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Trademark Appeal Case

使用態様と商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2015−300217(T2015−300217/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3211771号商標の指定役務中、「第41類 美術品の展示」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3211771号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成4年9月30日に登録出願、第41類「動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,図書及び記録の供覧,美術品の展示,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,相撲の興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,スキ―用具の貸与,スキンダイビング用具の貸与,図書の貸与,レコ―ド又は録音済み磁気テ―プの貸与,録画済み磁気テ―プの貸与」を指定役務として、平成8年10月31日に設定登録されたものである。

そして、本件審判請求の登録は、同27年4月13日にされている。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標について、その指定役務中の第41類「美術品の展示」について、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定役務中、第41類「美術品の展示」について、少なくとも継続して3年以上日本国内において使用した事実が認められず、しかも、商標登録原簿(甲2)からも使用権者も存在しないものである。

2 弁駁の内容

(1)本件審判請求に係る指定役務について

本件審判請求に係る指定役務である「美術品の展示」は、特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説」によれば、絵画、彫刻、工芸美術、写真美術等の美術品を展示して、一般公衆の利用に供する施設(例えば、美術館)が提供するサービスとされている。

一方、商標法上、「役務」とは、他人のためにする労務又は便益であって、付随的でなく独立して商取引の対象となり得るものと解釈されている(特許庁編;工業所有権法(産業財産権法)逐条解説)。

したがって、具体的には、他人のために、絵画などの美術品を展示することに関し、独立して商取引の対象となるような態様で行われていることが必要である。このため、通常、美術館などでは、「常設展」あるいは「特別展」が開催され、小中学生などについては、教育的配慮から無料とされることもあるが、多くの場合、一般成人は入館するためには決められた金額を支払う必要がある。

(2)提出された証拠について

ア 乙第1号証について

乙第1号証からは、「Summer Craft Collection」が、渋谷ヒカリエのcourtで開催されたこと、該イベントは、クラフト作家がクラフト作品を紹介するものであって、誰でも無料で入場できることが窺える。

しかしながら、提出された証拠からは、美術品の展示が行われているかどうかは不明で、インターネット検索の結果では、通常、美術館などにおいてなされる「美術品の展示」に該当するものではなく、クラフト作家が応対する「クラフト作品の即時販売会」に近いものである。

したがって、「Summer Craft Collection 2014」は、独立して商取引の対象となる役務ではなく、第41類「美術品の展示」に該当する役務とはなり得ないものである。

さらに、乙第1号証に記載された別掲2のとおりの表示(以下「使用標章」という。)は、上記「Summer Craft Collection 2014」とは関係がなく、単に「Summer Craft Collection 2014」において「TOP&カード」を会場で提示すると、スタンプラリーに参加できるにすぎないもので、請求に係る「美術品の展示」とは無関係である。

なお、使用標章の態様は、本件商標とは、「TOKYU CARD」及び「TOP」の文字については共通するものの、構成において異なり、商標の同一性を有していない。

すなわち、本件商標は、「TOKYU CARD」の文字を左に配置し、右側に「TOP」の文字を大きく表示するものであるのに対し、使用標章は、横長の短形の内部を、上部4分の1と下部4分の1については紺色で塗り潰し、上部4分の1内に「TOKYU CARD」の文字を白抜きし、中央部分に「TOP」の文字を表示するものであるから、使用標章は、本件商標の使用とは認められないものである。

イ 乙第2号証について

乙第2号証は、乙第1号証と同様、「Summer Craft Collection 2014」に関するものであって、「TOP&カードスタンプラリー」の台紙と思われる。そもそも「TOP&カード」とは、乙第3号証に表されているように、東急カード株式会社(以下「東急カード」という。)の提供するクレジットカードの名称である。すなわち、乙第2号証における使用標章は、乙第1号証と同様、カード発行会社と同じ東急グループの経営に係る「Bunkamura」と「渋谷ヒカリエ」を訪問し、該カードを提示することによってプレゼントをもらえる、というカードサービスの一つを表したものにすぎない。

なお、「Summer Craft Collection 2014」が、第41類の「美術品の展示」に該当する役務ではないこと、使用標章は本件商標と同一性を有していないことは、乙第1号証で述べたとおりである。

ウ 乙第5号証について

乙第5号証は、「Bunkamura」の「倶楽部B」入会案内書とされているところ、いつ印刷されたものであるか不明なものであるが、「入会金52,500円(税込)」と記載されているところから、2014年4月より以前のものであることは明白であり、本件審判請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に使用されているものであるかも、きわめて疑わしいものである。

また、乙第5号証では、「TOP&カード」の一部に使用標章が表されているのみであるところから、該表示からは、クレジットカードの商標としてのみ理解され認識されるのが相当というべきである。

さらに、被請求人は、会員用の特典として、株式会社東急文化村(以下「東急文化村」という。)が提供する施設「Bunkamura」内の展示施設「ザ・ミュージアム」にて開催される各展覧会への招待が明記されていると主張するが、各展覧会への招待をするのは、入会金52,500/月会費5,250円の「倶楽部B」のサービス内容であって、TOP&カードの提供するサービスではない。また、各展覧会への招待が実際に行われているという証拠も存在しない。

よって、乙第5号証においても、本件商標を、第41類「美術品の展示」について使用しているとは認められない。

エ 小括

提出された答弁書及び証拠からは、被請求人が運営する「渋谷ヒカリエ」が「Summer Craft Collection 2014」を行ったこと、被請求人の子会社である東急文化村が、過去において「倶楽部B」を運営していたことは理解できる。

しかしながら、上記のうち、「Summer Craft Collection 2014」の運営方法は、通常、美術館などにおいて行われるような、美術品を展示しそれを鑑賞するものではなく、商業施設である「渋谷ヒカリエ」のイベントコーナーにて開催された商品の即時販売会であって、商標法上における役務ではなく、第41類の「美術品の展示」に該当しない。

また、前記「倶楽部B」との関係においては、「TOKYU CARD TOP」はクレジットカードの表面に記載されているのみであって、それ以外の表示は皆無であるため、第41類の「美術品の展示」との関連性は皆無である。

さらに、使用標章についても、本件商標との間に同一性は存在しない。

してみれば、被請求人の提出に係る証拠からは、本件商標をその指定役務中の「美術品の展示」について使用していないものといわざるを得ない。

したがって、提出された証拠からは、請求に係る指定役務について使用していないし、本件商標を使用していないことは明白である。

(3)まとめ

本件商標は、被請求人から提出された答弁書及び証拠からは、本件商標の指定役務中の「美術品の展示」について、要証期間内に使用されていた事実を認めることはできない。

よって、商標法第50条第1項の規定により、本件商標は、その指定役務中、「美術品の展示」について、その登録を取り消されるべきである。

3 上申の内容

請求人は、下記第4の審理事項通知書に対し、平成27年10月1日付けをもって、上申書を提出し、「被請求人は口頭審理期日に出頭しない旨の連絡を受けたので、請求人も書面審理を希望する」旨上申した。

第3 被請求人の主張

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由について、要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。

1 答弁の内容

商標権者は、以下のとおり、要証期間内に、日本国内において、その請求に係る指定役務について、登録商標の使用をしている。

(1)登録商標の使用事実について

ア 乙第1号証は、商標権者が運営する渋谷ヒカリエにおける、美術品の展示会「Summer Craft Collection 2014」に関するウェブサイト画面の写しであり、スタンプラリーに関する企画内容とともに使用標章が記載されている。

イ 乙第2号証は、商標権者が運営する渋谷ヒカリエ発行の、平成26年6月28日から7月9日までの期間に開催された美術品の展示会「Summer Craft Collection 2014」並びに平成26年7月26日及び同月27日に開催された音楽の演奏会「JOURNEE DE LA MUSIQUE」(審決注:「JOURNEE」の6番目の「E」にはアクサンテギュが付されている。)に関する広告であり、スタンプラリーに関する企画内容とともに使用標章が記載されている。

ウ 乙第3号証は、商標権者の完全子会社である東急カードが提供する各種カードの一覧であり、各カードの表面には使用標章が記載されている。

上記の美術品の展示会「Summer Craft Collection 2014」において、スタンプラリーに参加した各種カード保有者が、使用標章が付された各種カードを提示することによって、特典を受けられることとなっている。

エ 乙第4号証は、商標権者の平成25年度有価証券報告書の抜粋(写し)である。東急カードは、商標権者の完全子会社である。このことは、平成25年度有価証券報告書第9頁に記載されているとおり、東急カードの議決権に対する所有割合が100%である旨の記載から明白である。そのため、東急カードによる商標の使用は、商標権者と実質的に同一である者の使用であるということができる。

オ 乙第1号証ないし乙第4号証により、本件審判請求の登録前である平成26年6月28日から7月9日までの期間に、美術品の展示会「Summer Craft Collection 2014」において、商標権者及び東急カードが使用標章を指定役務の「美術品の展示」について使用していることが明らかである。そのため、商標法第50条第1項の要件を満たさない。

カ 乙第5号証は、東急文化村が提供している会員制サービス「倶楽部B」のパンフレットである。パンフレット中には、会員に対して「倶楽部Bカード」を発行する旨の記載があり、このカードの表面に使用標章が明示されており、会員用の特典として、東急文化村が提供する施設「Bunkamura」内の展示施設「ザ・ミュージアム」で開催される各展覧会への招待が明記されている。東急文化村は、「倶楽部B」会員の募集開始から、継続的にパンフレットの発行をしており、継続的に使用標章を、その指定役務の「美術品の展示」に使用していることは明らかである。

キ 乙第6号証は、商標権者の平成21年度有価証券報告書の抜粋(写し)、乙第7号証は商標権者保有の子会社に関する内部資料であり、東急文化村は、商標権者の完全子会社である。このことは、平成21年度有価証券報告書第9項及び内部資料に記載されているとおり、東急文化村の議決権に対する所有割合が100%である旨の記載から明白である。

そのため、東急文化村による商標の使用は、実質的に商標権者の使用であるとみなすことができる。

ク 乙第5号証ないし乙第7号証により、商標権者の完全子会社である東急文化村が使用標章を指定役務の「美術品の展示」について、本件審判請求の登録前から継続的に使用しているため、商標法第50条第1項の要件を満たさず、取り消しの対象とはならない。

(2)本件商標と使用標章の同一性について

本件において、添付の各証拠方法における本件商標の使用態様は、厳密な意味において、登録時の態様と物理的に同一ではない。本件商標では、「TOP」の左側に記載されている「TOKYU CARD」の文字を「TOP」の上部に記載し、「TOKYU CARD」の文字部分を白色に、「TOP」の文字部分を青色に着色し、青色と白色の枠内に収めた状態で使用されているものである。

しかしながら、「TOKYU CARD TOP」の欧文字を仮名文字に変更しているわけではないこと、また、二段書きとした点及び色彩と背景を付した点以外は文字の書体及びデザインを変更したものではないことから、本件商標自体を大きく変更したものではなく、本件商標と社会通念上同一と認められる範囲である。

また、需要者及び消費者も、「TOKYU CARD TOP」の欧文字部分を主要部分として認識し、把握するのが通常であって、この文字部分について業務上の信用が蓄積される。カード業界においては、ロゴの構成態様を多少変更して使用することは頻繁に行われており、本件商標を完全に変更して使用するものではない限り、社会通念上同一と認められる範囲内の登録商標の使用であるといえる。

(3)小括

以上のとおりであるから、商標権者及び商標権者と同視できる者が、要証期間内に日本国内においてその請求に係る指定役務について登録商標を使用しているため、本件商標は、その登録が維持されるべきである。

2 上申の内容

被請求人は、下記第4の審理事項通知書に対し、平成27年10月1日付けをもって、上申書を提出し、要旨以下のとおり上申した。

取消の対象となっている「美術品の展示」について、本件商標を使用している新たな証拠を発見できず、また、提出した既存の証拠では、本件商標の使用の根拠として乏しいため、口頭審理において、新たに主張、立証する事項がないため、これ以上の反論は困難であると商標権者は判断した。そのため、商標権者である被請求人は、審判官の認定に対して争わないと決定した。

したがって、本件審判については、書面審理とすることを希望する。

第4 審理事項通知書

当審においては、平成27年9月3日付けをもって、以下の(1)ないし(4)の理由により、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが要証期間内に日本国内において、本件商標を審判請求に係る指定役務について使用していたと認めることができない旨の暫定的見解を示したうえで、意見を求める審理事項通知書を当事者双方に送付した。

(1)乙第1号証について

乙第1号証は、「Summer Craft Collection 2014 夏の贈り物」の広告のウェブサイトの写しであるところ、使用標章が表示されてはいるが、「TOPカードを両会場でご提示いただくと、毎日先着40名様にプレゼント!」及び「TOPカードはご提示いただくだけで結構です。お買い上げの有無は問いません。」の文言が併せて表示されていることを踏まえると、カード提示者へのプレゼントを表すためのものであって、審判請求に係る指定役務の出所を表すものとはいうことができない。

しかも、同号証には、「本展では、全国で活躍しているクラフト作家が一堂に集結。木工、ガラス、陶磁器、布、革などの様々な素材から手づくりで作られた、夏の贈り物にぴったりの作品の数々をお届けします!」と記載されているところ、これが審判請求に係る指定役務といえるものであるのかも、明らかになっていない。

(2)乙第2号証について

乙第2号証は、広告の写しであるところ、その上段の「Summer Craft Collection 2014 ―夏の贈り物―」の見出しの欄に、使用商標が表示されてはいるが、「TOP & カードをご提示いただくと、先着でプレゼントをさしあげます。」の文言が併せて表示されていることを踏まえると、カード提示者へのプレゼントの特典を表すためのものであって、本件役務の出所を表すものとはいうことができない。しかも、その展示会の会場として、「会場1:Bunkamura Gallery」及び「会場2:渋谷ヒカリエ 8/COURT」の記載はあるが、その展示会の実施者、すなわち、使用者も明らかになっていない。

しかも、同号証には、「3会期に亘り、全国で活躍する総勢160名のクラフト作家が一堂に集結!!木工、ガラス、陶磁器、布、革などの様々な素材から手づくりで作られた、夏の贈り物にぴったりの作品の数々をお届けします!」と記載されているところ、これが審判請求に係る指定役務といえるものであるのかも、明らかになっていない。

(3)乙第5号証について

乙第5号証は、「倶楽部B」の入会案内の写しであるところ、使用標章と思しき図形が記載されたクレジットカードの写真と「<倶楽部B TOP&カード>はクレジットカードです。」の文言が表示されているが、これはクレジットカードの出所を表すものであって、審判請求に係る指定役務の出所を表すものとはいうことができない。しかも、該入会案内が需要者に表示又は頒布された時期も明らかになっていない。

(4)その他の乙各号証について

ア 乙第3号証は、東急カードのカード一覧のウェブサイトの写しであるところ、使用標章と思しき図形が記載されたクレジットカードの写真が表示されているが、そこに表示された使用標章と思しき図形は、クレジットカードの出所を表すものであって、審判請求に係る指定役務の出所を表すものとはいうことができない。

イ その他の乙各号証には、本件商標と同一と思しき商標が表示されていない。

第5 当審の判断

当審の審理事項通知書において示した上記第4の暫定的見解は、妥当なものといえる。

そして、被請求人は、平成27年10月1日付け上申書において、上記第3、2のとおり、本件商標を使用している新たな証拠を発見できず、また、提出した既存の証拠では、本件商標の使用の根拠として乏しいため、新たに主張、立証する事項がなく、これ以上の反論は困難であるので、審判官の認定に対して争わないと決定したと述べている。

そうすると、被請求人が提出した乙各号証によって、被請求人が要証期間内に本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を本件審判請求に係る指定役務について使用していたということはできない。

してみれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明したものと認めることはできない。

また、被請求人は、本件審判請求に係る指定役務について、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、取消請求に係る指定役務中、結論掲記の指定役務について、商標法第50条の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

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