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Trademark Appeal Case

他人氏名と承諾の要否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2014−17545(T2014−17545/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲のとおりの構成態様からなり,第3類「化粧品」,第11類「ランプ用のかさ」,第14類「身飾品,時計」,第16類「文房具類」,第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘」,第20類「クッション,家具」,第24類「布製身の回り品,クッションカバー」,第25類「被服,履物」,第26類「コサージュ,頭飾品,靴飾り(貴金属製のものを除く。)」,第27類「敷物」及び第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として,平成25年10月24日に商標登録出願されたものである。

2 原査定の理由

原査定は,「本願商標は,その構成中に『Saori Mochizuki』の欧文字を有してなり,『望月沙織』,『望月 紗央里』及び『望月さおり』(以下「他人」という。)の氏名又は著名な芸名を欧文字で表記したものであると容易に認識できるものである。そうすると,本願商標は,他人の氏名又は著名な芸名を含む商標であり,かつ,他人の承諾を得ていないものである。したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第8号に該当する。 ただし,出願人が本願商標を商標登録を受けることについて,他人の承諾を得たときは,この限りではない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋(要旨)

(1)審尋(平成27年3月6日付け)

本願商標は,別掲のとおり,点線図形と,「Saori Mochizuki」のローマ字を表してなるところ,その構成中,「Saori」の文字部分からは「サオリ」の称呼を生じ,例えば,人の名である「さおり,沙織」等を,そして,「Mochizuki」の文字部分からは,「モチヅキ」の称呼を生じ,姓氏の一つである「望月」を表すものと容易に理解,把握させるものである。

そして,当該ローマ字の読みに照応する「モチヅキサオリ」の氏名の者は,原審説示のとおり,着付師の望月さおり氏の存在が認められるものであり,さらに,職権により調査すれば,少なくとも6人が存在することが確認できる。

そうとすれば,本願商標は,その構成中に,上記した当該他人の氏名を含む商標といわなければならず,かつ,これらの者の承諾を得たものとは認められない。

したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第8号に該当する。

なお,請求人が当該他人である者から承諾を得るのであれば,7人からの承諾を要するものである。

(2)審尋(平成27年9月10日付け)

審尋の送付から6月程度経過するも,未だ,承諾を得た事実を証する書面の提出はなく,承諾を得るべく行っている交渉が進展しているか否かも明らかではない。

したがって,請求人は,何名かの承諾を得た事実があるのであれば,それを証する書面を提出されたい。

また,残りの者からの承諾についても,2か月程度の期間を目処として得られるようにされたい。

4 請求人からの回答(要旨)

前記3の審尋に対し,請求人は,平成27年9月28日受付けの回答書において,以下のように回答した。

平成27年3月6日付けの審尋において記載の当該7名の「モチヅキサオリ」氏中,望月さおり氏及び望月沙織氏については,所在が不明である。

以上のことから,上記2名については,婚姻等で氏が変更されているか否か,存在しているか否かについて確認ができず,現在もなお「モチヅキサオリ」の氏名であるかは不明であるため,「人格権保護」の対象にはならず,承諾の必要はないものと思料する。

請求人は,上記2名を除く当該5名の「モチヅキサオリ」氏からの承諾を得るべく,平成27年9月15日付にて,再度「商標登録出願に対するご協力のお願い」及び,本件審判請求人本人直筆の書面を郵送しており,最終交渉をしている(証拠1)。

本日現在,未だ5名からの承諾は得られていないが,上記9月15日付の「協力願い」発送から,本審尋のご回答まで僅か2週間も経過していないことを鑑み,最終審決については,「残りの者からの承諾についても,2か月程度の期間を目処」のとおり,さらに2か月の猶予を願いたい。

5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第8号該当性について

本願商標は,別掲のとおり,点線図形と,「Saori Mochizuki」のローマ字からなるものである。

ところで,海外旅行に必要なパスポートの「姓」及び「名」の欄や,商品等の代金の支払手段の一つであるクレジットカードには,「名」及び「氏」の順に本人の氏名の読みがローマ字で表記(以下「ローマ字表記」という。)されており,氏名の読みをローマ字表記することが社会全般において広く行われているといえる。

そして,日本人の氏姓については,「日本人の氏姓も,日常これを表現する手段として,漢字,片仮名,平仮名,ローマ字等種々な文字を使用することは顕著な事実である。」(昭和41年(行ケ)49号 昭和48年2月23日判決言い渡し 東京高裁)旨,示されているものである。

そうとすると,本願商標に接する,取引者,需要者は,その構成中の「Saori Mochizuki」の文字部分が,氏名をローマ字表記したものと,容易に認識するものと判断するのが相当であり,当該欧文字の読みに照応する「サオリ モチヅキ」,すなわち「モチヅキ サオリ」の氏名の者は,前記2に記載のうち,請求人の回答からすれば,少なくとも5人の者が存在するといえるものであるから,本願商標は,その構成中に,該他人の氏名を含むものである。

また,本願商標を登録するためには,これらの者からの承諾を要するものであるところ,前記3のとおり,当審において審尋し承諾書の提出を求めたが,相当期間を経過するも該書面の提出はない。

してみれば,本願商標は,その構成中に,上記した氏名に係る,他人の氏名を含むものであって,かつ,これら者の承諾を得たものとは認められない。

したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第8号に該当する。

(2)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第8号に該当し,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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