について
別掲2の1に掲げる新聞及びウェブサイトの記事によれば、国土交通省は、生産や消費活動で排出されたものの輸送である静脈物流に関して、「港湾を核とした総合的な静脈物流システム」の構築を推進しており、静脈物流において海上輸送を活用することにより、港湾を核とした静脈物流の拠点化、循環資源の広域流動を促進させる事業を行っており、静脈物流の拠点となる港湾を「総合静脈物流拠点港」として指定し、その名称として「リサイクルポート」を使用していることが認められる。
そうすると、上記事業は、公益に関する事業であって営利を目的としないものに該当し、「リサイクルポート」は、上記事業を表示する標章といえるものである。
イ 「リサイクルポート」の著名性について
別掲2に掲げる新聞及びウェブサイトの記事によれば、「リサイクルポート」は、平成23年1月までに全国で22港が指定を受けていることが認められる。
そして、この指定を受けた港については、各地域における新聞記事にリサイクルポートに関する情報が多数取り上げられており(別掲2 2(1)ないし(8))、また、地方自治体、関連事業団体及び事業者のホームページにおいても、リサイクルポートに関する情報が掲載されている(別掲2 2(9)ないし(11))。
さらに、リサイクルポート構想を推進するための官民共通のプラットホームとして、民間団体や民間事業者、リサイクルポートに指定された港湾管理者と関連する地方自治体を会員とする組織であって、平成15年4月に設立された「リサイクルポート推進協議会」(別掲3)の会員数は、同27年6月3日現在で日本全国172の会員を有している(別掲4)。
以上のことから、「リサイクルポート」の語は、上記アの事業を表示するものとして、著名なものといえる。
ウ 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、「e」の欧文字をロゴ化したものと思しき図形部分と、その横に該ロゴ図形に比して4分の1程度の高さで「エコ・リサイクルポート」の片仮名を横書きした文字部分からなるものである。
そして、本願商標は、図形部分が文字部分に比して大きく表されていること、また、図形部分と文字部分とが一体で特定の意味合いを表すものではないことからすると、図形部分と文字部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえないものである。
そうすると、本願商標は、それを構成する図形部分と文字部分がそれぞれ独立して自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たすとみるのが相当である。
次に、本願商標の文字部分は、「エコ・リサイクルポート」の片仮名を横書きしてなるところ、その構成中に「・」を介してなることから、「エコ」及び「リサイクルポート」の文字を結合してなるものと直ちに把握、理解されるものといえる。しかも、その構成中の「エコ」の文字部分は、環境に配慮した商品及び役務を表示するものとして使用されているものであるから、本願の指定商品及び指定役務との関係では、自他商品及び役務の識別標識としての機能がないか、または、極めて弱い部分であるといえる。他方、「リサイクルポート」の文字部分は、上記イのとおり、本願の指定商品及び指定役務と極めて関係が深い公益に関する事業を表示する標章であって、著名なものと同一の文字からなるものであることから、該文字部分が、取引者及び需要者に強く支配的な印象を与える要部の一つであるといえる。
エ 本願商標と「リサイクルポート」の類否について
本願商標は、その構成中、強く支配的な印象を与える要部である「リサイクルポート」の文字部分が、上記アの事業を表示する標章と構成文字を共通にするものであるから、上記アの事業を表示する「リサイクルポート」の標章と類似するものといわなければならない。
オ 小括
以上のとおり、本願商標は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものである「リサイクルポート」の文字からなる標章と類似することから、商標法第4条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張
請求人は、本願商標が、欧文字「e」を人の笑顔の如くにデザイン化した図形とカタカナで「エコ・リサイクルポート」と横書きした文字とがまとまり良く一連に配列され、図形と横書き文字とが一体的に把握・認識され得るものであること、加えて、上記デザイン化した図形は、それ単独としても識別機能を有するものとして登録されていることを指摘する。そして、請求人は、このような事実から、本願商標の図形部分と文字部分を分離し、「文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たす」とした原審の認定について、最高裁判所の判示における「商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである」との判断に違背するものである旨主張する。
しかしながら、本願商標は、上記(1)ウのとおり、その構成中の「リサイクルポート」の文字部分が看者に強く支配的な印象を与えるものであることから、請求人主張の判例における商標の類否の考え方に反するものではない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当するものであり、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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