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Trademark Appeal Case

結合商標の要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900306(T2014−900306/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5689703号商標の指定商品中、第33類「日本酒」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5689703号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成25年6月3日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,薬味酒」を指定商品として、同26年6月27日に登録査定、同年8月1日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立て理由

(1)引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4511942号商標(以下「引用商標」という。)は、「写楽」の文字を縦書きしてなり、平成8年3月26日に登録出願、第33類「清酒」を指定商品として、同13年10月5日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

(2)申立て理由の要点

申立人は、本件商標は、引用商標と類似するので商標法第4条第1項第11号に該当し、また、同項第10号及び同項第15号にも該当するから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を登録異議申立書、平成26年12月5日付、同27年1月16日付及び同年2月9日付上申書をもって要旨以下のように述べ、証拠として、「本件登録商標権利者の商標権保有情報」、「申立人による商標『写楽』の使用状況」及び「商品『写楽』の著名事実」等を提出している。

ア 商標法第4条第1項第11号の該当性について

本件商標は、別掲のとおり、「蔦屋」と「写楽」の漢字を二行に縦書きしてなるところ、その構成中「蔦屋」の文字部分は、屋号であり、省略して観察されること、その構成が二行の縦書きであること、二行の色調がそれぞれ異なること等から、「蔦屋」と「写楽」の部分がそれぞれ独立して商標の機能を発揮するとみられるので、「写楽」の観念及び「シャラク」の称呼をも生じるものである。

他方、引用商標は、「写楽」の文字からなるところ、「写楽」の観念と「シャラク」の称呼を生じること明らかである。

してみると、両者は、「写楽」の観念と「シャラク」の称呼が生じる類似の商標といわなければならない。

イ 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について

申立人は引用商標の著名性についての証拠を提出する。

「写楽」は、その強烈な印象からして需要者が混同を生じるおそれは十分ある。

また、「写楽」は、その音が「洒脱」にも通じた洒落た芸風が現代人の好みにも合致したことで、特に関東人は大変人気があるブランドである。

申立人も、引用商標を図形とともに永年の使用した結果、少量生産ではあるが著名ブランド、人気ブランドといわれるようになった。

3 本件商標に対する取消理由

商標権者に対して、平成27年2月20日付けで、本件商標は、その指定商品中、第33類「日本酒」について、取り消されるべきものであるとして通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。

(1)本件商標

本件商標は、別掲のとおり、「蔦屋」の文字を薄墨色、言い換えれば、筆がかすれたような態様をもって行書体で縦書きにし、その左に、「冩樂」の文字を、該「蔦屋」の文字より、やや大きく、かつ、行頭をやや下げて、黒色の行書体をもって縦書きにしてなるものであるところ、「冩樂」の文字部分は、「写楽」の異体字であり、該文字を表したものと容易に認識されるものである。

そして、「広辞苑 第四版」(本件商標登録異議申立書の21頁)によれば、「蔦屋」の語は、「江戸時代の出版書肆(しょし)の屋号。安永頃、江戸日本橋大伝馬町二丁目にあった地本問屋。」を、また、「写楽」の語は、「江戸中期の浮世絵師。別号、東洲斎。徳島藩主蜂須賀侯のお抱え能役者、斎藤十郎兵衛と伝えるが不明。一七九四〜九五年(寛政六〜七)の10カ月間に一四〇種ほどの役者絵と相撲絵を集中的に残すだけで、その後の消息を絶つ。似顔表現を利かした強烈な個性描写が特色。閲歴・生没年未詳。」を意味するものである。

そこで、本件商標より生ずる称呼及び観念についてみると、本件商標は、その構成文字全体に相応した「ツタヤシャラク」の称呼が生じることは否定し得ないとしても、本件商標を外観から考察すると、その構成中の「蔦屋」の文字部分と「冩樂」の文字部分は、二行に表記されている上に、「冩樂」の文字部分が、「蔦屋」の文字部分に比べ、黒色で明瞭に、かつ、大きく表記されていることから、本件商標に接する取引者、需要者は、外観上、「冩樂」の文字部分に強く印象付けられるということができる。また、本件商標を観念の点から考察した場合においても、「蔦屋」の文字部分と「冩樂」の文字部分とを結合した「蔦屋冩樂」の語が、我が国において広く親しまれた熟語的意味合いを表すものではなく、両文字の観念上の結びつきが薄弱であるといえるばかりか、「蔦屋」の語が江戸時代の出版書肆の屋号の意味合いを有するとしても、該語は、役者絵などを描いた江戸時代の浮世絵師の名前として、我が国において広く知られている「冩樂(写楽)」の語に比べれば、その浸透度は格段に低いといえるから、本件商標に接する需要者、取引者は、観念上も「冩樂」の文字部分に強く印象付けられるというべきである。

そうとすれば、本件商標は、その構成中の「冩樂」の文字部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めることができることから、本件商標の構成全体から生じる「ツタヤシャラク」の称呼のほか、「冩樂」の文字部分より、単に「シャラク」の称呼をも生じ、かつ、「江戸時代の浮世絵師の名前」の観念が生じるものである。

(2)引用商標

引用商標は、前記2(1)のとおり、「写楽」の文字を縦書きしてなるものであるから、これより、「シャラク」の称呼及び「江戸時代の浮世絵師の名前」の観念が生じるものである。

(3)本件商標と引用商標との対比

上記(1)及び(2)によれば、本件商標と引用商標は、「シャラク」の称呼及び「江戸時代の浮世絵師の名前」の観念を同じくするものであり、また、両商標は、外観において異なるところがあるものの、いずれも「冩樂」(写楽)の文字ないしこれを含む構成よりなるものであるから、外観上の差異は、称呼及び観念が需要者に与える印象の強さに比べれば、特段強く印象付けるとはいえないものである。

したがって、本件商標と引用商標は、その称呼及び観念を同じくするものであって、外観も顕著に異なっているとはいえないものであるから、その称呼、観念及び外観によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、互いに相紛れるおそれがある類似の商標というべきものである。

(4)本件商標の指定商品と引用商標に係る指定商品との類否

本件商標の指定商品中の「日本酒」には、引用商標の指定商品である「清酒」が含まれるばかりでなく、本件商標の指定商品中の「清酒」以外の「日本酒」は、引用商標の指定商品「清酒」と製造者、取引系統、販売場所等を同じくする場合が多い商品といえる。

したがって、本件商標の指定商品中の「日本酒」は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品といえるものである。

(5)まとめ

上記のとおり、本件商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのある類似の商標であり、しかも、本件商標の指定商品中、第33類「日本酒」については、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

したがって、本件商標は、その指定商品中、第33類「日本酒」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見

商標権者は、本件商標についてした前記3の取消理由に対し、指定した期間内に何ら意見を述べるところがない。

5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標についてした前記3の取消理由は妥当なものであって、本件商標の登録は、その指定商品中、第33類「日本酒」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものといわざるを得ない。

(2)登録異議申立ての理由について

ア 商標法第4条第1項第10号について

申立人の提出した証拠によれば、申立人が、引用商標を、商品「日本酒」に使用していることは認められるものの、その商品の製造量、販売量、販売額及び広告宣伝の回数・期間等については明らかにされておらず、加えて、提出された証拠は、その出典、発行日が不明なもの、あるいは本件商標の設定登録後に発行されたもの等であることからすれば、引用商標が、本件の登録出願時及び登録査定時において、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されている商標とは認めることができない。

したがって、本件商標と引用商標とが前記3(5)のとおり、類似するものであるとしても、本件商標は、我が国の取引者、需要者に間に広く認識されている商標ということができないから、商標法第4条第1項第10号に該当するということはできない。

イ 商標法第4条第1項第15号について

引用商標は、上記アのとおり、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されている商標とは認めることができないものである。

そうすると、本件商標と引用商標とが前記3(5)のとおり、類似するものであるとしても、本件商標をその指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者が、申立人又は申立人の業務に係る商品を連想、想起するということもできないから、その出所について誤認、混同するおそれがあるということもできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、第33類「日本酒」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。

また、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、その登録を取り消すべき理由はないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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