結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成5年審判第17166号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
1、本件登録第2491742号商標(以下、「本件商標」という。)は、「LIONCLUB」の欧文字を縦書きしてなり、第22類「はき物、かさ、つえ、これらの部品および附属品」を指定商品として、平成2年5月16日に登録出願、平成4年12月25日に登録されたものである。
2、請求人は、「本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至甲第6号証を提出している。
(1)、本件商標の「LIONCLUB」は、その出願時(平成2年5月16日)には既に日本国内において営利を目的とせず、社会奉仕等の公益に関する事業を営む請求人を表示する標章として周知・著名となっていた「LIONSCLUB」又は「ライオンズクラブ」と類似し、商標法第4条第1項第6号の規定に該当するにも拘らず登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきである。
(2)、請求人の正式名称は「The International Association of Lions Clubs」又は「ライオンズクラブ国際協会」であるが、世界各地区における各クラブの単位を指称する場合には「LIONSCLUB」、「ライオンズクラブ」と称されている。このことは、ライオンズクラブ会員の総てが所有する「ライオンズ必携」(甲第1号証)の第15頁乃至第29頁「ライオンズクラブについて」、第33頁乃至第73頁「ライオンズクラブ国際協会会則および付則」、第74頁乃至第93貞「ライオンズクラブ会則および付則標準版」、第98頁乃至第116頁「複合地区会則」内の記載、あるいはライオンズクラブ自身、又はライオンズクラブのメンバーが奉仕活動を行うに際して公的もしくは私的に使用し、所持し、佩用する物品を掲載している毎年発行の「SUPPLYCATALOG」(サプライカタログ)(甲第2号証)中、第1頁B−18 他の記章、第52頁掲載の表彰盾、第84頁D−3他のライオンズクラブ旗、第86頁のライオンズクラブ友好旗、第95頁A−25のエプロン、第98頁A−171,A−132A−221−Gの帽子、第99頁Aー4の腕章、第101頁D−113の車両用ライセンスプレート等に記載されていることからも明らかであるばかりでなく、後述のあらゆる奉仕活動に際して用いられる垂幕,横断幕,のぼり,立看板,プラカード,帽子,バッヂ,エプロンや、寄贈物品への表示等により明らかである。
(3)、請求人の団体は、1917年(大正6年)アメリカ合衆国シカゴ市で誕生して以来、現在までの約80年間に亘り、世界各国において地域社会に対し奉仕活動を続けて来ており、1992年版の「ライオンズ年鑑」(甲第3号証)で明らかなように、1992年6月30日(1991年度末)現在では世界の177カ国において41,152のクラブ数を擁し、1,404,233人の会員が市民,教育,視力保護・盲人福祉,保健,レクリェーション,社会福祉,公衆安全,環境保全,国際サービス,聴力保護・言語障害者福祉,その他の福祉事業のために奉仕活動を続けている(甲第3号証・第6頁〜第37頁)。
(4)、日本国でも1952年(昭和27年)の発足以来、現在まで40余年間に亘り日本国各地において前記奉仕活動を続けて来ており、1991年度末(1992年6月30日)現在のクラブ数は3,033クラブ、会員数は167,774名に達している(甲第3号証・第19頁)。
そして1991年度1年間だけでも前記奉仕活動の件数は91,127件で、金額にして約102億円弱の奉仕をしており(甲第3号証・第24頁〜第25頁)、日本のライオンズクラブ発足以来から1990年度末までの奉仕活動の総合計件数は1,531,418件で、金額にして約1,315億円強にも達している(甲第1号証・第164頁)。
(5)、このように、日本国内は勿論、世界的規模で長年に亘り大々的に奉仕活動を行って来た請求人の名称(略称又は単位クラブ名を含む)は、前記各種奉仕活動に携わってきた人々は当然のことながら、奉仕を享受した莫大な人々の間において周知・著名となっており、その数は計り知れないもので、殊に「LIONSCLUB」又は「ライオンズクラブ」といえば、請求人を指称する社会奉仕事業団体として、本件商標登録出願の際、既に日本国内で周知・著名となっていたことは明白である。
(6)、このことは、事案を異にし、外観類似についての判断ではあるが、請求人を表示する標章(甲第1号証表紙及び第1頁,甲第2号証第105頁上段左,甲第3号証裏表紙等に表示されている標章)における中央の文字「L」を「J」とし、上下の枠内の文字「LIONS」「INTERNATIONAL」を「JAPAN」「ENTERPRISE」とした昭和42年商標登録願第70526号(公告昭44ー23632)商標に対して、請求人がその出願前日本国内において周知・著名な自己を表示する上記標章と類似であるから登録されるべきではないと主張した商標登録異議申立事件(昭和44年9月20日申立て)について、その決定理由中において、「両者の構成上記のとおりであるから、両者の一対の吠えるライオンの横半顔の態様構成は、独特かつ印象的であり、欧文字に対して附飾的に認識されるとは認められず、図形と文字とは、それぞれ独立しても識別標識として機能するというのが相当であり、各種団体や企業が使用する標章や商標は、必ずしも一つとは限らず、複数の標章、商標をあらかじめ用意し、場合に応じて図形はそのままに文字だけ入れ換えて使用するようにした標章、商標も少くないことを勘案すれば、本願商標はその指定商品について使用されるとき(シリーズ的商品についてはとくに)は、両者の図形部分の構成は隔離的にいって酷似しているから、「ライオンズクラブ」の標章と相紛らわしく、慈善事業など公益事業の遂行を旨とする「ライオンズクラブ」が、あたかも営利行為を行い利潤を追求しているかのごとく認識させるおそれがあり「ライオンズクラブ」の権威は失墜し著しく名誉を傷つけられること明らかであるから、本願商標は、称呼、観念について云々するまでもなく引用の標章と外観上類似の商標とすべきである。
「ライオンズクラブ」は、全世界約150ヶ国、約26000クラブ、約百万人の会員数を擁する国際的クラブであり、各国、各クラブ単位で広く社会奉仕事業を行っていることは、良く知られているところ、日本でも「ライオンズクラブ」の事業に携わる人や援助を受ける人の数は莫大なもので、これらの人々は、引用の標章に接していること明らかであり、登録異議申立人の提出した甲第1号証ないし甲第3号証よりも、引用の標章が著名なものと認めるのが相当である。
以上の判断は、商標法第4条第1項第6号が公益保護の規定であり、商品の類否とは無関係に判断されるべきものと理解されるから、商品によって判断が異なることなく本願指定商品について全部に共通のものであり、商品の類否は、不要なものと認める。
結局本願商標は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと類似する商標と認めるから、商標法第4条第1項第6号の規定に該当する商標と認める。」と認定している(甲第4号証)ところがらも明白である。
(7)、ライオンズの紋章や諸マーク(”LIONS”、“LIONSCLUB”“LIONS INTERNATIONAL” “LI0NS CLUBS INTERNATIONAL” “LIONESS” “LEO”)の使用については、請求人自身が新入会員に配布する小冊子「WELCOME」(ウエルカム)(甲第5号証)の第35頁に記載しているような自主規制を設け、これらが商業的に利用されることを厳重に注意している。
このように「LIONSCLUB」又は「ライオンズクラブ」は奉仕を目的とした団体を表わすマークとして自主規制をし、かつ周知・著名となっているにもかかわらず、本件商標がその指定商品について登録されていると、非営利団体である請求人があたかも営利事業を行っているかの如く世人に誤認させるものであり、請求人の奉仕目的が根底より覆されることになる。
(8)、したがって、請求人を表示する「ライオンズクラブ」又は「LIONSCLUB」が本件商標の登録出願前既に周知・著名であったことと、請求人は公益に関する事業であって常利を目的としない団体であるのであるから、この周知・著名な「ライオンズクラブ」又は「LIONSCLUB」と外観、称呼、観念上類似である本件商標の「LIONCLUB」は商標法第4条約1項第6号の規定に該当するにも拘らず登録されたものといわざるを得ない。
(9)、被請求人は、上記した「ライオンズクラブ」又は「LIONSCLUB」が、社会奉仕等の公益に関する事業を営む請求人を表示する標章としてわが国内で周知・著名となっていた標章であることを認めながら、本件商標の「ライオンクラブ」と上記「ライオンズクラブ」又は「LIONSCLUB」とは、称呼上「ズ」の有無の差があるから非類似であって、本件商標は商標法第4条第1項第6号の規定に該当しない、と主張しているが、「ズ」がどのような意味を持つにしろ、称呼上は「ライオンクラブ」と「ライオンズクラブ」であって、このような比較的長い称呼からなる商標間においてはその中間に「ズ」の有無の差があっても両者は彼此相紛れる類似の商標であると認められる。このことは、称呼上「ライオンズ」と「ライオン」は類似であると判断した昭和51年審判第1288号の審決(甲第6号証)及びこの審決に対する昭和57年(行ケ)第93号の判決が極めて示唆に富むものであると思料される。
(10)、よって、本件商標は商標法第4条第1項第6号の規定に該当するにも拘らず登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきである。
3、被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、証拠方法として乙第1号証乃至乙第3号証(枝番号含む)を提出している。
(1)、請求人は、「本件商標は、公益に関する事業であり、営利を目的としないものを表示する標章であって、著名なものと類似の商標であるから、商標法第4条第1項第6号の規定に反しτ登録されたものであるので、その登録は、同法第46条第1項第1号により無効とすべきである」と主張している。
(2)、「L.I.O.N.S.CLUB」なる団体が1917年にアメリカ合衆国において、実業家が集まり、地域の社会に奉仕することをモットーとして創立した国際的社交団体であることは、我が国においても、大方の人々に承知されているといえる。
そして、その命名がLIBERTY、INTELLIGENCE、OUR、NATION’S、SAFETYの語のイニシャルをもって「L.I.O.N.S.」、その音として「ライオンズ」即ち「L.I.O.N.S.CLUB」(ライオンズクラブ)にかかるものであることも承知している。
(3)、一方、本件商標は、国内外において盛大に事業を展開する被請求人、ライオン株式会社の著名な略称であり識られた登録商標でもある「LION」の文字と一つの集まり、団体をあらわす「CLUB」の文字とで「LIONCLUB」と書してなるものであって、全体としてライオン株式会社を巡る一つの集合体、団体、倶楽部を指称する実在の倶楽部名称を表示したものである。
(4)、そこで両者を比較すると、LIONS(ライオンズ)の語尾の(S)(ズ)の文字の有無の差があるところ・その(S)(ズ)は決して所有をあらわすところ(S)(ズ)、複数をあらわす(S)(ズ)ではなく、SAFETYのイニシャルを表すことは前述のとおりであるから引用標章を省略して「LIONCLUB」や「ライオンクラブ」とすることは想定もできず、即ち、「LIONSCLUB」(ライオンズクラブ)とのみ表示され、称呼され観念されるというべきである。
(5)、そうしてみると、両者がそれぞれに一つの団体名を表わすものであり、略称されることが決してなく、しかも強くアクセントがわかれる(S)(ズ)の有無の明瞭な差異がある訳であるから、例え引用にかかる標章が公益に関する事業であり、営利を目的としない上に、知られた団体ライオンズクラブの標章「ライオンズクラブ」「LIONSCLUB」であっても、本件商標とは上記理由から類似しないというべきである。
(6)、本件商標が引用にかかる標章と非類似の商標である以上、商標法第4条第1項第6号の規定に該当するということはできない。
従って、本件商法を無効とする理由はない。
4、本件商標は前記したとおり「LIONCLUB」の欧文字よりなるところ、請求人は、「本件商標は、その出願時(平成2年5月16日)には既に日本国内において営利を目的とせず、社会奉仕等の公益に関する事業を営む請求人を表示する標章として周知・著名となっていた『LIONSCLUB』又は『ライオンズクラブ』(以下「引用標章」という。)と類似し、商標法第4条第1項第6号の規定に違反して登録されたものである。」旨主張している。
よって按ずるに、引用標章が社会奉仕等の公益に関する事業を営む団体の名称として、世界的に著名である事実はこれを認め得るものである。
そこで、本件商標と引用標章との類否について判断するに、両者の構成は上記のとおりであるから、外観上は区別し得るものとみるのが相当である。
また、両者の構成は上記のとおりであるから、それぞれの構成に相応して、本件商標より「ライオンクラブ」、引用標章より「ライオンズクラブ」のそれぞれの称呼を生ずるものと認められる。
よって、「ライオンクラブ」と「ライオンズクラブ」の称呼を比較するに、両者は第5音目において「ズ」の音の有無にその差を有するものであるが、「ライオンズクラブ」の「ズ」の音は、前音が弱音の「ン」である関係から聴者の耳に強く聴取されるものである。
そして、この「ズ」の音が、強く聴取されることと、8音という比較的長い音構成であることとが相俟って、引用標章は、「ズ」の音にアクセントを有し、かつ、「ズ」の音で一拍おかれることにより「ライオンズ」と「クラブ」の二音節として聴取されるものとみるのが相当である。
これに対し、本件商標は、語頭音にアクセントを有し、全体として一気一連になめらかに称呼し得るものである。
そうとすれば、本件商標と引用標章とは上記に述べた差異により、称呼上区別し得るものとみるのが相当である。
さらに、両者は、それぞれ別異の団体名を表すこと明らかであるから、観念上も区別し得るものである。
してみれば、本件商標と引用標章とは、その外観、称呼および観念のいずれにおいても類似しないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第6号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項により、その登録を無効とすることはできない。
なお、請求人は平成9年4月9日付で審理再開申立書を提出しているが、提出された証拠は何れも審査例であり、これに反する審査例(商願平2年第54395号)もあることよりすれば、この証拠をもって審理再開をする理由には至らないものと判断するのが相当である。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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