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Trademark Appeal Case

商標の称呼・外観類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2015−900237(T2015−900237/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5755983号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5755983号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成26年7月14日に登録出願され,第29類「カレー・シチュー又はスープのもと,カレー味の料理用食肉,カレー味の料理用魚介類(生きているものを除く。),カレー味の料理用肉製品,カレー味の料理用加工水産物,カレー味の料理用加工野菜」及び第43類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,食器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,おしぼりの貸与,タオルの貸与」を指定商品及び指定役務として,同27年3月17日に登録査定され,同年4月3日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は,以下のとおりであり,その登録商標は,現に有効に存続しているものである。

1 申立人が引用する商標

(1)登録第5383158号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:カレー大陸(標準文字)

登録出願日:平成22年3月23日

設定登録日:平成23年1月14日

指定商品 :第29類「カレーのもと」

(2)登録第5042139号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:カレーの大革命(標準文字)

登録出願日:平成18年1月27日

設定登録日:平成19年4月20日

指定商品 :第29類「レトルトパウチ入りカレー,即席カレー」

2 申立人の引用する標章

(1)懐石料理徳及び相愛大学が,産学協同カレープロジェクトにおいて開発した,レトルトカレーの名称に使用している「カレー大学」の文字からなる標章(以下「使用標章1」という。)。

(2)川越達也シェフが,CDのタイトルに使用している「カレーライス学校」の文字からなる標章(以下「使用標章2」という。)。

第3 登録異議の申立ての理由(要点)

申立人は,本件商標はその指定商品及び指定役務中,第29類「カレー・シチュー又はスープのもと」について,商標法第4条第1項第11号及び同第10号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標と引用商標1について

ア 称呼について

本件商標は,その構成中「カレー大學」と「Curry College」の各文字部分から,「カレーダイガク」または「カリーカレッジ」の称呼を生ずる。

引用商標1は,その構成文字「カレー大陸」から,「カレータイリク」の称呼を生ずる。

本件商標の称呼「カレーダイガク」と引用商標1の称呼「カレータイリク」とは,ともに同数音であり,「ダイガク」と「タイリク」の「ダ」と「タ」,「ガ」と「リ」の2音のみが相違するが,そのうち「ダ」と「タ」は濁音の有無の相違であり,「ガ」と「リ」は7音という長い音の最後から2音目であるから,7音全体での称呼上での相違は少ない。したがって,両商標は称呼が類似する。

イ 外観について

本件商標の構成中の「カレー大學」の文字と引用商標1の「カレー大陸」を比較すると,両者は「カレー大」まで共通の外観を有しており,異なる部分は「學」と「陸」であり,外観が極めて近似していることから,両商標は,外観が類似するものである。

したがって,本件商標と引用商標1とは,称呼及び観念が類似し,かつ,その指定商品も同一又は類似のものである。

(2)本件商標と引用商標2について

本件商標の称呼は「カレーダイガク」である。これに対し,引用商標2は,その構成文字「カレーの大革命」から「カレーノダイカクメイ」と読めるが,格助詞「の」は音として非常に弱く,「カレーダイカクメイ」の称呼が生じる。

そうすると,両称呼は,「カレーダイ」まで同一音であり,「ガク」と「カクメイ」が相違する。それぞれの称呼の「ガク」と「カク」は,「カ」に濁音があるか否かの相違であって,「メイ」は音として弱いことから,全体の称呼の共通性が極めて高い。

したがって,本件商標と引用商標2とは,称呼が類似し,その指定商品も同一又は類似のものである。

2 商標法第4条第1項第10号について

(1)使用標章1について

ア 「カレー大学」(使用標章1)とは,大阪老舗料亭の懐石料理徳と相愛大学発達栄養学科で管理栄養士を目指す女子学生チームが2012年より協同で開発したレトルトカレーの名称である(甲4)。

イ 使用標章1の周知著名性

相愛大学及び懐石料理徳は,レトルトカレー「カレー大学」の協同開発にあたり,試作品の試食会やイベント等の企画・運営又は開催を行っており,その際,使用標章1が使用されている(甲5)。また,「カレー大学」を使用・アレンジしたレシピを紹介する際も使用標章1が使用されている(甲6,甲7)。さらに,使用標章1を付したレトルトカレー(以下「使用商品」という。)は,現在,相愛大学及び懐石料理徳のサイトで通信販売されている(甲8,甲9)。

相愛大学は,大阪市に1888年(明治21年)にその前身である相愛女学校が設置されている歴史の深い大学である(甲10)。また,懐石料理徳も創業40年となる老舗料亭であり,仕出し弁当において「お弁当・お惣菜大賞」を受賞するほど人気を集めている(甲11)。

さらに,全国的に著名な「リクナビ」内の「株式会社徳」の求人広告で使用標章1が使用されており(甲3),ともに歴史の深い相愛大学及び懐石料理徳がそのホームページにて「カレー大学」を販売していることから,その使用標章1は,協同開発段階である2012年1月27日以降,すなわち本件商標の出願前において日本国内における需要者の間に広く認識され,周知商標となっている。

ウ 本件商標と使用標章1との対比

本件商標の構成中「カレー大學」の文字と使用標章1とは,「學」と「学」の旧漢字か否かの違いがあるにすぎないから,両者の外観は類似しているといえる。

また,本件商標と使用標章1とは,「カレーダイガク」の称呼を共通にし,さらに両者は「大学(学校)という場においてカレーについて学び知識を深める,又は大学等において提供されるカレー」という特定の意味合いを認識させるものであり,観念においても同一又は類似している。

よって,本件商標及び使用標章1は,その外観,称呼及び観念が同一又は類似のものである。

エ 本件商標の指定商品と使用標章1を使用した商品について

本件商標の指定商品と使用標章1の使用商品は同一又は類似するものである。

オ したがって,本件商標と使用標章1とは,その外観,称呼及び観念が同一又は類似し,前者の指定商品と後者の使用商品も同一又は類似のものである。

(2)使用標章2について

ア 「カレーライス学校」(使用標章2)とは,全国的に有名な川越達也シェフが,子どもたちに歌を通してそれぞれの食材の役割を正しく理解してほしいという食育の観点からCDデビューをしたCDのタイトルである(甲12)。

イ 使用標章2の周知著名性

「カレーライス学校」(使用標章2)は,様々な食材が出てカレーライスのレシピにもなっている楽曲であり,川越シェフは同CDの発売に合わせて発売記念ライブ・握手会・撮影会等のイベントを開催している(甲13)。

川越シェフは,料理人かつタレントであり,料理人としての活動の他,フードコーディネーター,料理講師としても幅広く活動している。

このように,全国的に著名である川越シェフのCD「カレーライス学校」(使用標章2)は,2012年4月25日の発売前には各種マスコミでその発売について取り上げられ,また,同CDデビューの際,川越シェフが各地でCD発売記念のライブ,握手会及び撮影会等のイベントを行っており,使用標章2は本件商標の出願前において広く認識され周知商標となっていた。

ウ 本件商標と使用標章2との対比

本件商標の観念は,前述のとおり,「大学(学校)という場においてカレーについて学び知識を深める,または大学等において提供されるカレー」という特定の意味合いを認識させるものである。

これに対し,使用標章2は,「学校においてカレーライスのことを学び知識を深める,または学校で提供されるカレー」という特定の意味合いを認識させるものであり,両者の観念は同一又は類似している。

エ 本件商標の指定商品と使用標章2を使用した商品について

使用標章2はCDのタイトルで,同CDは前述のように様々な食材が出てカレーライスのレシピにもなっている楽曲である。

このように,使用標章2の指定商品は,本件商標の指定商品「カレー・シチュー又はスープのもと,カレー味の料理用食肉,カレー味の料理用加工水産物,カレー味の料理用加工野菜」と同一又は類似するものである。

オ したがって,本件商標と使用標章2とは,その観念が同一又は類似し,その指定商品も同一又は類似のものである。

3 むすび

前記1のとおり,本件商標は,引用商標1及び引用商標2と,称呼・観念・外観の少なくとも一つが類似のものであり,また,その指定商品も同一又は類似のものである。

また,前記2のとおり本件商標は,使用標章1と外観,称呼及び観念において,また,使用標章2とその観念において,同一又は類似のものであり,本件商標の指定商品は,使用標章1又は使用標章2を使用した商品と同一又は類似するものである。

したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号及び同第11号に違反してされたものである。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標

ア 本件商標は,別掲のとおり,左側に朱色に「大學」とおぼしき文字をモチーフにして図案化した図形とその右側に同じく朱色で「カレー大學」の文字及び「Curry College」の欧文字を上下二段に書してなる構成態様からなるところ,図形部分と文字部分とは,視覚上,左右に分離されており,両部分を常に一体不可分のものとして捉える,特段の理由もないことから,図形部分と文字部分は,それぞれ独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものというのが相当である。

そして,本件商標は,その構成中「カレー大學」の文字部分からは,「カレーダイガク」の称呼が生じ,「Curry College」の文字部分からは,「カレーカレッジ」又は「カリーカレッジ」の称呼が生じるものである。

また,「カレー」及び「Curry」の文字は,「カレー粉に同じ,カレー粉を用いてつくった料理,特にカレーライスのソース,『カレーライス』『ライスカレー』の略」等の意味を有する語であり,また,「カレッジ」及び「College」の文字は,「大学,特に分科大学,単科大学」等の意味を有する語(広辞苑第六版「株式会社岩波書店」)ではあるが,その両語を結合した「カレー大學」及び「Curry College」の文字部分からは,特定の意味合いを想起させないものであるから,特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標

引用商標1は,「カレー大陸」の文字からなり,該文字に相応して,「カレータイリク」の称呼を生じ,「カレー」の文字は,上記(1)のとおりの意味を有する語であり,「大陸」の文字は,「広大な陸地。大州。地球上の大きな陸地」等の意味を有する語(出典は,上記と同じ。)であるが,その両語を結合した「カレー大陸」の文字全体からは,特定の意味合いを有しない,一種の造語とみるのが相当であるから,特定の観念を生じないものである。

また,引用商標2は,「カレーの大革命」の文字からなり,該文字に相応して,「カレーノダイカクメイ」の称呼を生じ,「カレー」の文字は,上記(1)のとおりの意味を有する語であり,「革命」の文字は,「ある状態が急激に発展,変動すること。」等の意味を有する語(出典は,上記と同じ。)であるが,その両語を結合した「カレーの大革命」の文字全体からは,特定の意味合いを有しない,一種の造語とみるのが相当であるから,特定の観念を生じないものである。

(3)本件商標と引用商標1との類否

そこで,本件商標と引用商標1を比較すると,外観においては,本件商標の構成中「カレー大學」の文字部分と引用商標1とは,共に5文字という比較的少ない文字構成において「學」と「陸」の文字の差を有し,それらの差異が両者の外観の印象に与える影響は大きく,外観上相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。

また,称呼においては,本件商標から生ずる「カレーダイガク」の称呼と引用商標1から生ずる「カレータイリク」の称呼とは,後半の「ダイガク」と「タイリク」との音の差異により,称呼上明確に聴別し得るものである。

さらに,観念においては,本件商標と引用商標1とは,いずれも,特定の観念を有しないものであるから,観念上比較することができないものである。

そうすれば,本件商標と引用商標1とは,観念においては,比較することができず,また,外観及び称呼において相紛れるおそれがないことから,両者は,互いに非類似の商標というべきである。

(4)本件商標と引用商標2との類否

そこで,本件商標と引用商標2を比較すると,外観においては,本件商標の構成中「カレー大學」の文字部分と引用商標2とは,それらの文字構成において「學」の文字と助詞「の」及び「革命」の文字の差を有し,それらの差異が両者の外観の印象に与える影響は大きく,外観上相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。

また,称呼においては,本件商標から生ずる「カレーダイガク」の称呼と引用商標2から生ずる「カレーノダイカクメイ」の称呼とは,後半の「ダイガク」と「ノダイカクメイ」との音の差異により,称呼上明確に聴別し得るものである。

さらに,観念においては,本件商標と引用商標2とは,いずれも,特定の観念を有しないものであるから,観念上比較することができないものである。

そうすれば,本件商標と引用商標2とは,観念においては,比較することができず,また,外観及び称呼において相紛れるおそれがないことから,両者は,互いに非類似の商標というべきである。

(5)小活

以上のとおり,本件商標と引用商標1及び引用商標2とは非類似の商標であるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。

2 商標法第4条第1項第10号について

(1)使用標章1及び使用標章2の文字の周知性について

申立人は,使用標章1及び使用標章2(以下,まとめて「使用標章」という場合がある。)が,本件商標の出願前において日本国内における需要者の間に広く認識され,周知商標となっていた旨主張し,その証拠として甲第3号証ないし甲第13号証を提出しているところ,提出された各証拠からは,以下のことが認められる。

ア 大阪市住之江区所在の懐石料理徳(のり)は,相愛大学と産学共同で開発(「徳・相愛大学 産学カレープロジェクト」2013年10月〜2014年1月)したレトルトカレーに「カレー大学」(使用標章1)の名称を使用して2014年3月中旬から販売している(甲3〜甲9,甲11)。

イ 川越達也シェフが,2012年4月25日に発売したCDのタイトルに「カレーライス学校」(使用標章2)の名称を使用している(甲12,甲13)。

しかしながら,提出された周知性を証明する証拠は,インターネット情報によるウェブサイトからのものがほとんどであり,その証拠数も極めて少なく,日付が記載されているものは,甲第4号証の平成26年(2014年)3月18日と甲第13号証の平成24年(2012年)4月2日の日付のみであり,また,他の証拠は,登録出願時より以降の平成27年(2015年)6月12日から同年7月16日までに印刷されたものであるから,これらの証拠からでは,使用標章1及び使用標章2が,どの程度の周知著名性を有していたものであるかが不明である。

そして,使用標章1及使用標章2の周知著名性の程度を推定するために必要な具体的な事実,例えば,使用標章1及び使用標章2の使用商品の販売数量,売上高,宣伝広告の回数や期間,広告費などを立証する証拠の提出はなされていない。

そうすれば,使用標章1及び使用標章2が,他人の業務に係る役務を表示するものとして,需要者の間に広く知られているものということはできないといわなければならない。

(2)本件商標と使用標章の類否について

本件商標は,前記第1のとおりの構成態様からなり,使用標章1は,「カレー大学」の文字からなるところ,本件商標と「カレー大学」(使用標章1)の文字において,類似する場合があるとしても,使用標章1は,商品「レトルトカレー」の名称に使用しているものであって,いずれも本件商標の指定役務と非類似の商品又は役務に使用するものである。

また,使用標章2は,「カレーライス学校」の文字からなるところ,本件商標と使用標章2とは,観念において比較できないが,外観及び称呼において非類似のものであり,本件商標の指定役務と使用標章2の商品「CD」とは,非類似の商品又は役務に使用するものであるから,両者は,相紛れるおそれのない非類似のものであるといわざるを得ない。

そうすれば,本件商標と使用標章は,相紛れるおそれのない非類似のものとみるのが相当である。

(3)小活

以上のとおり,使用標章は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものではなく,また,本件商標と使用標章は,類似しないものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。

3 まとめ

以上のとおり,本件商標の登録は,その指定役務について,商標法第4条第1項第11号又は同第10号に違反してされたものではないから,商標法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

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