結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成6年審判第13786号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件は、「GRANDPRIX」の欧文字と「グランプリ」の片仮名文字とを二段に左横書きしてなり、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機、レコード、これらの部品および附属品」を指定商品とし、昭和63年10月3日に登録出願され、その後指定商品については、平成2年7月31日付け手続補正書において「運動具(乗馬用具及び乗馬ぐつを除く。)、その部品及び附属品」に縮減補正され、平成5年11月30日に設定登録された登録第2602187号商標(以下「本件商標」という)に関する商標法第46条の規定に基づく商標登録の無効審判請求(以下「本件請求」という)である。
I.請求の理由等
請求人は、本件商標はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、次の趣旨の理由を述べると共に、証拠方法として甲第1号証〜甲第364号証(枝番を含む)を提出している。
1.本件請求の理由
(1)本件商標は、請求人がその出願日(昭和63年10月3日)以前よりスキーブーツおよびスキー板に使用してきた商標であり、日本および本国イタリア、オーストリアのみにとどまらず世界的に請求人の業務に係る商標として需要者に広く知られ、今日に至るものである。かかる点につき、以下に証明する。
甲第3号証〜甲第5号証は、「アストラル グランプリ」なる商標を使用したスキーブーツのカタログの写しであり、これらは1974/75、1975/76および1976/77モデルである。
したがって、甲第3号証〜甲第5号証は請求人が本件商標の出願日前より「グランプリ」なる商標を使用していたことを示すものである。
甲第6号証及び甲第7号証は、それぞれ1992/93モデルおよび1993/94モデルの「GRAND PRIX」スキーブーツのカタログの写しであり、甲第8号証は、雑誌「スキージャーナル」1992年8月号に掲載された請求人の「GRAND PRIX」スキーブーツの広告の写しであり、これら甲第4号証〜甲第8号証より本件商標の登録査定時にも請求人が「GRAND PRIX」なる商標をスキーブーツに使用していたことは明らかである。
ここで、請求人の「GRAND PRIX」商標を付したスキーブーツの使用に言及する甲第9号証〜甲第11号証はそれぞれ雑誌「スキーコンプ」1992年4月号、「スキーイング」1990年1月号および1990年7月に頒布されたパンフレットの写しである。これらより明らかなように、請求人の「グランプリ」スキーブーツは世界的なスキー選手のためのみに生産・販売されてきたものであり、多くのワールドカップレーサーに愛用され今日に至るものである。また、一般スキーヤー向けに永年市販されていなかったため、請求人の「グランプリ」スキーブーツは「幻のブーツ」と呼ばれている。よって、スキー選手の間では極めてよく知られているものである。この「グランプリ」スキーブーツの愛用者の選手の証明書を甲第11号証として添付した。
甲第12号証および甲第19号証は上記で言及した雑誌「スキーコンプ」、「スキージャーナル」の発行元である株式会社スキーコンプ、株式会社スキージャーナルを始めとするスキー専門誌を扱う出版社およびスキー用品を扱う小売店の担当者による証明書である。いずれも証明者は請求人の「GRAND PRIX」商標がスキーブーツについて本件商標の出願日である昭和63年10月3日以前より現在に至るまで日本国内において使用されてきた結果、需要者の間に広く認識されていることを証明している。このように、平成2年まで請求人の「GRAND PRIX」スキーブーツは市販されず、スキー選手に向けてのみきたにもかかわらず、一般の小売業者も請求人のスキーブーツに係る商標「GRAND PRIX」をよく知っており、請求人の「GRAND PRIX」商標が実際に使用しているスキー選手のみならず、一般のスキー用品の取引者の間においても請求人の商品を示す商標として広く認識されていたことは疑う余地がない。
また、請求人の一人であるケスレー・アクチェンゲゼルシャフト(以下「ケスレー」という)は「GRAND PRIX」商標をスキー板に使用してきたものであるが、甲第20号はケスレーの「GRAND PRIX」スキー板が兼松江商株式会社を通じて1971年および1972年に日本に輸入され販売されていたことを示すものである。甲第21号証〜甲第47号証は請求人の一人であるノルディカ・ソシエタ・ペル・アッチオーニ(以下「ノルディカ」という)が「GRAND PRIX」スキーブーツを日本の取引業者へ輸出した際の認証付き取引書類の写しである。これらより、請求人であるノルディカが1974年から1977年にかけて「GRAND PRIX」商標を付したスキーブーツを日本国内に輸出していたことは明らかである。
(2)次に、請求人であるノルディカおよびケスレーがそれぞれ世界的に著名なスキーブーツおよびスキー板のメーカーであることに鑑み、「GRAND PRIX」商標が請求人の業務に係る商品を示す商標として本件商標の出願日(昭和63年10月3日)前より世界的に広く知られていたことを以下に証明する。
甲第48号証〜甲第169号証はノルディカが「GRAND PRIX」スキーブーツを世界各国の取引業者に向けて販売・輸出した際の認証付取引書類の写しである。これらの資料より、ノルディカの業務に係るスキーブーツが本国イタリアはいうまでもなく、オーストリア、スイス、アメリカ合衆国、ドイツ、英国、フランス等の国々に再三「GRAND PRIX」商標の下1974年〜1977年にかけて輸出してきたことは明らかである。
また、甲第170号証〜甲第243号証も、ノルディカがイタリア本国のみならず先に例示した国々の取引業者に向けてその「GRAND PRIX」スキーブーツを販売してきたことを示す取引書類の写しである。
また、甲第244号証はノルディカが1974年から1977年にかけて販売したスキーブーツの販売量を示すものである。
甲第245号証はノルディカの「GRAND PRIX」を含むスキーブーツの価格表の写しである。
さらに、先に例示した1974年〜1977年以降もノルディカが「GRAND PRIX」商標をそのスキーブーツに使用してきたことは甲第246号証〜甲第267号証より明らかである。
つまり、ノルディカの「GRAND PRIX」商標を付したスキーブーツは1974年から1977年にかけて頒布されたパンフレットに掲載されているのみならず、本件商標に対して登録査定がなされた1993年においてもノルディカは、「GRANDPRIX」商標をそのスキーブーツについて積極的に使用している。例えば、雑誌や新聞に宣伝広告を掲載したり、販売促進用のパンフレットやカタログ等を1992年および1993年(平成4年および平成5年)においても多く頒布している。
また、ケスレーも1970年代に「GRAND PRIX」商標を継続的に使用していたことが甲第268号証〜甲第277号証より窺える。さらに、ケスレーは甲第278号証〜甲第280号証が示すように、すでに「GRAND PRIX」についてオーストリア商標登録および国際商標登録(指定国:ドイツ、フランス、リヒテンシュタイン、スイス、ユーゴスラビア、ベネルクス、スペイン、ハンガリー、イタリア、ポルトガル、ルーマニア、チェコスロバキアおよびベトナム)を得ている。
(3)以上のように、「GRAND PRIX」商標は本件商標の出願日前より現在に至るまで請求人の業務に係る商品を示す商標として日本においてのみならず、世界的に広く認識されているものであり、本件商標の登録は商標法第4条第1項第10号に違反してなされたものである。
(4)なお、請求人は平成6年8月5日付で「スキーブーツ」及び「スキー」を指定商品としてそれぞれ第25類及び第28類において「GRAND PRIX」商標の商標登録出願をしており(甲第281号証及び甲第282号証)、請求人が本件請求につき利害関係を有することは明らかである。
2.弁駁
商品に使用される商標は、その使用される商品との関係を抜きにしては語れないところであるから、商標の周知性の認定にあたってもその商標の使用される商品の特殊性が考慮されるべきであろうことは言うまでもない。請求人の使用する「GRAND PRIX」「グランプリ」の商品はスキーブーツおよびスキー板等のスポーツ用品であるから、スポーツ用品市場における周知性の獲得の特殊性に注目する必要がある。
スポーツ用品市場においては、商標の周知性とその周知商標が付された商品の販売量が必ずしも比例するものではないという特殊事情がある。この点、一般大衆が日常生活において使用する安価な消耗品が周知性を獲得するためには幅広い年齢層に相当量の販売量があることを重要な要素とするのと異なるものである。すなわち、スポーツ用品市場においては、有名スポーツ選手が使用する商品に付された商標は、その商品自体が極めて特殊な利用者による使用のみであっても、いいかえれば普及品ほどの需要がない場合であっても、一般スポーツ愛好家にとって憧れの的である有名選手が使用する商品の商標として有名になる傾向がある。この辺の一般需要者の心理を描写したものとして、甲第310号証を提出する。
甲第310号証の宣言者は、「グランプリ」の商標をワールドカップやオリンピックに出場するような有名な選手が使用している商品に付された商標であることを通じて、「グランプリ」の商標に化体された信頼性・周知性を認識するに至っているのである。これは、一宣言者の心理を描いたものであるが、一宣言者の心理にとどまらず、一般のスポーツ愛好家に共通する心理であり、スポーツ用品に使用される商標の周知性の獲得の典型的な例を示すものであると確信する。
また、有名スポーツ選手同士がその使用する商品についてのメリット・デメリットを対談した記事を通じても、一般スポーツ愛好家が有名スポーツ選手の使用する商品の商標を知り、その信頼性と周知性を認識する場合も少なくない。そのような対談記事の典型的な例として、甲第311号証を提出する。甲第311号証中にある「やっぱり中学のころグランプリを履いていて、ブーツに悩んで行き詰まっちゃったとき、基本を思い出したくてグランプリに代えたんだ。」のような有名選手の告白談を通じて、一般スポーツ愛好家が「グランプリ」の信頼性と周知性を認識するに至るものである。
以上の具体例に見られるように、スポーツ用品市場、特にスキー用品市場において、有名スキー選手がどのような商品を使用するかが需要者たる一般スキー愛好家に与える影響がいかに大きいかが窺える。すなわち、有名スキー選手によるその商品の使用は、その商品に付された商標の宣伝広告的機能を高め、ひいてはその商標の周知性獲得に多大な貢献をなすものである。さらに、スキー用品市場の特殊性として、外国人有名スキー選手による使用が需要者たる一般スキー愛好家に与える影響が極めて大きい。ワールドカップや冬期オリンピック大会で優勝や入賞をする選手の使用する商品およびその商品に付された商標は、それらの選手の活躍とともに全世界的にテレビで放映され、全世界的な周知性を獲得するものであり、したがって、ワールドカップや冬期オリンピック等で優勝する選手が使用する商品は、その商品がその選手にのみ使用されており他にほとんど用量がない場合であっても、優勝を報道するテレビ放送、新聞、雑誌等を通じて全世界的な周知性を獲得するものである。
そこで、請求人は、上述のような有名スキー選手の使用による等の手段により、請求人の商標「GRAND PRIX」「グランプリ」が周知性を獲得したことを示す証拠として、ワールドカップや冬期オリンピック大会で優勝もしくは入賞し、請求人の商標を付した商品を使用している外国人有名選手のプロフィールを掲載した雑誌の抜粋の写し(甲第312号証)及び、請求人のイタリアにおける代理人が作成した外国人有名選手の英文によるプロフィール(甲第313号証)を提出する。
さらに、それらの外国人有名スキー選手自らが、請求人の商標「GRAND PRIX」が被請求人の本件商標に係る商標登録の出願日前から周知である旨の証明をした書面及び訳文を提出する(甲第314号証〜甲第363号証)。なお、これらの証明書はその文面及び内容をほぼ同一にしているが、言語を異にする各国選手が証明することとなる事情を考慮し、単に便宜上英文の内容を統一したためであり、文面及び内容の同一性の故に、証明力が減ずるわけではない。
II.答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、次の趣旨の答弁をすると共に証拠方法として乙第1号証を提出している。
1.答弁の理由
(1)請求人は、審判請求書において、「請求人は平成6年8月5日付けで第25類及び第28類において「GRAND PRIX」商標の商標登録出願をしており(甲第281号証及び甲第282号証)、請求人が本件請求につき利害関係を有することは明らかである、と述べているが、この甲第281号証及び甲第282号証の添付がなされていない以上、指定商品、出願年月日、出願人名等が不明確であるから、信憑性に欠けるものである。
また、「GRAND PRIX」商標の出願が事実としても、現実に本件商標を引用して拒絶理由通知を受けていない状況であるから、利害関係が成立しているとは認められない。
(2)次に、本件商標の「GRAND PRIX」「グランプリ」が、その出願日以前からスキーブーツおよびスキー板につき請求人の業務に係る商標として周知性を確立していたとは断じて認められない。何となれば、請求人が証拠として提出した各書類を見ても、スキーブーツおよびスキー板の製造販売をしていることは判明できるが、「GRAND PRIX」「グランプリ」が日本国に於いて周知であるとの立証は何らなされていない。
例えば、スキーブーツにつき1974/75、1975/76、1976/77モデルおよび1992/93モデルのカタログの写しが添付されているに過ぎず、この間の1978〜1991年についての使用は全く見られない。
雑誌やパンフレット等に「GRAND PRIX」「グランプリ」を付したスキーブーツが掲載されたとしても、単にその名称が使用されたというだけで、継続使用に基づく周知性についての立証ではない。
(3)本件商標の出願日は昭和63年10月3日で、請求人提出のカタログやパンフレットおよび1974/75、1975/76、1976/77モデル等の使用からして、本件商標の出願日以前から「GRAND PRIX」「グランプリ」を使用したことは判明できるが、これが日本において周知性を確立したとの立証には未だ不十分である。何となれば、周知性を立証するには同業者や需要者及び商工会議所、取引先等の証明が必要要件であるが、公的機関の証明はなされておらず、被請求人も請求人が主張する「GRAND PRIX」「グランプリ」の周知性については不知として否定する。
請求人は、甲第283号証〜甲第309号証を以て、「GRANDPRIX」商標の周知性についての証明書およびその証明者のプロフィールを示す書類を提出しているが、これらは極めて特殊な利用者であり、一般の需要者や取引者ではない。
また、証明書の文面も同一の内容であって、単に請求人の依頼により押印したに過ぎないと推察されるから、証明力に乏しいといわざるを得ない。
(4)さらに、請求人は、甲第21号証〜甲第243号証を以て、海外における取引書類の写しを提出しているが、日本における周知性の立証とは何らの関係もない。
また、これらは、単に海外で取引があったというに過ぎず、日本国内は勿論のこと、海外の周知性については、何らの立証もないのである。
請求人は、多数の書類を添付して「GRAND PRIX」「グランプリ」がスキーブーツおよびスキー板の商標として周知であることを強調しているが、これらの書類を見ても、該商標が周知性を確立したものと認めることは全くできない。
(5)最後に、本件商標が新聞、雑誌などに宣伝広告されるとしても、これは当然被請求人名でなされるかぎり、被請求人が本件商標を使用した場合、需要者、取引者の間において間違いを生ずる余地は皆無と断言できる。
しかも、「GRANDPRIX」というのは「グランプリ、大賞」を意味する平易な英語であることからして、被請求人が指定商品に本件商標を使用した場合、これに接する需要者、取引者がこれより直ちに請求人の周知商標であるという観念の直感連想作用が生ずるとは考えられない。
いずれにせよ、請求人提出に係る各書類を見ても、本件商標の出願日以前に「GRANDPRIX」「グランプリ」の使用があったということを示すに止まり、周知性の立証を認めることはできないから、被請求人がこれを指定商品に使用した場合、何ら問題はない。
(6)以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第10号に違反したものではないから、商標法第46条第1項の規定には該当せず、その登録は無効にされるべきものではない。
III.判断
1.利害関係について争いがあるので、職権をもって調査するに、「GRAND PRIX」の文字を書してなり、第25類「スキーブーツ、その他の運動特殊靴、運動用特殊衣服」および第28類「スキー、その他の運動具、遊戯用器具、囲碁用具、将棋用具、さいころ、すごろく、ダイスカップ、ダイヤモンドゲーム、チェス用具、チェッカー用具、手品用具、ドミノ用具、マージャン用具、ビリヤード用具、おもちゃ、人形、釣り具」を指定商品とし、平成6年8月5日に商標登録出願された請求人に係る平成6年商標登録願第79999号および同第80000号について、前者は平成8年2月6日付けをもって、本件商標を引用された拒絶理由通知が発せられていることを確認し得た。
したがって、請求人は、本件請求に関し利害関係を有するものと認められる。
2.本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するか否かについて判断するに、
甲第3号証〜甲第5号証によれば、それらに表示されているのは、「ASTRAL GRAND PRIX」、「アストラル グランプリ」であって、「GRAND PRIX」又は「グランプリ」のみの表示がないばかりでなく、それらの表示中の「GRAND PRIX」は、商標「ASTRAL」又は「アストラル」の等級、品質表示的なものと認識されがちな表示であるので、それらをもって、「GRAND PRIX」が商標として使用され、周知であったとは認め難い。
甲第6号証〜甲第11号証によれば、請求人が「GRAND PRIX」又は「グランプリ」なる文字をスキーブーツに使用していることは窺えるとしても、その使用は本件商標の出願日後のものである。
請求人は、甲第12号証〜甲第19号証および甲第292号証〜甲第309号証により、商標「GRAND PRIX」がスキーブーツについて本件商標の出願日である昭和63年10月3日以前より現在に至るまで日本国内において使用されてきた結果、需要者の間に広く認識されていると主張しているが、それらは、スキー雑誌の発行社およびプロスキー競技関係者等のごく限られた一部関係者によるものであって、かつ、「・・・広く認識されていることををご証明下さい。」との依頼に答える形式で証明されているものであるから、客観性、信憑性に乏しく、本件商標が需要者の間に広く知られていたとする証拠としては採用し難い。
甲第21号証〜甲第243号証(取引書類の写し)、甲第245号証および甲第247号証〜甲第252号証(イタリア語のカタログ及びパンフレット)を見るに、それらに表示されている文字は、「G.PRlX・・・」又は「・・・GRAND PRIX」等の使用であって、「GRAND PRIX」のみの表示がないばかりでなく、これらの表示中の「GRAND PRIX」は、ある商標の等級、品質表示的なものと認識されがちな表示であるので、これらをもって文字「GRAND PRIX」が商標として使用され、周知であったとは認め難い。
甲第253号証〜甲第280号証(イタリア語のパンフレット、新聞)によれば、請求人が「GRAND PRIX」の文字をスキーブーツに表示していたことは窺えるが、これらは、いずれもイタリア語によるものであって、その掲載頻度および期間、頒布数量、頒布期間、頒布地域(特に日本国内におけるそれら)等を客観的に把握できるものではないから、これらをもって商標「GRAND PRIX」の日本国内外における周知性を認めることはできない。
甲第312号証〜甲第364号証は、有名なプロスキー選手が本件商標の出願日前における商標「GRAND PRIX」の周知性を証明するものとして提出されているが、これらは甲第12号証〜甲第19号証、甲第292号証〜甲第309号証と同様に依頼に答える形式の証明であるばかりでなく、有名なプロスキー選手を対象とするごく限られたものであるから、これらの証拠をもって、商標「GRAND PRIX」が周知であったとするには、その客観性、信憑性に乏しいものといわざるを得ない。
その他の書証を総合勘案しても、「GRAND PRIX」又は「グランプリ」の文字は、請求人が主張する如く、本件商標の出願時には既に請求人の製造販売に係る「スキーブーツ、スキー板」を指称するものとして、日本国内外において周知著名であったと認めることはできない。
してみれば、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示する商標と同一または類似するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められない。
したがって、本件商標が、商標法第4条第1項第10号に該当するとの請求人の主張には理由がないので、商標法第46条の規定に基づいて、本件商標の商標登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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