sokuhyo

Trademark Appeal Case

商標の類否と周知性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35203号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4113616号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4113616号商標(以下、「本件商標」という。)は、「スポーツセッション」の片仮名文字と「SPORTS SESSION」の欧文字を上下二段に書してなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として平成8年8月20日登録出願、同10年2月13日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標

請求人の引用する登録第2712728号商標は、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、平成2年1月31日登録出願、同8年3月29日に設定登録されたものである。同じく、登録第2714514号商標は、第17類「被服(運動用特殊被服を除く。)布製身回品(他の類に属するものを除く。)寝具類(寝台を除く。)」を指定商品として、平成2年1月31日登録出願、同8年6月28日に設定登録されたものである。同じく、登録第3308659号商標は、第28類「スノーボード,スノーボードケース,サーフボード,サポーター,スケートボード,その他の運動用具」を指定商品として、平成6年12月21日登録出願、同9年5月23日に設定登録されたものである。同じく、登録第3313979号商標は、第25類「スキー用衣服,スノーボード用衣服,その他の運動用特殊衣服,スキー靴,スノーボード用靴,その他の運動用特殊靴」を指定商品として、平成6年10月6日登録出願、同9年5月30日に設定登録されたものである。しかして、前記した引用各商標の構成は、いずれも「SESSIONS」の欧文字と「セッションズ」の片仮名文字とを上下二段に書してなるものである。(以下、総称して、「引用商標」という。)

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第一号証ないし甲第一三号証(枝番を含む。)を提出した(以下、「甲第一号証ないし甲第一三号証」は、「甲第1号証ないし甲第13号証」と読み替える。)。

(1)外国における「SESSIONS」の周知著名性について

請求人は、1984年にアメリカ合衆国で最初のスノーボード専門店であるセッションズ社を設立し、同社を通じて「SESSIONS」商標の下にスノーボードやスノーボードウェアなどのスノーボード関連商品を販売してきた者である。

甲第1号証の1として提出する1994年4月17日付「San Jose Mercury News」でも、請求人のスノーボードウェア関連の事業は3桁の成長を遂げており、「SESSIONS」の商品は人々の生活様式の一部となる程であって、これに伴い請求人の年収も数百万ドルに到達している旨が掲載されている。甲第1号証の2(1995年12月27日付「Scotts Valley BANNER」)では、セッションズ社及びその姉妹店は、スポーツウェア、Tシャツ、帽子、靴、サングラス、CD、カセット、ビデオなどの商品を世界中で取り扱っている旨が記事として掲載されている。また、甲第1号証の3は有名企業のプロフィールを紹介した「Snowboarding business」の1997年10月号の写しであるが、小さな小売店舗からスタートして彼の「SESSHONS」ビジネスが如何にして多面的なビジネスにまで発展したかが掲載されている。この他、請求人又は請求人の「SESSIONS」ビジネスに関する記事は、1996年3月6日付「The SCENE」及び1997年3月5日付「The SCENE」(甲第1号証の4及び5)にも掲載されているが、請求人及びセッションズ社自身も積極的に新聞雑誌に宣伝広告を行ってきた。

甲第2号証は、各雑誌に掲載されたセッションズ社の「SESSIONS」商標の宣伝広告の写しであって、「Thrasher」1987年2月号及び4月号の広告文写し、「Transworld Snowboarding」1993年10月号、11月号及び12月号の写しである。因みに、「Transworld Snowboarding」はスノーボード雑誌としては世界第1位であって、毎月268000部が刷られている。また「Thrasher」は、スケートボード関係では世界的な名声を得ている雑誌であって、毎月100000部以上が全世界で頒布されている。

以上の資料からも請求人のセッションズ社がスノーボード関連商品を始めとする各種商品に使用している「SESSIONS」商標が、セッションズ社のビジネス展開と共に世界中に知れ渡っていることは明白であるが、更に甲第3号証の1ないし25として英国において頒布されている雑誌に掲載された「SESSIONS」商品の写しを提出する。

(2)我が国における「SESSIONS」の周知性について

我が国では、セッションズ社を通じて1990年1月以来株式会社サングロウにスノーボードウエアの独占販売権を与えて全国の約300の小売店に対して卸売りをし、近年のスノーボードの流行の下に順調に販売量を増やしている。

因みに1995年度の「SESSIONS」商品の売上高は10億円近くにものぼり、1996年には12億円近くにのぼっている(甲第5号証)。

実際、セッションズ社のスノーボードウェアはスノーボード関連雑誌に特集が組まれ、セッションズ社の所有者である請求人のインタビューが掲載される(甲第6号証)等、請求人の「SESSIONS」ブランドはスノーボーダーの間では確固たる地位を築いている。現にスノーボードウェアに関するアンケートでは、「SESSIONS」商標はトップブランドとして認知され(甲第7号証)、スノーボードウェアとしてのスノーボーダー間での人気は、200を越えるブランド中断然トップとなっている(甲第8号証)。その他甲第9号証の1ないし4に示すとおり、各種の雑誌に「SESSIONS」商標に係る商品の宣伝広告がなされてきた。

上記の雑誌には、スノーボード専門誌のみならず、「fine」、「asayan」等の一般的流行誌が含まれている。したがって、「SESSIONS」の周知著名性は、スノーボーダーのみならず一般の若者の間にも浸透していることは明白である。

(3)本件商標と「SESSIONS」について

本件商標と引用商標とを比較するに、まず、本件商標は「スポーツセッション」の仮名文字と「SPORTS SESSION」の欧文字を二段に書してなるものである。その構成中「スポーツ」及び「SPORTS」の文字は、「運動」を意味する語として一般に認識されており、ファッションの分野でも運動に適した商品であることを表示するために頻繁に用いられている。

したがって、本件商標を構成する「スポーツ」及び「SPORTS」の文字は、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとみることは出来ず、本件商標の自他商品の識別標識として機能を果たす部分は「セッション」及び「SESSION」の文字部分となる。

「スポーツ」又は「SPORTS」の文字部分が商標として機能しないことは数々の審決例で認定されていることであり、甲第12号証の1ないし5として提出する審決公報写しは審決例の一部である。

殊に本件商標の欧文字部分は「SPORTS」と「SESSION」の文字部分の間にスペースをおいて両文字部分を分離しているのだから、殊更「SESSION」の文字部分のみが分離して認識されやすい。したがって、本件商標からは「スポーツセッション」の一連の称呼の他に、単に「セッション」という称呼を生じることは明白である。

そこで本件商標より生ずる「セッション」の称呼と引用商標より生ずる「セッションズ」の称呼とを比較するに、両者は僅かに語尾における「ズ」音の有無の差異を有するに過ぎない。この「ズ」音は元来強く発音される音ではない上に、軽く発音されがちで称呼識別上印象の薄い語尾に位置しているため、この「ズ」音の有無は微差に過ぎず、称呼全体に及ぼす影響は極めて少ない。

したがって、本件商標から生ずる「セッション」の称呼は引用商標より生ずる「セッションズ」の称呼とほぼ同一と言えるほどに、彼此相紛らわしいものであるから、両商標は称呼において類似する商標である。

また、前述のとおり請求人の「SESSIONS」商標が周知著名であるが故に、本件商標「スポーツセッション/SPORTS SESSION」を使用した商品に接する一般需要者は、請求人がスノーボード関連商品に拘らず一般的なスポーティー感覚の商品ラインの製造販売を開始したものと誤認することになる。

このことからも、本件商標は、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であることは明瞭である。

本件商標権者にしてもスポーツウェア関係に従事する者である以上、当然に請求人の「SESSIONS」商標の周知著名性は了知するはずであるところ、それにも拘わらず「SESSIONS」商標と相紛らわしい本件商標を採択したのは、請求人商標との混同に乗じて不当な利益を得んとする不正の目的によるものに他ならない。

以上より、本件商標は請求人の引用する商標「SESSIONS」に類似し、その出所について混同を生じさせるものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するものである。

3 これに対し、被請求人は、何ら答弁していない。

4 当審の判断

請求人の提出に係る外国において発行された雑誌、新聞記事等の掲載記事、宣伝広告の事実、売上高に徴すれば、請求人の引用商標「SESSIONS」は、アメリカ、イギリス等諸外国において、スノーボード関連商品に使用し著名であることが窺える(甲第1号証ないし甲第4号証)。

さらに、我が国においても、スノーボードカタログ雑誌「THRILL JUNCTION(モノ・マガジン特別編集 平成7年8月5日発行)」に、「SESSIONS」、「セッションズ」の創設者でありオーナーである「ジョエル・ゴメス」の記事が掲載されていること(甲第6号証)、雑誌、「HOT‐DOG PRESS(平成8年1月25日発行)」及び「スノーボード(skier別冊平成8年3月号)」にスノーボードの人気ウェア・ブランドとして「セッションズ」が人気第一位として記載されていること(甲第7号証及び甲第8号証)、その他、各種雑誌に宣伝広告し掲載されていることが認められる(甲第9号証の1ないし4)。

以上の事情を総合勘案してみれば、請求人の引用商標はスノーボードウェア等に使用され、本件商標の登録出願時には、すでに我が国において広く知られ周知著名に至っていたものというのが相当である。

そこで、本件商標をみると、本件商標は「スポーツセッション」と「SPORTS SESSION」の文字よりなるところ、「スポーツ」、「SPORTS」の文字部分は、その指定商品との関係において、「スポーツ用若しくはスポーツに適した商品」を認識、理解させる場合も少なくないことを考慮すれば、本件商標は「セッション」、「SESSION」の文字に特に着目されるものというのが相当である。

しかして、前記した「セッション」、「SESSION」の文字部分と請求人の引用する商標「セッションズ」、「SESSIONS」とは語尾における「ズ」、「S」の文字の有無にすぎないものである。また、両者より生ずる称呼「セッション」と「セッションズ」とは、語尾における「ズ」の音の有無の差異があるにすぎず、両者は相紛れるおそれのあるものというのが相当である。

してみると、本件商標の指定商品と請求人の使用する商品とが同一若しくは密接な関係にあることを考慮すれば、本件商標がその指定商品に使用される場合は、その構成中の「セッション」、「SESSION」の文字部分に着目されること前記のとおりであるから、これに接する需要者、取引者は、請求人の引用商標「セッションズ」、「SESSIONS」を含む商標と認識、理解し請求人の業務に係る商品若しくは請求人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。

したがって、本件商標は、その余の無効事由について判断するまでもなく商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とすべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。