Trademark Appeal Case
酵母のちからの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−5174(T2015−5174/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「酵母のちから」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」を指定商品として、平成26年4月22日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『酵母のちから』を標準文字で表してなるものであるところ、その構成中の『酵母』の文字が『出芽によって繁殖する円形もしくは楕円形の微細な単細胞の菌類の総称。酒の醸造やパン製造に欠かせない。』を意味し、『力』の文字が『効能』等を意味するものであるから、全体として『酵母の効能(力)』の意味を認識させるものである。例えば、『ビール酵母』、『パン酵母』のような、よく知られた酵母のほかにも『ワイン酵母』『清酒酵母』『焼酎酵母』『醤油酵母』『海洋酵母』などの多種多彩な酵母が、私たちの生活を支えており、また、薬やサプリメント・化粧品・水質浄化・蓄水産飼料などにも利用されているものである。そして、健康維持・増進等に効果があるとされる食品については、当該商品がその酵母の効果を有するものであることを表すものとして、原料名と『力(又はチカラ、ちから)』の語を組合せて、『○○(原材料名)の力(チカラ、ちから)』のように使用されている事実がある。そうすると、本願商標は、これを本願の指定商品中の『酵母の効能を有する薬剤,酵母の効能を有する乳幼児用粉乳,酵母の効能を有するサプリメント,酵母の効能を有する食餌療法用食品・食餌療法用飲料,酵母の効能を有する栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)』に使用しても、前記商品であることを認識させるにとどまり、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせることから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における手続の経緯
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲1及び2に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成27年6月26日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。
4 証拠調べ通知書に対する請求人の意見の要旨
請求人は、前記3の証拠調べ通知書に対し、平成27年8月4日付けで意見書を提出し、要旨以下のように述べ、本願商標がその指定商品の品質等を表すものとして一般に使用されている事実はなく、自他商品の識別標識として機能し得ると主張した。
(1)別掲1の「1.本願商標の指定商品は『酵母』を利用した商品があることを示すウェブサイト及び書籍の記載」に示された用例は、本願指定商品中のどの指定商品に「酵母」が利用されているのかを具体的に特定するものではなく、単に酵母の他分野への利用可能性について極めて漠然と言及しているにすぎない。
(2)別掲2の「2.本願商標の指定商品を取り扱う分野においては、酵母の効能、効果等を表すために『酵母のちから』、『酵母の力』及び『酵母のチカラ』の文字が使用されていることを示すウェブサイトの記載」に示された用例は、「酵母のちから」、「酵母の力」又は「酵母のチカラ」の文字が、単に文中若しくは見出しにおいて表記されているものにすぎず、いずれも本願指定商品の品質を表示する語として表記されているものではないし、本願指定商品中のどの指定商品について述べているのか不明である。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「酵母のちから」の文字を表してなるところ、その構成中の「酵母」の文字は、「出芽によって繁殖する円形もしくは楕円形の微細な単細胞の菌類の総称。」(「広辞苑第6版」岩波書店)を意味するもので、別掲1に示すとおり、本願の指定商品との関係において、「酵母」を利用した商品が多数存在し、また、別掲2に示すとおり、酵母の効能、効果等を表すために「酵母のちから」、「酵母の力」及び「酵母のチカラ」の文字が使用されていることから、全体として「酵母の効能である」旨の意味合いを容易に認識し得るといえるものである。
してみると、本願商標は、その指定商品中の「酵母を成分に有する薬剤,酵母を成分に有する乳幼児用粉乳,酵母を成分に有するサプリメント,酵母を成分に有する食餌療法用食品・食餌療法用飲料,酵母を成分に有する栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」に使用しても、これに接する取引者、需要者に、その商品が「酵母の効能を有するもの」であることを理解させるにとどまるもの、すわなち、商品の効能、品質を表示するにすぎないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の効能、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本願商標は、これを、その指定商品中の「酵母を成分に有する薬剤,酵母を成分に有する乳幼児用粉乳,酵母を成分に有するサプリメント,酵母を成分に有する食餌療法用食品・食餌療法用飲料,酵母を成分に有する栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」以外の商品に使用するときは、それがあたかも「酵母の効能を有する商品」であるかのごとく、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあることから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張
ア 請求人は、本願商標は、「酵母の効能を有する商品」であることを間接的に暗示させることはあっても、直ちに特定の商品の品質等を直接的、かつ、具体的に表示するものではなく、本願商標が本願指定商品の品質等を表すものとして一般に使用されている事実は全く見当たらない旨主張する。
しかしながら、そもそも、商標法第3条第1項第3号に該当する商標というためには、取引者、需要者が品質等を表示するものとして認識するものであれば足りるのであって、現に品質等を表示するものとして使用されていることを必要としない。しかも、本願商標は、その指定商品との関係において、別掲2に示すとおり、酵母の効能、効果等を表すために「酵母のちから」、「酵母の力」及び「酵母のチカラ」の文字が使用されていることから、取引者、需要者に「酵母の効能を有するもの」ほどの意味合いを容易に認識させることは、上記(1)のとおりであって、商品の効能、品質を直接的、かつ、具体的に表示するものといえる。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
イ 請求人は、前記3においてした証拠調べ通知書について、「1.本願商標の指定商品は『酵母』を利用した商品があることを示すウェブサイト及び書籍の記載」に示された用例は、本願指定商品中のどの指定商品に「酵母」が利用されているのかを具体的に特定するものではなく、単に酵母の他分野への利用可能性について極めて漠然と言及しているにすぎない旨主張し、さらに、「2.本願商標の指定商品を取り扱う分野においては、酵母の効能、効果等を表すために『酵母のちから』、『酵母の力』及び『酵母のチカラ』の文字が使用されていることを示すウェブサイトの記載」に示された用例は、「酵母のちから」、「酵母の力」又は「酵母のチカラ」の文字が、単に文中若しくは見出しにおいて表記されているものにすぎず、いずれも本願指定商品の品質を表示する語として表記されているものではないし、本願指定商品中のどの指定商品について述べているのか不明である旨主張する。
しかしながら、別掲1で示した事実は、本願の指定商品である「薬剤,サプリメント」等の分野において、「酵母」が利用されている記事であることが明らかであることから、取引者、需要者は、本願の指定商品には、「酵母」が利用されているものと容易に認識し得るものといえる。
そして、別掲2で示した事実によれば、「酵母のちから」、「酵母の力」及び「酵母のチカラ」の文字が、本願の指定商品である「薬剤,サプリメント」等の分野で、「酵母の効能」を説明する語として、商品の紹介や商品の説明の文章中に使用されている。
そうすると、本願商標に通じる「酵母のちから」、「酵母の力」及び「酵母のチカラ」の文字は、取引者、需要者に、「酵母の効能であること」を理解させるにとどまるといえるものである。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のことから、本願商標は、商標法第3項第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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