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Trademark Appeal Case

商標不使用取消審判の使用立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2014−300924(T2014−300924/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第705500号商標(以下「本件商標」という。)は、「RICH」の欧文字を横書きしてなり、昭和37年11月14日に登録出願、第4類「化粧品、香料類」を指定商品として、同41年4月28日に設定登録されたものであり、その後、平成18年12月20日に指定商品を第3類「化粧品,香料類」とする指定商品の書換登録がされたものである。

そして、本件審判請求の登録は、同26年12月9日にされている。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標について、その指定商品中、第3類「化粧品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を「本件商標は、その指定商品中、上記商品について、継続して3年以上日本国内において使用した事実がない。」旨主張し、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

なお、請求人は、下記第3の被請求人の答弁に対しては、弁駁していない。

第3 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第31号証を提出した。

1 本件商標の使用の事実について

本件商標は、以下のとおり、通常使用権者により、指定商品中の「化粧品」について、本件審判請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に使用されている。

(1)「ヘアトリートメント」への使用について

ア 商標の使用者

被請求人は、2013年3月1日からの5年間、ホーユー株式会社(以下「ホーユー」という。)との間において、本件商標を商品「シャンプー、トリートメント」に使用することについて、契約書をもって通常使用権許諾の契約を締結している(乙1)。

イ チラシについて

乙第2号証は、2013年7月から本件商標と社会通念上同一の商標が付されたシャンプー、ヘアトリートメントの発売を記念して通常使用権者が行ったセールのチラシである。該チラシにおいては、片仮名表記の「リッチ」の文字が使用されており、さらに、商品容器の写真中央下部には、欧文字表記の「RICH」の文字が使用されている。

また、販売している商品「ヘアトリートメント」は、本件商標の指定商品中の「化粧品」に含まれるものである。

ウ ウェブサイトでの使用について

乙第3号証は、本件商標と社会通念上同一の商標が付されたシャンプー、ヘアトリートメントが掲載された通常使用権者のウェブサイトの写しである。該ウェブサイトにおいては、片仮名表記の「リッチ」及び欧文字表記の「RICH」の文字が使用されており、さらに、商品容器の写真中央下部には、欧文字表記の「RICH」の文字が使用されている。

エ 雑誌掲載について

本件商標と社会通念上同一の商標が付されたシャンプー、ヘアトリートメントについては、各種雑誌に多数掲載されて(乙4ないし乙8)おり、その一部について述べる。

(ア)乙第4号証は、2013年7月1日発行の「PREPPY7月号」の写しであり、6頁から7頁にかけて本件商標と社会通念上同一の商標が付されたヘアトリートメント(以下「使用商品1」という。)が掲載されている。

(イ)乙第5号証は、2013年7月1日発行の「HAIRMODE7月号」の写しであり、6頁から7頁にかけて使用商品1が掲載されている。

(ウ)乙第6号証は、2013年6月1日発行の「SnipStyle7月号」の写しであり、107頁に使用商品1が掲載されている。

(エ)乙第7号証は、2013年7月1日発行の「SHINBIYO7月号」の写しであり、10頁から11頁にかけて使用商品1が掲載されている。

(オ)乙第8号証は、2013年7月1日発行の「MONTHLY BOB7月号」の写しであり、6頁から7頁にかけて使用商品1が掲載されている。

オ フリーペーパーについて

(ア)乙第9号証は、通常使用権者が美容室やサロンへ無料配布している冊子「TRENDITION No.4(2013年7月発行)」の写しであり、裏表紙に使用商品1が掲載されている。

(イ)乙第10号証は、通常使用権者が美容室やサロンへ無料配布している冊子「COLORFUL Vol.31(2013年6月28日発行)」の写しであり、21頁から24頁にかけて使用商品1が掲載されている。

カ 商品カタログについて

通常使用権者は、発売開始より現在に至るまで、使用商品1を商品カタログに掲載している。

乙第11号証は、通常使用権者の商品カタログ「PROMASTER COLOR CARE PRODUCT MANUAL」の写しであり、使用商品1が掲載されている。

(2)「クリーム」への使用について

ア 被請求人は、2007年11月11日から2010年11月10日の3年間、株式会社ジャンパール(以下「ジャンパール」という。)との間において、本件商標を商品「ビオデルマ」シリーズの化粧品に使用することについて商標使用許諾契約書をもって通常使用権許諾の契約を締結していた(乙12)。

その後、2010年9月15日に、上記契約期間延長に関する商標使用許諾契約覚書を締結し、本契約は2013年11月10日まで有効に継続していた(乙13)。

そして、平成25年12月をもって、「ビオデルマ」シリーズの化粧品の我が国における取扱いが、ジャンパールよりビオデルマジャポン株式会社(以下「ビオデルマジャポン」という。)へ移管されることとなり(乙14及び乙15)、新たに本件商標について、平成25年11月にビオデルマジャポンと商標使用許諾契約書をもって通常使用権許諾の契約を締結した(乙16)。

イ ウェブサイトについて

乙第17号証は、本件商標と社会通念上同一の商標が付されたクリーム(以下「使用商品2」という。)を紹介するビオデルマジャポンの2013年12月12日付のウェブサイト写しである。該ウェブサイトにおいては、片仮名表記の「リッチクリーム」の文字が使用されており、さらに、商品容器及び外箱の写真上部円内には、欧文字の「RICH」(審決注:商品容器及び外箱に付された文字は「Rich」である。以下「Rich」と表記する。)の文字が使用されている。

また、販売している商品「クリーム」は本件商標の指定商品中の「化粧品」に含まれるものである。

ウ 営業用資料について

乙第18号証及び乙第19号証は、通常使用権者であったジャンパールが使用していた使用商品2を紹介する販売促進用資料の写しである。該資料においては、片仮名表記の「リッチクリーム」の文字が使用されており、さらに商品容器の写真上部円内には、欧文字表記の「Rich」の文字が使用されている。

エ チラシについて

乙第20号証は、通常使用権者であったジャンパールが使用していた使用商品2を紹介する店頭用チラシの写しである。該チラシにおいては、片仮名表記の「リッチ」及び「リッチクリーム」の文字が使用されており、さらに商品容器写真上部円内には欧文字表記の「Rich」の文字が使用されている。

オ 輸入許可通知書について

乙第21号証は、使用商品2がフランスから輸入された際の東京税関の輸入許可通知書の写しである。申告年月日は2012年2月21日で、輸入者は、当時、通常使用権者であったジャンパール(英文表記:JEAN PEARL CO.,LTD.)で、輸入取引者はLABORATOIRE BIODERMAである。同書の2頁目の品名には「SENSIBIO LEGERE & SENSIBIO RICHE」の記載があり、この記載中「RICHE」は本件商標のフランス語表記であり、さらに添付のインボイスDesignation欄に「SENSIBIO RICHE TE40ML」の文字が記載されている。

カ 出庫伝票について

乙第22号証ないし乙第26号証は、使用商品2が出荷された際の出庫伝票の写しの一部である。日付は2013年7月4日から同年9月19日であり、ジャンパールから関連会社である株式会社井田両国堂(以下「井田両国堂」という。)宛に送付されたものである。いずれの伝票にも品名欄に「ビオデルマ サンシビオ リッチクリーム」と記載されている。

そして、乙第27号証ないし乙第29号証は、使用商品2の外箱の写真である。乙第29号証の外箱下面のバーコード下部に商品コード「3401346673274」が記載されているところ、この数字は乙第23号証の出庫伝票の商品コード欄に同じ数字が記載されており、同じ商品コードを有する商品が流通していることが裏付けられるものである。

なお、ジャンパール及び井田両国堂は共に株式会社井田産業のグループに属する企業である(乙30)。

(3)小括

上記のとおりであるから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、通常使用権者が請求に係る指定商品に属する商品「ヘアトリートメント」及び「クリーム」について、要証期間内において使用していたことは明白である。

2 請求人適格について

本件審判請求については、その請求人適格について疑問を呈さざるを得ない。

請求人は、特許事務所を経営する弁理士であるところ(乙31)、本件審判の取消にかかる商品「化粧品,香料類」について業として製造や販売を行うことが観念できず、また被請求人が調べ得る限りにおいて副業で行っていることは確認できなかった。

商標法第50条第1項に基づく取消審判の請求人適格については法文上何人にも認められてはいるものの、その条文の趣旨を考慮すると本件審判請求は権利濫用に該当するものである。本来的に、その商標の使用を欲する者が商標の不使用に基づく取消審判を請求することが想定されるものであり、請求人のように化粧品の製造、販売を行う予定のない者が審判請求を行い、本件商標を取り消す目的が不明である。

さらに、請求人は本件審判請求の他、被請求人に対して11件の取消審判を請求しているが、これらの審判請求に係る全ての商標と同一又は類似する商標について請求人が使用を欲しているとは到底考え難く、被請求人を害する目的で本件審判請求を行っていると推測されても致し方ないものであり、本件審判請求はまさに権利濫用に当たり許されるべきものではない。

また別の観点からは、本件審判に関しては、請求人の個人名で請求されているとはいえ、上記のような審判制度の濫用に関しては弁理士法第29条の点から疑問を呈さざるを得ない。

3 まとめ

以上のとおり、使用商品1及び2は、2013年の販売開始より現在に至るまで継続的に販売されていることは明白である。

さらに、本件審判請求は、請求人による権利濫用に当たるものであり、許されるものではない。

よって、本件商標は商標法第50条1項に該当するものではない。

第4 当審の判断

1 請求人適格(請求人による権利濫用)について

被請求人は、請求人について、本件審判の請求に係る商品「化粧品」について業として製造や販売を行うことが確認できなかったこと、請求人が被請求人に対して本件審判の請求のほか、11件の取消審判の請求を行っており、これら全ての商標と同一又は類似の商標の使用を欲しているとは考え難いことをあげて、本件審判の請求は、請求人適格に疑問があり、請求人による権利濫用に当たると主張しているので、以下、その主張について検討する。

(1)商標法第50条第1項について

商標法第50条第1項は、「継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標・・・の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定している。

上記規定は、平成8年法律第68号によって改正されたものであるところ、その改正の趣旨は、改正前の商標法において、登録商標の不使用による取消審判の請求人適格について明示の規定がなかったことから、その反対解釈として、利害関係人に限って同審判を請求することができると解される余地が存在していたのを、「何人」にも認めることとし、その旨を法文上明示したものと解される。

したがって、登録商標の不使用による取消審判の請求が、専ら被請求人を害することを目的としていると認められる場合などの特段の事情がない限り、当該請求が権利の濫用となることはないと解するのが相当である(平成20年6月26日判決言渡 平成20年(行ケ)第10025号 知的財産高等裁判所 参照)。

(2)本件審判請求について

商標法第50条第1項は、上記(1)のとおり、平成8年法律第68号の改正によって、利害関係人に限られることなく、何人も請求できるように改正された以上、商標法第50条第1項の不使用による取消審判請求をするためには、例えば、請求人が必ず指定商品に係る業務を行っている必要があるとはいえないのであるから、被請求人の主張のとおり、仮に、請求人が本件審判の請求に係る商品「化粧品」について業として製造や販売を行うことが確認できなかったとしても、それをもって、直ちに、請求人による権利濫用に当たるということはできない。

同じく、商標法第50条第1項が利害関係人に限られることなく、何人も請求できるように改正された以上、商標法第50条第1項の不使用による取消審判請求をするためには、登録商標と同一又は類似の商標を必ず使用しようとしている必要があるともいえないものであるから、請求人が本件審判の請求のほか、11件の取消審判の請求を行っており、これら全ての商標と同一又は類似の商標の使用を欲しているとは考え難いとの被請求人の主張をもって、直ちに、請求人による権利濫用に当たるということもできない。

加えて、請求人が取消審判を請求している登録商標は、いずれも、せっけん類や、化粧品に関連する「RICH」又は「リッチ」の文字を含む商標であるから、取消審判請求の数が多いからといって、直ちに当該登録商標の取消しを求める理由が被請求人を害することであると断じることもできない。

そのほか、被請求人は、請求人が被請求人を害する目的を有していることを具体的に明らかにするところもない。

そうすると、本件審判請求は、請求人の権利濫用に当たるということはできない。

2 本件商標の使用について

(1)被請求人の答弁の全趣旨及び提出に係る乙号証によれば、以下のとおりである。

ア 乙第1号証は、本件商標の商標使用許諾契約書であるところ、同号証によれば、平成24年10月1日付けで、甲を商標権者、乙をホーユーとし、甲の所有する登録商標「リッチ」(登録第530500号)及び登録商標「RICH」(登録第705500号)に係る商標権についての契約書であり、その第1条(通常使用権許諾の範囲)には、「甲は、本商標権について乙に次の範囲の通常使用権を許諾する。」とあり、その範囲を「(イ)地域 日本国全土」、「(ロ)商品 シャンプー、ヘアトリートメント」、及び「(ハ)期間 平成25年3月1日から5年間」と記載れている。

イ 乙第2号証は、ホーユーのチラシであるところ、「PROMASTER COLOR CARE デビューセール 2013.8.2 Debut!」の見出しの下、赤色の容器の写真の下に「リッチ」及び「シャンプー+ヘアトリートメント」(使用商品1)の表示がされている。

ウ 乙第4号証ないし乙第8号証は、2013年7月号の雑誌「PREPPY」の写し、平成25年7月1日発行の雑誌「HAIRMODE」の写し、2013年7月号の雑誌「SnipStyle」の写し、2013年7月号の雑誌「SHINBIYO」の写し、2013年7月号の雑誌「MONTHLY BOB」の写しであるところ、いずれの雑誌にもホーユーの広告として、「色・髪・肌に、プロのいたわり。」、「PROMASTER COLOR CARE」、「2013.8debut」、「美しい髪色が続くカラーケアのスタンダード」、「RICH」、「リッチ」の記載及び商品の容器に「PROMASTER COLOR CARE」、「RICH」の欧文字(以下「使用商標」という。)を縦書きに、「tretment」及び「hoyu」の欧文字をチューブ容器の下部に横書きで表示した商品の写真が掲載されている。

エ 乙第9号証は、ホーユーが発行する、2013年7月発行の「TRENDITION」No.04の冊子であるところ、表紙の表題の下部に「ヘアサロン専門誌」及び「hoyu」の記載がある。また、裏表紙には、「色・髪・肌に、プロのいたわり。」、「PROMASTER COLOR CARE」、「2013.8debut」、「美しい髪色が続くカラーケアのスタンダード」、「RICH」、「リッチ」の記載及び商品の写真が掲載されている。

オ 乙第10号証は、ホーユーが発行する、2013年6月28日発行の「COLORFUL」Vol.31の冊子であるところ、第21頁及び第22頁には、「Products Information Now」として、「色・髪・肌に、プロのいたわり。」、「PROMASTER COLOR CARE」、「2013.8debut」、「美しい髪色が続くカラーケアのスタンダード」、「RICH」、「リッチ」の記載及び商品の写真が掲載されている。

カ 乙第11号証は、ホーユーのカタログとのことであるが、第3頁には「髪や頭皮のニーズにあわせて選べる5つのライン」の表題の下、「美しい髪色が続くカラーケアのスタンダード」として、「RICH リッチ」の商品が紹介されている。また、第10頁には「1人ひとり異なるお客様の声にあわせて選べる5つのライン。」の表題の下、「RICH うるおいとまとまりのある髪へ」の項に「パサつきや広がりが気になる。自然なツヤが欲しい。加齢による髪質が変化してきた。パーマをかけることがある。華やかな香りが好き。」の記載がある。

(2)判断

ア 商標権者は、ホーユーに対し、本件商標のシャンプー及びヘアトリートメントについて、平成25年3月1日から5年間の間、通常使用権を許諾している(上記(1)ア)。

イ ホーユーは、2013年7月頃に発行された、各種雑誌において、シャンプー及びヘアトリートメントについて、商品の容器に「RICH」の文字及び「tretment」の文字を表示し、該商品が2013年8月に新発売されることを明示した広告を行った(上記(1)ウないしオ)。

そして、当該時期は本件審判の請求の登録(登録日は平成26年(2014年)12月9日)前3年以内である。

ウ 各種雑誌の広告に掲載されている「ヘアトリートメント」(使用商品1)は、取消請求に係る指定商品「化粧品」の範ちゅうに含まれるものである。

エ 本件商標は、前記第1のとおり、「RICH」の文字からなるものであり、使用商標は、「RICH」の文字からなるものであって、その構成文字を同じくするものであるから、使用商標は本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。

オ 上記アないしエからすれば、通常使用権者であるホーユーは、本件審判の請求の登録前3年以内にその請求に係る指定商品「化粧品」の範ちゅうに属する商品「ヘアトリートメント」についての広告に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して展示又は頒布した(商標法第2条第3項第8号)ものと認めることができる。

3 まとめ

以上のとおりであるから、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者がその請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したといわなければならない。

したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。

なお、請求人による本件審判の請求は、権利濫用ということはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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