Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−16283(T2015−16283/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第41類「学習塾における教授,学力診断テストによる学力の分析及び学力情報の提供,進学のための通信教育,学力診断テストの実施,技芸・スポーツ又は知識の教授,教育に関するセミナーの企画・運営又は開催」を指定役務として、平成26年12月17日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5592630号商標は、青色の「アシスト」の片仮名を横書きしてなり、平成24年11月30日に登録出願、第41類「コンピュータソフトウェアの使用方法に関する知識の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」を指定役務として、同25年6月21日に設定登録されたものである。
(2)登録第5607446号商標は、別掲2のとおりの構成からなり、平成25年1月23日に登録出願、第9類「電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品」、第41類「コンピュータソフトウェアの使用方法に関する知識の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」及び第42類「電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」を指定商品及び指定役務として、同年8月16日に設定登録されたものである。
なお、これらをまとめて、以下「引用商標」という。
3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、紺色で左端を半円状にかたどった横長四角形の図形中には、カギ穴を90度に寝かせたような形状(以下、「カギ穴形状」という。)を有し、その中に「ASSIST」の文字が書され、さらに、該カギ穴形状の円形部分に沿うように、小さな文字で「The private−tutoring school since 2015」の文字が書されている。
また、該カギ穴形状の右側には、大きく「アシスト学院」の文字とその上部に、やや小さく「県立高校合格&定期テスト対策」の文字が書されているものである(なお、紺色の図形中に白抜きされた部分及び文字は、薄い桃色の下地となっている。以下同じ。)。
そして、該「The private−tutoring school since 2015」の文字部分は、他の文字に比して小さく表示され、あまり目立たないものであり、また、該「県立高校合格&定期テスト対策」の文字部分は、本願の指定役務との関係では、その役務の質を表すものといえるから、自他役務の識別標識となり得ないものである。
そうすれば、本願商標中にあっては、特徴的なカギ穴形状の中に表示された「助ける、手伝う」(ベーシックジーニアス英和辞典 株式会社大修館)の意味を有する「ASSIST」の文字は、そのカギ穴形状とも相まって、看者に強く印象を与えるものであり、また、該カギ穴形状の右側に大きく表示された「アシスト学院」の文字は、その構成中の「学院」の文字が「学校の異称」として使用されるものであって、全体として学校の名称として理解されるものであるから、本願商標は、それぞれの文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないとみるのが相当であり、ともに独立して自他役務の識別標識となり得るものというべきである。
してみれば、本願商標は、該カギ穴形状中の「ASSIST」の文字に相応して、「アシスト」の称呼を生じ、「助ける、手伝う」の観念を生じるものである。
(2)引用商標について
引用商標1は、青色の「アシスト」の文字からなるところ、その構成文字に相応して、「アシスト」の称呼を生じ、「助ける、手伝う」の観念が生じるものである。
引用商標2は、別掲2のとおり、青色の「アシスト」の文字を大きく横書きし、その下に、『「お客様の最高」のために』の文字を、12個に区切った細長い長方形の中に一文字づつ、小さく書してなるものである。なお、その前半の『「お客様の最高」』までは、灰色の背景に白抜きの文字で、後半の「のために」は、白色の背景に灰色の文字で書してなるものである。
そして、本願商標は、その構成中、大きく顕著に表された、上段の「アシスト」の文字部分のみで取引に資される場合もあるというのが相当である。
してみれば、引用商標は、該「アシスト」の文字に相応して、「アシスト」の称呼を生じ、「助ける、手伝う」の観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標の類否を検討するに、外観においては、本願商標と引用商標とは、前記(1)及び(2)のとおりの構成からなるから、外観上、相違するものである。
称呼においては、本願商標は、その構成中の「ASSIST」の文字部分から、「アシスト」の称呼を生じ、引用商標も「アシスト」の称呼を生じるものであるから、両者は、その称呼を共通にするものである。
さらに、観念においては、「助ける、手伝う」の観念を共通にするものである。
そうすれば、本願商標と引用商標とは、外観において、相違するとしても、称呼及び観念を共通にする類似の商標というべきである。
(4)本願の指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務の類否について
本願の指定役務と、引用商標1の指定役務と、引用商標2の指定役務中、第41類のものとは、同一又は類似するものと認められる。
(5)小括
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張
ア 請求人は、本願商標の「ASSIST」の文字部分は、「助ける、手伝う」の意味を認識させるものであり、本願指定役務との関係においては、役務の質、効能又は態様を表示したものとして認識されるから、「ASSIST」の文字部分は、自他役務の識別標識の機能を果たし得ないか、または、極めて弱い部分であり取引者又は需要者の注意を引く要部として抽出されるものではない旨主張する。
しかしながら、本願の指定役務を取り扱う業界において、「ASSIST」及び「アシスト」の文字が、役務の質を表すものとして、普通に使用されている証左もなく、また、職権において調査するも、そのような事実を発見することはできなかった。
そうすれば、本願商標の「ASSIST」の文字部分は、前記(1)のとおり、識別標識としての機能を果たすものであって、本願商標の要部として、認識されるものである。
イ 本願の指定役務は、日常的に一般消費者が取引する役務であり、通常は、子どもを学習塾に通わせる親等が需要者であり、需要者は、運営企業、講師の質、料金、時間帯、開講地等の役務について検討を重ねた上で取引するものと考えるのが自然であり、比較的慎重に役務を選択するとみるべきである。そこで、このような、慎重に役務を選択するであろう需要者の注意力を踏まえて本願商標と引用商標の外観・称呼及び観念を総合的に勘案すると、本願商標と引用商標は、その称呼に共通する部分があるとしても、外観において顕著な差異を有するものであり、本願商標と引用商標を同一又は類似の役務に使用した場合においても、役務の出所について誤認混同を生ずるおそれはない旨主張する。
しかしながら、識別標識としての商標の外観が重要であることは認められるとしても、本願の指定役務を取り扱う業界において、需要者が学習塾について、慎重にその役務の内容を検討するとしても、本願商標に接する取引者、需要者が、構成中の文字部分に着目し、該文字より生ずる称呼及び観念を頼りにその役務の識別に当たる場合も決して少なくないといえるものであって、本願商標は、その構成中、カギ穴形状中の「ASSIST」の文字部分が、独立して自他役務の識別標識となり得るものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、前記(3)のとおり、外観の相違を考慮しても、その称呼及び観念を共通にする相紛らわしい類似の商標といわざるを得ないから、役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがないとはいえないものである。
ウ 引用商標と共通の称呼「アシスト」を含む登録商標が多数存在していることからも、本願商標は、引用商標とは非類似の商標であると考えられる旨主張する。
しかしながら、商標の類否の判断は、登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるものであるから、請求人の挙げた本願商標とは構成が相違する商標登録の例があるからといって、本願商標が登録されるものであるということにはならない。
そして、本願商標は、その構成中、「ASSIST」の文字部分は、役務の出所識別標識として機能し得るものであるから、該「ASSIST」の文字部分が、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として把握、認識される要部であるといえる。
してみれば、本願商標は、本願の指定役務との関係においては、その構成中の「ASSIST」の文字部分をもって他人の登録商標と対比することが許されるというべきであり、そのような対比をした場合、本願商標と引用商標とが類似する商標であることは、前記(3)において認定、判断したとおりである。
よって、請求人の主張はいずれも採用することはできない。
(5)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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