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Trademark Appeal Case

色名商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2014−900034(T2014−900034/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5628009号商標の指定商品中、第3類「化粧品,香料,薫料,せっけん類」についての商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5628009号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年5月7日に登録出願、第3類「化粧品,香料,薫料,せっけん類」及び第21類「ガラス基礎製品(建築用のものを除く),ガラス製又は陶磁製の包装用容器」を指定商品として、同年9月25日に登録査定、同年11月8日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、その指定商品中、第3類「化粧品,香料,薫料,せっけん類」については、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。

(1)本件商標は、別掲1に記載した構成よりなるものであるが、上段に片仮名で「モーヴ」、中段に欧文字で「MAUVE」(決定注:申立人は、商標登録異議申立理由補充書において、大文字で「MAUVE」と記しているが、「Mauve」の誤記と認められる。以下、申立ての理由において同じ。)、下段に欧文字の「MAUVE」を筆記体で書してなるものであることから、何人も本件商標からは「モーヴ」を直感することは明白である。

(2)「モーヴ(MAUVE)」の語は、「ふじ色」、「モーヴ色」の意味を有するものであることは明白であるとともに、ストール、バッグ、サインペン、布等の様々な商品において、「ふじ色」のような「紫色系」の色調を表す語として、普通に使用され、認識されているものである(甲1〜甲10)。

さらに、アイシャドウ、アイライナー、ネイルエナメル、口紅、ヘアカラー等の本件商標の指定商品においても、「モーヴ(MAUVE)」の語は、「紫色系」の色調を表す語として普通に使用されているものである(甲11〜甲23)。

(3)したがって、本件商標は、その指定商品に使用するときは、「紫色系の商品」を直感させ、単に本件商標の指定商品の品質を表す標章にすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

また、本件商標は、これを「紫色系の商品」以外の指定商品に使用するときは、あたかもその商品が「紫色系の商品」であるかの如く直感させ、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれのあることは明白であるから、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。

以上の理由により、本件商標は、登録の要件を具備しないものであるから、その登録は取り消されるべきものである。

3 本件商標に対する取消理由

当審において、商標権者に対し通知した取消理由は、要旨次のとおりである。

本件商標は、別掲1のとおり、活字体による「モーヴ」の片仮名及び「Mauve」の欧文字並びに筆記体による「Mauve」の欧文字を3段に横書きしてなるものであり、それは「モーヴ」及び「Mauve」の文字を普通に用いられる方法をもって表したものといえるところ、「Mauve」の語は、別掲2(1)のとおり、各種辞書等において、片仮名では「モーヴ」又は「モーブ」と表されており、その意味について、「薄紫色」(広辞苑第六版(別掲2(1)ア))、「葵の花よりも鮮明な紫色」(色の名前事典(別掲2(1)イ))、「ふじ色、モーブ色(薄い青みがかった紫)」(新英和中辞典(別掲2(1)ウ))、「穏やかな紫色」(日本語WordNet(英和)(別掲2(1)エ))、「藤色」(EDR日英対訳辞書(別掲2(1)オ))、「アオイのようなやや青みがかった紫をさす。」(色名がわかる辞典の解説(別掲2(1)カ))、「強い青みの紫」(JIS慣用色名(別掲2(1)キ))などと記載されていることからすると、その表現方法において若干の差異はあるものの、総じて「紫色系」の色調の一つを表すものということができる。

そして、「Mauve」、「モーヴ」又は「モーブ」の語は、化粧品においては、別掲2(2)の事例のとおり、さらに、化粧品以外の様々な商品においても、別掲2(3)の事例のとおり、商品の色が紫色系の色調であることを表すものとして、使用されている事実が認められる。

以上のことからすると、「Mauve」、「モーヴ」及び「モーブ」の語は、「紫色系の色調」を表すものとして、一般に理解され、使用されているということができるから、「モーヴ」及び「Mauve」の語からなる本件商標をその指定商品中の「化粧品,香料,薫料,せっけん類」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、該商品が紫色系の色調の商品であること、すなわち、商品の品質を表したものと認識するにとどまるとみるのが相当である。

そうすると、本件商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわざるを得ないものである。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「化粧品,香料,薫料,せっけん類」について、商標法第3条第1項第3号の規定に違反してされたものである。

4 商標権者の意見

上記3に対し、商標権者は、要旨以下のとおり意見を述べている。

(1)本件商標

本件商標は、明朝体片仮名「モーヴ」、明朝体欧文字「Mauve」及びボールド筆記体欧文字「Mauve」を3段に横書きしてなるものである。

(2)本件商標が商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標でない理由(商標法第3条第1項第3号)

ア 指定商品第3類「化粧品」について、

商標登録異議申立書に添付された証拠および職権調査で見出された事実(以下、これらを合わせて「証拠資料」という。)から、取引の実情として、「モーヴ」又は「Mauve」のいずれか一方が、化粧品の色を表示するものとして使われているようである。

証拠資料では、いずれも、化粧品の色を表示するために「モーヴ」又は「Mauve」のいずれか一方のみを表記しており、3段横書きで表記するものはおろか、2段横書きで表記するものもない。これは、「モーヴ」又は「Mauve」の少なくとも一方を表記しておけば需要者は化粧品の色を紛れなく理解することができるからである。

よって、化粧品の色を普通に表示するために書体の異なる欧文字「Mauve」を2段横書きで、しかも、明朝体片仮名「モーヴ」の下に表記し、3段横書きとなるように表記する必要はないと考える。

ところで、需要者の国際化に伴って商品に複数の言語(例えば、日本語、英語、中国語、韓国語など)を併記して品質などを表示することがある。しかし、本件商標は、全く同じ欧文字の組合せからなる単語「Mauve」を異なる書体で2段横書きで明朝体片仮名「モーヴ」の下に表記している。これは複数言語による化粧品の品質の表示に当たらない。

本件商標は、普通に用いられる方法で商品の品質を表示するものでない。

本件商標は、異なる書体で3段横書き表記され、同じ観念を想起させる言葉が3回繰り返されることによって独特のリズム感を醸し出し、全体の構成が一種独特な態様になっている。その結果、本件商標は、本件商標の付された化粧品が何人かの業務に係るものであることを需要者に認識させる。

よって、本件商標は、「商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当せず、「化粧品」について自他識別力又は出所表示力を有する商標である。

イ 指定商品第3類「香料、薫料、せっけん類」について

証拠資料を精査したが、「香料,薫料,せっけん類」について、「モーヴ」又は「Mauve」の文字を、当該商品の色、原材料などを表示するものとして用いているという取引実情を見出すことはできない。

本件商標は、普通に用いられる方法で商品の品質を表示するものでない。

さらに、前述したとおり、3段横書きで、かつ、異なる書体によって表記され、しかも、全体の構成が一種独特な態様になっている「モーヴ/Mauve/Mauve(決定注:筆記体で表したもの)」は、需要者に該商品が何人かの業務に係るものであることを認識させるといえる。

よって、本件商標は、「商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に当たらず、「香料、薫料、せっけん類」について自他識別力または出所表示力を有する商標である。

(3)結論

以上、述べてきたように、本件商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標でないので、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものでない。

したがって、本件商標の登録は維持すると決定されるべきである。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本件商標についてした前記3の取消理由は妥当なものであって、本件商標の登録は、その指定商品中「化粧品,香料,薫料,せっけん類」について、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものといえる。

(2)商標権者の意見について

商標権者は、本件商標について、「モーヴ」又は「Mauve」の文字を異なる書体で3段に横書きしてなるところ、証拠資料には、そのように3段又は2段に横書きする例はなく、全体の構成が一種独特な態様になっているから、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当しない旨、さらに、証拠資料には、「香料,薫料,せっけん類」について、「モーヴ」又は「Mauve」を当該商品の色、原材料などを表示するものとして用いているという取引実情を見出すことができないから、本件商標は、普通に用いられる方法で商品の品質を表示するものでない旨、主張している。

しかしながら、本件商標は、それぞれ普通の態様といえる片仮名の「モーヴ」の文字、ブロック体で書された欧文字の「Mauve」の文字及び筆記体で書された欧文字の「Mauve」の文字を3段に横書きしてなるものであるところ、各段の文字が、上記3のとおり、同一の意味及び称呼を有する片仮名又は欧文字であることを踏まえるならば、3段に横書きされたものが一体不可分のものとして、把握、理解されるというよりは、むしろ、特定の意味及び称呼を有する文字を異なる態様で表したものとして、各段がそれぞれに分離して把握、理解されるとみるのが相当である。

そして、「モーヴ」及び「Mauve」の文字は、上記3のとおり、一般の辞書や色彩に関する辞書において、「紫色系」の色調を表す色として記載されていることからすれば、一般に色を表す語の一つであるといえるものであり、商品の取引においても、取引者、需要者によって、広く紫色系の色調の商品であることを表すものとして理解されているといえる。

しかも、商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、取引者、需要者が品質等を表示するものとして認識すれば足りるのであって、品質表示等として実際に使用されていることを要しない。

そうすると、本件商標が書体の異なる「モーヴ」及び「Mauve」の文字を3段に書した構成からなるものであるとしても、本件商標に接する取引者、需要者は、色彩を表すものとして、「モーヴ」又は「Mauve」の文字を認識するにすぎず、本件商標が化粧品に使用される場合はもちろんのこと、「香料,薫料,せっけん類」について使用される場合であっても、同様に商品の色彩を表すものとして認識するといわざるを得ない。

してみれば、本件商標は、「香料,薫料,せっけん類」に使用しても、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

したがって、商標権者の主張は、いずれも採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、第3類「化粧品,香料,薫料,せっけん類」について、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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