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Trademark Appeal Case

周知商標と複合商標の類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900198(T2014−900198/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5663293号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5663293号商標(以下「本件商標」という。)は、「Absolute Shot」の欧文字を横書きしてなり、平成25年8月9日に登録出願され、平成26年3月7日に登録査定、第9類に属する別掲のとおりの商品を指定商品として、平成26年4月11日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「ABSOLUT」の文字を横書きしてなり、昭和63年11月14日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年12月25日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、更に、平成14年6月19日に指定商品を第33類「ウオッカ」とする指定商品の書換登録がされている登録第2363841号商標をはじめ、その構成中に「ABSOLUT」の文字を有する、国際登録第989549号、登録第1674694号、登録第2049638号、登録第2363842号、登録第4097984号、登録第4200813号、登録第4056142号、登録第4410323号、国際登録第798414号、国際登録第833298号、国際登録第847540号、登録第4983836号、国際登録第885152号、国際登録第902968号、国際登録第946245号、国際登録第959032号及び登録第5419141号の各登録商標を引用している。

以下、これらの登録商標を一括して単に「引用商標」ということがある。

第3 登録異議申立ての理由の要点

(1)引用商標は、申立人の業務に係る商品「ウオッカ」を表示する商標として需要者の間で広く認識されていること、本件商標中の「Absolute」の文字部分は、引用商標とは「アブソルート」の称呼を同一にし、また、引用商標の「ABSOLUT」に「E」を追加しただけで外観上も相紛らわしく、両者は類似するものであること、同じく「Shot」の文字部分は、引用商標の指定商品「ウオッカ」と密接に関係するSHOT GLASS(ショットグラス)や酒の一杯の単位として使用される語であること、などから本件商標をその指定商品に使用すると申立人の業務に係る商品であると誤認され、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。

(2)本件商標権者が周知・著名な引用商標と類似する本件商標をその指定商品に使用した場合、引用商標の周知性に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあり、本件商標の採択・使用は偶然の一致とは認め難く、引用商標の高い信用性にただ乗りする意図が推認され、本件商標は引用商標と類似する商標を不正の目的で使用するものである。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものである。

第4 当審の判断

1 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)「ABSOLUT」の周知性について

申立人の提出に係る証拠によれば、引用商標を構成する「ABSOLUT」の文字は、「アブソルート」と称呼され申立人の業務に係る商品「ウオッカ」について、南スウェーデンで製造され、126の国と地域で販売されていること(甲24、42)、2013年に世界的な「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティッション」のウオッカ部門で最優秀金賞並びウオッカ世界一とされる「The Best in Show」を受賞したこと(甲25)、ウオッカの販売数において世界一であること(甲24、25)が我が国の一般紙及び醸造業界紙を含む新聞紙上又はウェブサイトにおいて掲載されていることが認められることから、ウオッカに使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、酒類を取り扱う業界においては相当程度広く認識されていたものと認められる。

(2)本件商標について

本件商標は、その構成中の「Absolute」の文字が「完全な、絶対の、無条件の」等を、同じく「Shot」の文字が「(鉄砲・弓などの)発射、シュート、ひとつき、(強い酒の)一口」等をそれぞれ意味する英単語として知られていることから、全体として「完全なショット」程の意味合いを理解させる。そして、本件商標は、全体が同一の書体により外観上まとまりよく一体的に表されているばかりでなく、その構成後半の「Shot」の語が「(強い酒の)一口」の意味を有するとしても、本件商標の指定商品との関係において、上記両語に観念上の軽重の差はないことからすれば、全体をもって一体不可分の一種の造語として認識し把握され、「アブソルートショット」の一連の称呼のみを生じ、「完全なショット」程の観念を生じるものというべきである。

(3)引用商標について

引用商標は、前記第2のとおり、「ABSOLUT」及びその構成中に「ABSOLUT」の文字を有する構成からなるものであり、上記(1)のとおり「アブソルート」の称呼を生じるものであり、我が国において広く親しまれた成語とは認められないことから、直ちに特定の観念を生じないとみるのが自然である。

(4)本件商標と引用商標の類否について

本件商標と引用商標「ABSOLUT」とを対比するに、両者は「Shot」の文字の有無という顕著な差異及び小文字と大文字との差異により、外観上判然と区別することができるものである。

なお、申立人は、本件商標の「Absolute」の文字部分のみを分離抽出して引用商標と比較しているが、本件商標は、前示のとおり、全体をもって一体不可分のものとして認識し把握されるものであるばかりでなく、「Absolute」の文字部分のみが特に看者の注意を強く惹くというような格別の理由も見いだし難いものであるから、「Absolute」の文字部分のみを分離抽出して引用商標と比較することは適切でない。

また、本件商標から生ずる「アブソルートショット」の称呼と引用商標から生ずると認められる「アブソルート」の称呼とは、構成音数を異にするほか、「ショット」の音の有無という顕著な差異により、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感、音調が著しく相違し、明瞭に区別することができるものである。

さらに、引用商標は、既成の親しまれた観念を有しないものである以上、観念上、本件商標と比較することもできない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、観念上、比較し得ないとしても、外観及び称呼において、相紛れるおそれのないものであるから、非類似の商標とみるのが相当であり、両者は別異のものとして看取されるというべきである。

加えて、本件商標の指定商品は、前記第1のとおりであり、引用商標が使用されている商品「ウオッカ」とは産業分野を異にし、製造業者、取引業者はもとより、商品の原材料、品質、用途、流通系統、需要者等が明らかに異なるものである。

(5)小括

以上を総合すると、本件商標をその指定商品について使用した場合、引用商標の周知性を考慮したとしても、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

2 本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について

引用商標は、ウオッカに使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、酒類を取り扱う業界においては相当程度広く認識されていたものの、本件商標と引用商標とが相紛れるおそれない非類似の商標であることは、前示のとおりである。また、申立人の提出に係る証拠を精査しても、本件商標が不正の利益を得る目的、申立人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものであることを示す具体的な理由は見いだし得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。

3 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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