Trademark Appeal Case
要部抽出と称呼の類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2015−900061(T2015−900061/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5720601号商標(以下「本件商標」という。)は、「消救」の文字を標準文字で表してなり、平成26年6月20日に登録出願、第9類「消火器,消火栓,消火ホース,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,消防艇,消防車,防火被服,防災頭巾」及び第10類「医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。)」を指定商品として、平成26年10月15日に登録査定、同年11月21日に設定登録されたものである。
2 引用商標
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の2件(これらをまとめて、以下「引用商標」という場合がある。)であり、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4661583号商標(以下「引用商標1」という。)は、「消救車」の文字を書してなり、平成14年7月5日に登録出願、第9類「消防車,救急車を兼用する消防車」及び第12類「自動車,消防車を兼用する救急車」を指定商品として、平成15年4月11日に設定登録されたものである。
(2)登録第4997392号商標(以下「引用商標2」という。)は、「消救弾」の文字を標準文字で表してなり、平成17年11月16日に登録出願、第9類「手投げ式着火抑制器,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知器,ガス漏れ警報器,盗難警報器」を指定商品として、同18年10月20日に設定登録されたものである。
3 登録異議の申立ての理由の要点
申立人は、上記2の引用商標を引用して、本件商標は、その指定商品中、第9類「消火器,消火栓,消火ホース,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防車」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである旨主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提出している。
4 本件商標に対する取消理由
当審において、平成27年8月31日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性
(1)本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「消救」の文字からなるところ、構成する「消」及び「救」の漢字それぞれが「きえる。けす。」、「危難や被害から助ける。困っている人に力をそえてすくう。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の意味を有するものであるが、これを一連に表した場合には、既成の語として辞書等に掲載されておらず、一種の造語として認識されるものと認められ、構成文字に相応して「ショーキュー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標1
引用商標1は、上記2(1)のとおり、「消救車」の文字からなるところ、構成中の「消救」の文字が上記(1)のとおり特定の観念を生じないものであるのに対し、「車」の文字は「くるま。自動車・電車などの略。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の意味で各種自動車の略称として一般に親しまれ使用される語である。
そして、引用商標1の指定商品との関係では、「車」の文字部分は、指定商品の略称として広く親しまれているものであるから、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いといわざるを得ないものであり、これに対し、「消救」の文字部分は、特定の意味を有さない造語であることから、それのみで自他商品識別標識としての機能を十分有し、「消救」の文字部分を要部として取引に資される場合もあるというのが相当である。
そうすると、引用商標1からは、構成文字全体よりその文字に相応して「ショーキューシャ」の称呼を生ずるほか、要部と認められる「消救」の文字から「ショーキュー」の称呼も生じるものであり、それぞれ既成の語として辞書等に掲載されていないことから、特定の観念を生じないものである。
(3)引用商標2
引用商標2は、上記2(2)のとおり、「消救弾」の文字からなるところ、構成中の「消救」の文字が上記(1)のとおり特定の観念を生じないものであるのに対し、「弾」の文字は「はじけて飛ぶ、銃砲などのたま。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の意味を有し、引用商標2の指定商品中「手投げ式着火抑制器,消火器」との関係においては、例えば、火災時等に火や壁面に投げて消火する或いは延焼を防ぐ器具を「消火弾」「手投げ消火弾」「投げる消火弾」と称して使用されているものであることから、需要者をして、「弾」の文字部分は、「手投げ式」であるという商品の品質を表示する文字部分として理解され、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いといわざるを得ないものであり、これに対し、「消救」の文字部分は、特定の意味を有さない造語であることから、それのみで自他商品識別標識としての機能を十分有し、「消救」の文字部分を要部として取引に資される場合もあるというのが相当である。
そうすると、引用商標2からは、構成文字全体からその文字に相応して「ショーキューダン」の称呼を生ずるほか、識別標識としての機能を果たす要部と認められる「消救」の文字から「ショーキュー」の称呼をも生じるものであり、それぞれ既成の語として辞書等に掲載されていないことから、特定の観念を生じないものである。
(4)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標とを比較するに、両者は、上記1及び2に示した構成のとおり、外観上区別し得るものであるが、引用商標の構成中、その要部と認められる「消救」の文字と本件商標とは、その構成文字を共通にし、近似したものといえるものである。
次に、本件商標から生じる「ショーキュー」の称呼と、引用商標から生じる「ショーキューシャ」又は「ショーキューダン」の称呼においては、その構成する音及び音数の相違により相紛れるおそれはないものの、引用商標の構成中、要部と認められる「消救」の文字から生ずる「ショーキュー」の称呼において、両者は称呼を共通にするものである。
また、観念においては、いずれも特定の観念を生じないものであるから比較し得ないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較し得ないとしても、称呼において共通し、外観においても近似するものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(5)本件商標と引用商標の指定商品の類否
本件商標と引用商標の指定商品は、それぞれ上記1及び2のとおりであり、本件商標の指定商品中の本件登録異議の申立てに係る指定商品(以下「申立商品」という。)である「消火器,消火栓,消火ホース,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防車」と、引用商標の指定商品とは、同一又は類似の商品である。
(6)まとめ
上記のとおり、本件商標登録は、その指定商品中の申立商品である「消火器,消火栓,消火ホース,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防車」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。
5 商標権者の意見
商標権者は、上記4の取消理由の通知に対し、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。
6 当審の判断
本件商標について通知した上記4の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第9類「消火器,消火栓,消火ホース,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防車」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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