Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−11772(T2015−11772/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「JNA Japanese Nursing Association」の欧文字を書してなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,資格付与のための資格試験の実施及び資格の認定・資格の付与,資格付与のための資格試験及び資格の認定・資格の付与に関する情報の提供,セミナーの企画・運営または開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」を指定役務として、平成26年3月3日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5325095号商標(以下、「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成20年4月14日に登録出願、第41類「爪の美容に関する知識の教授」を指定役務として、同22年5月21日に設定登録されたものである。
(2)登録第5620838号商標(以下、「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成25年5月16日に登録出願、第41類「爪の美容に関する知識の教授,爪の美容に関する博覧会・爪の美容ショー及び爪の美容コンテストの企画・運営又は開催,爪の美容に関する書籍の制作,爪の美容に関する教育用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),爪の美容に関する教育研修のための施設の提供」及び第42類「教育機関の規格適合性の審査・判定又は認証,役務の質が規範・法律・規則・習慣及び基準を順守しているか否かの審査・判定又は認証,教育機関における爪の美容に関する知識の教授が基準に従っているか否かの審査・判定又は認証」を指定役務として、同年10月4日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性
ア 本願商標と引用商標の類否
本願商標は、「JNA Japanese Nursing Association」の文字からなるところ、その構成中、「Japanese Nursing Association」の文字部分は、請求人の略称の「日本看護協会」を英語表記したものと理解される。また、「JNA」の文字部分は、これ自体では、特定の意味合いを認識させないものである。
そして、たとえ該「JNA」の文字部分が、後に続く「Japanese」「Nursing」「Association」の各文字の頭文字を表したものであると理解される場合があるとしても、「JNA」と「Japanese Nursing Association」の文字部分は、その全体の構成文字から生ずる「ジェイエヌエージャパニーズナーシングアソシエーション」の称呼が冗長であること、並びに、構成文字全体が既成の語として特定の観念を生ずる等、常にこれを一体のものとして捉えなければならない特段の事情も見当たらないものである。
そうすると、本願商標は、「JNA」の文字部分と、「Japanese Nursing Association」の文字部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではないから、その構成中の「JNA」の文字部分についても、独立して自他役務の識別機能を有するものといえる。
そして、本願商標においては、これに接する取引者、需要者をして、比較的記憶しやすい3文字で表してなる「JNA」の文字部分に注目し、該文字部分から生ずる「ジェイエヌエー」の称呼をもって取引に資される場合も決して少なくないものと判断するのが相当である。
してみると、本願商標は、その構成中の「JNA」の文字部分に相応して、「ジェイエヌエー」の称呼をも生ずるものであり、該文字部分は、特定の観念を生じないものというべきである。
イ 引用商標
引用商標1は、角丸四角形の枠内に、「jna」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、特定の意味合いを有しないものであるから、その構成文字に相応して、「ジェイエヌエー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
引用商標2は、別掲2のとおり図形と文字の組合せからなるところ、その構成中の「jna」の文字部分は、他の文字と書体が異なり、また、他の文字部分が白抜きで表されているのに対し、黒色で中央に大きく書されていることからすると、該「jna」の文字部分が看者の注意を惹き、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。そうすると、該「jna」の文字部分は、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。
してみれば、引用商標2は、その構成中の「jna」の文字部分に相応して、「ジェイエヌエー」の称呼をも生ずるものであり、該文字部分は、特定の観念を生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標の類否
本願商標と引用商標の類否について検討してみると、本願商標の要部と認められる「JNA」の文字部分と引用商標中の「jna」の文字部分とは、外観においては、その綴りを共通にし、大文字と小文字の差にすぎないものであって、近似した印象を与えるものであり、また、称呼においては、「ジェイエヌエー」の称呼を同じくするものである。そして、観念においては、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができないものである。
したがって、本願商標と引用商標とは、上記のとおり、本願商標の要部と引用商標の文字部分において、観念上、比較できないとしても、外観上、近似した印象を与え、称呼上、同一であることから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察してみると、両者は、全体として相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
エ 本願の指定役務と引用商標の指定役務の類否
本願の指定役務中の「技芸・スポーツ又は知識の教授,資格付与のための資格試験の実施及び資格の認定・資格の付与,資格付与のための資格試験及び資格の認定・資格の付与に関する情報の提供,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」は、引用商標1の指定役務「爪の美容に関する知識の教授」及び引用商標2の指定役務中の「爪の美容に関する知識の教授,爪の美容に関する博覧会・爪の美容ショー及び爪の美容コンテストの企画・運営又は開催,爪の美容に関する書籍の制作,爪の美容に関する教育用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),爪の美容に関する教育研修のための施設の提供」を包含し、同一又は類似するものである。
オ 小括
したがって、本願商標と引用商標とは、類似の商標であり、その指定役務も同一又は類似するから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標について「『JNA』の文字部分と『Japanese Nursing Association』の文字部分とは、外観上も観念上も密接な一体性が認められるものであり、『JNA』の文字部分を要部として認定することは妥当でない。『Japanese Nursing Association』の文字部分は極めて顕著な識別力を有しており、この英語名称は、官公庁まで含めた医療業界全体において知らない人はいないほどであり、『日本看護協会』を認識させるものであるから、引用商標とは区別され、誤認混同を生じない。」旨主張する。
しかしながら、上記(1)ア及びウのとおり、本願商標は、その構成中の「JNA」の文字部分についても独立して自他役務の識別標識としての機能を有し、該文字部分から生ずる「ジェイエヌエー」の称呼をもって取引に資される場合もあるから、引用商標と類似する商標である。さらに、「JNA」の文字が「Japanese Nursing Association」の略語として両文字部分が一体となって、「日本看護協会」を認識させ、引用商標と区別することができると認めることができる証拠は提出されていない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
イ 請求人は、過去の審決例及び登録例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、商標登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは、過去の審決例や登録例に拘束されることなく、個々の事案に即して当該出願に係る商標と特定の他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるべきものであり、これらの商標と本願商標とはその構成及び指定役務等を異にする事案であって、該事例をもって本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切ではないから、請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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