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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2015−900268(T2015−900268/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5769190号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5769190号商標(以下「本件商標」という。)は,「Bianco caro」の欧文字と「ビアンコカーロ」の片仮名を二段に書してなり,平成27年1月19日に登録出願,第44類「理容,美容,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与」を指定役務として,同年5月12日に登録査定され,同年6月5日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標はその指定役務中,第44類「理容,美容」について,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第33号証を提出した。

(1)申立人が引用する商標

申立人が引用する登録第5644880号商標(以下「引用商標」という。)は,「BIANCO」の文字を書してなり,平成25年2月22日に登録出願,第44類「美容,理容,入浴施設の提供,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,介護,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与」を指定役務として,同26年1月24日に設定登録されたものであり,その商標権は現に有効に存続しているものである。

(2)具体的理由

ア 商標法第4条第1項第11号について

(ア)本件商標と引用商標の類否

a 本件商標は,「Bianco caro」及び「ビアンコカーロ」の文字からなるところ,その構成中「Bianco caro」の文字は中間に1文字のスペースを有することから,「Bianco」の文字と「caro」の文字は,視覚上分離して把握される場合があるとみるのが自然である。

そして,「caro」又は「カーロ」の文字は,指定役務「美容,理容」の業界において,指定役務を提供する店名として多数の事業者に使用されている実情がある(甲3〜甲24)ことから,看者に強く支配的な印象を与えるものとはいえず,自他役務識別力を有しないか又は極めて弱いものである。

これに対し,「Bianco」の文字は,特定の意味を有する語として一般に慣れ親しまれたものではなく,自他役務識別力が極めて高いものとみるのが相当である。

そうとすると,「Bianco」の文字と「caro」の文字とでは,自他役務識別力に軽重の差が明らかであること,両語に意味的な結び付きもないことから本件商標を指定役務に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,高い自他役務識別力を有する「Bianco」の文字部分に着目し,当該文字部分をもって取引に当たることも決して少なくないというべきである。

したがって,本件商標は,その構成文字全体から生ずる「ビアンコカーロ」の称呼のほか,「Bianco」の文字部分に照応して「ビアンコ」の称呼をも生じ,かつ,「白い。白色。また,白ワイン。」の観念(甲25)を生ずるものである。

b 他方,引用商標は,「BIANCO」の文字からなり,該文字に照応して「ビアンコ」の称呼を生じ,「白い。白色。また,白ワイン。」の観念を生ずるものということができる。

c したがって,本件商標と引用商標は,称呼及び観念が共通しているので,混同を生ずるおそれのある類似の商標である。

(イ)本件商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否

本件商標の指定役務は「美容,理容」であり,引用商標の指定役務は「美容,理容」であるので,両者は,同一又は類似の役務について使用するものである。

(ウ)小括

以上のとおり,本件商標は,引用商標に類似する商標であって,その役務と同一又は類似の役務について使用するものであるので,商標法第4条第1項第11号に該当する。

イ 商標法第4条第1項第15号について

(ア)申立人の事業

申立人は,2009年10月に東京都渋谷区に店舗「BIANCO」を設立し,設立から現在までの6年間,東京都を中心とした首都圏の顧客を対象として美容事業を営んでいる(甲26)。

(イ)商標採択の商慣行

指定役務「美容,理容」の業界においては,多店舗展開を行う商慣行があること,及びサブブランド方式を採用し各店舗の店名を表す場合に,マスターブランド名に個別ブランド名を付加して表示する商慣行があること(甲27〜甲31)から,本件商標「Bianco caro」を店舗の名称として表示した場合,これに接する取引者,需要者は,「caro」の文字が指定役務を提供する店名として多数の事業者に使用されている実情と相まって,引用商標「BIANCO」の一店舗であると誤認されるおそれがある。

(ウ)本件商標と引用商標の類似性の程度

上記アのとおり,本件商標と引用商標は,称呼及び観念を共通にする類似性の高い商標である。

(エ)役務間の関連性及び需要者の共通性

本件商標と引用商標は,それぞれ美容又は理容という同一又は類似の役務について使用されるものであるから,当然にその需要者の範囲は一致する。

(オ)需要者において普通に払われる注意力その他取引の実情

本件商標の指定役務は,日常的に消費される役務であり,その購入者には必ずしも商標について詳細な知識を持たない者も多数含まれる。このような役務については,役務の購入に際し,消費者が事業者名などについて常に注意深く確認するとは限らず,店頭などで短時間のうちに購入役務を決定するということも少なくないことからすれば,需要者が役務購入時に払う注意力は高いものではなく,商標構成中の覚えやすく親しみやすい印象及び過去に購入した際の記憶に基づいてその役務を選択又は購入すると考えられる。本件商標の構成中「Bianco」の文字が高い自他役務識別力を有することからすれば,本件商標に接する取引者,需要者は,「Bianco」の部分に着目し,ここから単なる「ビアンコ」の称呼及び「白い。白色。また,白ワイン。」の観念を想起するにとどまらず,慣れ親しんだ申立人役務を連想して,当該役務が申立人の業務に係るものと認識するであろうことは容易に想像される。

(カ)現実の出所混同

申立人の店舗は,東京都渋谷区に所在する(甲26)。これに対し,本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)の店舗は,申立人の店舗の最寄り駅から18分程度の駅近辺と,東京都品川区に2店舗が所在する(甲32)。

したがって,申立人の商圏と本件商標権者の商圏は重複しており,現在,本件商標権者が「Bianco」の店名を用い,役務の出所について実際に混同を生じていることから,申立人との間で係争となっている(甲33)。

このように,取引者,需要者において実際に混同を生ずる状態が既に形成されていることから,本件商標権者が,現在の店名を本件商標「Bianco caro」に変更した場合であっても,これに接する取引者,需要者は,依然として申立人の一店舗であるとの認識を抱くおそれがある。

(キ)小括

以上のとおり,本件商標が指定役務について使用された場合,その役務が申立人との間に親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係にある営業主の業務に係る役務であると誤信されるおそれがあるので,他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)むすび

上記(2)アのとおり,本件商標と引用商標は,称呼及び観念を共通にする類似の商標であって同一又は類似の役務について使用するものである。したがって,本件商標登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。

また,上記(2)イのとおり,本件商標が指定役務に使用された場合,その役務の需要者が申立人の業務に係る役務と出所について混同するおそれがある。したがって,本件商標登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。

3 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

申立人提出の甲各号証によれば,申立人が東京都渋谷区で美容室「BIANCO」を営んでいることは窺える(甲26)ものの,同美容室の売上額や利用者数などの営業実績,及び広告宣伝の実績などを示す証左は無く,他に引用商標が,本件商標の登録出願時ないし登録査定時において,需要者の間に広く認識されていると認め得る証拠は見いだせない。

そうすると,引用商標は,申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものということはできない。

(2)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標

本件商標は,上記1のとおり,「Bianco caro」と「ビアンコカーロ」の文字からなり,いずれの文字も同書,同大でまとまりよく一体的に表され,これから生じる「ビアンコカーロ」の称呼も,格別冗長というべきものでなく,よどみなく一連に称呼し得るものである。

そして,申立人提出の甲各号証によれば,本件商標の構成中の「caro」「カーロ」の文字が美容室(院)などの店舗の名称又はその一部として用いられていること(甲3〜甲24),及び美容,理容の業界においていわゆるマスターブランド名にサブブランド名を付加して表示することがあること(甲27〜甲31)が認められる。

しかしながら,これらの事情を考慮しても,本件商標の上記構成及び称呼,さらには,上記(1)のとおり引用商標が他人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているといえないものであることをあわせみれば,本件商標は,看者をして「Bianco」の文字部分が着目されるというより,むしろ「Bianco caro」及び「ビアンコカーロ」の各文字の全体をもって,特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識,把握されるとみるのが相当である。

さらに,本件商標は,その構成中「Bianco」の文字部分が取引者,需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの,又は,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認めるに足る事情は見いだせない。

そうすると,本件商標は,その構成文字全体をもって「ビアンコカーロ」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標

引用商標は,上記2(1)のとおり「BIANCO」の文字からなり,「ビアンコ」の称呼を生じるものである。そして,観念については,「BIANCO」の文字が「白い」などの意味を有するイタリア語である(甲25)としても,我が国において親しまれた語とはいえず,特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。

ウ 本件商標と引用商標との類否

そこで,本件商標と引用商標を比較すると,外観においては,本件商標が「Bianco caro」及び「ビアンコカーロ」の文字からなり,引用商標が「BIANCO」の文字からなるものであるから,外観上相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。

また,称呼においては,本件商標から生ずる「ビアンコカーロ」の称呼と引用商標から生ずる「ビアンコ」の称呼とは,「ビアンコ」の音を共通にするものであるが,本件商標が7音からなるものであるのに対し,引用商標が4音と音数を異にし,称呼上明確に聴別し得るものである。

さらに,観念においては,本件商標と引用商標1とは,いずれも,特定の観念を有しないものであるから,観念上比較することができないものである。

そうすれば,本件商標と引用商標1とは,観念においては,比較することができず,また,外観及び称呼において相紛れるおそれがないことから,両者は,互いに非類似の商標というべきである。

その他,本件商標と引用商標が類似するというべき事情も見いだせない。

エ 小括

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。

(3)商標法第4条第1項第15号について

上記(1)のとおり,引用商標は,申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているといえないものであり,上記(2)のとおり,本件商標は引用商標と外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。

そうすると,本件商標は,商標権者がこれをその申立てに係る指定役務「理容,美容」について使用しても,取引者,需要者をして引用商標を連想し,又は想起させることはなく,その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

なお,申立人は,本件商標と引用商標とが取引者,需要者において現実に出所の混同を生じている旨主張しているが,その事実を認め得る具体的,客観的証左は見いだせないから,かかる主張は認められない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。

(4)むすび

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

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