Trademark Appeal Case
結合商標の要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2015−900241(T2015−900241/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5757518号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成26年10月15日に登録出願,第20類「枕,装飾用枕,クッション,家具,鏡,額縁,衣服用ハンガー,引き出し用仕切り」,第21類「台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く。),家庭用紙タオル用ディスペンサー,せっけん及びローション用ディスペンサー・せっけん入れ,陶磁器製ティッシュボックス用カバー,歯ブラシホルダー,ちりかご」,第24類「敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,布製身の回り品,食卓用リネン製品(紙製を除く。),シャワーカーテン,ふきん,テーブル掛け」及び第25類「被服,ベルト」を指定商品として,同27年3月30日に登録査定され,同年4月10日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,その指定商品中,第20類の全指定商品,第21類「台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く。),家庭用紙タオル用ディスペンサー,せっけん及びローション用ディスペンサー・せっけん入れ,歯ブラシホルダー,ちりかご」,第24類及び第25類の全指定商品について,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号によりその登録が取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人が引用する商標
申立人が引用する商標は,次のとおりであり,いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。以下,これらをまとめて「引用商標」という。
(1)登録第4711266号商標
商標の態様 「ARTISAN」
出願日 平成14年9月18日
設定登録日 平成15年9月19日
指定商品 第9類,第14類,第20類,第21類,第25類,第26類,第28類及び第34類に属する商標登録原簿に記載の商品(別掲2)
(2)登録第4987909号商標
商標の態様 「ARTISAN」
出願日 平成18年3月13日
設定登録日 平成18年9月15日
指定商品 第24類に属する商標登録原簿に記載の商品(別掲3)
(3)登録第5270647号商標
商標の態様 「ARTISAN」
出願日 平成20年10月29日
設定登録日 平成21年10月2日
指定商品及び指定役務 第14類,第26類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務(別掲4)
(4)登録第5031591号商標
商標の態様 「ARTISAN」
出願日 平成18年3月13日(原願2006−22185)
設定登録日 平成19年3月9日
指定商品 第24類に属する商標登録原簿に記載の商品(別掲5)
(5)登録第5136934号商標
商標の態様 「ARTISAN」
出願日 平成19年4月1日
設定登録日 平成20年6月6日
指定役務 第35類に属する商標登録原簿に記載の役務(別掲6)
2 具体的な理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標の登録異議の申立てに係る指定商品と引用商標の指定商品(役務)の一部は,同一又は類似であって互いに抵触すること明らかである。そこで,以下においては専ら本件商標と引用商標が類似する事実について詳述する。
ア 本件商標について
(ア)図形部分と欧文字部分の分離観察について
本件商標は,上部に複数の斜線を組み合わせてなるシンプルな図形を表示し,その下方に「ARTISAN DE LUXE」の欧文字を横書きしてなる商標である。本件商標中の「ARTISAN」の語は「職人,職工,技工」といった意味を有し,また「DE LUXE」の語は「豪華な,贅沢な,デラックスな,特等の」といった意味を有している(甲7)。
そして,図形部分と「ARTISAN DE LUXE」の欧文字部分に観念上の一体性は見出せず,また,それらは少し距離をおいて描かれているため,視覚上明瞭に区別され,これらを必ず一体的に観察しなければならない特別な理由も見当たらない。
したがって,本件商標は,下部の「ARTISAN DE LUXE」の文字部分のみが分離して観察され得るものと解される。
(イ)欧文字部分の要部について
本件商標中の「ARTISAN DE LUXE」の文字部分について検討すると,「職人」等の意味を有する「ARTISAN」の語が十分に識別力を有するのに対して,「豪華な,贅沢な」といった意味を有する「DE LUXE」の語は,その語義からして商品の品質や等級を誇称的に表現するフレーズであることが明らかであって,我が国で広く親しまれている言葉(甲8,甲9)であるので,一般的な消費者であれば,本件商標中の「DE LUXE」の文字部分が「豪華な」といった意味を有しており商品の品質や等級を表していると自然に認識するものと思われる。
また,「DE LUXE」の語は,我が国の商取引において,自他商品の識別標識ではなく商品の品質や等級を表現するフレーズとして実際に多用されている事実がある(甲10)。
加えて,本件商標中の「ARTISAN DE LUXE」の文字部分は,「DE」の文字が他の文字よりも小さく表記されているため外観上の一体性は強くなく,また「職人」等の意味を有する「ARTISAN」の語と,「豪華な」等の意味を有する「DE LUXE」の語の間には,特定の熟語的な意味合いを直ちに想起させるほど強固な結合関係を見出すことはできず,さらに,「ARTISAN DE LUXE」の文字部分を常に一連一体に称呼しなければならない理由も何ら見当たらない。
したがって,本件商標中の「DE LUXE」の文字部分は,商品の品質や等級を表す語として認識されるため自他商品識別力が乏しく,商標の類否判断においては十分な識別力を有する「ARTISAN」の文字部分が要部として観察されると考えるのが自然である。
なお,本件商標中の「DE」の語の「E」の文字には下線が引かれているが,かかる1本の下線により「DE LUXE」の文字の認識が妨げられ,或いは商標の類否判断に大きな影響を与えるほど顕著に図案化されたと解することは困難であり,殊更問題にするほどではない。
(ウ)特許庁における審査事例について
本件商標中の「DE LUXE」の文字部分の識別力が乏しく,「ARTISAN」の文字部分が要部であるという申立人の主張を裏付ける事実として,7件の商標の登録が拒絶された事例がある(甲11)。
そして,7件の商標登録が拒絶された事実に照らせば,本件商標中の「DE LUXE」の文字部分の識別力が乏しいことは明らかである。
特に,商願平08−018905は,第25類「洋服,帽子,ベルト」等を指定商品とするものであり,商願2003−027713は,「DELUXE」の文字が特徴的なロゴで表されたものであるから,本件商標についても,「DE LUXE」の文字部分の識別力が乏しいと判断されるべきである。
(エ)裁判例
さらに,本件商標中の「DE LUXE」の文字部分の識別力が乏しいという申立人の主張を裏付ける事実として,商標「ルミスーパー」と商標「Lumideluxe」の類否が争われた事案がある。
この裁判例では,前者の商標中「スーパー」及び後者の商標中「deluxe」の各部分はその指定商品の品質を表示したものとして容易に認識され,・・・その余の「ルミ」及び「Lumi」の各部分が,それぞれ自他商品の識別標識としての機能を果たし,・・・両商標は「ルミ」の称呼を同じくする点において類似の商標というべきである旨判示している(甲12)。
かかる判決に鑑みれば,本件商標中の「DE LUXE」の文字部分も商標の類否判断において省略され,「ARTISAN」の文字部分が要部として認識されることが明らかである。
イ 本件商標と引用商標の類否について
(ア)外観の類否の検討
本件商標は,先述のとおり「ARTISAN」の文字部分が要部として認識されるものであり,引用商標は,「ARTISAN」の欧文字を書してなるものであるから,本件商標と引用商標は,「ARTISAN」の文字部分の外観が類似しており,外観において一定の類似性が認められる。
(イ)称呼の類否の検討
本件商標は,その要部である「ARTISAN」の文字部分から,「アルチザン」や「アーティザン」といった称呼を生ずるものと考えられ,他方,「ARTISAN」の文字からなる引用商標も,「アルチザン」や「アーティザン」といった称呼を自然に生じる。
したがって,本件商標と引用商標は,「アルチザン」(アーティザン)の称呼を共通にするため,称呼において類似する商標であると考える。
(ウ)観念の類否の検討
本件商標は,その要部である「ARTISAN」の語から「職人」といった観念を生ずるものと考えられる。
他方,引用商標も「ARTISAN」の語に相応する「職人」の観念を自然に生ずると解される。
したがって,本件商標と引用商標は,「職人」の観念を共通にするため,観念上も類似する商標であると考える。
(エ)商標の類否に関する結論
以上より,本件商標と引用商標は,外観において一定の類似性が認められ,また称呼及び観念を共通にする類似商標である。
ウ 商標法第4条第1項第11号に関する結論
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人及び引用商標について
申立人は,日本人のファッションのみならずライフスタイル全般を提案するという理念のもと,被服,かばん,靴等のアパレル製品を中心に,飲食料品や生活用品・雑貨についても幅広く取り扱う大手アパレル企業であり,我が国のアパレル業界において常に売上高や利益額ランキングの上位に位置するため,「アパレル企業の首位に迫るSPA企業」「ファイブフォックスはメーカー系,リテーラー系を問わずわが国で最も成功したSPA(製造小売業)企業」などと評される企業である(甲13)。
そして,引用商標「ARTISAN」は,申立人の全てのブランドの中で最も高級,高価格の商品を取り扱うブランドの名称であり,「日本の伝統美の追求と西洋との調和」というテーマの下で,申立人が1978年の設立以来「コムサデモード」等のブランドを展開する中で培ってきた様々な服づくりの「職人技」を発揮した商品に使用されることから「ARTISAN」と名付けられた経緯がある(甲14)。
イ 「ARTISAN」ブランドの商標登録の状況について
引用商標「ARTISAN」は,申立人の最高級の商品に使用されるブランドネームであるので,申立人にとって極めて重要な商標であり,国内72件,海外73件の「ARTISAN」ブランドの商標を出願・登録している(甲15,甲16)。
さらに,申立人は自社の商品と他者商品の出所混同の防止等の見地から,引用商標と相紛らわしいと思われる他者商標について買い取り交渉を試み,実際に他者から有償で譲り受けている(甲17)。なお,かかる商標権の譲渡対価として申立人は数百万円を支払っており,国内外における計145件の「ARTISAN」ブランドの商標登録(出願)費用と合計すると,商標権の取得に要した費用は数千万円になる。
ウ 引用商標の周知著名性について
(ア)引用商標の使用状況について
申立人は,2003年3月1日に,引用商標「ARTISAN」を店舗名として使用した小売店の第1号店を小田急百貨店(新宿店)にオープンし,その前年の12月に同店の開店に関するダイレクトメール広告を顧客に郵送した。その後,申立人は現在に至るまで引用商標を被服,履物,バッグ,身飾品等のアパレル製品のほか,クッション,湯のみ,わん(食器),玩具等の生活雑貨に使用するとともに,かかる商品を販売する小売店の名称(小売等役務の商標)としても継続的に使用している。
また,申立人は,引用商標のサブブランドとして,「ARTISAN COMMECA」「ARTISAN\1by1」等,多数の「ARTISAN」シリーズ商標を使用してきた(甲18,一部のみ。)。
(イ)引用商標の使用地域と店舗数について
「ARTISAN」ブランドの商品を取り扱う店舗は,北海道から九州まで,女性向け店舗が41店舗,男性向け店舗が30店舗の計71店舗であり,それらは東京銀座の1店舗を除きデパートの中の店舗(インショップ)である。また,それらのほか,引用商標「ARTISAN」を店舗名として使用した路面店が,東京の銀座に3店舗,原宿に1店舗あり,「ARTISAN」ブランドの商品を取り扱う店舗は日本全国に計75店舗ある(甲19)。
(ウ)引用商標を使用した商品の売上高と販売数量について
申立人は,平成17年度から「ARTISAN」ブランドの売上高の集計を開始し,また,平成20年度から「ARTISAN」ブランドの販売数量の集計を始めた。集計可能な販売実績は次のとおりである。なお,申立人の決算期は8月であるので,例えば平成17年度(事業年度)は,2004年(平成16年)9月から2005年(平成17年)8月までとなる。
売上額(約) 販売数量(約)
・平成17年度 21億円 (集計せず)
・平成18年度 24億円 (集計せず)
・平成19年度 28億円 (集計せず)
・平成20年度 30億円 13万点
・平成21年度 29億円 13万点
・平成22年度 30億円 16万点
・平成23年度 30億円 14万点
・平成24年度 27億円 13万点
・平成25年度 28億円 13万点
・平成26年度 31億円 12万点
上記のとおり平成17年度に約20億円であった売上高は,近年の日本経済の停滞やアパレル業界の競争の激化といった厳しい環境下においても徐々に伸びており,平成26年度には約31億円に達している。
(エ)引用商標の浸透のための工夫について
申立人は,我が国において既に周知著名商標として認定されている商標「コムサ」を有している(甲20)ため,かかる「コムサ」(COMME CA)と引用商標「ARTISAN」を組み合わせた「ARTISAN COMMECA」という商標を使用することで(甲18の5等),引用商標の周知化を図っている。また,「コムサ」ブランドと「ARTISAN」ブランドの商品を同一の店舗で取り扱う(甲19)ことにより,引用商標の周知化を図っている。
さらに,申立人は,近年,他者の有名なキャラクターや漫画作品(ミッキーマウス,テディベア,クレヨンしんちゃん)等とのコラボレーション商品を積極的に販売(甲18の4,甲21)する等,高級,高品質な「ARTISAN」ブランドの商品を幅広い需要者層に浸透させるべく努めている。
(オ)引用商標の周知著名性に関する結論
以上の,申立人の「ARTISAN」ブランドの周知化及び信用向上のための努力,引用商標が日本全国において長期にわたり継続使用されている事実,「ARTISAN」ブランドの商品の販売実績等をあわせて考慮すれば,引用商標は申立人の商標として広く一般に知られているということができる。
エ 申立人の経営の多角化について
申立人は衣食住にわたる多種多様な商品を販売している(甲22,甲23)。
また,申立人は,音楽ライブ・コンサートショーの企画・運営・開催(甲24),アニメーション作りの体験イベントや手芸に関するワークショップの開催(甲25)等,消費者のライフスタイルを提案するための各種サービスを積極的に提供している。加えて,申立人の100%子会社である株式会社コムサが「CAFE COMME CA」等の商標を使用して喫茶店及びカフェテリアサービスを提供し,ケーキや紅茶を販売する等,経営の多角化も顕著である(甲26)。
このように,申立人は,衣食住にわたる多種多様な商品を販売し,経営を多角化しているため,引用商標である「ARTISAN」ブランドのもとで現在販売していない商品についても取り扱う可能性が十分にある。そのため,上述のとおり「ARTISAN」ブランドの商標を多数の区分において多様な商品・役務を指定して登録している。
オ 商標法第4条第1項第15号に関する結論
以上のとおり,引用商標は,申立人の商標として広く一般に知られており,また,サブブランドの展開や申立人の経営の多角化も顕著であるので,本件商標がその指定商品に使用された場合,申立人の「ARTISAN」ブランドのデラックスタイプの商品であるかのような誤解,すなわち出所混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
第3 当審の判断
1 商標「ARTISAN」の周知性について
(1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,次の事実を認めることができる。
ア 申立人は,2003年(平成15年)3月に,被服等を販売する「ARTISAN」という名称の店舗(以下「申立人店舗」という。)を小田急百貨店(新宿店)にオープンし,その前年の12月に同店舗の開店に関するダイレクトメール(広告)を顧客に送付したことが推認できる(甲18)。
イ その後,申立人は,2003年(平成15年)から現在まで,申立人店舗及び被服等の商品に係るダイレクトメールを東京の店舗の顧客に対し,毎年数回送付していたことが推認でき,当該ダイレクトメールには「ARTISAN」の標章が表示されていた。また,回数は極めて少ないが,大阪,札幌の顧客にダイレクトメールを送付したことも推認できる(甲18)。
ウ 申立人店舗では,被服,履物,バッグなどの他,食器,かんざし等を販売しており,店頭及び店内には「ARTISAN」の標章が掲示されている(甲18)。
エ 平成20年ないし平成27年の間,申立人店舗及び被服等申立人の取り扱う商品に係る広告が,年に数回雑誌や新聞に掲載された(甲18)。
(2)上記(1)の事実によれば,商標「ARTISAN」は,申立人が被服等を取り扱う店舗の名称として,また被服等の商品について平成14年頃から使用されていることが認められる。
しかしながら,送付しているダイレクトメールは,その送付先の多くが東京の店舗の顧客に限られていると推認できること,雑誌等の掲載回数が多くはないこと,及び「ARTISAN」ブランドの売上げ等を裏付ける証左がないことなどから,商標「ARTISAN」は,申立人の業務に係る商品又は店舗名を表示するものとして,被服等の需要者の間で一定程度知られているものと認められるものの,申立人の業務に係る商品等を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められないと判断するのが相当である。
なお,引用商標と商標「ARTISAN」は同一構成からなるものといえるから,引用商標も申立人の業務に係る商品等を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は,別掲のとおり,複数の斜線を組み合わせてなる図形と「ARTISAN DE LUXE」の文字(「DE」の文字は,他の文字より小さく表され「E」の文字には下線が付されている。以下同じ。)からなるところ,その構成部分が離れた態様からすれば,図形部分及び「ARTISAN DE LUXE」の文字部分は,それぞれ独立して,自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。
そして,申立人提出の証拠によれば(甲7〜甲9等),「ARTISAN」の文字は,「職人」などの意味を有していること,及び「DELUXE」及び「デラックス」の文字は,「豪華な」など意味を有し,商品の品質等を表す語として自他商品の識別機能がないか,弱いものであることを認めることができる。
そこで,本件商標の構成中「ARTISAN DE LUXE」の文字部分についてみると,たとえ,「ARTISAN」の文字が「職人,職工,技工」の意味を有し,また,「DELUXE」の文字が「奢侈な,贅沢な,デラックスな」の意味を有している(甲7)としても,該文字部分「ARTISAN DE LUXE」は,中央の「DE」の文字の左右にスペースがあること,及び該「DE」の文字が小さく表されていることから,看者をして「ARTISAN」と「DELUXE(DE LUXE)」の2語を結合してなるものと認識されることなく,「ARTISAN」「DE」「LUXE」の3語を結合してなるものと認識されるとみるのが自然である。
そうすれば,該文字部分「ARTISAN DE LUXE」は,その構成中「DE LUXE」の文字部分を商品の品質等を表示したものと認識されることなく,その構成文字全体が一体不可分のものと認識されるものと判断するのが相当であり,また,その構成文字全体及び「ARTISAN」「DE」「LUXE」の各語は,いずれも我が国で親しまれた語とはいえないから,特定の観念を生じさせないものと判断するが相当である。
さらに,本件商標は,その構成中「ARTISAN」の文字部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情は見いだせない。
してみれば,本件商標の構成中「ARTISAN DE LUXE」の文字部分は,その構成文字全体が一体不可分のものであって,その構成文字に相応して,「アルチザンデラックス」の称呼を生じ,また,特定の観念を生じないものである。
なお,申立人は,本件商標はその構成中「ARTISAN」の文字部分が要部である,旨主張しているが,上記のとおり本件商標は「ARTISAN」「DE」「LUXE」の3語を結合してなるものと認識されるものであって,上記1のとおり商標「ARTISAN」が申立人の業務に係る商品等を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり,さらに,他に「ARTISAN」の文字部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情は見いだせないから,申立人の主張は,採用できない。
(2)他方,引用商標は,上記「第2」のとおり,「ARTISAN」の文字からなるところ,その構成文字に相応して,「アルチザン」の称呼を生じるものである。
そして,該「ARTISAN」の文字は,「職人」等の意味を有するものの,我が国において親しまれた語とはいえないから,引用商標は,特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
(3)そこで,本件商標と引用商標を比較すると,外観においては,両者は,図形の有無などその構成において相違するものであり,また,本件商標の構成中「ARTISAN DE LUXE」の文字部分と引用商標の比較においても,「DE LUXE」の文字の有無に明らかな差異を有し,外観上,十分に区別できるものである。
称呼においては,本件商標から生じる「アルチザンデラックス」の称呼と引用商標から生じる「アルチザン」の称呼とは,「デラックス」の音の差異を有するものであるから,両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは,両商標は,称呼上,明らかに聴別できるものである。
さらに,観念においては,本願商標と引用商標は,特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することができないものである。
そうすれば,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないとしても,外観において十分に区別できるものであり,また,称呼においても相紛れるおそれがないものであるから,両者の外観,称呼及び観念等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
その他,本件商標と引用商標とが類似するとすべき理由は見出せない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号について
上記1のとおり,商標「ARTISAN」(及び引用商標。以下同じ。)は,申立人の業務に係る商品等を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認められないものであり,また,上記2と同様の理由により,本件商標と商標「ARTISAN」は,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。
そうすると,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして商標「ARTISAN」を連想,想起させることはなく,その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
よって,結論のとおり決定する。
以上のとおり,本件商標は,その指定商品中,本件申立てに係る指定商品について,商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
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