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Trademark Appeal Case

「声明」の識別力と公序良俗

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900140(T2014−900140/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5648831号商標の指定商品及び指定役務中、第9類「レコード,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」及び第41類「全指定役務」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5648831号商標(以下「本件商標」という。)は、「声明」の文字を標準文字で表してなり、平成25年5月24日に登録出願、第9類「レコード,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子雑誌,電子新聞」、第16類「新聞,雑誌」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」を指定商品及び指定役務として、同26年1月21日に登録査定、同年2月14日に設定登録されたものである

第2 登録異議の申立ての理由(要旨)

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第45号証を提出している。

1 商標法第4条第1項第7号について

(1)「声明(聲明)」とは、「仏教の儀式・法要で僧の唱える声楽の総称。狭義には、漢文または梵文の唄・散華・梵音・錫杖・讃・伽陀などの曲を指し、広義には、訓読または和文の経釈・講式・論義・表白・祭文・和讃・教化などを含める。梵唄。」を意味するもの(甲6)であり、寺院の法会で唱えられるものは当然のことながら、僧侶が日常行う勤行や檀家を回って行う廻向で唱えられるものも声明(聲明)として扱われる。

(2)「声明(聲明)」は、仏教とともにインドから中国を経て日本へ伝えられ、声楽としての「声明(聲明)」が文献上に明らかになるのは752年の東大寺大仏開眼供養での四箇法要においてであり、9世紀の初めに弘法大師空海により真言声明(聲明)が、中頃に慈覚大師円仁により天台声明(聲明)が中国より伝えられた。その後、平安期以降、仏教儀式が整備されるに従って、仏教儀式で唱えられる声楽一般について「声明(聲明)」の語が用いられるようになり、鎌倉期以降の中世になって大きな発展をみせた。

すなわち、仏教音楽の中心を占める「声明(聲明)」は、旋律を付して誦経する仏教の声楽であるとともに、仏教の典礼のための声楽全般を指し、仏教の声の音楽のあらゆる概念を包括する用語であり、古代から現代に至るまで仏教の僧、仏教の信者にとって心のよりどころとなる祈りの旋律であるから、宗教上も大変に重要な意義を有するものである。

(3)キリスト教、イスラム教と並び世界三大宗教の一つといわれる仏教の信者は、世界的にも多数存在し、今日の我が国においても9,000万人ほどの仏教信者が存在するところ、「声明(聲明)」は、国内においては、真言宗、天台宗を始めとして、法相宗、浄土宗、日蓮宗、時宗、曹洞宗、臨済宗、黄檗宗、浄土真宗等の大多数の仏教の宗派において唱えられている。

すなわち、「声明(聲明)」は、仏教の典礼のための声楽として、さらには、仏教の声の音楽全般を包括するものとして、古代から現代に至るまでその伝統を維持し続け、脈々と受け継がれた仏教及び仏教界全体とそれに連なる者及び団体の共有の財産であり、仏教信者にとってはかけがえのない信仰のよりどころとなる極めて大切な言葉である。

(4)上記(1)ないし(3)において述べたことによれば、「声明」の文字からなる本件商標を一個人に独占させることは、仏教の共有財産を害し、信者の信仰上の感情を害し、ひいては公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがあるというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

2 商標法第3条第1項第3号及び同項第6号について

「声明(聲明)」は、上記1のとおり、「仏教の儀式・法要で僧の唱える声楽の総称」を意味するものであって、仏教の典礼のための声楽全般を指し、仏教の声の音楽のあらゆる概念を包括する用語である。

ところで、「声明(聲明)」は、仏教の儀式、法要の際に唱えられるものであるとともに、仏教声楽の学問、仏教声楽の曲、仏教声楽の手習いとしての側面も有するものである。

してみれば、本件商標は、その指定商品及び指定役務に使用しても、商品の品質、用途若しくは使用の方法又は役務の質、用途若しくは態様を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、商標法第3条第1項第3号に該当する。

また、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者たる仏教の僧はもとより、仏教信者や聴衆においても、何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当する。

3 商標法第4条第1項第16号について

「声明(聲明)」は、上記1のとおり、「仏教の儀式・法要で僧の唱える声楽の総称」を意味するものであって、仏教の典礼のための声楽全般を指し、仏教の声の音楽のあらゆる概念を包括する用語であるから、本件商標を、その指定商品及び指定役務中、仏教の典礼のための声楽、仏教の声の音楽以外の商品又は役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当する。

第3 本件商標に対する取消理由

当審において、本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)に対し、平成26年12月25日付けで通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。

1 「声明(聲明)」について

(1)「声明(聲明)」の語について

「声明(聲明)」の文字は、「せいめい」又は「しょうみょう」と読まれる語であって、前者をもって読むときは、「意見・主張などを公に発表すること」を意味し(「広辞苑第六版」、株式会社岩波書店発行)、後者をもって読むときは、「仏教の儀式・法要で僧の唱える声楽の総称」等を意味するものである(甲6ないし甲10、甲12、甲13、甲15、甲17ないし甲20、甲27ないし甲29、甲35、甲37ないし甲40)。

(2)「声明(聲明)」(しょうみょう)の語の使用状況について

ア 「声明(聲明)」(しょうみょう)を主な内容とする又は内容に含む書籍が発行されている(甲11ないし甲15、甲17、甲19)。

イ 「声明(聲明)」(しょうみょう)について、例えば、以下に示す内容の記事が新聞に掲載されている(甲18、当審における職権調査の結果)。

(ア)1984年(昭和59年)2月11日付け「日本経済新聞」(朝刊、24頁)に、「声明『伝法潅頂』レコード化――東芝EMIプロデューサー橋本雄二氏(文化)」の見出しの下、「若い人の間でも関心呼ぶ 仏教の声明(しょうみょう)は、最近若い人の間にも関心を呼んでいるようだ。東京の国立劇場でも声明の演奏会が毎年開かれているし、研究も盛んになってきた。声明も、その世界は広く、また深いが、私は声明のうち、真言声明の大伝法院流伝法=頂(かんじょう)というのを、このほどようやく録音し終え、レコードにまとめることができた。・・・この伝法=頂とは一つの儀式で、これを受けなければ真言僧は真の意味で僧侶(りょ)の資格をもつことができない。極めて重要な儀式であり、いわば“秘儀”ともいえる。」との記載がある。

(イ)1987年(昭和62年)11月6日付け「日本経済新聞」(夕刊、10頁)に、「声明秘かに広がる、新作相次ぎCDも登場――蛙に託し、文明批評も(アーバンNOW)」の見出しの下、「声明(しょうみょう)に関心が集まっている。ブームというほどではないが、新作も相次いで登場し、海外の音楽界にも刺激を与えている。レコードもかなりそろってきた。ことに現代音楽の分野で、作曲家たちが声明の活用に熱を入れている。・・・声明はつまり仏教音楽で、僧侶の唱える声楽のことをさす。もともとは各種の儀式のためのものだが、これを一つの音楽として見直す動きが近年盛んになっている。ブームに先鞭をつけたのは国立劇場で、昭和四十一年に、同劇場開場記念として『魚山秘曲三十二相』『二箇法要付大般若転読会』を上演。・・・一方、レコードも各種出そろってきた。たとえば真言宗豊山派仏教青年会が中心となってこのほど『新義真言声明集成』をコンパクトディスク十六枚にまとめている。東芝EMIにも各種のLPがある。」との記載がある。

(ウ)1990年(平成2年)5月26日付け「日本経済新聞」(大阪夕刊、関西トレンディ、30頁)に、「関西トレンディ――“声明”高らか仏教音楽、クラシックや現代音楽と融合」の見出しの下、「仏教音楽への関心が高まっている。仏教の儀式音楽である声明(しょうみょう)とクラシックを結びつけた大がかりなコンサートも近く開かれる。関西の現代音楽に刺激を与える動きとして注目する関係者も少なくない。まず声明とバッハ作曲の『マタイ受難曲』の共演という世界でも珍しい試みが近く大阪で実現する。この企画を打ち出したのは大阪永久平和祈念祭典で、6月30日午後5時半から大阪・フェスティバルホールで開く。」との記載がある。

(エ)1995年(平成7年)10月24日付け「中日新聞」(夕刊、9頁)に、「特報/ 声明 公演にぎわう “歌うお経”俗界魅了 安らぎ、現代性に人気」の見出しの下、「お坊さんが仏教儀式の時に唱える声明(しょうみょう)の公演が相次いでいる。昨年あたりからブームだという声は上がっていたが、最近は、声明とシンセサイザー、声明とダンスなどのジョイントも行われ、新しい表現を生んでいる。・・・東京・国立劇場では、劇場ができた昭和四十一年から、日本の伝統音楽を紹介する試みとして、毎年秋に一般向けの声明公演をしてきた。今年の公演は十一月に、奈良・西大寺の真言律宗の声明を披露する。・・・空海の真言宗の道場だった東寺(京都市南区)では、十一月の創建千二百年の大法会で、声明に合わせて、雅楽やシンセサイザーを演奏する。同月、横浜市の神奈川県立音楽堂では、戦後五十年を記念した音楽祭の中で、鎮魂のためにグレゴリオ聖歌と声明のコンサートを開く。」との記載がある。

(オ)1997年(平成9年)12月27日付け「西日本新聞」(朝刊、13頁)に、「仏教の声の音楽『声明』 大分県立芸術会館で毎年開催 大河のような声の響き」の見出しの下、「お経に節が付いた『声明(しょうみょう)(聲明)』を何十人もの僧りょが舞台で唱える『聲明の夕べ』が今月十二日、大分市の大分県立芸術会館で開催された。一九九二年に始まり、今年で六回目。・・・『声明』を音楽の一ジャンルの名称として定着させたのは国立劇場。憲法で国の宗教への関与が禁止されていることなどから『仏教音楽』ではなく、また、『声明(せいめい)』との混同を避けて旧字体の『聲明』を使っている。・・・最近は毎年海外で声明公演が行われ、外国人作曲家も新作を発表するなど広がりが出ている。・・・九〇年代に入り、ヒーリング・ミュージックやワールド・ミュージックブームを背景に声明のCDの売れ行きが好調だ。」との記載がある。

(カ)2002年(平成14年)6月14日付け「読売新聞」(大阪夕刊、3頁)に、「[ステージ]心にしみる深遠なる響き 声明 静かなブーム」の見出しの下、「深緑の杉木立からまばゆい陽光が漏れる初夏の高野山(和歌山県)。静寂に包まれた真言宗総本山の霊場に、にわかに重厚で荘厳な合唱が響き渡った。この日、別格本山西南院(さいなんいん)に『高野山声明(しょうみょう)の会』(略称・高聲会)の僧侶が集まり、今夏の公演に向けての初練習を行ったのだ。・・・声明は、サンスクリットの『シャブダビドヤ』の漢訳。『シャブダ』は音声、言語、『ビドヤ』は智の別名である明を意味する。お経に曲を付けた仏教音楽で、仏教を礼賛、法要などの仏教行事に使われる。インドで声明の原形ができたのは約二千四百年前とされるが、日本には奈良時代に伝来。法相宗、真言宗、天台宗で行われ、鎌倉時代以降、浄土宗、浄土真宗、禅宗、黄檗宗にも取り入れられた。・・・真言声明を伝える高聲会が結成されたのは一九八九年三月。東京・サントリーホールで行われた天台宗との声明合同公演がきっかけだった。国内では東京・国立劇場、東京ドームで、海外でも米、仏、ベルギーで公演を行ってきた。高野山の住職、副住職ら二十五人のメンバーは、シンセサイザーやオーケストラとのセッション、チベット声明との競演など多彩な“演奏形態”を試みている。」との記載がある。

(キ)2002年(平成14年)6月19日付け「産経新聞」(大阪夕刊、1頁)に、「声明(しょうみょう) 究極の癒やし系 公演相次ぐ」の見出しの下、「能の謡や浄瑠璃、琵琶などに影響を与え、『日本音楽の源流』といわれる声明(しょうみょう)が人気だ。疲れた現代人の心に染みとおる『癒やしの音楽』なのか、国内外で公演やライブが相次いで開催され、若い世代にも共感を呼ぶ。CDやビデオ、DVDまで発売されるほどだ。・・・声明がお寺の儀式の場を離れ、初めて劇場で唱えられたのは昭和四十一年。国立劇場(東京都千代田区)の開館に合わせての“一般公開”だった。以来、毎年公演を開催し、真言宗や天台宗、浄土宗、曹洞宗など各宗派の声明を紹介している。・・・□声明 仏教における儀式音楽で、経典に旋律をつけて唱える。古代インドで生まれ、中国、朝鮮半島を経て仏教の伝来とともに伝えられたとされる。近年は海外でも高い評価を受け、各宗派による海外公演も盛ん。」との記載がある。

(ク)2003年(平成15年)6月25日付け「朝日新聞」(東京朝刊、33頁)に、「縄文から現代邦楽まで、日本の音楽史『まるかじり』CD発売」の見出しの下、「縄文の石笛から雅楽、声明(しょうみょう)、義太夫、さらには現代における邦楽まで日本の音楽の歴史を一望に見渡せるCD『日本音楽まるかじり』(ビクター伝統文化振興財団)が出た。各時代を代表する楽曲全60曲で構成され、歴史背景が解説されている。」との記載がある。

(ケ)2003年(平成15年)11月17日付け「産経新聞」(東京朝刊、28頁)に、「スパイラルで声明コンサート」の見出しの下、「仏教の声明(しょうみょう)に能の謡(うたい)が加わった声明コンサート『千年の声・秋』が十八、十九日、東京・青山のスパイラルガーデンで行われる。」との記載がある。

(コ)2004年(平成16年)3月9日付け「朝日新聞」(大阪地方版/奈良、28頁)に、「『声明』の解説本、改訂 現代語訳付け平易に 東大寺/奈良」の見出しの下、「修二会の行が続く中、練行衆が唱える節のついたお経、声明(しょうみょう)について解説した『東大寺修二会 お水取りの声明』が発刊された。・・・ページの上段に声明の唱句、中段にその現代語訳による書き下し文、下段に解説が施されている。難読で複雑な経文の理解を助けるので、声明を聞きに来る熱心な聴聞客やCDにもなっている声明の愛好家らには待望の解説書になっている。」との記載がある。

(サ)2005年(平成17年)4月18日付け「産経新聞」(大阪朝刊、30頁)に、「【愛・地球博】宗教音楽で平和を訴え」の見出しの下、「愛知万博(愛・地球博)のEXPOドームで十七日、ゴスペルや声明(しょうみょう)など、キリスト教、仏教、イスラム教の代表的な宗教音楽に取り組む国内外の四団体が、祈りを通して平和を訴えるコンサートを開いた。『高野山声明の会』(和歌山県)は、仏教の儀式でお経に節を付けて唱える声楽の『声明』を披露。」との記載がある。

(シ)2007年(平成19年)8月17日付け「毎日新聞」(大阪夕刊、9頁)に、「コラボレーションCD:聖歌と声明が融合 同時に歌う“コラボ”」の見出しの下、「8世紀ごろ編さんされたキリスト教の典礼音楽『グレゴリオ聖歌』と、飛鳥時代から平安時代にかけて中国から仏教とともに伝わった仏教音楽『声明(しょうみょう)』を、聖歌隊と僧侶が同時に歌うコラボレーションCDが5月末にヨーロッパで発売されたのに続いて、日本でも発売された。」との記載がある。

(ス)2009年(平成21年)1月4日付け「読売新聞」(大阪朝刊、29頁)に、「奈良・薬師寺がパリで『声明』公演 来月、平城遷都1300年祭PR」の見出しの下、「奈良県で来年、行われる『平城遷都1300年祭』を世界に向けてPRしようと、薬師寺(奈良市)は2月、フランス・パリで、初めての『声明(しょうみょう)』のコンサートを開く。日本に外国人観光客を呼び込む『ビジット・ジャパン・キャンペーン』の一環として、観光庁が企画した。」との記載がある。

(セ)2011年(平成23年)3月5日付け「毎日新聞」(地方版/三重、27頁)に、「ロビーコンサート:聲明の厳かな音色 法衣姿の僧侶が10曲披露――伊賀/三重」の見出しの下、「伊賀市四十九町の県伊賀庁舎で4日、ロビーコンサートが開かれた。日本の仏教音楽『聲明(しょうみょう)』の厳かな音色に来場者が聴き入った。同コンサートは05年に始まって以来77回目。」との記載がある。

ウ 「声明(聲明)」(しょうみょう)について、以下に示す公演等が開催されている。

(ア)国立劇場における「聲明公演(声明公演)」(昭和41年から平成25年までの間、おおむね年1回開催で通算50回開催。)(甲18、甲20、甲21)

(イ)第1回<東京の夏>音楽祭’85(昭和60年7月18日、草月ホール)(甲22)

(ウ)国立劇場第六回音曲公演「聲明と“声” 声の伝統 古典といま」(昭和63年4月28日、国立劇場)(甲23)

(エ)東大寺修二会お水取りの声明(平成8年8月28日、サントリーホール)(甲24)

(オ)音楽堂で聴く聲明(平成19年5月19日、神奈川県立音楽堂)(甲25)

(カ)聲明−声の知恵(平成23年3月25日、国際文化会館 岩崎小彌太記念ホール)(甲26)

(キ)天地響應(平成23年11月22日及び23日、第一生命ホール)(甲27)

(ク)スパイラルホール又はスパイラルガーデンにおける「スパイラル『聲明』コンサートシリーズ『千年の聲』」(平成10年から同24年までの間、おおむね年1回開催で通算20回開催。)(甲28、甲36)

(ケ)天平楽府と聲明・新春公演(平成26年1月8日、東京文化会館大ホール)(甲29)

エ 仏教各宗派は、自派の「声明」について、ウェブサイト上で説明をしているほか、インターネットを通じて、書籍、CD、DVD等の販売や動画配信等を行っている(甲38、甲39、甲41ないし甲44)。

(3)小括

上記(1)及び(2)において認定した事実によれば、「声明(聲明)」の文字は、本件商標の登録査定時(平成26年1月21日)においては既に、「せいめい」の読み及び「意見・主張などを公に発表すること」を意味する語としてのみならず、「しょうみょう」の読み及び「仏教の儀式・法要で僧の唱える声楽の総称」等を意味する語としても、一般に広く知られ、普通に用いられていたものと認められる。

2 本件商標の商標法第3条第1項第3号該当性について

本件商標は、前記第1のとおり、「声明」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「しょうみょう」の読み及び「仏教の儀式・法要で僧の唱える声楽の総称」等を意味する語として、一般に広く知られ、普通に用いられるものであるから、本件商標をその指定商品及び指定役務中、第9類「レコード,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品又は役務が「仏教の儀式・法要で僧の唱える声楽の総称であるところの声明(しょうみょう)」を内容とするものであること、すなわち、商品の品質又は役務の質を表してなるものと認識するにとどまるとみるのが相当である。

したがって、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、上記第9類に属する商品及び第41類に属する役務との関係において、商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、その登録査定時において、商標法第3条第1項第3号に該当するものであったといわなければならない。

3 むすび

以上のとおりであるから、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、第9類「レコード,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」について、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものと認める。

第4 商標権者の意見

商標権者は、前記第3の取消理由に対し、指定した期間内に何ら意見を述べるところがない。

第5 当審の判断

本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。

したがって、本願商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、結論掲記の指定商品及び指定役務について、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。

しかし、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、取り消すべき理由が認められないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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