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Trademark Appeal Case

商標の類否と周知性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35347号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4057947号商標(以下「本件商標」という。)は、別紙(1)に表示したとおりの構成よりなり、平成8年2月28日登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同9年9月19日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の引用商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1974925号商標(以下「引用商標」という。)は、別紙(2)に表示したとおりの構成よりなり、昭和59年10月12日登録出願、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同62年8月19日に設定登録され、その後、平成9年6月6日に商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第33号証(枝番を含む。)を提出している。

1.本件商標は、請求人の所有する引用商標と類似のものであって、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、その登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。

(1)請求人は、引用商標の「化粧水」についての使用を、引用商標が登録された前々年の昭和60年(1985年)に開始し(甲第3号証)、以後今日までその使用を継続してきており(「薬用化粧水」については平成4年(1992年)から使用(同第3号証乃至同第9号証)、その販売実績は、平成8年(1996年)は約60億円、平成9年(1997年)は約71億円に達し、販売開始から平成9年までの13年間の総販売額は、約278億円に達しており(以上、金額はメーカー出荷額)、その販売個数は、約928万個に上っている(同第3号証)。

しかして、ここで特筆すべきは、これらの実績は、発売当初にピークが訪れ、以後次第に減少傾向を辿ってきたのではなく、発売以来序々に実績を延ばし、特にここ4年間の実績の延びが著しいことである(甲第3号証)。

「雪肌精」なるブランドの1996年の総販売額は、上記のとおり、約60億円であるから、化粧品業界における「巨大ブランド」の一つといっても過言でないことを物語るものである(請求理由補充書5頁7行乃至同8頁16行)。

以上の事実のみをもっても、引用商標は本件商標の登録出願の時には既に、請求人の業務に係る商品「薬用化粧水」を表示する標識として、取引者、需要者間において極めて広く知られるに至っていたものであることを十分に認め得ることと思うが、請求人は、1990年(平成2年)に初めて引用商標を使用した「化粧水」の広告を雑誌で行って以降(甲第12号証)、各種メディアを用いて、この広告を行ってきている(同第13号証乃至同第17号証)。

このような事実を反映してか、引用商標を使用した「薬用化粧水」は、数ある「化粧水」(140品目;甲第10号証)が存在する中、ユーザーの間においてトップの評価を得ており(同第18号証乃至同第24号証)、請求人自身も、この商品を「オバケ商品」、「ロングセラー商品」、「ベストセラー商品」と自負している次第である(同第24号証乃至同第26号証)。

ところで、甲第18号証乃至同第26号証は、本件商標の登録出願後の発行に係るものであるが、およそ商品の名声は一朝一夕で獲得できるものでなく、これら各号証にて紹介されている請求人商品「雪肌精」の名声も、これら各号証の発行時に突然に獲得したものではなく、長期期間の使用(同第3号証乃至同第9号証)及び宣伝広告によって獲得し得たものであるから、これら各号証が本件商標の登録出願日後の発行に係るものであっても、これから請求人商品「雪肌精」の名声が、本件商標の登録出願時においても相当なものであったことは十分に推認できるというべきである。

以上を総合すると、引用商標は、請求人の業務に係る商品「薬用化粧水」を表示する標識として、平成8年から本件商標の登録査定時、さらに、現在も、取引者、需要者間において極めて広く知られるに至っていたものというべきである。

(2)ところで、引用商標は、「雪肌精」の文字よりなるものであるが、これにあって「精」の文字は、物質や物事の「精髄」を意味する語であって、草根、木皮或いは動物から抽出した有効成分をいう「エキス」或いは「エッセンス」と同義の語として、漢方薬をはじめこれら「エキス」或いは「エッセンス」をその有効成分の一つとする「化粧品」についても、その品質を表示するものとして使用されているものであるから(甲第27号証及び同第28号証)、かかる商品との関係においてはこの文字自体、自他商品の識別力を有しないか、例え有していたとしても、極めて弱いものとみるのが相当である(同第29号証及び同第30号証)。

しかして、請求人が引用商標を使用している「薬用化粧水」も、植物から抽出した「精」というべき「ハトムギエキス」、「トウエキス」、「甘草エキス」を、その有効成分とするものである(甲第31号証及び同第32号証)。

そうとすると、引用商標における「精」の文字も、これの使用商品である「薬用化粧水」との関係においては、自他商品の識別力を有しないか、例え有していたとしても極めて弱いものというべきであるから、引用商標にあって取引者、需要者の注意を強く惹きつけるのは、「雪肌」の文字ということができる。

してみれば、「雪肌精」の文字のみならず、この要部をなすものというべき、「雪肌」の文字も、請求人の業務に係る商品「薬用化粧水」を表示する標識として、平成8年から本件商標の登録査定時までには、取引者、需要者間において、極めて広く知られるに至っていたものというべきである。

そこで、以上の事実及び事情を前提に、本件商標と引用商標の類否についてみると、引用商標における「精」の文字が、自他商品の識別力を有しないか、有していたとしても極めて弱いものであるところから、その要部は、「雪肌」の文字にあるといえ、これが取引者、需要者間に極めて広く知られるに至っていたといえるものであることは前記のとおりであるから、簡易迅速を旨とする取引の場において、取引者、需要者は、「雪肌精」のうちの「雪肌」の文字に強く注意を惹かれ、この文字部分で引用商標を略称し記憶する場合も少なからずあることは、否定し得ないところである。

そうとすると、引用商標は、「セッキ」の称呼及び「雪肌」(雪のように白い肌)の観念も生ずるものといわざるを得ない。

(3)一方、本件商標は、「透雪肌」の文字及びこれの読みを平仮名書きしたとみるべき「とうせっき」の文字よりなるものであるところ、「透雪肌」の文字には、例えば、この文字は広く一般に親しまれている一語(成語)を形成しているから常に一連不可分のものとしてのみ把握すべきものである、といったような特段の事情は存在しない。

そうとすると、本件商標が、その指定商品、とりわけ請求人が引用商標を使用している商品と同じ商品である「薬用化粧水」について使用されたときは、これに接する取引者、需要者は、その構成中「雪のように白い肌」の意味で親しまれている語であって、かつ、請求人が「薬用化粧水」に使用していて極めて広く一般に知られるに至っている「雪肌」と同一の文字である「雪肌」の文字に強く注意を惹かれ、これより生ずる「セッキ」の称呼及び「雪肌」(雪のように白い肌)の観念によって取引にあたる場合も、少なからずあるとみるのが相当である。

してみれば、本件商標も、「セッキ」の称呼及び「雪肌」の観念を生ずるものといわざるを得ない。

したがって、本件商標と引用商標は、「セッキ」の称呼及び「雪肌」(雪のように白い肌)の観念を同じくする類似の商標というべきである。また、両商標の指定商品は、共に「化粧品」を含むものであり、さらに、本件商標は、引用商標より後願の登録出願に係る登録商標である。

(4)以上によると、その指定商品のうちの「化粧品」についての本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、その登録は、同法第46条の規定により無効とすべきである。

2.また、引用商標は、本件商標の登録出願の時には既に、請求人の業務に係る商品「薬用化粧水」を表示する標識として取引者、需要者間において極めて広く知られていたものであるから、この要部というべき「雪肌」の文字と同一の文字である「雪肌」を含む本件商標が、その指定商品中の「化粧水」を含む「化粧品」、とりわけ「薬用化粧水」について使用されたときは、その「化粧水」が請求人の業務に係るものであるかの如く、その出所を混同させるおそれがあるというべきであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号にも違反してされたものである。

(1)引用商標における「雪肌」の文字が、これ単独にても、本件商標の登録出願時である平成8年(1996年)においても既に、請求人の業務に係る商品「薬用化粧水」を表示する標識として、取引者、需要者間において極めて広く知られるに至っていたといえるものであること、及び本件商標における「雪肌」の文字も、これ単独にて取引者、需要者の注意を惹くといえるものであることは、前記したとおりである。

(2)そうとすると、本件商標は、他人の著名な商標を含む商標ということに帰着するから、これと引用商標が、共に「薬用化粧水」について使用され、両商品が同一市場に流通したときは(例えば、甲第31号証;この写真における右の商品は、被請求人が販売を開始した「薬用乳液」である。なお、化粧品業界においては、「乳液」は、「化粧水」のカテゴリーに入るものとされている。同第11号証)、本件商標を使用した「薬用乳液」及びこれ以外の「化粧品」に接する取引者、需要者は、その構成中の「雪肌」の文字に強く注意を惹かれ、これを請求人の業務に係る商品であると(「雪肌精」のシリーズ商品或いは姉妹商品の一つであると)、その出所を混同するおそれがあるといわざるを得ない。

(3)してみれば、その指定商品のうちの「化粧品」についての本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号にも違反してされたものであるから、その登録は、同法第46条の規定により無効とすべきである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、「結論同旨の審決を求める。」と答弁し、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第3号証(枝番を含む。)及び参考資料を提出している。

1.本件商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するという主張について

(1)本件商標と引用商標とが、指定商品において抵触するものであることは争わないが、商標においては以下に述べるように明らかに相違し、互いに類似するものではない。

なお、請求人は、本号に該当すると主張する理由として、引用商標の過去における使用の実績について縷々主張しているが、本号に該当するという場合には、登録商標と引用商標とが互いに類似するか否かを論ずれば足りると考えるので、ここでは、単純に構成上の類否について述べる。

(2)本件商標の構成及び引用商標の構成は、上記のとおりであるから、外観、称呼、観念のいずれの点からみても、両者は非類似のものというべきである(請求人は、外観上の類似については全く触れるところがないので、この点については争いのないものといえる。)。

まず、称呼についてみると、両者の構成が上記のとおりであるため、前者からは「トウセッキ」の称呼が、後者からは「セッキセイ」の称呼のみが生じ、他の称呼が生じる余地はなく、互いに類似するところはない。請求人は、両商標の要部は「雪肌」の部分にあるとの前提で、この文字部分を抽出し、両者とも「セッキ」の称呼が生じるというが、しかし、要部とは、主要部分、言い換えると看者の注意を惹く部分をいうものである。ところが、両者を構成する漢字は共に三字で、各文字は同一書体、同一の大きさで一連に横書きされており、殊更、「雪肌」の文字のみを際立たせた表示とはなっていないものであり、このような構成であるにも拘わらず、三文字の中から「雪肌」の部分のみを抽出し、これを以て要部であるとする考え方は著しく経験則に反し、誤っていると考えられることから、両商標を構成する語は、いずれも一体不可分の一つの語として把握されるべきものである。

これは、観念上の類否を検討する場合においても異なるところはなく、同じ理由により、両商標の構成から「雪肌」の部分のみを抽出してこれを要部とみて観念の同一を論ずるのは誤っている。

(3)このことは、次の事実によっても首肯できる。引用商標の指定商品は上記のとおり「石鹸」を含むものであり、その設定登録日は昭和62年8月19日であるが、その時点では、既に「雪の肌」の文字を縦書きしてなり、「石鹸」を指定商品とする登録第88918号商標が存在しており、該商標は、6回にわたって更新登録がなされ、現に有効に存続している商標である(乙第1号証の1及び同2)。また、引用商標の設定登録後である昭和62年12月18日には、「雪の肌」の文字を横書きしてなり、「肌用化粧品」を指定商品とする登録第2006674号商標が設定登録されている(同第2号証の1及び同2)。さらにまた、「雪の肌」の文字を横書きしてなり、指定商品中に「化粧品」を含む商標が、平成10年4月10日に登録第4134575号商標として設定登録されている(同第3号証)。これらの事実から特許庁においては、引用商標と「雪の肌」とは互いに非類似と判断しているといえ、取りも直さず引用商標の要部を「雪肌」とみるべきではないことを意味している。

(4)商標類否の判断は、その商標の指定商品の一般購買者により、その種の商品が購入される場合において、普通に払われる注意力を基準として決せられるべきである(東京高裁・昭和29年(行ナ)第2号,昭和29年5月31日言渡,行裁例集5巻5号1091頁)。したがって、商品によっては選択にあたって慎重になされる分野と、必ずしも商標にこだわらない分野とがあるが、少なくとも「化粧品」を含む本件商標の指定商品の取引分野においては、上記「普通に払われる注意力」は、他の商品、例えば「日用雑貨品」等に比して極めて高い注意力によるとみるべきである。

一般に「化粧品」や「薬品」のように、その使用或いは摂取が人体に直接影響する商品の購入に際しては、「雑貨類」を購入する場合のようにメーカーを確認することなく無造作に行うということはなく、「化粧品」であれば、メーカーの確認に始まり、容器その他の包装に記載されている説明書を読み、場合によっては自らの皮膚に塗布してみる等して品質、効能を確かめて、納得したうえで購入するのが、消費者が「化粧品」を購入する場合の一般的な注意力である。

いずれにせよ、商標の類否判断は、普通一般の取引上の注意を以てする取引者により誤認混同が生じるか否かによって判断されるべきものであるから、仮に取引上、普通の注意力を払わない軽率者によって混同されることがあったとしても、これを以て類似とすることができないことは当然である。商品の選択にあたって極めて慎重になされる「化粧品」を含む指定商品の取引において、本件商標と引用商標とを誤認するということは、通常は考えられない。

2.本件商標が、商標法第4条第1項第15号に該当するという主張について

(1)本号は、同項第10号乃至同第14号の各号には該当しないが、出所の混同のおそれのあるものについて、その登録を拒否するための規定である。そして、同項第10号乃至同第14号は、主として私益保護の規定であるから、これらに該当する商標については、さらに重複して本号を適用する必要はないとの建前が採られている(本号括弧書)。したがって、請求人の本号に関する主張は、同項第11号に該当する主張が採用されなかったときを慮ってなされた予備的な主張と理解される。そして、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものでないことは、上述のとおりである。

出所の混同をいう場合には、一般的な出所の混同と具体的な出所の混同とが考えられ、商標法第4条第1項第10号乃至同第14号は、具体的な出所の混同の有無を問わず、商標自体を対比して一般的な出所の混同があれば具体的な出所の混同の可能性があるものとして登録を拒否しうるような場合を列挙しているものであるから、本号は、その他の場合で具体的な出所の混同を生ずるおそれのある場合に登録しないことを定めたものと解される。

(2)請求人が本件商標が、本号に該当するとの主張の根拠として述べるところは、次の2点が前提となっている(請求理由補充書15頁7行乃至15行)。

▲1▼引用商標中の「雪肌」の文字が、少なくとも本件商標登録出願時には、これ単独で請求人の商品「薬用化粧水」を表示する標識として、取引者、需要者間で周知となっていた。

▲2▼本件商標の構成中の「雪肌」の文字も、これ単独で取引者、需要者の注意を惹くといえる。

しかしながら、「雪肌」の語が請求人の商品「薬用化粧水」を表示するものとして取引者、需要者間で周知となっていたという事実はなく、甲号証の中には、周知を立証する目的で提出したと思われるものがあるが、それらはいずれも「雪肌精」に関するものであって、「雪肌」についてのものではない。また、本件商標を付した被請求人の商品が、具体的な取引の場で「雪肌」として取引者、需要者の注意を惹くという事実もない。既に述べたように、本件商標と引用商標とは互いに類似しないものであり、これを構成する語の中に「雪肌」の語があるからといって、両者がいずれも単に「雪肌」と略称されるということはなく、上記請求人の主張は、既に前提において誤っている。

(3)一般に、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標とは、商品の取引者、需要者に、商品の生産者、取扱者、販売者等を誤って認識させるような商標をいうのであるから、このような事実が想定できない本件にあっては、本号を適用する余地はない。

すなわち、本件商標と引用商標とは、いずれも三つの漢字が一体不可分に結合した造語であって、互いに非類似であるのみならず、既述のように「雑貨類」等の購入の場合の如く、指定商品の取引に際して出所に重きをおかず無造作になされるということはない。メーカーの確認に始まり容器その他の包装に記載されている成分、用法等の説明書を読み、場合によっては自らの皮膚に塗布してみるなどして品質、効能を確かめて、納得したうえで購入するものであり、したがって、本件商標を付した商品に接した取引者、需要者が、これを請求人の製造販売に係る商品であると誤って認識し、出所の混同をきたすということは全く考えられない。

(4)本件に関連して想起されるのは「ハイシミン」の片仮名文字及び「HISHIMIN」の欧文字を上下二段に併記してなり、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品とする登録商標の登録無効審判事件について、東京高等裁判所が言い渡した判決であり、この事件で、原告は「ハイシー」の片仮名文字及び「HICEE」の欧文字を上下二段に併記してなり、同じく第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品とする登録商標を引用し、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当すると主張したが、裁判所は、両商標は互いに非類似との判断を示した上、出所の混同の主張に対しては、「本件商標が前叙のとおり一体不可分の造語であり、かつ、構成自体に顕著な差異が認められることを考えると、需要者がたとえば薬屋の店先で『ハイシミン』なる商標が付された薬剤に接した場合にも、これを原告の製造販売にかかる『ハイシー』なるビタミンC製剤のシリーズ商品、もしくは姉妹商品として認識する虞れは無いと見るのが相当である。」として排斥しており(昭和54年(行ケ)第22号,昭和57年1月28日言渡,無体例集14巻1号23頁;参考資料)、本件に適切な判示である。

第5 当審の判断

よって、本件商標と引用商標の類否について判断するに、本件商標は、別紙(1)の構成に対し、引用商標は、別紙(2)の構成であり、外観上は互いに区別し得る差異を有するものである。

つぎに、これを称呼上よりみると、本件商標は、「透雪肌」の漢字と「とうせっき」平仮名文字を上下二段に横書きしてなるところ、上記「透雪肌」、「とうせっき」の各文字は、同書、同大、等間隔で一体的に表わされており、これらの各文字を分離・観察すべき特段の事由も存するものとはいい難く、かつ、各文字部分より生ずると認められる「トウセッキ」の称呼も格別冗長というべきものでなく、淀みなく一連に称呼し得るものである。

他方、引用商標は、「雪肌精」の漢字を横書きしてなるところ、上記「雪肌精」の文字は、同書、同大、等間隔で一体的に表わされており、これらの文字を分離・観察すべき特段の事由も存するものとはいい難く、かつ、該文字部分より生ずると認められる「セッキセイ」の称呼も格別冗長というべきものでなく、淀みなく一連に称呼し得るものである。

そして、「トウセッキ」の称呼と「セッキセイ」の称呼とは、その配列構成音を著しく異にするものであるから、称呼上十分に聴別し得るものである。

さらに、本件商標と引用商標は、共に特定の意味を有しない造語と認められるものであるから、両商標は、観念上においては比較することができないものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念上のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められるものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。

また、本件商標と引用商標とは、商標において別異のものであること上記のとおりであり、本件商標をその指定商品に使用した場合、該商品が請求人又は請求人と関係のある者の業務に係るものであるかの如くに、その商品の出所について、取引者、需要者間に誤認混同を生じさせるおそれがあるものとは認め難いものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも違反して登録されたものということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるという請求人の主張は、いずれも理由のないものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

なお、請求人は、「本件商標が、その指定商品中『薬用化粧水』について使用されたときは、その構成中『雪のように白い肌』の意味で親しまれている語であって、かつ、請求人が『薬用化粧水』に使用していて極めて広く一般に知られるに至っている『雪肌』と同一の文字である『雪肌』の文字に強く注意を惹かれ、これより生ずる『セッキ』の称呼及び『雪肌』(雪のように白い肌)の観念によって取引にあたる場合も、少なからずあるとみるのが相当であるから、本件商標も、『セッキ』の称呼及び『雪肌』の観念を生ずるものといわざるを得ない。また、本件商標は、請求人の著名な商標を含む商標といえるから、これと引用商標が、共に『薬用化粧水』について使用され、両商品が同一市場に流通したときは、取引者、需要者は、その構成中の『雪肌』の文字に強く注意を惹かれ、これを請求人の業務に係る商品であると、その出所を混同するおそれがあるといわざるを得ない。」旨主張している。しかしながら、本件商標及び引用商標の称呼、観念については、前記認定のとおりであるから、請求人の上記主張は、採用することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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