Trademark Appeal Case
DRY&COOLの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2014−19048(T2014−19048/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は,「DRY&COOL」の文字を標準文字で表してなり,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊衣服」を指定商品として,平成25年8月28日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は,「DRY&COOL」の文字を標準文字で表示してなるところ,その構成中の「DRY」は「乾いた,乾燥した」等の意味を,「COOL」は「涼しい,さわやかな」等の意味を有するものとして一般に親しまれている極めて平易な英語であるから,商標全体として「乾燥して,そして,涼しい」程度の意味合いを容易に認識し得るものである。
また,インターネット情報によれば,「乾燥して(吸水・吸湿性に優れ,乾きが早く)」又は「涼しい」素材を使ったTシャツ・ジーンズパンツについて,「DRY」又は「ドライ」,「COOL」又は「クール」の各語が上記意味合いで使用されていることが認められる。
そうすると,本願商標をその指定商品中,例えば「被服」について使用する場合には,これに接する取引者,需要者は,「乾燥して(吸水・吸湿性に優れ乾きが早く),そして,涼しい,素材を使った被服」であると容易に認識し得るものというべきであるから,本願商標は,その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
したがって,本願商標は,その指定商品中の「吸水・吸湿性に優れ,乾きが早く,涼しい素材を使った商品」について使用するときは,商標法第3条第1項第3号に該当し,前記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるので,同法第4条第1項第16号に該当する。
第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号の意義
商標法第3条第1項第3号所定の商標が登録要件を欠くとされているのは,(1)商品の「産地,販売地,品質」等又は役務の「提供の場所,質,提供の用に供する物」等を「普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる」商標は,商品又は役務の特性を表示記述する標章であることから,取引者,需要者によって,専ら当該商品又は役務の性質を説明するものとして認識されるのが通常であり,自他商品又は役務の識別標識として認識されるとは考え難いこと,(2)そのような標章は,多くの場合,当該商品又は役務に係る取引一般において,取引の内容を説明するために必要かつ適切な表示として機能するものであるから,誰もが自由に使用できるようにしておく必要があり,特定人の独占的使用を認めると,円滑な取引を阻害するなど公益上の問題が生じるおそれがあることによるものと解される(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・集民126号507頁参照)。
2 本願商標について
(1)本願商標の構成等
本願商標は,前記第1のとおり,「DRY&COOL」の文字を標準文字で表してなるものであり,「DRY」の文字と「COOL」の文字とを「&」(アンパーサンド)の記号で結合した構成からなることは明らかである。
そして,原審説示のとおり,「DRY」及び「COOL」は,それぞれ,「乾いた,乾燥した」及び「涼しい,さわやかな」の意味を有する平易な英語であって,これらを原語とする外来語の「ドライ」及び「クール」(広辞苑第6版)も親しまれた日常語であるといえる。
また,「&」の記号は,「そして」や「...と...」といった意味合いで複数の事柄を同格で並べる際に使用される接続記号であることも一般に広く知られているものである。
そうすると,「DRY&COOL」からは,「乾燥して,そして,涼しい」や「『乾いているさま』と『涼しく,さわやかなさま』」といった程度の意味合いを容易に認識し得るものといえる。
(2)認定事実
ア 「DRY」(ドライ)ないし「COOL」(クール)の各語について,以下の事実が認められる。
<原査定で引用したインターネット情報>
(ア)「楽天 ICHBA」のウェブサイトには,「怪傑!ムジ番長」の見出しの下,「汗ばむ夏はDRY素材で素早く快適に。バーゲン Tシャツ 半袖 無地 DRY ユニセックスBEES BEAM ビーズビーム Tシャツ ファイバードライ無地Tシャツ 20色 4.1oz(中略)6XL 7XLサイズ【RCP】02P05July14 562円 税込,送料別」との記載がある。
(イ)「AsahiKASEI 旭化成せんい株式会社」のウェブサイトには,「ドライ&モイスチャーコントロール SUREDRYMAX β」の見出しの下,「<シュアドライマックス>βは独自の吸水構造により,肌を常にドライな状態にキープします。また,ファブリック内において,吸湿・放湿性能にすぐれた<ベンベルグ>を使用しているため,常にドライコンディションをベストに保つ新タイプのドライ&モイスチャーコントロール素材です。」との記載がある。
(ウ)「楽天 ICHBA」のウェブサイトには,「レックスワン REX ONE」の見出しの下,「春夏限定 COOL素材 涼しいサラサラ気持ちいい 天然素材をMIXした、涼しいジーンズ♪ NEW! ひんやり吸湿冷感。清涼・吸水速乾。 28インチ〜38インチの豊富なサイズ展開♪【送料無料】 EDWIN(エドウィン) 夏限定商品 403 クールフレックス 白樺ブレンド すっきりストレート 日本製 FC403S 【楽ギフ 包装】7,776円税込,送料込」との記載があります。
(エ)「mont・bell」のウェブサイトには,「クールT Men's (品番 #1104926 )New 価格・3,400+税 ポイント102pt ブランドモンベル 【平均重量】98g 大変軽量ながら肌離れが抜群によく,汗をかいてもドライな着心地が持続するシリーズです。強い日射しの中でも効果的に紫外線をカットしながら,高い通気性により素早く体をクールダウンします。」との記載があります。
<当審で補強する証拠>
(オ)「ディスカウント通販のヒラキ」のウェブサイトにおいて,「レディースさらさらキャミソール」の見出しの下,「DRY&COOL ひんやり・さらさら・UV対策/汗やこもった熱を逃がし,衣服内の温度上昇を抑える。」,「◎べたつかない(汗をすばやく吸い取り,速く乾く。)」,「◎こもらない(内側のこもった熱をすばやく逃がす。)」,「◎ムレにくい(吸放湿性に優れ,いつもサラサラ。)」及び「◎接触涼感(熱をすばやく奪い,ひんやり感じる。)」との記載がある。
[https://www.hiraki.co.jp/ec/pro/disp/1/45192]
(カ)「肌着と下着専門店 B−inner」のウェブサイトにおいて,「接触冷感加工 ルクール/スイトールC使用 半袖丸首」の見出しの下,「DRY&COOLインナー!半袖丸首。吸収速乾に優れたルクール(LUCOOL)素材でサラッとした着心地。また接触冷感加工で,ひんやりクール快適な着心地。......優れ者の肌着です。」との記載がある。
[http://www.b-inner.com/products/detail568.html]
(キ)「BIGLOBEニュース」のウェブサイトには,「『DRY&COOL』なビジネスソックス」の見出しの下,「岡本(奈良・広陵町) は,2012年春夏シーズンに向け本物の『DRY&COOL』が実感できるビジネスソックス『Platinum Cool(プラチナクール)』の新商品を,2012年4月から本格的に発売している。......『DRY&COOL』がキーワードのビジネスソックス『Platinum Cool』には,天然素材と機能性素材の2種類がある。天然素材からは,シニア世代向けに『消臭』機能と,キシリトール加工で『涼感』機能を追加したという綿を使用したタイプが,機能性素材からは,旭化成せんい,帝人ファイバーと岡本の3社共同開発素材『HybridCool Fiber』(ハイブリッドクールファイバー)を使用し,ムレやすくニオイの気になるつま先部分に改質綿(半永久消臭素材)を編み込み,『吸水速乾』・『放湿冷却』・『消臭』機能を持ったタイプが登場している。」との記載がある。
[http://news.biglobe.ne.jp/economy/0409/jc_120409_5890175886.html]
(ク)「アスナロ・ファッションマート」のウェブサイトには,「半袖Tシャツ 子供 女児 COOL DRY 吸汗速乾 ○ 商品型番:132457」の見出しの下,商品説明欄に「COOL&DRY ボーダー 半袖Tシャツです。吸汗速乾・接触冷感で快適な着心地。綿混合で肌にも優しいTシャツです。」との記載がある。
[http://www.asnaro.com/item/132457-1/]
(ケ)「モノタロウ」のウェブサイトには,「COOL&DRY ZIP UP長袖シャツ」の見出しの下,「繊維に特殊な加工を施すことで汗の吸収・水分の拡散性に優れています。体から発散される汗によるムレやベタつきを抑え,快適な衣服環境を保ち,クールな着用感が得られます。」との記載がある。また,当該商品のレビュー欄には,「さらりとして涼しく着ごごちがとてもいいです。」及び「直ぐ乾くので気持ちが善いですね。」との記載がある。
[http://www.monotaro.com/g/00511777/]
(コ)「YAHOO!JAPANショッピング(剣道屋Yahoo!ショッピング店)」のウェブサイトには,「夏用ジャージ剣道着●袴『クール&ドライ』(内ヒダ縫製加工)」の見出しの下,「抜群の通気性と吸汗性を備えた,夏用ジャージ剣道着(袴)。従来のジャージ生地に改良を加えた,夏用に最適のジャージ剣道袴です。」との記載,また,枠囲いされた画像データ部分には,「Cool&Dry/夏用ジャージ剣道袴」,「涼」及び「これまでにない!吸汗 風通し」との記載がある。
[http://store.shopping.yahoo.co.jp/kendouya/k-u-x-05.html]
イ 前記アによれば,本願商標の指定商品中「被服,運動用特殊衣服」の分野では,(a)「DRY」(ドライ)の語は,「DRY素材」「吸汗速乾」「吸水速乾」「汗をかいてもドライな着心地」「汗をすばやく吸い取り,速く乾く」「汗によるムレやベタつきを抑え」などのように,「吸水・吸湿性に優れ,乾きが早い(素材を使った)商品」を表す言葉として用いられていること,(b)また,「COOL」(クール)の語は,「COOL素材」「ひんやり吸湿冷感」「接触冷感」「接触涼感(熱をすばやく奪い,ひんやり感じる。)」「『涼感』機能」「『放湿冷却』機能」「クールな着用感」「接触冷感加工で,ひんやりクール快適な着心地」などのように,「涼しい感じや,ひんやりした感じが得られる(素材を使った)商品」を表す言葉として用いられていること,(c)さらに,これら両方の機能が得られるような商品,すなわち,「吸水・吸湿性に優れ,乾きが早く,かつ,涼しい感じや,ひんやりした感じが得られる(素材を使った)商品」に対しては,「DRY」と「COOL」とを「&」で連結して,「DRY&COOL」や「COOL&DRY」などのように表記していることが認められる。
3 本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性
(1)商標法第3条第1項第3号該当性
前記2(1)のとおり,本願商標「DRY&COOL」からは,「乾燥して,そして,涼しい」や「『乾いているさま』と『涼しく,さわやかなさま』」といった程度の意味合いを容易に認識し得るところ,前記2(2)で認定した事実によれば,「DRY&COOL」は,「吸水・吸湿性に優れ,乾きが早く,かつ,涼しい感じや,ひんやりした感じが得られる(素材を使った)商品」を表す言葉として,本願商標の指定商品中「被服,運動用特殊衣服」の取引者,需要者によって一般に認識されるものであることが認められる。
したがって,本願商標は,その指定商品中「被服,運動用特殊衣服」に使用されたときは,「吸水・吸湿性に優れ,乾きが早く,かつ,涼しい感じや,ひんやりした感じが得られる(素材を使った)商品」といった商品の品質を表示するものとして,取引者,需要者によって一般に認識されるものであって,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないと判断されるものであり,自他商品の識別力を欠くものというべきである。
そして,本願商標は,前記1のとおり,「DRY&COOL」の文字を標準文字により表してなるから,普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。
以上によれば,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第16号該当性
本願商標は,前記(1)のとおり,その指定商品中「被服,運動用特殊衣服」との関係では,その取引者,需要者に,「吸水・吸湿性に優れ,乾きが早く,かつ,涼しい感じや,ひんやりした感じが得られる(素材を使った)商品」といった商品の品質を表示するものと認識されるものである以上,そのような商品以外の指定商品「被服,運動用特殊衣服」に本願商標を使用した場合には,商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第16号にも該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標の「DRY」及び「COOL」の文字からは,原査定が認定した意味合いのほか,それぞれ,「そっけない,飾らない(ドライな)」及び「かっこいい,冷静な(クールな)」などの意味合いも生じるものであるから,本願商標から「乾燥して,そして,涼しい」との意味合いが一義的に認識されることを前提にした原査定の認定は,その前提において誤りがある旨主張する。
しかしながら,前述した商標法第3条第1項第3号の意義に鑑みると,同号は,本願商標の指定商品の品質及び内容の記述に係る意味合いが一義的に看取される商標にのみ適用されるものではなく,同記述に係る意味合いが複数看取される商標や,同記述に係るもの以外の意味合いをも生じ得る商標にも適用されるものと解するのが相当である(知財高裁平成26年(行ケ)第10193号同27年1月29日判決参照)。
前記(1)のとおり,本願商標は,その指定商品中「被服,運動用特殊衣服」に係る取引の実情において,「吸水・吸湿性に優れ,乾きが早く,かつ,涼しい感じや,ひんやりした感じが得られる(素材を使った)商品」といった商品の品質を表示するものとして,取引者,需要者によって一般に認識されるものであることが認められる以上,たとえ,「DRY」及び「COOL」の文字から,それぞれ,「そっけない,飾らない(ドライな)」及び「かっこいい,冷静な(クールな)」などの意味合いも生じるとしても,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないと判断されるものであり,自他商品の識別力を欠くものというべきである。
したがって,請求人の上記主張は,採用できない。
イ 請求人は,原査定で挙げられているインターネットの使用例は,「DRY&COOL」と表記された使用例ではなく,いずれも「DRY」,「ドライ」,「COOL」,「クール」の各語が個別に使用されているものにすぎず,しかも,ウェブサイトでは「DRY」「ドライ」との語と「COOL」「クール」との語が同時に使用されてさえいないのであって,このことは,「DRY&COOL」との語が,商品の品質を表す語として一般的に使用されている語ではないことの証左であり,本願商標を商標登録したとしても何ら第三者の使用に影響を及ぼさないことは明らかである旨主張する。
しかしながら,前述のとおり,本願商標の指定商品中「被服,運動用特殊衣服」の分野では,「DRY」(ドライ)及び「COOL」(クール)の語は,それぞれ,「吸水・吸湿性に優れ,乾きが早い(素材を使った)商品」及び「涼しい感じや,ひんやりした感じが得られる(素材を使った)商品」を表す言葉として使用されているのであるから,そうである以上,取引上現実に使用されていた事実があったか否かにかかわらず,これらの語を同格で並べる際に使用される接続記号「&」を用いて,「DRY&COOL」や「COOL&DRY」と表示したにすぎないものであれば,その取引者,需要者に,「吸水・吸湿性に優れ,乾きが早く,かつ,涼しい感じや,ひんやりした感じが得られる(素材を使った)商品」といった商品の品質を表示するものと一般に認識されるものであるといえる。
したがって,請求人の上記主張は,採用できない。
ウ 請求人は,本願商標「DRY&COOL」を請求人に係る下着の主要ブランドである「YG」のサブブランド名として使用(第2号証)しており,本願商標は現実の取引の場で十分に自他商品識別機能を発揮している旨主張する。
しかしながら, 第2号証における「DRY&COOL」の使用も,「肌に張り付きにくい『鹿の子編み』によって,夏場も心地いい。」,「ドライ&クール 汗に強くムレにくく,肌に張り付きにくい。夏に最適な一着。」,「ドライ感」,「吸汗速乾」及び「ムレ緩和」などの表記とともに使用されているのであるから,商品の品質を表示するものと一般に認識されるものであるにすぎないというべきであって,「DRY&COOL」のみで自他商品識別機能を発揮しているものとは到底認めることができない。
したがって,請求人の上記主張は,採用できない。
エ 請求人は,過去の登録例を挙げて,かかる登録例との対比でみても,本願商標が自他商品識別力を有することは明らかである旨主張する。
しかしながら,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は,当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて,個別具体的に検討・判断されるべきものであって,請求人主張に係る商標登録例が存在するからといって,本願商標についての同号該当性の判断が,左右されるものではない。
したがって,請求人の上記主張は,採用できない。
4 結び
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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